日曜学校―福音の教義
教師への指示


教師への指示

十二使徒との集会において,預言者ジョセフ・スミスは次のように語っている。「モルモン書はこの世で最も正確な書物であり,わたしたちの宗教のかなめ石である。そして,人はその教えを守ることにより,ほかのどの書物にも増して神に近づくことができる。」(History of the Church4:461。モルモン書「序文」も参照)

福音の教義クラス教師として,あなたは今年,「この世で最も正確な書物」から教える機会を得ている。御霊の導きを受けながら,あなたはクラスの生徒たちが永遠の原則を理解し,イエス・キリストとその福音,預言者ジョセフ・スミスの使命に対する証を強めるのを助けられるようになるであろう。また生徒たちが,以下のエズラ・タフト・ベンソン大管長の言葉にあるような,モルモン書を熱心に研究することによりもたらされるそのほかの祝福にあずかるよう助けることができるであろう。

「〔モルモン書は〕キリストの敵をあばく……。モルモン書は偽りの教義を打ち破り,論争を鎮めるものである(2ニーファイ3:12参照)。またそれは,謙遜にキリストに従う者たちが,今日の悪魔の企てや戦略,その教えに頑強に対抗できるように力を与えるものである。モルモン書中の背教者のタイプは,今日のそれによく似ている。わたしたちが誤りを見抜き,今日の誤った教育や政治,宗教,哲学などの概念といかに闘ったらよいかその方法を知ることができるように,神は実に無限の先見の明をもってモルモン書を備えられたのである。」(「モルモン書は神の御言葉」『聖徒の道』1975年8月号,366-367)

「モルモン書には力があって,真剣に読み始めるや否やその力は読む者の人生に流れ込み,誘惑に打ち勝つ力となります。またそれは欺きを避ける力となり,細くて狭い道にとどまる力となります。……神の言葉に飢え渇く者はモルモン書を通して豊かに得られるようになるのです。」(「モルモン書わたしたちの宗教のかなめ石」『聖徒の道』1987年1月号,6-7)

あなたが教えるときに,主の御霊はモルモン書が人々にイエス・キリストとその教義に対する確固とした揺るがぬ知識をもたらす力を持っていることについて,あなたに証することであろう。

御霊によって教える

福音の教義クラスのレッスンを準備するうえで大切なことは,聖霊から与えられる霊感と導きを求めることである。主は次のように言っておられる。「御霊は信仰の祈りによってあなたがたに与えられるであろう。そして,御霊を受けなければ,あなたがたは教えてはならない。」(教義と聖約42:14)クラスにおいては聖霊が教師になられるということを心に留める必要がある。

あなたは,祈る,断食する,毎日聖文を研究する,戒めに従うなどの方法によって御霊を求めることができる。レッスンの準備をするときに,聖文を理解し,生徒たちの必要に気づくことができるように,御霊を祈り求めなさい。御霊の助けによってあなたは聖文について話し合い,それを現在の生活に応用するための有意義な方法を考えることができる(1ニーファイ19:23参照)。御霊の導きによって,あなたは主の手に効果的に使われる者として,御言葉を人々に教えることができるようになる。

クラスの中に御霊を招くための提案を以下に挙げる。

  1. レッスンの始まりと終わりに,生徒に祈ってもらう。レッスンの間は,御霊の導きを受けられるよう,また,生徒の心が開かれ,彼らが御霊の証と霊感を受けられるように心の中で祈る。

  2. 聖文を活用する(次の「聖文に焦点を絞る」の項を参照)。

  3. レッスンの最後だけでなく,御霊の促しを感じたらいつでも証する。イエス・キリストについて証する。折にふれて,生徒たちにも証をするよう促す。

  4. 生徒が心に御霊を感じられるように,賛美歌や初等協会の歌,そのほかの神聖な音楽を活用する。

  5. 生徒たちやそのほかの人々,そして天の御父とイエス・キリストを愛している気持ちを表す。

  6. 適切であれば,レッスンの内容に関する洞察,気持ち,経験などを生徒に伝える。生徒にもそれらを分かち合うように求める。前回のレッスンで学んだ事柄をどのように応用したかを話してもらうのもよい。

