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第12課:わたしたちの時代に加えられた聖文


第12課

わたしたちの時代に加えられた聖文

はじめに

主は今も,聖霊を通じて主の御言葉と御心を主の僕に明らかにすることによって,わたしたちに神聖な教えを与えてくださいます。神は引き続き現代の預言者に語られることから,正典も開かれたままです。聖書のジョセフ・スミス訳,およびアブラハム書といったわたしたちの時代に加えられた聖文は,福音に対するわたしたちの理解を裏づけ,明確化し,拡大してくれます。

背景となる読み物

教えるための提案

末日の聖典

生徒に,友人から「なぜモルモンは聖書以外の聖典を持っているの?聖書には神の完全な御言葉が載っていると思ったのだけど」と誠実な態度で質問された場合を想像してもらいます。このような質問をされたことがある生徒に手を挙げてもらいます。この質問にどう答えたか,および他の人に聖典について証したときにどのように感じたかを数人の生徒に話してもらいます。

ホワイトボードに正典と書きます。十二使徒定員会のジェフリー・R・ホランド長老とダリン・H・オークス長老による次の声明を掲示して,それを二人の生徒に順番に声に出して読んでもらいます。生徒たちには,これらの声明の文脈における正典という言葉の意味を聞き取ってもらいます。

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ジェフリー・R・ホランド長老の画像

「クリスチャンの中には,ほとんどの場合は聖書に対する純粋な愛から,聖書以外に認められた聖典は存在し得ないと主張する人々がいます。他の宗派に属する友人たちは,啓示を集めた正典は完結したとして,末日聖徒イエス・キリスト教会の会員がモルモン書,教義と聖約,高価な真珠を大切にしていること,また神の油注がれた預言者と使徒が今も導きを受けているというわたしたちの聖なる証に心を閉ざしています。」(ジェフリー・R・ホランド「わたしの言葉〔は〕……決して絶えることがない」『リアホナ』2008年5月,91)

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ダリン・H・オークス長老の画像

「大多数のクリスチャンは,キリストの死から間もなく,聖文として使われていた啓示を集めた権威ある正典を神が閉じてしまわれたと信じ,そのときからそれに匹敵する啓示は存在しなくなったと信じています。しかしジョセフ・スミスは,正典は完結しておらず,開かれたままであると教え,それを身をもって示しました(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』195を参照)。 ……

……ジョセフ・スミスは,神が既存の正典に新たに付け加えることによって子供たちをお導きになると教えました。モルモン書はその一つです。教義と聖約と高価な真珠に記された啓示も同様です。」(ダリン・H・オークス「わたしたちの教会の基本的教義」『リアホナ』2011年1月,26)

  • 「正典」とはどういう意味ですか。(「正式に認められ,権威あるものとみなされた神聖な書物。末日聖徒イエス・キリスト教会では,正典は標準聖典と呼ばれ,この中には『旧新約聖書』『モルモン書』『教義と聖約』『高価な真珠』が含まれる」〔『聖句ガイド』,「正典」scriptures.lds.org〕。)

  • 末日聖徒が開かれた正典を信じているというのはどういう意味でしょうか。(生徒たちは異なる表現を使うと思われるが,神の権威ある御言葉は,聖書だけに含まれているのではない信仰箇条1:9を参照〕という真理を生徒が理解できるようにします。)

  • 主が今も末日の預言者に対して聖文を明らかにされ続けておられると信じることは,どのような違いを生みますか。

教義と聖約42:5645:60-6276:15-1993:5394:10

聖書のジョセフ・スミス訳

ホワイトボードに次の真理を書きます。

預言者ジョセフ・スミスを通じて,主はわたしたちの真理についての知識を裏づけ,明確化し,拡大する追加の聖文を明らかにしてくださった。

一人の生徒に,教義と聖約第35章の前書きを声に出して読んでもらいます。他の生徒には一緒に黙読してもらい,この章に記載されている啓示を受けたとき,預言者ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンが何をしていたかを探してもらいます。

  • この啓示を受けたとき,預言者ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは何に取り組んでいましたか。

