日曜学校―福音の教義
第7課:「彼は,わたしたちのわずらいを身に受け,わたしたちの病を負うた」


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「彼は,わたしたちのわずらいを身に受け,わたしたちの病を負うた」

マルコ1-24:35-415ルカ7:11-17

目的

救い主が奇跡を行われた理由を生徒に理解させる。

準備

  1. 以下の聖句を読み,内容について深く考え,祈る。

    1. マルコ1:14-15,21-45。イエスはガリラヤ全域を旅して,福音を教え,悪魔を追い出し,病人を癒される。イエスはまた,男から汚れた霊を追い出し,シモン・ぺテロのしゅうとめを癒し,らい病人を癒される。

    2. マルコ2:1-12。イエスは中風の者の罪を赦し,その病を癒される。

    3. マルコ4:35-415:1-20ルカ7:11-17。イエスは荒れ狂う海を静め,悪霊の群れを追い出し,ナインに住む未亡人の息子を死から生き返らせられる。

    4. マルコ5:21-43。イエスは長血を患っている女を癒し,ヤイロの娘を死から生き返らせられる。

  2. そのほかの読書課題:マタイ8-9ルカ4:33-445:12-328:22-56アルマ7:11-12モルモン9:7-20モロナイ7:27-29,33-37『聖句ガイド』「奇跡」の項,81。

  3. 「嵐を静める」(『福音の視覚資料』214)と「ヤイロの娘を祝福されるイエス」(『福音の視覚資料』215)の絵を入手できれば,レッスンで使用する。

  4. 教えるための提案:生徒は聖典の教えがなぜ今日,大切なのかを理解する必要がある。レッスンを準備する際に,生徒がそれぞれの生活の中で福音の原則を応用するよう励ますために,教師は何ができるかを祈りの気持ちをもって考える(『教師,その大いなる召し』単元5「18.教師の神聖な使命」「4.わたしたちは,福音の原則を生徒たちの必要としている事柄や環境に適用させなければならない」138;単元5「21.原則を応用させる」145-147参照)。

レッスンの展開

導入

適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。

導入

  • 奇跡とは何でしょうか(神の力または霊的な力によって起こされる超自然的な出来事;『聖句ガイド』「奇跡」の項,81参照)。

  • 救い主が行われた奇跡を目撃できるとしたら,どの奇跡を見たいと思いますか。それはなぜですか(生徒がこの質問に答えられるように,キリストが行われた奇跡を幾つか黒板に書き出すとよい)。

本課では救い主が行われた幾つかの奇跡を採り上げて,救い主がそれらの奇跡を行われた理由を検討することを説明する。

聖句を使った話し合いと応用

以下の聖句について教えるに当たって,それらを日々の生活の中でどのように応用できるかについて話し合う。イエスは現在も引き続きわたしたちの生活の中で奇跡を行っておられることを強調する。適切であれば,生徒が経験した奇跡について話してもらう。(ある奇跡は非常に神聖であるため,分かち合うことがふさわしくない場合があることを確認しておく。そのような経験を分かち合うことがふさわしいかどうかは聖霊の助けによって知ることができる。)

1.イエスはガリラヤ全域を旅して,福音を教え,奇跡を行われる。

マルコ1:14-15,21-45に関連した話し合いを進める。選んだ箇所を何人かの生徒に声を出して読んでもらう。

  • イエスは福音を宣べ伝えるためにガリラヤ全域を旅する間,病人を癒し,悪霊を追い出すなど多くの奇跡を行われました(マルコ1:34,39)。イエスは教導の業に携わっていた間,これらをはじめとする数々の奇跡をなぜ行われたのでしょうか(以下のような答えが考えられる)。

    1. 愛と哀れみを表すため(マルコ5:19参照;3ニーファイ17:6-7も参照)

    2. 信仰を築き,強めるため(マタイ9:27-30参照)

    3. イエスが神の属性と力を持っていることを証明するため(マルコ1:272:10-11を参照)

    生徒の答えを黒板に書き出し,レッスンが終わるまでそのままにしておく。イエスが行われた奇跡について検討する際,それぞれの奇跡によって達成された目的についても話し合う。レッスンで上記以外の目的が明らかになったら,黒板に書き加える。

  • カペナウムで会堂にいた人々はなぜ,イエスの教えと汚れた霊を追い出す力に驚いたのでしょうか(マルコ1:22,27参照)。イエスは何の権能によって教え,奇跡を行われたのでしょうか。(神権の力によって;律法学者にこの力はなかった◦)今日のわたしたちはどうすればこの力と権能にあずかることができるでしょうか。

  • マルコ1:41によると,イエスはどのような理由から,らい病人を癒されたのでしょうか。イエスはただ一人の人を祝福するための奇跡も数多く行われたことを指摘する。これらの出来事には,イエスはわたしたち一人一人に対してどのような気持ちを抱いておられることが表されているでしょうか。イエスはあなたに対してどのような愛と哀れみを示してこられたでしょうか。

  • わたしたちは周囲の人々に対してキリストのような愛と哀れみを示すにはどうすればよいでしょうか。あなたはほかの人々からキリストのような愛と哀れみをどのように受けているでしょうか。

2.イエスは中風の者の罪を赦し,その病を癒される。

マルコ2:1-12を読んで,話し合う。

  • だれの信仰によって中風を患っていた男は癒されたのでしょうか(マルコ2:3,5参照)。これらの人々はどのように信仰を表したでしょうか(マルコ2:1-4参照)。わたしたちはどのようにしてほかの人々のために信仰を使うことができるでしょうか。あなたはほかの人々の信仰によって助けられたことがあるでしょうか。あなたが知っている人でそのような経験をした人がいるでしょうか。

