2010–2019
「正直、真実〔で〕あるべきことを信じる」
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「正直,真実〔で〕あるべきことを信じる」

自分の信条を守ることは,たとえそれが,一般的なことでも,簡単,あるいは楽しいことでなくても,わたしたちが天の御父とともに永遠に住むための道を安全に進めるようにしてくれます。

愛する若い女性の皆さん,今夜皆さんの前に立てることは大きな特権であり,すばらしい機会です。皆さんの姿は,すばらしい,心を打つものです。

信仰箇条の第13条は2011年のミューチャルテーマです。今年,青少年の集会や聖餐せいさん会に出席する中で,若い男性や若い女性が自分にとって13条がどのような意味を持ち,自分の生活にどう当てはまるか話すのを聞いてきました。皆さんの多くが御存じのように,13条は信仰箇条の最後の1条で,最も長く,最も覚えにくく,ビショップから暗唱するように言われたくない信仰箇条です。しかし,皆さんの多くは信仰箇条13条がそれ以上のものであることも知っています。

信仰箇条13条は,義にかなった,クリスチャンとしての生活を送るための指針です。すべての人が13条に述べられている教えに添って生活することを選んだとしたら,どんな世の中になるか想像してみてください。「わたしたちは,正直,真実,純潔,慈善,徳高くあるべきこと,またすべての人に善を行うべきことを信じる。実に,わたしたちはパウロの勧告に従うと言ってもよい。わたしたちはすべてのことを信じ,すべてのことを望む。わたしたちはすでに多くのことを堪え忍んできており,またすべてのことを堪え忍べるようにと望んでいる。どのようなことでも,徳高いこと,好ましいこと,あるいは誉れあることや称賛に値することがあれば,わたしたちはこれらのことを尋ね求めるものである。」

モンソン大管長は,預言者として迎えた最初の総大会の日曜午前の部会で,ピリピ第4章8節で述べられているパウロの勧告を引用しました。信仰箇条13条の中の多くの原則の元となった聖句です。モンソン大管長はわたしたちが生きる時代が困難なものであることを認めながら励ましを与えました。「死すべき世の不安定な旅を続ける間,安全に,また道を踏み外さずに歩むために,使徒パウロの助言に従いましょう。」1

今夜は信仰箇条13条の中で,「安全に,また道を踏み外さずに歩む」うえで確かに助けとなる,密接な関係を持つ二つの原則に焦点を絞って話します。正直で真実であるという大切な原則に対して,わたしは強い証あかしと決意を持っています。

まず,「正直〔で〕あるべきことを信じる」です。正直であるとはどういうことでしょうか。『真理を守る』はこのように教えています。「正直であるとは,いつでも誠実であり,真実を語り,うそをつかないということです。」 2 正直であることは神の戒めで,3「救われるためには完全に正直になることが必要です。」4

ハワード・W・ハンター大管長は,何事にも正直でありたいと望まなければならないと教えました。

「何年か前,教会堂の玄関や入り口に,『自分に正直に』と書かれたポスターが掲示されていました。ポスターのほとんどは生活の中のささいな,ありふれたことを表していました。正直の原則はそのようなことにおいてはぐくまれます。

重大なことに不正直であるのは道徳的に間違っているが,ささいなことについては許されると考える人々がいます。数千ドルにかかわる不正直と,たった10セントにかかわる不正直はほんとうに違うのでしょうか。・・・対象の大きさによって不正直の度合いが変わるのはほんとうなのでしょうか。」

ハンター大管長は次のように続けています。「もし主と聖霊の御霊みたまを伴侶はんりょとしたいのなら,わたしたちは自分に正直であり,神に正直であり,同胞はらからに対して正直でなければなりません。そうするときに真の喜びがあります。」5

大小すべての事柄に正直であれば,心の安らぎと澄んだ良心を持てます。人間関係は信頼に基づいて築かれるので豊かになります。そして,正直であることから得られる最大の祝福は,聖霊を伴侶にすることができることです。

すべてのことに正直でありたいというわたしの決意を強めた短い物語を紹介します。

「ある夜,ある男が隣人の畑からトウモロコシを盗もうと出かけました。幼い息子を連れて行き,柵の上に座らせて,人が通りかかったときには警告するように告げて,見張りをさせました。男は大きな袋を腕に抱えて柵を飛び越え,トウモロコシを取り始める前にまず一方を見て,反対を見て,袋に詰めるところを目撃している人がいないか見渡しました。すると,息子が叫びました。

『父さん,まだ見ていない方向があるよ!・・・上を見忘れてるよ!』」6

だれもが受ける誘惑ですが,不正直になるように誘惑されるとき,だれにも分からないと思うかもしれません。この物語から,天の御父がいつも御存じで,わたしたちが最終的に主に報告しなければならないことが分かります。この知識はわたしが「正直〔で〕あるべきことを信じる」という決意を貫く努力を続けるうえで役立ちます。

信仰箇条13条で教えられている二つ目の原則は「真実〔で〕あるべきことを信じる」です。辞書では,「真実」という言葉を,不動の,忠実な,正確な,あるいは偏りがないと定義しています。7

わたしの大好きな本の一つは,1847年に出版されたシャーロット・ブロンテが書いたイギリス文学の名作『ジェーン・エア』 です。主人公のジェーン・エアは貧しい10代の孤児で,「正直である」とはどういうことかの模範を示しました。この小説の中で,ロチェスター氏という男性がエア先生を愛しますが,彼は結婚できない状況にあります。そこで彼は結婚せずに一緒に住んでほしいとエア先生に懇願します。エア先生もロチェスター氏を愛していて,一瞬その誘いに応じたくなり,このように自問します。「だれがあなたを愛してくれているの。」「それに,じぶんがしたことでだれが傷つくの。」