聖文に焦点を絞る

ボイド・K・パッカー長老はこのように教えている。「まことの教えを理解すれば,人の態度や行動は変わります。」(「幼き子ら」『聖徒の道』1987年1月号,18)レッスンを準備しているときやレッスンでは,聖文と末日の預言者の教えで明らかにされている,救いに関する福音の教義を中心にして考えをまとめるようにする。そのためには熱心に,また祈りをもって聖文を研究することが必要である。主は次のように命じておられる。「わたしの言葉を告げようとしないで,まずわたしの言葉を得るように努めなさい。そうすればその後,あなたの舌は緩められる。それから望むならば,あなたはわたしの御霊とわたしの言葉,すなわち人々を確信に導く神の力を受けるであろう。」(教義と聖約11:21

毎週クラスに聖典を持参するよう生徒に勧める。レッスンで採り上げる聖句を生徒とともに読むようにする。

生徒全員に『モルモン書生徒用学習ガイド』(35684 300)を配布する。この冊子は生徒が学習技術を向上させる助けとなる。また生徒が聖文を理解し,生活に応用し,クラスでの話し合いに備え,さらに家族との話し合いに活用する助けとなる。読書課題と学習ガイドを毎週前もって読んでくるように生徒に勧める。

モルモン書を分かち合う

エズラ・タフト・ベンソン大管長はモルモン書を分かち合うことに関して,教会員に次のようなチャレンジを与えている。

「地をモルモン書で洪水のごとく満たすべき業があまりにも遅れすぎています。……何か画期的な方法でモルモン書を広めないとしたら,わたしたちは神にその責任を問われます。

教会にはモルモン書が与えられ,教会員や宣教師もいます。様々な力や手段も授けられています。そして世の人々は神の教えを必要としているのです。今こそ,モルモン書で地を満たすべき時です。」(「モルモン書で洪水のごとく地を満たす」『聖徒の道』1989年2月号,5)

今年日曜学校でモルモン書を教えるに当たって,モルモン書を教会員ではない友人や知人と分かち合うよう生徒に勧める(第1課の「教えるためのそのほかのアイデア」の項,2を参照)。年度の始めに,生徒が人々にプレゼントするモルモン書を入手する方法についてビショップリックやワード伝道主任と相談するとよい。

本書の活用

本書は,あなたが聖文から福音の教義を教える助けとなる道具である。本書は青少年と成人を対象とした福音の教義クラス用に作成されたものであり,4年ごとに使用される。レッスンを教えるのにほかの参考書や解説書は必要としない。M・ラッセル・バラード長老は次のように述べている。「教師は補助的な資料を求める前に,聖文や公認の手引きを入念に研究するよう強く求められています。教会公認の教材を十分に検討もせず,目をほかに移す教師が非常に多いようです。レッスンを準備するときに聖文や手引き以外に補助的な資料の必要を感じた場合は,まず教会発行の機関誌を使うことを考えるべきです。」(「教師--その大いなる召し」『聖徒の道』1983年7月号,119)

レッスンを実施する日から数えて少なくとも1週間前には準備に入る。読書課題とレッスン資料の研究を早くから始めていれば,その週の間にレッスンを教えるうえで役立つ考えやヒントが心に浮かぶものである。御霊の導きを祈り求め,レッスンについて思いを巡らしながら1週間を過ごすことが大切である。主が祝福されることに信仰を持ち続ける。

各レッスンには,1回のレッスン時間内では数え切れないと思われる量の情報が含まれている。主の御霊の導きを求めて,最も効果的に生徒の必要を満たすことができる聖文の物語,質問,その他レッスン資料を選ぶ。

各課の構成は以下のとおりである。

  1. 「表題」表題は,内容を表す短い引用文や句,およびレッスンの準備をする前に読むべき聖句という二つの要素から成る。

  2. 「目的」目的欄には,レッスンを準備し,教える際に焦点を絞るべき主概念が提示されている。

  3. 「準備」ここではレッスンの概要で採り上げる聖文の物語のまとめが記されている。さらに,教師がクラスに持参するとよい資料などについて示された「そのほかの読書課題」や,準備に関するそのほかの提案が含まれている。それらの資料の多くは集会所付属図書館で入手できる。絵が『福音の視覚資料セット』〔34730 300〕に含まれている場合は,セット内の番号も付されている。)

