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第20課 教師用資料:宗教の自由の祝福


「第20課 教師用資料:宗教の自由の祝福」『モルモン書の教えと教義 教師用資料』(2021年版)

「第20課 教師用資料」『モルモン書の教えと教義 教師用資料』

第20課 教師用資料

宗教の自由の祝福

宗教の自由は基本的な人権であるモルモン書には宗教の自由の祝福と,それを抑圧した場合の,どちらの事例も載っています。この課を通して生徒たちは,宗教の自由の祝福がどのようなものであるかを知り,今日,それを擁護,維持するために何ができるかを見極める機会を持ちます。

教えるための提案

モーサヤ王は宗教の自由が護られる政治形態を確立した

注: 宗教の自由の在り方は全世界でかなり異なっています。宗教の自由について話し合うときは,地域固有の事情に注意を払ってください。政府やほかの教会,あらゆる宗教的な伝統に敬意を払うように生徒を励ましてください。

レッスンの準備をしてくる段階で,他宗派の人と一人,またはそれ以上の人々と話をしてくるように勧められていたことを,生徒に思い出させてください。生徒は彼らに,自分の宗教が彼らにとってなぜ大切なのか,また宗教のことで迫害を受けたことあるか,尋ねるように勧められていました。何人かの生徒に,他宗派の人々との会話や,彼らとの以前の経験から学んだことを,分かち合うように勧めてください。

次の質問のどれか一つ,あるいは複数尋ねるとよいでしょう。

  • あなたなら,宗教の自由をどのように定義しますか。(必要に応じて,生徒に準備資料の導入部セクション1を見直すよう促します。)

  • すべての人が自分のの信条を表明し,それに基づいて行動する権利を持つことが大切なのは,なぜだと思いますか。(信仰箇条第11条と,準備資料のセクション1にあるジョセフ・スミスの言葉を読み直してもらうとよいでしょう。)

  • わたしたちの宗教が教えるものの見方を含めて,その中心的な教えを自由に表明したり,実践したりすることができないとしたら,わたしたちの生活はどのように変わってくるでしょうか。現代において宗教の自由が脅かされている実例に,どのようなものがありますか。

モーサヤ王は自国の中で,信仰のために迫害されている人々を保護するための法律を施行したことを,生徒に指摘します。生徒と一緒にモーサヤ27:1-4を読んで,次のことを尋ねてください。

  • モーサヤ王の宣言から宗教の自由について,どのようなことが学べるでしょうか。

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アルマと対峙するコリホル,ロバート・T・バレット画

掲載された絵を見せて,コリホルの教えの要点を幾つかまとめるように生徒に言ってください(準備資料のセクション1参照)。生徒にアルマ30:7-9,11を読んでもらい,これらの節から宗教の自由についてどのような教えが分かるか見つけてもらいます。学習を深めるうえで次のどの質問が一番役立つか選んで尋ねてください。

  • これらの節から,天の御父が宗教の自由にどのような価値を置いておられることが分かりますか。(生徒は次のような原則を見つけるかもしれません。神はそのすべての子供たちに,神に仕えない自由があるのと同じように,強制されずに自由に神に仕えることを選ぶ平等な権利と特権を享受して欲しいと望んでおられる。

  • 神の計画から見れば,主の言葉を信じ,それに従うことを強制されないということは,なぜ大切なのでしょうか。

  • あなたにとって,天の御父とイエス・キリストが御自分を信じ,従うことを決して強制されないということは,どのような意味を持っていますか。このことから神の性質について,何が学べますか。

  • 宗教の自由は社会の構成員全員にとって,どのような利益をもたらしますか。あなたにとっては,どのような利点がありますか。

司令官モロナイは自由の旗を立て,自由を守るために民を招集した

宗教の自由が脅かされるかもしれない事例を2,3人の生徒に挙げてもらってください。(必要であれば,準備資料のセクション2を見直すよう,生徒に勧めます。)

生徒にアルマ46:4,10を読んでもらい,アマリキヤが宗教の自由を含めて,ニーファイ人の自由をどのように損なおうとしたか説明してください。生徒たちに,司令官モロナイはこの脅威に対してどのように応じたか,尋ねてください。(必要なら,アルマ46:12-13,19-20を読み直すように生徒に言ってください。)次の質問について話し合ってみましょう。