  • イエスが中風の男に彼の罪が赦されたと言われたとき,一部の律法学者はどのように考えたでしょうか(マルコ2:5-7参照)。イエスはこれらの律法学者の言葉に対して,どのようにこたえられたでしょうか(マルコ2:8-11参照)。中風の者が癒されたことが奇跡であったのと同じように,彼の罪が赦されたのも奇跡であったことを指摘する。わたしたちも悔い改めるならば,この奇跡を自分で経験できることを強調する。

  • 救い主の病人の癒しには,さらに偉大な癒しの力が象徴されていますが,それは何でしょうか(イザヤ53:52ニーファイ25:133ニーファイ9:13参照)。イエスの癒しの力によってあなたは霊的にどのような祝福を受けているでしょうか。霊的な癒しを求めるにはどうすればよいでしょうか。

3.イエスは荒れ狂う海を静め,悪霊の群れを追い出し,ナインに住む未亡人の息子を死から生き返らせられる。

マルコ4:35-415:1-20とルカ7:11-17から選んだ箇所を読んで,話し合う。「嵐を静める」の絵を見せる。

  • 救い主が行われた奇跡の物質的な面に,霊的な真理が象徴的に表されていることがしばしばあります。以下の奇跡からどのような霊的な真理を学ぶことができるでしょうか(考えられる答えが括弧内に記されている)。

    1. マルコ4:35-41。イエスは荒れ狂う海を静められた(イエスはわたしたちに平安をもたらすことがおできになる)。

    2. マルコ5:1-20。イエスは悪霊の群れを追い出された(イエスはわたしたちの生活からサタンとサタンの影響力を追い出すことがおできになる)。

    3. ルカ7:11-17。イエスは若者を死から生き返らせられた(イエスの贖いにより,わたしたちは復活によって死からよみがえる)。

    救い主が行われたほかの奇跡を挙げて,それらの奇跡から学ぶことができる霊的な真理について生徒に述べてもらう。

  • これら3つの奇跡について勉強してきたあなたは,ほかに何か理解したことがあるでしょうか。

4.イエスは長血を患っている女を癒し,ヤイロの娘を死から生き返らせられる。

マルコ5:21-43から選んだ箇所を読んで,話し合う。

  • 長血を患っている女はどのようにして自分の信仰を表したでしょうか(マルコ5:25-29参照)。彼女はどのような理由で癒されたのでしょうか(マルコ5:34参照。彼女が癒されたのはイエスの着物に触った行為ではなく,イエスの力を信じる彼女の信仰によるものであったことを強調する)。

  • 「ヤイロの娘を祝福されるイエス」の絵を見せる。ヤイロは救い主に対する信仰をどのようにして表したでしょうか(マルコ5:22-23参照)。娘が死んだ知らせがヤイロのもとに届いたとき,イエスはヤイロの信仰を強めるために何と言われたでしょうか(マルコ5:36参照)。あなたはこれらの言葉を自分の生活にどのように当てはめることができるでしょうか。

  • 奇跡が行われる以前に信仰がなければならないのはなぜだと思いますか(エテル12:12,18モロナイ7:37;さらに以下の引用文参照)。なぜ奇跡だけでは信仰の堅固な基礎を築くことができないのでしょうか。

    ブリガム・ヤングはこのように述べている。「奇跡すなわち神の力の超自然的な現れは,不信者のために与えられるのではなく,聖徒に慰めを与え,神を愛し,畏れ,仕える者たちの信仰を強めて確認するものであって,神の民でない人々のために与えられるものではありません。」(Discourses of Brigham Young『ブリガム・ヤング説教集』ジョン・A・ウイッツォー編,341)

  • イエスが地上におられた間に行われた奇跡はなぜあなたにとって大切なのでしょうか。救い主は現在も奇跡を行っておられることを知るのはなぜ大切でしょうか。現代に行われた奇跡にはどのようなものがあるでしょうか。

結び

救い主は肉体的な病と霊的な病の両方を癒すことがおできになることを証する。救い主がわたしたちのためにしてくださったすべてのことについて感謝の気持ちを表す。差し支えなければ,あなたの生活に祝福をもたらした奇跡について話す。

生徒に,彼らが経験した奇跡について静かに考えさせる。彼らの生活の中で奇跡が起きていることを認め,感謝を表すよう勧める。

教えるためのそのほかのアイデア

以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。この中の幾つかをレッスンに取り入れてもよい。

1.『旧約聖書』の奇跡

ユダヤ人が奇跡を見るのはこれが初めてではなかったことを説明する。ユダヤ人が尊敬する旧約の預言者たちもかつては奇跡を行っていた。以下の例を簡単に復習する。

  1. 預言者エリヤは息が絶えた男の子を生き返らせた(列王上17:17-24)。

  2. 預言者エリシャは少量の食べ物を取って,大勢の人々に与えた(列王下4:42-44)。

  3. 預言者エリシャはらい病を患っていたナアマンを癒した(列王下5:1-19)。

  • これらの預言者は何の力によって奇跡を行ったのでしょうか。(神権,天父とイエス・キリストから与えられた神聖な力)

2.「丈夫な人には医者はいらない。」(マルコ2:17

  • 律法学者とパリサイ人は彼らが罪人と考えていた人々とともにイエスが食事をしておられるのを見て,どのような反応を示したでしょうか(マルコ2:15-16参照)。イエスは彼らに何と言われたでしょうか(マルコ2:17参照)。これはどういう意味でしょうか。わたしたちは皆,どのような意味で「医者」を必要としているでしょうか。