日曜学校―福音の教義
第34課:「どうしてあなたがたは……神を忘れることができたのか」


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「どうしてあなたがたは……神を忘れることができたのか」

ヒラマン6-12章

目的

義から罪悪へ,そして義へと戻るサイクルを認識できるようにする。

準備

  1. 以下の聖句を読み,内容について深く考え,祈る。

    1. ヒラマン6:1-14。レーマン人の義がニーファイ人の義をしのぐ。民は平和と繁栄に恵まれる。

    2. ヒラマン6:15-10:1。ニーファイ人は高慢で邪悪になる。ニーファイ,民に悔い改めを呼びかける。大さばきつかさの暗殺を巡る出来事を目にし,一部の人々はニーファイを預言者として受け入れるが,民のほとんどは悔い改めない。

    3. ヒラマン10:2-11:6。主はニーファイに結び固めの力をお授けになる。ニーファイは飢饉をもってニーファイ人を懲らしめられるよう主に願う。

    4. ヒラマン11:7-3812章。ニーファイ人はへりくだって悔い改める。主はニーファイの願いに応じて雨を送られ,再び平和と繁栄をもってニーファイ人を祝福される。モルモン,義と罪悪のサイクルを明示し,そのサイクルを打ち破る方法を教える。

  2. 以下の言葉を書いた紙を用意する。

    義と繁栄

    高慢と邪悪

    滅びと苦難

    謙遜と悔い改め

    これらを紙に書いておく代わりに,レッスンでこれらの言葉が出てくる順に黒板に書き出してもよい。

  3. 『モルモン書ビデオ・プレゼンテーション』(53911 300)がある場合は,「高慢は繰り返す」(14分31秒)を見せる準備をする。ビデオカセットが入手できない場合は,生徒の一人にヒラマン7:13-298章9章で述べられている出来事を簡単に説明する用意をしておくように頼む。

レッスンの展開

導入

適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。

黒板に以下の数字を書く。2,3,5,8,12。

これらの数字はある特定のパターンに添って並んでいることを指摘する。この次に来る数字は何だと思うか,これに続く数字3つを生徒に尋ねる(次の3つの数字は17,23,30である。最初の数字には1を足し,2番目の数字には2を足し,3番目の数字には3を足し,というようになっていることを説明する必要があるかもしれない)。

モルモン書の中に,上の数字とほとんど同じくらい容易に次を予想できるパターンが存在することを説明する。このパターンは何回も繰り返されている。このパターンを認識することによって,わたしたちはニーファイ人に滅亡をもたらしたものを避けることができる。

聖句を使った話し合いと応用

クラスの生徒の必要に最も適した聖句,質問,そのほかの資料を祈りの気持ちで選ぶ。選んだ聖句を日常生活でどのように応用できるかを話し合う。聖句で述べられている原則に関連した適切な経験を分かち合うよう生徒に勧める。

本課は4つの項に分かれている。各項は高慢のサイクルの段階の一つを取り扱っている。指示のあるときに,各項に該当する言葉が書かれた紙を黒板にはる。以下に示すように,言葉が書かれた紙の間を矢印で結ぶ。

画像
pride cycle

1.民は義にかなった状態にあり,平和と繁栄に恵まれる

ヒラマン6:1-14から選んだ箇所を読んで話し合う。ニーファイとリーハイは宣教師としてレーマン人の中で働き,多くの人々が悔い改めてバプテスマを受けるように助けたことを生徒に思い出してもらう。すぐにレーマン人はニーファイ人よりも義にかなった民となった。

  • レーマン人がニーファイ人の多くよりも義にかなった民となったのは,彼らにどのような特質があったからでしょうか(ヒラマン6:1参照)。改宗したレーマン人は,ニーファイ人をどのように助けようとしましたか(ヒラマン6:4-6参照)。その結果はどうでしたか(ヒラマン6:7-14参照)。

「義と繁栄」と書いた紙を黒板にはる。

2.ニーファイ人は高慢になり邪悪になる。ニーファイは悔い改めを呼びかける

ヒラマン6:15-10:1について話し合う。生徒たちに選んだ箇所を声に出して読んでもらう。繁栄を得た後,ニーファイ人の多くが神を忘れ始め,富やそのほかのこの世のものを追い求め始めた。

「高慢と罪悪」と書いた紙を黒板にはる。

  • なぜ繁栄はしばしば罪悪につながるのでしょうか(ヒラマン6:177:20-21参照)。

  • 生徒たちにヒラマン6:21-24ヒラマン7:4-5を読んでもらい,ガデアントンの強盗団の特徴を挙げてもらう。これらの要素のうち,今日存在するものはどれでしょうか。わたしたちの地域社会において,悪の影響と適切に闘っていくにはどうすればよいでしょうか。

