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「7:学ぶ」『主に力を見いだす:レジリエンスを高める』

「7:学ぶ」『主に力を見いだす:レジリエンスを高める』

学ぶ—所要時間:60分以内

1.依存症のレベル

読む:

選択の自由は,天の御父からの神聖な賜物です。サタンはわたしたちの心をかき乱し,正しい選択をするわたしたちの力を制限したいと思っています。サタンがこれを行う一つの方法が,依存症を通してです。人は様々な種類の行動や物質に依存することがあります。これらに限定されるものではありませんが,酒,違法な薬物,ポルノグラフィー,セックス,タバコ,食べ物,テクノロジー,ギャンブルといったものがあります。

視聴する:

“What Is Addiction?”(「依存症とは?」)はsrs.ChurchofJesusChrist.org/videos で視聴可能です〔1分31秒〕。

話し合う:

依存症という言葉をどう定義しますか。

2.依存症は霊的および身体的な苦難である

読む:

依存症的で強迫的な行為は,霊的な苦難であるだけでなく,身体的な苦難でもあります。M・ラッセル・バラード長老は次のように教えました。「研究者によれば,わたしたちの脳には快楽中枢と呼ばれる仕組みがあり〔seeDrugs, Brains, and Behavior—The Science of Addiction (2010), 18, drugabuse.gov/scienceofaddiction/sciofaddiction.pdf〕,快楽中枢はある種の薬物や行動によって活性化されると,意志や判断,論理や道徳を支配する部分の働きを抑えつけてしまいます。そこで人は,正しいと分かっていることを放棄します。」(「おお,悪しき者の狡猾な策謀よ『リアホナ』2010年11月号,108)依存症から霊的に癒されるために必要なことはすべてやっているかもしれませんが,身体,特に脳にはまだ癒しが必要かもしれません。依存症の行動に取り組むことで,脳は変化し,癒されていくのです。

『わたしの福音を宣べ伝えなさい』では,その一例として,新たに改宗した人のチャレンジについて説明していますが,この助言は依存症にかかわるすべての人に当てはまります。「悔い改めるために,情緒と肉体の両面での変化を必要とする場合があります。……バプテスマと確認によって,これらの行為に付随する感情的,肉体的衝動は完全には払拭されないかもしれません。最初の段階で,ある程度の成功を収めたとしても,完全に悔い改めて克服するにはさらなる情緒的な癒しを必要とするかもしれません。」(『わたしの福音を宣べ伝えなさい—伝道活動のガイド』187,188

視聴する:

“ Why Is It so Hard to Quit?”(「やめるのがこれほど難しいのはなぜでしょうか?」)はsrs.ChurchofJesusChrist.org/videosで視聴可能です〔2分01秒〕。

話し合う:

依存症が身体的および情緒的な苦難であることを理解することは,なぜ大切なのでしょうか。

3.自分の役割を果たす

読む:

立ち直るプロセスは困難なものですが,聖文が希望を与えてくれます。「わたしを強くしてくださる方によって,何事でもすることができる。」(ピリピ4:13)主の助けを受けて依存的な行為や習慣から立ち直るうえで役立つ,一般的なアイデアを幾つか挙げます。

  • 助けを求めて祈ってください。あなたはいつでも神に助けを求めることができます。神はそこにいて,あなたの祈りにこたえてくださいます。

  • 希望を見いだしましょう。あなたが自分の役割を果たすとき,救い主はあなたを癒すことがおできになることを知ってください。

  • 正直でいましょう。依存症は,隠しているときに強まりますが,正直であることによって弱まります。

  • 人とつながりましょう。人とのつながりは,依存しているものの代わりとなって,自分のニーズを満たす助けとなります。

  • 計画を立てましょう。何を変える必要があるかについて祈りをもって考え,困難な状況を避け,失敗から学びます。モロナイが民に作らせた,レーマン人に対する何重もの防御策について考えてください(アルマ49章参照)。

  • 報告しましょう。信頼する人に助けを求め,一緒にフォローアップ計画を立てて,定期的に進捗状況を確認します。

  • サポートを得ましょう。一人で行う必要はありません。家族,ビショップ,指導者,友人と話しましょう。

  • 自分が神の子供であることを覚えていましょう。依存症によって自分を定義づけないでください。自分自身やほかの人に対して思いやりを持ちましょう。

  • 諦めないでください。たとえつまずいても,努力は無駄にはなりません。治癒するには時間を要します。自分自身に対して忍耐強くありましょう。

そのほかのアイデアについては,第2章「健全な思考パターン」を参照してください。

読む:

人によっては,回復に向けてより大きなステップを踏む必要があります。これには,医者に助けを求めたり,12のステップから成る依存症立ち直り集会に出席したり,セラピストと一緒に取り組んだり,治療プログラムに取り組んだり,それらを合わせて行うことが含まれます。

視聴する:

“What Is Addiction Recovery?”(「依存症からの立ち直りとは?」)はsrs.ChurchofJesusChrist.org/videosで視聴可能です〔2分08秒〕。

ヒント:

さらに情報が必要であれば,教会が提供するそのほかのリソースを確認してください。

4.依存症に苦しんでいる人をサポートする

読む:

依存的な行為や習慣に苦しむ人たちは,周りの人たちからのサポートや助けが必要です。だれかに助けを求められたら,勇気を持って正直に話してくれたことに感謝し,その人の言葉に注意深く耳を傾けてください。怒り,苦痛,腹立たしい思いなどの感情を抑える助けが得られるよう,祈りましょう。愛していること,そして助けたいと思っていることを相手に伝えてください。教会の指導者や支援できる人たちと一緒に取り組むよう,励ましましょう。