ジェーンの心の声がすぐに答えます。「わたしが自分を愛している。孤独で,友も,支えてくれる人もいないときには,わたしは自分を敬おう。神が与えられた律法を守ろう。・・・律法や原則は,誘惑のないときだけでなく,今のような瞬間のためなのよ。・・・都合の良いときに破ってもよいのだとしたら,戒めに価値があるのかしら。律法には価値がある。─わたしはそう信じてきた。・・・今のわたしが守るべきものは自分がこれまで貫いてきた思いと決意だけ。そこにしっかりと足を据えよう。」8

誘惑の窮地に置かれても,ジェーンは自分の信条を貫き,神がお与えになった律法を信頼し,誘惑に対抗して「しっかりと足を据え」ました。

自分の信条を守ることは,たとえそれが,一般的なことでも,簡単,あるいは楽しいことでなくても,わたしたちが天の御父とともに永遠に住むための道を安全に進めるようにしてくれます。わたしは,天の御父と永遠に住む喜びを味わいたいという望みを思い起こせるように,ある若い女性が描いたこの絵がとても好きです。

信条を守ることで,ほかの人の生活に良い影響を与えることもできます。最近,ある若い女性の霊感あふれる経験を聞きました。自分の信条を守る決意を貫いたことで,別の若い女性に大きな影響を与えた姉妹の話です。

数年前,クリスティーとジェンはテキサス州ハーストで同じ高校の合唱クラスを受講しました。二人は互いのことをあまり知りませんでしたが,ジェンは,クリスティーが友達と,宗教やそれぞれの信仰,好きな聖書の物語について話しているのをよく耳にしました。最近,クリスティーと連絡を再び取り始めたジェンがこのようなことを語りました。

「あなたや友達が話していることを何も知らないことを悲しく思ったので,両親にクリスマスに聖書を買ってほしいと言いました。聖書をもらって,読み始めました。これをきっかけにわたしは宗教を探求し,真実の教会を求め始めました。・・・12年が過ぎました。この間わたしは,幾つかの教会に定期的に通っていましたが,まだ何かが足りない気がしていました。ある夜,わたしはひざまずいて,何をするべきか教えてくださるように懇願しました。その夜は,クリスティー,あなたの夢を見ました。高校を卒業してからあなたと会っていませんでした。不思議な夢だと思いつつも,特に意味があるとは思いませんでした。それから3晩の間,続けてあなたの夢を見ました。夢の意味について,深く考えました。あなたがモルモンであることを思い出して,モルモン教会のウェブサイトを見ました。最初に読んだのは知恵の言葉の教えでした。母は2年前に肺癌で亡くなっていました。母はたばこを吸う人だったので,わたしは知恵の言葉について読んで,感銘を受けました。後日,父親の家を訪ねていたとき,わたしは居間に座って祈り始めました。どこへ行くべきか,何をするべきか尋ねました。その瞬間,教会のコマーシャルがテレビ画面に映りました。わたしは連絡先の番号を書き留めて,その夜に電話をかけました。3日後,宣教師が電話をかけてきて,わたしの家にモルモン書を届けてもよいか聞きました。わたしは『はい』と答えました。その3か月半後,わたしはバプテスマを受けました。2年後,教会で夫と知り合い,ダラス神殿で結婚しました。今は二人のかわいい子供がいます。

クリスティー,あなたに感謝したかったのです。あなたは高校のときにずっとすばらしい模範を示してくれました。親切で徳高い人でした。わたしにレッスンを教え,バプテスマを受けるように勧めたのは宣教師でしたが,あなたが3人目の宣教師でした。あなたは自分の行いを通して種をまき,ほんとうにわたしの人生をよりよいものにしてくれました。今,わたしには永遠の家族がいます。子供たちは完全な福音を知り,育つでしょう。これは人が受けられる最大の祝福です。あなたはその祝福をわたしの人生にもたらすのを助けたのです。」

わたしがクリスティーに連絡したとき,彼女は次のことを教えてくれました。「わたしたちは信仰箇条13条が述べている様々な属性を聞いて,圧倒されることがあります。しかし,これらの標準を守って生活し,キリストの模範に従おうと努力するなら,変化をもたらすことができます。・・・アルマ第26章3節で次のように語るアンモンの気持ちがよく分かります。『わたしたちがこの大いなる業を成し遂げるために,神の御手みてに使われる者とされたことは,わたしたちに与えられた祝福である。』」

皆さん一人一人が「正直,真実〔で〕あるべきことを信じる」と宣言するだけでなく,その約束を毎日守って生活しようと決意するように願っています。そうするなら,皆さんがこの世でなすよう遣わされた業を行うときに天の御父の力,愛,祝福が支えてくれるでしょう。これらをイエス・キリストの御名みなにより話します,アーメン。

  1. .トーマス・S・モンソン「過去を振り返り,前進する」『リアホナ』2008年5月号,90

  2. .『真理を守る』(2004年),102

  3. .出エジプト14:15-16参照

  4. .『福音の原則』(2009年),179

  5. .ハワード・W・ハンター“Basic Concepts of Honesty”New Era,1978年2月号,4,5

  6. .ウィリアム・J・スコット“Forgot to Look Up”Scott’s Monthly Magazine,1867年12月号,953

  7. .Merriam-Webster’s Collegiate Dictionary,第11版(2003年),“true”参照

  8. .『ジェーン・エア』下巻,シャーロット・ブロンテ,大久保康雄訳,新潮文庫,161-162