  • 秘密結社の根源はだれでしたか(ヒラマン6:25-30参照)。サタンに「心を大いに支配」されたニーファイ人は何をしましたか(ヒラマン6:31参照)。

生徒たちに,ニーファイ人とレーマン人を比較しながらヒラマン6:34-38を読んでもらう。黒板に,生徒たちの答えを以下のような表題を使ってまとめてもよい。

ニーファイ人

レーマン人

不信仰に陥った(34節)。

神を知るようになった(34節)。

ますます悪事と罪を行うようになった(34節)。

神の前を真理と義のうちに歩んだ(34節)。

主の御霊の導きを失った(35節)。

御霊を受けた(36節)。

ガデアントンの強盗団を築き,支援した(38節)。

ガデアントンの強盗団に神の言葉を宣べ伝えた(37節)。

  • なぜ御霊は「ニーファイ人……から去」ったのでしょうか(ヒラマン6:35参照)。なぜ主は「レーマン人……に主の御霊を注」がれたのでしょうか(ヒラマン6:36参照)。このことから,聖霊の影響を受けられるようになる方法について,どのようなことが学べるでしょうか。

ニーファイ人が罪悪を続けたとき,民を悔い改めさせるために,主がヒラマンの息子ニーファイを送られたことを説明する。ニーファイは民の罪悪を見て「悲しみで胸が詰ま」った(ヒラマン7:6)。ニーファイは自分の庭にある塔の上でひざまずき祈った。彼がその心を神に注ぎ出していると,民が集まり,彼が民の罪悪のために嘆いている訳を知りたいと思った(ヒラマン7:11)。

ビデオ・プレゼンテーション「高慢は繰り返す」を使用するのであればここで見せる。ビデオ・プレゼンテーションを使用しない場合は,割り当てておいた生徒に,ヒラマン7:13-298章9章に述べられている出来事について簡単に報告してもらう。

  • 自分たちの罪悪をニーファイに責められたとき,民はどのような反応を示しましたか(ヒラマン8:1-10参照)。なぜこれほど多くの人々が悔い改めなかったのでしょうか。

  • セアンタムが自分の兄弟である大さばきつかさを殺したことを告白した後,民はどのような反応を示しましたか(ヒラマン9:39-10:1参照)。ニーファイは預言者なのか,あるいは神であるのかと議論した後,民はニーファイを一人残して去って行きました。わたしたちが末日の預言者に耳を傾けるのを妨げるものには何があるでしょうか。

    エズラ・タフト・ベンソン大管長は次のように述べている。「預言者に従うことが最も困難な二種類の人々がいます。それは学識のある高慢な人々と,裕福で高慢な人々です。学識のある人々は,預言者の言葉に同意するときにのみ,預言者が霊感を受けていると感じるでしょう。さもなければ,預言者は自分の意見を述べているにすぎない,つまり預言者としてではなく一人の人間として語っていると感じるのです。裕福な人々は,みすぼらしい預言者の勧告を受ける必要を感じないでしょう。」(The Teachings of Ezra Taft Benson〔1988年〕138)

3.主はニーファイに結び固めの力をお授けになる。悔い改めないニーファイ人は戦争と飢饉に遭う

ヒラマン10:2-1911:1-6から選んだ箇所を読んで話し合う。ニーファイ人は主を忘れ,罪悪を行い続けたことを指摘する。自分たちの罪悪のため,民は壊滅的な破壊と苦難に見舞われる。

  • 主はニーファイに結び固めの力を授けられ,「すべてのことが〔ニーファイ〕の言葉のとおりに行われるであろう」と言われました(ヒラマン10:5-10)。なぜ主はそのような偉大な力をニーファイにゆだねられたのでしょうか(ヒラマン10:4-5参照)。

  • ニーファイを拒み,神に従わなかった民に何が起きましたか(ヒラマン10:18-11:2参照)。民が主を思い起こしで悔い改めるのを助けるために,ニーファイは何を祈り求めましたか(ヒラマン11:4参照)。なぜニーファイは戦争の代わりに飢饉を祈り求めたのですか(ヒラマン11:4参照)。ニーファイの祈りはどのようにこたえられましたか(ヒラマン11:5-6参照)。

「破壊と苦難」と書いた紙を黒板にはる。

4.ニーファイ人はへりくだって悔い改める

ヒラマン11:7-3812章から選んだ箇所を読んで話し合う。飢饉による破壊と苦難の影響でニーファイ人は主を思い起こして助けを求めたことを説明する。彼らはへりくだって悔い改めた。