愛している人が助けを必要としているに違いないと感じているけれどまだ打ち明けてもらえない場合には,心配していることを伝えましょう。愛していることを告げ,あなたが抱いている心配と,助けたい気持ちを伝えましょう。助ける申し出を相手が断っても,愛を示し続け,見放さないでください。

愛する人は癒しを得ようと努力する中で,挫折感を味わったり,絶望的な気持ちになったりすることがあります。達成した進歩を認め,まだ希望があり,主がその人を愛してくださっていることを証することによって,励まし,サポートするとよいでしょう。

読む:

あなたは,愛する人がキリストのもとに来て癒されようと努力するのを応援することによってサポートすることができます。場合によっては,あなたの助けがきわめて有益であり,さらには,命を救うものとなる場合があります。しかし,良くない選択をしようとしているのをサポートしたり,罪を犯すように仕向けることのないよう,注意しなくてはなりません。愛する人を常に救おうとするわなに陥ると,その人の立ち直りが妨げられたり,主に立ち返って助けを求めるようになるのが遅れたりする場合があります。一人一人の状況は異なるため,異なる応じ方が必要でしょう。御霊の導きを祈り求め,経験や専門的技術を持つ人に助けを求めることも検討しましょう。

枠組みやルールがあると,依存症と取り組んでいる人たちが立ち直りの過程を進む助けとなります。親や伴侶などの関係者は,境界線を設けてその境界線を明確に伝え,ルールを設け,愛する人が自分の選択について責任を負うようにしてください。結果を経験することで,愛する人は癒されたいという気持ちを強めることができます。これは,愛する人や友人をコントロールするためではなく,その人たちの選択が,あなたの人生や周りにいる他の愛する人の人生に与える負の影響を最小限に抑えるためです。

5.伴侶,家族,友人

読む:

愛する人が強迫的あるいは依存症的な行為に苦しんでいると知ったとき,大きな衝撃を受けることがあります。間違って自分自身を責めたり,怒ったり,希望がないのではないかと心配したりするかもしれません。伴侶や家族や友人も,強迫的または依存的な行為や習慣に囚われている愛する人と同じように,救い主の癒しの力を必要とします。

以下に,依存症に苦しんでいる人の伴侶や家族,友人のための提案を幾つか挙げます。

  1. これは,愛する人の問題であるだけではありません。不公平ではありますが,あなたにも影響を及ぼします。あなたの重荷を主に委ね,あなた自身の癒しを求めてください。

  2. 助けや導きを求めて祈ります。主を求めてください。あなたのことを愛している人たちのそばにいてください。

  3. あなたが依存症を引き起こしたのではありませんし,それをコントロールしたり,直したりすることはできません。これは愛する人の課題なのです。

  4. サポートを得てください。信頼の置ける,安心できる人に相談します。沈黙したまま苦しむ必要はありません。

ヒント:

さらに詳しく知りたい方は,『配偶者と家族の支援ガイド』を参照するか,または配偶者・家族のサポートグループに参加してください(AddictionRecovery.ChurchofJesusChrist.org/spouses-and-families)。

進行役

下の動画のうち,グループで視聴するものを一つ選んでください。

視聴する:

“ What I Know Now: Spouses”(「今なら分かること:伴侶」)はsrs.ChurchofJesusChrist.org/videosで視聴可能です〔3分52秒〕。

または

“What I Know Now: Parents”(「今なら分かること:親」)はsrs.ChurchofJesusChrist.org/videosで視聴可能です〔3分55秒〕。

深く考える:

ビデオから,あなたの助けとなるどのようなことを学びましたか。

6.依存症を予防する

読む:

たいていの依存症は,自分自身や,自分を依存症的な行為に引き込み得るものについてよく理解していれば,予防可能です。依存症のパターンは,多くの人の場合,十代の終わりごろに始まることが多いです。以下の表にある原則は,依存症を予防する助けとなります。

原則

説明

原則

1.教育

説明

どのようなものが依存症につながりやすいかや,依存症が人にどう作用するかについて学びましょう。依存症がどのように体や心や霊に影響を及ぼすかを知ることは,有用な抑止力になります。

原則

2.節度

説明

預言者は,いつの時代も,節度の重要性について教えています。自分の行いに制限を設け,することとしないことを決めておくことで,依存症に陥るのを防ぐことができます。

原則

3.つながり

説明

救い主やほかの人と強いつながりを持っていることは,依存症的な行為を避けるために重要な防御策になります。善良な人々は,あなたが神の愛を感じ,レジリエンスを高めるのを助けてくれます。

原則

4.透明性

説明

あなたの行動について人に正直に伝えることは,うそ,欺き,正当化を含め,しばしば依存症と関連する行為を避ける助けとなります。隠さずにいることで,依存症的な行為が定着しにくくなります。

原則

5.見守り

説明

親は,子供の友人がだれであるか,彼らがどのような活動をしているかを知ること,明確なルールを設けることで,依存症から子供を守ることができます。これらの話題について,子供と定期的に会話をしましょう。

視聴する:

“Adolescent Addiction”(「思春期の依存症」)はsrs.ChurchofJesusChrist.org/videosで視聴可能です〔2分18秒〕。

深く考える:

あなた自身やあなたが心にかけている人について考えてください。これらの原則のうち,この関係に取り入れていきたいと思うものはどれですか。自分の計画をアクションパートナーと分かち合うとよいでしょう。