神殿への備え
レッスン5:主は象徴によって教えられる


レッスン5

主は象徴によって教えられる

目的

生徒たちが,神殿で使われる象徴を理解し,その価値を認められるように助ける。

準備

  1. 国旗か,国旗の写真を持参する。

  2. ある中央幹部が,神殿のガーメントについての質問にどのように答えたかを伝える物語を,生徒の一人にかいつまんで話すように依頼しておく。この話は,ボイド・K・パッカー長老著『聖なる神殿に参入する備え』の21,23ページにある。

教師へ-神殿の儀式や聖約は神聖なものであるから,これについて話すことはおもに神殿内に限られている。そのために,クラスでの話し合いは,この手引きにある説明に限定すべきである。

レッスンの提示

開会の祈りをしてもらう。

質問があるかどうか生徒たちに尋ねる。たまの導きに従い,必要なだけの時間を取ってできるかぎりすべての質問に答える。神殿で行われる儀式の中には神殿外で話し合ってはならない事柄もあることに留意する。

象徴は日常生活で大切なものである

わたしたちの日常生活の中では,象徴が絶え間なく使われている。黒板に以下の象徴を描く。ほかに適切な例があれば,それを描いてもよい。それぞれの意味を尋ねる。

画像
symbols

国旗,あるいは国旗の写真を見せ,国旗にはどのような意味があるかを尋ねる。

  • わたしたちは,ほかにどのようなものや行いを通じて愛国心を表すでしょうか(歌,制服,衣装,祭日,祝賀など。)

このようなものは,愛国心を表す象徴であることを指摘する。

  • 愛や尊敬を表す象徴には,どのようなものがあるでしょうか(贈り物や指輪,キスや抱擁,ハート型)

  • 象徴は,だれにも同じメッセージを伝えるものでしょうか。伝えるとしたら,それはなぜですか。伝えないとしたら,なぜですか。

  • わたしたちはなぜ象徴を用いるのでしょうか。

クラスで話し合いをしてもらう。次のような意見がでるかもしれない。

  1. 象徴は,大切なことを覚えておく助けになる。

  2. 象徴は,ほかの方法では学ぶのが難しい抽象的な真理を教えることができる。

  3. 象徴は,感情を表現することができる。

  4. 象徴は,個々の学習段階に応じて異なった原則を教えることができる。

象徴が繰り返し用いられることで,わたしたちの理解が深まることを説明する。

イエス・キリストとその預言者たちは象徴を用いた

救い主が,繰り返し象徴を用いて教えられたことを説明する。

  • 主はどのようなときに象徴を用いて教えられたでしょうか。

迷える羊(マタイ18:12-14参照),かしら種(マタイ13:31-32参照),高価な真珠(マタイ13:45-46参照),などが答えとして挙るかもしれない。

  • 救い主はなぜ象徴を用いて教えられたと思いますか。

話し合いをする。それから,以下の言葉を読む。

「偉大な教師である主は,絶えずたとえを用いて弟子たちを教えられました。少し分かりにくい事柄については,象徴を用いて話されました。主は,日常の生活の中で,だれもが経験する物事を例にとられました。鶏,ひよこ,鳥,花,きつね,樹木,とう,追いはぎ,ゆうぐれ,金持ちと貧乏人……。からし種のことも真珠のことも話されました。主は聴き手によく教えたかったので,象徴という方法を用いて,簡単なことを語られました。神秘的なものも,あいまいなものもありません。すべてが象徴によって語られています。」(『聖なる神殿に参入する備え』10)

預言者や使徒たちは,イエス・キリストやそのあがないの犠牲について教えるのに,度々象徴を用いたことを説明する。イエス・キリストのあがないは,福音と,わたしたちが受けるすべての祝福の基本である。あがないによって救いが可能になる。聖文中の象徴が,ほとんど救い主とその犠牲に関して教えているのはそのためである。

モーセ6:63を読んでもらう。

  • この地上ではどのようなものが救い主をあかししていますか。

アルマ13:16を読む。

  • 神権の儀式は救い主のことをどのように証していますか。

救い主があがないの業を成し遂げられる以前,主の聖約の民は,主のあがないの犠牲の象徴として,動物を犠牲としてささげていた(モーセ5:4-8参照)。この慣習は救い主の死と復活によって終止符を打った。今,主はわたしたちに,「打ち砕かれた心と悔いる霊を,犠牲として〔主〕にささげ」るよう命じておられる(3ニーファイ9:20)。神権の儀式は,救い主のあがないの犠牲を,常に思い起こさせてくれる。ラッセル・M・ネルソン長老は次のように教えている。

「福音に必須の数々の儀式はあがないを象徴しています。水に沈めるバプテスマは,贖い主の死と埋葬と復活を象徴しています。せいさんを取ることにより,バプテスマの制約を新たにし,救い主の引き下がれた体とわたしたちのために流された血を思い起こします。神殿の儀式は,主との和解を象徴し,家族を永遠に結び固めます。」(「あがない」『聖徒の道』1997年1月号,41)

霊的に敏感であれば,象徴は真理を教えてくれる

救い主が地上におられたときに弟子たちが,なぜたとえを使って教えられるのかを主に尋ねたことを説明する。たとえというのは,大切な真理を教える物語のことで,多くの場合象徴的な言葉で語られる。マタイ13:10-12を読んで,救い主が何と言われたかを生徒に読み取ってもらう。