「謙遜と悔い改め」と書いた紙を黒板にはる。

  • ニーファイは飢饉がやむことを祈り求めましたが,この祈りに対する主の答えから,何を学べるでしょうか(ヒラマン11:10-17参照)。主は飢饉を終わらせる前に,民に何を要求されましたか(ヒラマン11:14-15参照)。

  • 民はその忠実さから,再びどのような祝福を受けましたか(ヒラマン11:20-21参照)。

  • つかの間の謙遜と義の期間が終わりつつあることを示す最初の兆しは何でしたか(ヒラマン11:22参照)。ニーファイ,リーハイ,および彼らの同僚たちは,この争いをどのように鎮めましたか(ヒラマン11:23参照)。「教義の真の要点」を教えることは,争いを鎮めるうえでどのように役立つでしょうか。

  • また訪れた罪悪と戦争による破壊の期間の後,民に悔い改めて主を思い起こさせたのは何でしたか(ヒラマン11:28-34参照)。わたしたちの周囲が同様の罪悪に満ちているとき,常に主を思い起こすにはどうすればよいでしょうか。

  • 2年後,ニーファイ人は「また主なる神を忘れ始め」ました(ヒラマン11:36)。人々がこれほど早く主を忘れるのはなぜだと思いますか。わたしたちはどのような点で今日主を忘れつつあるでしょうか。

  • モルモンは「人の子らは……地のちりよりも劣っている」と述べました(ヒラマン12:7)。どのような原則に基づいて,モルモンはこのように述べたのでしょうか(ヒラマン12:1-6,8を生徒に順番に読んでもらう)。

  • わたしたちには神の戒めに従うか従わないかの自由が与えられていますが,行いの結果を選ぶ自由は与えられていません。不従順な人々の行く末について,モルモンは何と言いましたか(ヒラマン12:25-26参照)。悔い改めて主に従う人々はどうなりますか(ヒラマン12:23-24,26参照)。

  • 生徒の注意を黒板のサイクルに向ける。このサイクルを打ち破るにはどうすればよいでしょうか(アルマ62:48-51ヒラマン12:23-24参照)。

    ゴードン・B・ヒンクレー大管長は次のように述べている。「見せかけのものではなく,真実のものを求めましょう。通り過ぎていく気まぐれな事柄ではなく,永遠の真理を求めましょう。今日ここにあり,明日は去ってしまう事柄ではなく,神に関する永遠の事柄を求めましょう。神に頼って生きるようにしましょう。」(Teachings of Gordon B. Hinckley〔1997年〕494)

結び

ゴードン・B・ヒンクレー長老のモルモン書についての以下の言葉を読む。

「神を畏れ,神の戒めに従う民と国家は栄え,発展する。しかし,神と神の御言葉をないがしろにする人々の間には,堕落が生じ,正義をもってその歯止めをしないかぎり,人々は死に定められる。この事実をかくも明確に説いた書物はモルモン書をおいてほかにない。」(「長き沈黙破りて出づ」『聖徒の道』1980年3月号,8-9)

本課で話し合われた事柄が真実であることを,御霊に導かれるままに証する。

教えるためのそのほかのアイデア

以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。これをレッスンに取り入れてもよい。

1.高慢のサイクルを避ける

生徒たちに,自分たちが犯した恥ずかしい,または愚かな過ちや選択について考えてもらう。その後,その過ちを繰り返さないように何をしてきたかについて考えてもらう。それらの経験を分かち合う機会を生徒たちに与える。

なぜニーファイ人は自らを義から罪悪へと導き,破壊と苦難をもたらすことになる決断をし続けたかについて話し合う。

  • ニーファイ人から,彼らと同じ失敗を繰り返さないようにするうえで役立つものとして,何が学べるでしょうか。

2.「彼らはキリストの来臨について証し……た」(ヒラマン8:22

天地にある万物と同様,預言者たちもイエス・キリストについて証することを説明する。その後,ヒラマン8:11-24を,それらの箇所にある救い主の様々な証を探しながら,生徒に順番に読んでもらう。この話し合いの一部として,モーセの青銅の蛇の話に特に焦点を当ててもよい。

  • 青銅の蛇は何を象徴していましたか(ヒラマン8:13-15参照。民数21:6-9ヨハネ3:14-16も参照)キリストへの信仰を増すにはどうすればよいでしょうか。キリストと主の贖罪への信仰は,あなたの生活にどのような影響を与えてきたでしょうか。

この話し合いの結びとして,最新の『リアホナ』の大会報告または大管長会メッセージから,現在の大管長の証を読んでもよい。