「2:学ぶ」『主に力を見いだす:レジリエンスを高める』
「2:学ぶ」『主に力を見いだす:レジリエンスを高める』
学ぶ—所要時間:60分以内
1.思考は感情に影響を与える
読む:
思考は重要です。あなたがどのように自分自身について話し,どのように物事を考えるかは,あなたがどのように感じ,どれだけレジリエンスを持つことができるかに影響を与えます。あなたの思考は,あなたがどのようにほかの人とかかわり,あなたの周りの世界をどのように認識するかにおいても,大きな役割を果たしています。聖文は次のように教えています。「彼はその心のうちで思うとおりの者となる。」(欽定訳〔英文〕箴言23:7から和訳)
思考が感情を支配する力がどれほど大きいかを知っているからこそ,救い主も敵対者も,あなたの思考に影響を与えようとします。救い主はわたしたちに,信仰を持ち,疑いや恐れを抱くことなく,「あらゆる思いの中でわたしを仰ぎ見なさい」と言っておられます(教義と聖約6:36)。
視聴する:
“Am I Good Enough?”(「わたしは十分に善良でしょうか」)はsrs.ChurchofJesusChrist.org/videosで入手可能です〔3分28秒〕。
話し合う:
あらゆる思いの中で〔救い主〕を仰ぎ見〔る〕」ことは,自分が十分に善良であることをどのように思い出させてくれるでしょうか。
2.正しくない思考パターンを認識する
読む:
わたしたちは,間違っていることや否定的なことばかりに焦点を当てていることに気づくことでしょう。正しくない思考パターンは,ある状況から生じる最悪の結果を想像するよう,わたしたちを仕向けます。こうした歪んだ思いは,自分自身や他人について良くない感情を抱かせます。否定的な思いはだれもが抱くものですが,時にはそれに囚われて,心の健康が傷つけられていることに気づけないこともあります。よくある正しくない思考パターンのリストを読んでから,リストに続く質問について話し合いましょう。これらの思考パターンのうち,あなたがよく陥ってしまうものを一つか二つ挙げてください。
よくある正しくない思考パターン
|
思考パターン |
説明 |
例 |
|---|---|---|
思考パターン 全か無か | 説明 物事や人を,完全に良い,あるいは完全に悪いものとして見る「常に」や「決して」のような単語が入る言葉を使う | 例 「わたしは常に間違ったことを言う」 |
思考パターン レッテル貼り | 説明 起こった事柄について,大ざっぱあるいは不正確な発言をする | 例 「この交際は終わった。だからわたしは十分に良い人間ではない」 |
思考パターン 結論の飛躍 | 説明 他人の考えを勝手に解釈したり,最悪の結果を想定したりする | 例 「だれもがわたしを笑っているに違いない」 |
思考パターン 個人化 | 説明 実際には多くの要因が絡んでいるにもかかわらず,自分や他人を責める | 例 「彼らは折り返し電話をくれなかった。わたしに対して怒っているに違いない」 |
思考パターン 感情的決めつけ | 説明 自分の感情に基づいて状況を判断する | 例 「罪の意識を感じる。わたしが何か悪いことをしたに違いない」 |
思考パターン 過度の一般化 | 説明 一つの経験をすべての経験に当てはめて一般化する | 例 「この課題ではひどい失敗をしてしまった。クラスにとどまる必要はないだろう」 |
思考パターン 心のフィルター | 説明 ネガティブな細部に注目し,それをくよくよと考え続ける | 例 「今日は何もうまくいかなかったように感じる。失敗ばかりだった」 |
思考パターン マイナス思考(プラスの否定) | 説明 ポジティブな経験を大したことではないと考え,一切認めようとしない | 例 「娘が朝食を食べたからといって,それが何だというのか。娘は,一日中かんしゃくを起こしてばかりだった」 |
思考パターン 拡大解釈,過小解釈 | 説明 自分の弱点を大げさに言ったり,他人の長所と比較したりする | 例 「わたしはめったに家族のために夕食を作らないし,作ったとしても,彼女が作る夕食にはとうていかなわない」 |
思考パターン 「すべき」思考 | 説明 物事がどうあるべきか,どうあってはならないかを自分に言い聞かせる | 例 「あんな風に失敗するべきじゃなかった」 |
話し合う:
わたしたちはなぜ,時としてこのような考え方をしてしまうのでしょうか。
3.トリガー(引き金)への反応
読む:
トリガーとは,わたしたちの思い,感情,行動において自動的な反応を引き起こすきっかけのことです。トリガーには,例えば,あなたが見るもの,考えるもの,感じるもの,経験するものなどがあります。それらのトリガーは,あなたの気分,時間帯,活力の度合い,人間関係,場所,出来事,そのほかの状況によって影響を受けることがあります。あなたの自動的な反応が不適切なものであるならば,より適切な反応の仕方を学べばよいのです。
話し合う:
自分のトリガーを把握していることは,より良い反応をするうえでどのように役立ちますか。
4.より的確な思考パターンを生み出す
読む:
自分の正しくない思考パターンを確認したところで,次のステップは,それらをより的確で,真実に近い思いに変えていくことです。自分の思いに疑問を投げかけ,それが真実であるかどうかを問うことによって,救い主の影響力を招くことができます(ヨハネ8:32参照)自分自身の合理的でない考えに疑問を投げかける際に利用できる質問を,以下に挙げます:
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すべての証拠を考慮して,わたしが抱いている思いは100パーセント正しいだろうか。
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これは救い主がわたしに考えたり感じたりしてほしいと望んでおられることだろうか。
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これは,全か無か,善か悪か,勝ちか負けか,ほんとうかうそか,という類の思考ではないだろうか。
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このように思うことは,わたしを助けているだろうか,それとも傷つけているだろうか。
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わたしはこの思いを持っているときに,どんな気持ちだろうか。
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自分自身やほかの人について知っていることで,この思いは真実ではないと教えてくれるものがあるだろうか。
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もしわたしの親しい友人や尊敬する人がこのような思いを抱いていたなら,わたしは彼らに何と言うだろうか。
話し合う:
この思いは間違っているのではないかと疑問を投げかけ,より正しい考えを生み出すことは,なぜ重要なのでしょうか。
話し合う:
自分の正しくない思考パターンに疑問を投げかけ,より正しい考えと入れ替えることを思い起こすには,どうしたらよいでしょうか。
5.思考を変えるには練習が必要である
読む:
思考を変えるための最後のステップは練習です。これには時間と忍耐が必要です。
正しくない考えはわたしたちを縛り,幸福や成長する力を妨げますが,そうした正しくない考えに疑問を投げかけ,これをより正しい考えと入れ替えることは,「〔わたしたち〕に自由を得させ」ます(ヨハネ 8:32)。より正しい考えを生み出すことによって,わたしたちは自信を増し,自分やほかの人に対して健全な見方ができるようになります。
今週は,章の最後にある「思考管理表」を完成させることによって,健全な思考パターンを練習しましょう。完成した表を家族やアクションパートナーと分かち合うとよいでしょう。