  4. 「導入」この項は,生徒に学び,参加し,御霊の影響を感じる備えをさせるための簡単な活動,実物を使ったレッスン,引用文,質問で構成されている。本書で提案されている「導入」を行うにせよ自分で考えた活動を行うにせよ,いずれの場合もレッスンの導入部で生徒の注意を引きつけることが大切である。活動は短時間で終わらせるようにする。

  5. 「聖句を使った話し合いと応用」この部分がレッスンの主要部である。聖文の物語を祈りをもって研究して,効果的に教え,話し合いを展開することができるように準備する。教え方に変化を持たせ,生徒の関心を持続させるために,「話し合いへの参加を促す」と「聖文から教えるための提案」(ページⅶ-ⅷ)の項で提案されている事項を活用する。生徒の年齢と経験にふさわしい質問と教え方を選ぶ。

  6. 「結び」ここには,レッスンをまとめ,生徒がレッスンで学んだ原則を実践するように励ますための提案が記されている。また,教師に証を述べるよう促している。レッスンをまとめる時間を残しておくことに注意する。

  7. 「教えるためのそのほかのアイデア」ほとんどの課にはこの項が設けられている。レッスンの概要を補うことを目的として活用するために,聖文の物語にまつわるそのほかの真理,ほかの教え方,活動,提案などが記されている。これらのアイデアから適切なものを選んでレッスンの中で活用するとよい。

話し合いへの参加を促す

通常のレッスンは講義調にならず,生徒たちが聖文についての話し合いに有意義な参加ができるように配慮する必要がある。生徒は話し合いに参加することによって以下の恵みにあずかることができる。

  1. 聖文について多くのことを学ぶ。

  2. 福音の原則を応用する方法を学ぶ。

  3. 福音に従って生活する決意をさらに強める。

  4. クラスに御霊を招く。

  5. 互いに教え,教化して(教義と聖約88:122)生徒が互いの賜物,知識,経験,証から恵みを受ける。

話し合いを通して生徒がキリストのもとへ近づき,主の弟子として生活するように導く。主題から離れた話し合いはこれらの目的を達成することができない。

深く考えさせる質問をすることは,教師にとって最も効果的な技術の一つである。これは救い主が教えるときに使われた技術である。本書で提案されている質問を研究する際に,御霊の導きを求めてからどの質問を使うかを決める。ほとんどの質問は本書に記されている参照聖句から答えを導き出すことができる。そうでない質問は生徒の経験から答えを導き出すように設定されている。

準備したレッスンをすべて行うことよりも,生徒が聖文を理解して応用することの方が教師にとってはるかに大切である。生徒が意義深い話し合いを展開している場合は,予定しているレッスンを進めることよりも話し合いを続けさせる方がよい場合がしばしばある。

クラスの話し合いを活性化するための指針として以下を参考にする。

  1. 「はい」か「いいえ」の答えを求める質問ではなく,生徒が深く考えて,話し合いに発展するような質問をする。「なぜ」「どのように」「だれが」「何が」「いつ」「どこで」で始まる質問は通常,活発な話し合いを促す効果が高い。

  2. 聖文で採り上げられている原則と教義を生活でどのように応用できるか,経験を分かち合うように生徒を励ます。また,聖文から学んだ事柄について感じていることを分かち合うように励ます。発言した生徒に対しては感謝の気持ちを示すように心がける。

  3. 生徒一人一人が必要としている事柄について十分配慮する。話し合いには生徒全員が参加するよう勧めるが,中には人前で話すことにためらいを見せる生徒もいるかもしれない。教師はそのような生徒と個人的に話し,クラスで声を出して読むことや話し合いに参加することについてどのように感じているかを確かめるとよい。クラスで指名されることに戸惑いを感じていると思われる生徒は指名しないよう配慮する。

  4. 参照聖句を挙げて,生徒が質問の答えを見つけられるようにする。

  5. 生徒に,毎週の読書課題を研究するとき『モルモン書生徒用学習ガイド』に記されている質問について考えるよう勧める。教師はレッスンを準備する際に,それらの質問についてどのように話し合いを展開するかを検討する。生徒が読書課題を研究し,教師も生徒が答える準備をしてきた質問をするのであれば,生徒は話し合いに積極的に参加できるはずである。

