高慢の克服

高慢の罪はモルモン書の大きなテーマです。義にかなって繁栄した時代の後には，しばしば高慢と邪悪の時代が続きます。このレッスンは生徒たちにとって，高慢のしるしを自分の生活の中から見つける助けになるでしょう。また，高慢を克服し，さらに救い主に似た者となるには自分に何ができるかを考える機会となるでしょう。

教えるための提案

ヤコブとモロナイは高慢の罪について教えています。

最初に，七十人のJ・デビン・コーニッシュ長老による次の言葉を見せるとよいでしょう：「どうぞ，ほかの人々と自分自身を比べるのをやめてください。」（「『わたしは十分に善良でしょうか』『わたしにできるでしょうか』」『リアホナ』2016年11月号，33）これがすばらしい勧告であるのはなぜか，生徒たちに尋ねてください。

次の物語を紹介し，生徒たちに自分か，自分が知っているだれかがこのように感じたことはあるか尋ねてください。

ジルは扶助協会の集会に出席するのが好きではありません。部屋の中を見回すと，自分の周りにいる女性は皆，彼女よりも美しく，霊的で，才能あふれる人たちばかりのように見えました。彼女たちのそのような特質に怒りを覚え，扶助協会の部屋を出るときはいつも腹立たしく，嫉妬を抱いているのでした。

当時大管長会の一員であったディーター・F・ウークトドルフ管長が高慢について語った次の言葉を提示してください。「根本的に高慢は比較の罪です。」（「高慢と神権」『リアホナ』2010年11月号，56）ホワイトボードに次の真理を書いてください。「高慢とは，比較の罪である。」

自分と他人を比較することは，どのように高慢に結びつきますか。

教え方と学び方を改善する

生徒の必要に合うように調整する教科課程の中に重要な真理や資料，有益な指導があったとしても，それで生徒の必要のすべてにこたえられるわけではありません。教える際には，生徒の発言，質問，関心事に注意深く耳を傾け，聖霊の助けによって，話し合いの中で何を優先させ，何を強調すべきであるか分かるようにしてください。

生徒たちは準備資料のセクション1で，ヤコブが民に高慢について警告したこと，モロナイが末日の高慢を予見したこと，エズラ・タフト・ベンソン大管長が主の回復された教会における高慢について採り上げたことを学びました。それを思い出すように言ってください。この中から預言者を一人選んで，高慢に関するそのメッセージを調べ，「高慢は比較の罪」である点を探すように，生徒たちに言ってください（「高慢と神権」56）。

生徒がそれらのメッセージを調べる時間を取った後に，学んだことを発表してもらいます。生徒たちが意見を発表する際に，以下の質問の中からどれを強調して，優先するか考えてください。

「心が高慢になり」とはどういう意味だと思いますか。（モルモン書ヤコブ2：13）自分の心が高慢になっているとき，どのようにそれが分かりますか。
うぬぼれた気持ちで人を見下したり，あるには恨みを抱いて人を見上げたりすると，わたしたちの生活に別のどのような罪が忍び寄るでしょう。この種の比較は，自分の経験からすると，友人，家族，ルームメイト，同僚，そして天の御父との関係にどのような影響を及ぼすでしょうか。
ソーシャルメディアは高慢の罪に導くような比較を，どのような点で刺激するでしょうか。あなたは自分と他人を比較する誘惑に抵抗するために，これまでどんなことをしてきましたか。

注：生徒たちがソーシャルメディアに対する勧告に不安を示すようであれば，十二使徒定員会のゲーリー・E・スティーブンソン長老の次の言葉を紹介して，話し合うとよいでしょう。

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ゲーリー・E・スティーブンソン長老

ソーシャルメディアへの投稿では，絵に描いたような理想的な写真が（ほとんどとは言わないまでも）多くなりがちです。……

一見したところ平凡な自分の存在を，ソーシャルメディアに掲載される，美しく編集されたほかの人の生活ぶりと比較すると，失望や妬み，自分は不出来であるという感情まで抱くかもしれません。……

今朝オスカーソン姉妹が話してくれたように，人生における成功は，「いいね」の数や，ソーシャルメディアの「友達」やフォロワーの人数で決まるのではありません。人々と意味のある結びつきをもち，彼らに光を加えることこそが成功なのです。（「霊的な日食」『リアホナ』2017年11月号，46）

生徒たちに，準備資料のセクション1の終わりにある質問を見返すように言ってください。自分個人で学んだときに書いた答えを見直し，答えを記入した後で得た気持ちやさらに浮かんだ洞察を書き加えるように，生徒に勧めてください。

謙遜さを通して高慢を克服したニーファイの民

解毒剤の目的は何であるか，生徒に尋ねてください。（必要であれば，解毒剤とは特定の毒を緩和するために使用される治療薬であることを説明してください。）ベンソン大管長の次の言葉を見せてください。「高慢の治療薬は謙遜です。柔和と従順です。（アルマ7：23参照）」（「高ぶりを心せよ」『聖徒の道』1989年7月号，6参照）次の真理をホワイトボードに書きます。「謙遜は高慢の解毒剤である。」

高慢はどのような点で毒と似ていますか。
ベンソン大管長はなぜ謙遜さを高慢の治療薬，つまり解毒剤にたとえたと思いますか。

モルモン書ヤコブ2：17－21で，ヤコブは民に，富を増すときにどのように高慢の誘惑に負けずにいられるかその方法を説きました。生徒たちにそれを思い出させてください。また生徒たちは，この課の予習をした際，3ニーファイ 6：12－14には高慢に陥ることを拒んだ謙遜な人々について記されていることを生徒たちは学んだはずです。これらの聖句を読み直して，高慢を克服するためにわたしたちに何ができるか，見つけるように生徒たちに勧めてください。

これらの節によれば，高慢を克服するために，わたしたちに何ができるでしょうか。（生徒たちの答えをホワイトボードに書き出すとよいでしょう。幾つかの次のような答えが返ってくるかもしれません。持ち物を惜しみなく分かち合う，最初に神の国を求める，キリストに希望を持つ，貧しい人々の世話をする，すべての人を尊ぶ，人と言い争いをしない，神の御前にへりくだり，悔い改める，戒めを守る。）
こうした態度や行いは，どのように謙遜さを反映しているでしょうか。
救い主の生涯から謙遜さについて，どのようなことを学んできましたか。主の謙遜さの模範を自らの生活にどのように応用できますか。

生徒に数分時間を与えて，準備資料のセクション2にあるベンソン大管長の言葉を見直すように言ってください。生活の中でもっと謙遜になる具体的な方法を見つけ，それを実践する決心をするように生徒たちを励ましてください。

主の助けを受ければ，わたしたちは絶えず高慢を見つけて克服し，さらに救い主に似た者となれることについて，あなたの証を述べるといいでしょう。

次回に向けて

イエス・キリストや生ける預言者たちの教えに異論を唱えたり，疑問を投げかけたりするような事柄を聴いたり，読んだりしたことがあるか，生徒に尋ねてください。次回に向けて準備資料を予習する際，信仰を打ち砕こうとする人々から自らを守るために役立つ教えを見つけてくるように，生徒たちに勧めてください。