「新約聖書の重要な用語」『聖文ヘルプ:新約聖書』
新約聖書の重要な用語
以下の用語を基本的に理解しておくことは,新約聖書の研究に役立ちます。
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メシヤ。「アラム語とヘブライ語で『油注がれた者』を指す言葉。」 古代イスラエルでは,預言者,王,祭司は,神によって選ばれ,任命されたことを示すために,油を注がれました。「メシヤ」という言葉は,ダビデの血統であり,御自分の民を救うために来られる,油注がれた預言者,祭司,王を意味するようになりました。新約聖書の時代,人々はメシヤの来臨を心待ちにしていました。メシヤに相当するギリシャ語はクリストスで,キリストという称号はこれに由来しています。
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パリサイ人。「旧約聖書と新約聖書の間」のセクションの「パリサイ人とはどのような人たちだったのか」を参照してください。
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サドカイ人。「旧約聖書と新約聖書の間」のセクションの「サドカイ人とはどのような人たちだったのかを参照してください。
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サンヒドリン。このギリシャ語の言葉は,「話し合いの席に着く」「集会」「議会」を意味します。 サンヒドリンは,ユダヤ人の住んでいた様々な地域に多数存在していました。「サンヒンドリン」という言葉(日本語訳では「議会」)が新約聖書内で説明なしに使用される場合,通常はエルサレムの大サンヒドリンを指します。このユダヤ人の議会は,ユダヤ民族内の問題を規制していました。議会は70人の会員と,議会を管理する大祭司で構成されており,その会員は,祭司長,律法学者,長老といったユダヤ人支配層から選出されていました。ローマは政治権力を保持していましたが,サンヒドリンはユダヤの宗教的,政治的,司法的な律法に対する管轄権を認められていました。
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律法学者。「旧約聖書と新約聖書の間」のセクションの「律法学者たちはどのようにして影響力と権力を増したのですか?」の項を参照してください。
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聖文。イエスの時代のユダヤ人は,律法と預言書という二種類の聖文を参照していました。 これに関連して,ルカは詩篇にも言及しています。詩篇は後に,今日「諸書」として知られている第三類の聖文の一つとなります。律法はトーラーとも呼ばれ,モーセの五書から成っていました。預言書は,預言者による,預言者についての書物を集めたものを指していました。この書物には,ヨシュア記から列王記,イザヤ書,エレミヤ書,エゼキエル書,そして12の「小預言書」(ホセア書からマラキ書まで)が含まれていました。諸書には,詩篇,箴言,ヨブ記などの文学作品が含まれていました。また,「五巻」(雅歌,ルツ記,哀歌,伝道の書,エステル記),ダニエル書,歴代志上および歴代志下の歴史書も含まれていました。
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会堂。会堂とは,ユダヤ人が礼拝と指導のために集まる建物でした。会堂の起源は分かっていません。モルモン書に会堂に関する記述があることから,リーハイがエルサレムを去る前に,イスラエルに会堂が存在していたことを示唆しています。 バビロン捕囚の後,ユダヤ人が主の神殿から離れた場所で主を礼拝する方法を模索したために,会堂での礼拝がさらに広まったことが考えられます。
会堂は,律法学者である地元の統治者によって管理されていました。各会堂には,「律法を書いた巻き物など神聖な記録……机,礼拝者用の座席」がありました。 安息日の礼拝では,ユダヤ人はユダヤ教の聖典の朗読を聞くために集っていました。
「ナザレの会堂におけるイエス」グレッグ・K・オルセン画
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ヘンリー・B・アイリング「約束されたメシヤ」『リアホナ』2022年12月号,4-7
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Trevan G. Hatch, “Messianism and Jewish Messiahs in the New Testament Period,” in Lincoln H. Blumell, ed., New Testament History, Culture, and Society: A Background to the Texts of the New Testament (2019), 71–85
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“Lesson 6: New Testament Customs—Worship in the Synagogue” (0:42)