聖文から教えるための提案

聖文の物語をより効果的に,また変化を持たせて教えるために,以下の提案を活用する。

  1. 聖文がイエス・キリストについてどのようなことを教えているか生徒が理解するよう助ける。特定の聖句が救い主に対する信仰を強め,救い主に対する愛を感じるうえでどのように助けとなるかを考えさせる。

  2. 生活の中で聖句を応用する方法について生徒に考えさせ,分かち合ってもらう。レッスンで採り上げる聖句に登場する人物を頭の中で自分に置き換えることによって,聖句をなじみやすいものにする。

  3. 教義を教えるほかに,モルモン書に登場する信仰を鼓舞する物語を強調して,生徒が物語を理解したうえで,生活の中でそれらを応用する方法について話し合うように導く。「どうしてこの出来事がモルモン書に記録されたと思いますか」,または「キリストのより忠実な弟子となるために,この物語からどのようなことを学べるでしょうか」といった質問をする。

  4. 聖句に度々登場したり,生徒にとって特別な意味を持ったりする言葉,句,概念を探させる。

  5. 末日聖典合本の『聖句ガイド』を活用するよう勧める。

  6. 聖文の物語に関係のある句,鍵となる言葉,質問を黒板に書き出しておいてから,物語を読むか,概要を述べる。黒板にある句,鍵となる言葉,質問の箇所に来たら,そこで中断して話し合いを展開する。

  7. モルモン書全体を通じて,教えられた原則の概略を紹介する場合には「これによって分かるように」という句が用いられている(例としてヒラマン3:28参照)。聖句について話し合った後に,「これによって分かるように」を使って聖句で述べられている原則を生徒に説明させる。

  8. モルモン書で用いられている象徴を探し,それについて話し合う。例えば,細くて狭い道はしばしば福音を象徴するものとして用いられる(例として2ニーファイ31:17-2033:9ヤコブ6:113ニーファイ14:13-1427:33参照)。

  9. 聖典中の人々や出来事が互いにどのような対称を成しているかに注目する。例えば,レーマンやレムエルを彼らの兄弟であるニーファイやサムと,または新約聖書に記されている山上の垂訓を3ニーファイ12-14章の記述と比較することができる。

  10. 物語中の様々な登場人物が語る言葉を声に出して読むことによって,聖文の物語を劇化する。劇化する場合に聖典にふさわしい敬意を払うように注意する。

  11. クラスを2ないし3の小グループに分ける。聖文の物語を読んでから,その物語で教えられている原則と教えをグループごとに書き出させる。次にそれらの教えを生活の中で応用する方法について発表させる。

  12. レッスンで採り上げる大切な聖句に印を付けるために鉛筆を持参するよう勧める。

  13. 各課の「準備」の項に記されている提案に従って『モルモン書ビデオ・プレゼンテーション』(53911 300)から該当箇所を見せる。

新会員を助ける

あなたは福音の教義クラスの教師として,教会に入って比較的日が浅い会員たちを教える場合がある。あなたが教えることを通し,新会員は信仰を強めることができる。

大管長会は次のように述べている。「教会員はだれでも,愛され,養いを受ける必要があります。特にバプテスマ直後の数か月にそれが必要です。新会員は心からの親しい交わりと奉仕の機会を受け,また神の言葉を学ぶことによって霊的な養いを受けるときに,その改宗を永続的なもとし,『聖徒たちと同じ国籍の者』となり『神の家族』(エペソ2:19)になるのです。」(1997年5月15日付けの大管長会の手紙)

青少年に福音を教える

青少年のクラスを教えているのであれば,彼らは活発に参加する必要とともに,採り上げる教義について視覚的に訴える教材を必要とすることを覚えておく必要がある。手引きで提案されているビデオ,絵,活動を取り入れることによって,生徒をレッスンに引き込むことができる。ほかに,青少年に福音を教えるためのアイデアが必要であれば『教師,その大いなる召し』(36123 300)と『教師ガイドブック』(34595 300)を参照する。