聖書のジョセフ・スミス訳が何かについて説明するため,一人の生徒に次の2段落を声に出して読んでもらいます。

1830年の夏頃,主は預言者ジョセフ・スミスに聖書を翻訳するよう命じられました。ジョセフ・スミスは,聖書をある言語から他の言語へ翻訳したのではなく,翻訳元となる元の聖書原稿も持っていませんでした。その代わり,ジョセフは欽定訳聖書の節を読み,研究した後,聖霊から受ける霊感に従って聖書への修正と書き加えを行いました。したがって,この翻訳は従来の翻訳というよりも,むしろ霊感を受けた改訂版です。

ジョセフ・スミス訳は,欽定訳聖書の少なくとも3,000節を対象とするに及びました。これらの訳の違いには,(意味や文脈を明確にする,またはモーセ書など預言者の記述を回復するための)追加,削除,節の並べ替え,特定の章の完全な再編が含まれます。ジョセフ・スミス訳についての詳しい情報については,Bible Dictionary,または『聖句ガイド』の「ジョセフ・スミス訳(JS)」を参照する。

ホワイトボードに以下の表を書き写します。

教義と聖約45:60-62

教義と聖約42:56,脚注1

教義と聖約76:15-19

教義と聖約93:53

教義と聖約3576778691の前書き

教義と聖約94:10

生徒たちを二つのグループに分けます。各グループに,聖書のジョセフ・スミス訳についての情報を探しながら,どちらかの欄にある資料を調べてもらいます。十分な時間を取った後,学んだことを分かち合ってもらいます。その後,次の質問をします。

  • この翻訳作業は,ジョセフ・スミスの霊的な教育と福音の真理の回復においてどのような影響があったと思いますか。

生徒がジョセフ・スミスの聖書の翻訳による教会への影響の真価を理解することができるように,「年代順に見た目次」(教義と聖約の最初に記載されている)を開き,預言者はおもに1830年6月から1833年7月の間に翻訳作業を行ったことを説明します。その後,次の質問をします。

  • 1830年6月から1833年7月の間,何章分の教義と聖約が与えられましたか。(預言者は,この時代の教義と聖約の一部となる74の啓示を受けた。)

また,高価な真珠に掲載されているモーセ書およびジョセフ・スミス—マタイもジョセフ・スミスによる聖書の翻訳の一部であり,この時期に与えられたことを指摘してもよいでしょう。モーセ書は,創世記の最初の8章のジョセフ・スミス訳です。ジョセフ・スミスは,エノクについての節を訳したとき,聖書の内容がどれだけ失われているかに気がつきました。欽定訳聖書には,エノクについて109語が収録されているが,モーセ書には5240語が収録されています(訳注:語数は英語版の単語数)。

  • この時期に与えられた啓示の数の多さは,福音の回復でジョセフ・スミス訳が担った役割について何を示唆していると思いますか。

  • この時期に与えられた教義と聖約の章を見ると,この時期に明らかにされた重要な教義には何がありますか。(この時期に明らかにされた重要な教義の例は,第29章第42章第45章第76章第88章,および第93章に記録されている。)

以下を掲示し,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。

「聖書の翻訳は,預言者自身の霊的な教育において,また福音の真理の回復が展開されていく中で重要な役割を果たした。旧約および新約聖書を改訂しながら,ジョセフは聖句の意味を明らかにする啓示や,聖句についてさらに詳しく解説する啓示をしばしば受けた。こうして預言者は主から多くの教義を授けられた。その中には現在教義と聖約第74章第76章第77章第86章第91章に載っている教えや,教義と聖約の他の多くの章の一部となっている教義が含まれる。」(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』,208

主が教義と聖約のほとんどの部分をジョセフ・スミスによる聖書の翻訳の直接的な結果として明らかにされたことを証してください。また,ジョセフ・スミス訳の一部が欽定訳聖書の1979年LDSバージョンに追加され,これらの重要な啓示が教会員の生活を祝福するために活用しやすくなったことを説明してもよいでしょう。