  • こう言われたとき,救い主は何を言おうとされたと思いますか。

主は,理解するために必要な霊的な備えのある人々に,真理を明らかにされることを説明する。信仰を持ち,従順な心で真理を受ける人々には,続けてさらに多くの真理が与えられる。霊的な備えがなくて真理を受けることができない人々や,疑いの心で受ける人々は,すでに持っている真理をも徐々に失う。

象徴で語られる物語は,霊的な備えのある人々に象徴の意味が理解できるように,真理を提示する。備えのない人々には,意味を理解することができない。

救い主がこの地上におられた時代の人々の中には,たとえのメッセージを理解できた人々もいたが,多くは理解できなかった。これは今も同じである。義にかなった教会員の中にも,霊的な理解力には様々なレベルがある。

2ニーファイ28:30教義と聖約42:49-50を読んでもらう。

  • 神から真理を学ぶ方法について,この二つの聖句は何を教えているでしょうか。

霊的に進歩することによって,わたしたち全員が,福音,聖文,そして特に神殿で用いられる象徴の意味を理解できるレベルにまで到達できることを説明する。

神殿では,最も神聖な,象徴に満ちた教えを受ける

この地上で最も神聖な象徴に満ちた教えは,神殿で受けることを説明する。神殿の教えと儀式を通して,わたしたちは象徴的な意味で永遠の命を受けるための旅に出る。この旅は,神のもとに入る象徴で終わる。登場する人物,物理的な環境,着る衣服,与えられるしるしなど,神殿で執り行われることすべてが象徴的である。これらの象徴を理解するときに,わたしたち一人一人が真理を認識し,霊的に成長する助けになる。

象徴の中には,直接的でその意味がすぐに理解できるものもある。神殿そのものが象徴である。

「夜,全景を照明で彩られた神殿を見たことのある方はお分かりでしょうが,何と心を打つ光景でしょう。光を浴びてやみの中にそびえ立つ主の家は,霊のくらやみに深く沈んでいくこの世に立てられたイエス・キリストの福音の力と霊感の象徴です。」(『聖なる神殿に参入する備え』10)

神殿衣もまた象徴である。わたしたちは神殿に参入するとき,普段の服を脱いで,白い神殿衣に着替える。神殿衣は,清さの象徴である。ジェームス・E・ファウスト管長は次のように語っている。

「神殿における礼拝の基本は,『神は人をかたよりみない』という原則です〔使徒10:34〕。聖なる神殿の中では,役職や富,地位,人種,学歴などで区別されることはありません。皆が白い服をきます。皆が同じ教えを受け,同じ聖約と約束をかわし,求められるふさわしさを保てば,皆が同じ天からの永遠の祝福にあずかるのです。創造主のまえにあってすべての人が平等です。」(「永遠,わたしたちの行く末」『聖徒の道』1997年7月号,23)

神殿の儀式を受け,神と聖約を交わす会員は,生涯,特別な服(下着)を着続ける。以下の引用を読む。

「ガーメントは,神聖な聖約を受けたしるしです。また,ガーメントを着るものに慎みを教え,盾となり守りとなります。……体を覆うガーメントは,視覚と触覚によって,わたしたちが交わした聖約を思い起こさせてくれます。またそのほか様々な状況にあってガーメントは神の律法と,その中にある道徳的標準に対するわたしたちの深いけいの念を象徴しています。」(『聖なる神殿に参入する備え』20,23)

割り当ててあった生徒に,ある中央幹部が教会員でない従軍聖職者に神殿のガーメントの目的をどう説明したかを,かいつまんで話してもらう『聖なる神殿に参入する備え』21,23参照)。

神殿の儀式は,ほとんどすべてが象徴であることを説明する。そのために,神殿でのエンダウメントの象徴性を理解できるように参入者はできるだけ霊的な感受性を高められるように備える必要がある。

  • 神殿で霊的な感受性を弱めるものに,何が考えられるでしょうか。

生徒たちは次のような答えを挙げるかもしれない。

  1. ふさわしさに欠ける場合。心から悔い改めずに,謙遜けんそんと祈りをもって神殿参入に備えなかった人にとって,象徴は生きたものにならず,その意味も隠されてしまう。

  2. 信仰に欠ける場合。イエス・キリストと神殿の儀式を信じない人は,神殿でのエンダウメントを理解するのに必要な聖霊からの霊感を受けることができないかもしれない。

  3. 儀式の外面的な進行に気を取られすぎて,象徴が持つ力強い教えを見逃してしまう場合。

  • 神殿でたまを受けやすくなるためにいはどのような準備ができるでしょうか。

まとめ

初めて神殿に参入する人は,多くの新しい事柄を学び,主のたまの力を感じることができる。この点を指摘する。生徒たちに,神殿での経験に向けて霊的に備えるように勧める。また,1回の参入だけでは,示されるすべてのものは理解できないことを指摘する。できるだけ頻繁に神殿に参入しなければならない。継続的に学ぶことによって霊的な感覚を新たにしていくためである。

閉会の祈りをしてもらう。