2000–2009
「母の心」
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「母の心」

「母の心」を養い育てることにより,すべての少女と女性が母としての神聖な永遠の役割に備えることができます。

父はよく母のことを「母の心」を持った女性と表現しましたが,わたしもそのとおりだと思います。何百,いえ,恐らく何千という人々が,母親としての影響力を彼女から感じてきました。母は養育者としての役割を芸術の域にまで高めました。母は回復されたイエス・キリストの福音に対する証あかしと,強い主体性,そして目的を持って自らの人生を歩んできました。

晩婚だった彼女は,独身時代,進歩成長するために懸命に努力しました。当時としては珍しく,大学を卒業し,職業に就いてからもさらに上を目指しました。結婚後は次々と子供に恵まれ,短い間に大家族の母親となりました。それまでに得たすべての知識,生まれ持った能力,賜物たまもの,技術を,この世を超えて続く家族のために注ぎました。聖約を守る神の娘として,母は生涯をかけて母親となる備えをしてきたのです。

「母の心」とはどのようなものでしょうか。どうすれば養えるのでしょう。聖文にはその特質が幾つか書かれています。箴言しんげんの言葉を少し言い換えると,次のようになります。「だれが〔母の心を持つ女性〕を見つけることができるか,彼女は宝石よりもすぐれて尊い。その手の働きの実をもって,ぶどう畑をつくり,……手を貧しい者に開き,……力と気品とは彼女の着物である,……彼女は口を開いて知恵を語る,その舌にはいつくしみの教おしえがある。彼女は家の事をよくかえりみ,怠りのかてを食べることをしない。」(箴言31:10,16,20,25-27)

「母の心」を持った女性は回復された福音への証を持ち,福音の原則をはっきりと教えます。聖なる神殿で交わす神聖な聖約を守っています。才能や技能を人々のために惜しみなく使います。状況が許すかぎり教育を受け,学んだことを次の世代に伝える望みをもって精神と霊を向上させようとします。

子供がいるのであれば,「母の心」を持った女性は「善い……親」であり(1ニーファイ1:1),生ける預言者が教える標準のとおりに行動し,教えています。「その子供たちに祈ることと,主の前をまっすぐに歩むことも教え」ています(教義と聖約68:28)。この世の声や部分的でしかない真理に耳を貸すことはありません。福音の標準が永遠不変の真理に基づいていることを知っているからです。「子供を養い育てるという主要な責任」が非常に重大で高貴,そして「神聖な責任」であることを知っています(「家族――世界への宣言」『聖徒の道』1998年10月号,24)。必要な養いを与えることは,物質的にも霊的にも同じように誉れある仕事です。「善を行うことに疲れ果て」ることなく,家族のために仕えることを喜びとします。「小さなことから大いなることが生じる」ことを知っているからです(教義と聖約64:33)。

すべての少女,すべての女性が,この地上で交わす聖約を守り,永遠の母となる可能性が自分の内に秘められている,という証を持てますように。「〔女性〕は皆,天の両親から愛されている霊の……娘です。したがって,皆,……神聖な行く末を受け継いでいます。」(「家族――世界への宣言」)女性は神の霊の娘として「霊の世界において最初の教えを受け,……〔地上に〕出て行〔く〕準備をし」ました(教義と聖約38:56)。「高潔で偉大な者たち」の中にいて(教義と聖約138:55),地球が創造されたとき「喜び呼ばわ」りました(ヨブ38:7)。現世で肉体を与えられ,「試〔され〕」機会にあずかることを知ったからです(アブラハム3:25参照)。

義にかなった男性の傍らにあって,お互い独りではなし得ない永遠の目標を果たすために,ともに働きたいと望みました。女性の役割はこの地上で始まったのではありませんし,ここで終わるのでもありません。地上で母親の役割を尊ぶ女性は,来世でも同じようにします。「〔彼女の〕宝のある所には,心もあるから」です(マタイ6:21)。「母の心」を養い育てることにより,すべての少女と女性が母としての神聖な永遠の役割に備えることができます。「〔彼女が〕この世において得る英知の一切は,復活の時に〔彼女〕とともによみがえる。そこで,もしある人が精励と従順によって,この世でほかの人よりも多くの知識と英知を得るならば,来るべき世でそれだけ有利になる。」(教義と聖約130:18-19)

わたしは,この世では自分の子供を産み育てる機会のない女性たちが真の「母の心」を宿しているのを,自分の経験を通して目にしてきました。彼女たちは「すべてのことは時節にかなって起こる」こと,自分たちが「一つの大いなる業の基を据えつつある」ことを知っています(教義と聖約64:32-33)。彼女たちは聖約を守ることによって,完全で最高の将来を築いているのです。それは「第二の位を守る者は,とこしえに栄光をその頭こうべに付け加えられる」ことを知っているからです(アブラハム3:26)。

最近わたしはある公園で,「母の心」を持った女性たちに会いました。若く,聖約を守る女性たちです。聡明そうめいな彼女たちは,優秀な大学で高い学位を取得していました。現在はそのすばらしい賜物を使って,その日の夕飯の献立を立てたり,家事のアイデアを分かち合ったりしていました。2歳の子供に友達と仲良くするように教え,赤ん坊をあやし,擦りむいたひざにキスをしてやり,涙をふいてあげていました。わたしはその中の一人に尋ねました。自分の才能を母親の務めに喜んで使えるようになったのはどうしてか,と。彼女はこう答えてくれました。「自分が何者か,本来,何をすべきか分かっています。後はおのずとついてきます。」その若い母親は,家族で祈り,聖文を学び,本を読み聞かせ,歌を歌ってやり,夕飯を準備するといった一つ一つの行いによって,次の世代のために信仰と人格を築いていくでしょう。すばらしい業に働いている彼女は,「子供たちは神から賜たまわった嗣業であり……矢の満ちた矢筒を持つ人はさいわいである」ことを知っています(詩篇127:3,5)。また,誠実で義にかない,日々たゆまず続く母親の業は,この世のいかなる地位も人の作った組織もかなわないほど,大きな影響力を持っていることを彼女は知っています。ふさわしければ旧約の女性リベカが受けたのと同じ「ちよろずの人の母とな」る祝福を受ける可能性が自分の内にあることを,はっきりと思い描いています(創世24:60)。

母になる時期が早いか遅いか,この世において「矢の満ちた矢筒」のようにたくさんの子供に恵まれるかどうか,独身か既婚か,あるいは親としての責任を一人で背負っているかどうかにかかわらず,母の心を持った聖約を守る女性は皆,聖なる神殿において「高い所から力を授けられ」ることを知っています(教義と聖約38:32)。エンダウメントを受け,祝福を約束され,「はるかにそれを望み見て喜〔んで〕」います(ヘブル11:13)。

聖約を交わし守るすべての少女と女性は「母の心」を持つことができます。「母の心」を持つ女性が成し遂げられることに制限はありません。義にかなった女性はこれまでも歴史を変えてきましたし,これからもそうする力を持つでしょう。その影響力はますます大きく,永遠に広がり続けるでしょう。主が女性を信頼して母としての神聖な使命を託してくださっていることに心から感謝しています。母なるエバのように,わたしはこれらのことを知って「喜び」を感じています(モーセ5:11参照)。イエス・キリストの御名みなにより,アーメン。