アブラハム書

生徒たちに,アブラハム書の前書きをざっと読んでもらいます。アブラハム書の内容についてクラスと簡単に話し合います。次に,1835年の夏に,マイケル・チャンドラーという名前の人物がエジプトのミイラ4体と古代エジプト文字が書かれたパピルスの巻物をオハイオ州カートランドに持ち込んだことについて説明します。ミイラとパピルスの巻物は,教会員によって買い取られました。具体的な翻訳方法は分かっていないが,預言者ジョセフ・スミスはエジプトのパピルスを入手してから数か月間,記述の一部を翻訳しました。1842年の3月初旬,アブラハム書の一部がTimes and Seasons(タイムズ・アンド・シーズンズ)と呼ばれる教会の新聞で公開されました。アブラハム書は,その後『高価な真珠』で公開されました。

アブラハム書の由来に関し,次の概要について話します。生徒には,翻訳プロセスについて知っていることを聞き取るようにしてもらいます。

アブラハム書の信憑性に対する一般的な反論は,原稿(パピルス)がイエス・キリスト生誕の約2000年前に生きたアブラハムによって記述されるには新しすぎるというものです。ジョセフ・スミスは,パピルスがアブラハム自身によって書かれたものであること,またはパピルスがアブラハムの時代からのものであることについては一切主張しませんでした。「古代の記録は写しとして,あるいは写しの写しとして伝えられました。モルモン書の預言者であり歴史家であるモルモンとモロナイがそれ以前の民の書き物を書き直したように,アブラハムの記録は,後年の筆者たちによって編集された可能性があります。」(「アブラハム書の翻訳と史実性」福音のテーマ,https://www.lds.org/topics?lang=jpn

翻訳中,預言者ジョセフ・スミスは,その後破損されたパピルスの部分の作業を行っていた場合もあることから,「現在あるのはジョセフが所有していたパピルスのほんの一部にすぎないため,彼の翻訳の能力を評価しようとすることはおそらく無益」です(「アブラハム書の翻訳と史実性」)。また,ジョセフ・スミスによるこれらの記述の慎重な調査が,「以前聖書を研究していたときにモーセの生涯について啓示を受けたように,パピルスを研究することで,アブラハムの生涯における重要な出来事と教えについて啓示」を受けるためにジョセフを導いた可能性もあります(「アブラハム書の翻訳と史実性」)。ジョセフ・スミスがどのようにアブラハム書を翻訳したかははっきりと分かっていないが,翻訳が神の賜物と力によって行われたことは分かっています。

  • 預言者ジョセフ・スミスによって使用できるようになった追加の聖文が,どのように神の計画と神の子供たちについてのわたしたちの理解に貢献しているかについての例を幾つか挙げてください。

生徒たちが教義的に重要なアブラハム書を研究するとき,聖霊がその重要性と真偽を証明してくださることを証してもよいでしょう。

教義と聖約1:3868:3-5

継続する啓示は生ける預言者を通じて与えられる

一人の生徒に教義と聖約1:38を,別の生徒に教義と聖約68:4を声に出して読んでもらいます。これらの聖句から何を学んだか生徒に尋ねます。(生徒たちは,主の僕が聖霊の力で語るとき,彼らの言葉は主の御心を伝えるという原則を見いだすでしょう。)

  • 主が今も引き続き啓示を豊かに与えてくださることについて,感謝の気持ちを感じた経験はありますか。

教会では,末日の預言者に対する特定の啓示は,同意の律法によって正典化される(聖文として受け入れられる)ことを説明します(教義と聖約26:1-2参照)。教会の会員は,啓示を聖文に加えることについて,預言者と使徒を支持するように求められます。例えば,1978年10月の総大会で,教会の会員は全てのふさわしい男性会員に神権を付与した公式の宣言二を正典として使用することにおいて,預言者と使徒を支持しました。

生徒に,正典が閉じられており,神から追加の聖文を受けることはできないと考える人に何を言えばよいかを近くに座っている人と話し合ってもらいます。

わたしたちの時代でも天が開いており,主は引き続き主の御言葉を明らかにされることについての証を強くするには何ができるかを熟考するように生徒に伝え,クラスを終えます。

生徒用資料