  • 司令官モロナイとその同僚たちの働きから,宗教の自由に関してどのような福音の原則が学べるでしょうか。(次のような原則を見つけられるよう,生徒たちを助けてください。神を呼び求め,行動に向けて備えるならば,神はわたしたちが家族,宗教,自由を守れるように強めてくださる。

  • 司令官モロナイと自由の旗は民衆をどのように感化したでしょう。宗教の自由を擁護する活動に,天の御父の助けが必要なのはなぜでしょうか。

  • 司令官モロナイによる宗教の自由の擁護は,イエス・キリストがわたしたちの選択の自由を守ってくださった方法と,どのような点で似通っているでしょうか。

宗教の自由を擁護する際に礼儀正しくあるための方法を生徒が考えるための助けとして,大管長会のダリン・H・オークス管長の次の言葉を提示するとよいでしょう:

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ダリン・H・オークス管長

わたしたちはすべての人々を愛し,良い聞き手となり,相手の誠実な信念に関心を示すべきです。わたしたちは知恵を使って,教会員としての立場を説明,追求し,影響力を行使しなくてはなりません。わたしたちは教会員でない人々の理解と支援を求めるべきです。わたしたちは政府や適切な国際組織の正規の活動に参加する必要もあります。全人類の利益のために宗教団体と信者たちが成し遂げることのできる大いなる善を推進させるために,このどれもが必要です。  (“Challenges to Religious Freedom” [address at the Argentina Council for Foreign Relations (CARI), Apr. 23, 2015], newsroom.ChurchofJesusChrist.org)

宗教の自由を守る練習の一助として,生徒に二人一組になってもらい,以下の話にどう対応したらいいか,話し合うように言ってください。

あなたの職場にイスラム教徒の友人がいます。彼は自分の休憩時になると個人的な場所を見つけて,祈りをささげています。同僚たちの中には,この様子をからかう人が出始めました。とうとう一人の女性同僚がこう言いました。「彼は宗教を自分の内に留めて,職場でそれを実行すべきではありませんね。」彼女はあなたに向かって,次のように言います。「あなたはどう思う?」

質問にどう答えるか相手と話し合う時間を取ったら,2,3人の生徒に彼らの答えを紹介してもらってください。

教え方と学び方を改善する

目標を立てるように生徒に勧める十二使徒定員会のM・ラッセル・バラード会長は,次のように述べました。「はっきりと分かることは,この世において目標を設定することなく,目標を達成するための知恵を得る方法を学ばないとしたら,やがて年老いて半生を振り返るときに,自分の持つ可能性をごく一部しか使わなかったことに気づくということです。 」(“Do Things That Make a Difference,” Ensign, June 1983, 69–70)生徒たちが効果的で義にかなった行動が取れるように,具体的な目標について考え,立てる機会を彼らに与えてください。彼らの目標が発表するにはあまりにも個人的でない限り,自分の立てた目標をなあたに報告してもらい,生徒が目標を達成できるようにどのようなフォローができるか考えてください。

宗教の自由という神聖な権利を守る備えがさらによくできるように,自分にできる具体的な目標を立てるよう生徒に勧めてください。(準備資料のセクション2にあるロバート・D・ヘイルズ長老の言葉を提示して,見直すといいかもしれません。)自分の立てた目標を達成するための簡単な行動計画を書き出すように,生徒に勧めるのもいいでしょう。レッスンを終えるために,宗教の自由の重要性について,あなたの証を述べるとよいでしょう。

次回に向けて

高慢がモルモン書の中に頻出するテーマである理由は何であると思うか,考えるように生徒に言ってください。エズラ・タフト・ベンソン大管長が述べた次の言葉を指摘します。「人の高慢はよく目につきますが,自分自身の高慢の罪を認めるのは非常にむずかしいことです。」 (「高ぶりを心せよ」『聖徒の道』1989年7月号,5)。モルモン書にある高慢の教えと,高慢が生活にどのような影響を及ぼすかについて,理解を深めるように生徒に勧めてください。