総大会
その喜びはいかに大きいことか
2023年10月総大会


その喜びはいかに大きいことか

皆さんのノウハウとともに,長い年月の間なされてきた数多くの証を携えて伝道に出るようお招きします。

愛する兄弟姉妹,今日わたしはイスラエルの集合について思いめぐらしています。イスラエルの集合は,「今日地上で行われていることの中で最も重要な事柄です。規模において,重要性において,また偉大さにおいて,ほかに類を見ません。」1

この集合は「人の価値が神の目に大いなるものであること」2を示す最たる例です。それほどシンプルなことなのです。わたしたちがこの末日に神の子供たちを集めているのは,「彼らの頭に大きな祝福が注がれ」3,彼らが「永遠の富」4の約束を得られるようにするためです。さらに,イスラエルを集めるには,現在よりもずっと多くの宣教師が必要である,と続きます。5今日,わたしは宣教師として奉仕できるであろう,多くの経験豊かな教会のシニアの方々に話しています。主は皆さんを必要としておられます。ニューヨークやシカゴ,オーストラリアやアフリカ,タイやメキシコ,そしてそのほかそこかしこで必要なのです。

2015年に皆さんをお連れしましょう。わたしはそのとき,新しく召された十二使徒定員会会員でした。使徒が任されるすばらしい責任の一つとして,宣教師をその任地に割り当てることがあります。わたしは七十人としてその作業に参加しましたが,6使徒となった今,その割り当ての重要さを感じます。まず大勢の若い長老や姉妹たちを祈りの気持ちで,一人ずつ世界中の伝道部に配置していきました。それからシニア夫婦宣教師に移りました。リストには10組いました。あまり多くありません。驚いたわたしは,宣教師管理部の同僚に,「リクエストにこたえるには今週何人必要ですか」と尋ねると,

「300人です」と返ってきました。

厳しい現実を突きつけられたそのときのことを,今でも覚えています。10組の夫婦で300人分のリクエストにこたえるのです。

ラッセル・M・ネルソン大管長は,「夫婦でひざまずいて,今,伝道に出るのにふさわしい時期かどうかを天の御父に尋ねる」よう,夫婦の皆さんに勧めてきました。7あらゆる条件の中で,「奉仕したいという望みが,最も大切〔です〕」8と言っています。

聖典にあるように,「あなたがたは神に仕えたいと望むならば,その業に召されている」9のです。その業とは,収穫の律法のことです。ヨハネによる福音書には,「まく者も刈る者も,共々に喜ぶためである」10とあります。

この収穫の律法が自分の家族で成就したのを見たことがあります。

何年か前,家族を訪問したときに,ビショップから聖餐会の最後に話すよう依頼がありました。11そして壇上から降りていると,ある女性が7人の子供とともにやって来て,レベッカ・グズマン姉妹であると名乗り,

「ラズバンド長老,ルーロンとベルダ・ラズバンドを御存じですか」と尋ねてきました。

わたしは満面の笑みで,「わたしの両親です」と答えました。

その後どうなったかを想像できるでしょう。このカンファレンスセンターに家族と参加しているレベッカの許可のもと,彼女の家族の話を分かち合いたいと思います。12

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ベルダ・ラズバンド姉妹とルーロン・ラズバンド長老

わたしの両親であるルーロン・ラズバンド長老とベルダ・ラズバンド姉妹は,フロリダ州フォートローダーデール伝道部でシニア宣教師として奉仕していました。13二人は伝道をしていたある日,神の導きにより,レベッカの家のドアをノックしました。レベッカはまだ10代で,オズモンズ,特に今日ここにいるわたしの友人,ドニーの音楽を聴くのが好きでした。14彼女は,オズモンズのインタビューを以前聞いており,彼らが末日聖徒イエス・キリスト教会の会員であることを知りました。レベッカは,彼らから何か特別なものを感じ,それが宗教に関係しているかもしれないと思って,2年間,学校の図書室でこの教会の信仰について調べました。ですから,優しそうな夫婦が自宅のドアをノックし,末日聖徒の宣教師であることを伝えたとき,びっくりしたのです。

レベッカは後にこう書いています。「母は,彼らを追い払うように言いました。でも,わたしの心は違っていました。彼らの顔を見ると,とても温かみと愛を感じました。そのときの思い出は,今でも涙をそそり,心に深く感じるものがあります。」15

レベッカは二人を招き入れ,わたしの両親は,レベッカ,彼女の二人の妹,そして反対していたそのお母さんにもメッセージを分かち合いました。

レベッカはわたしにこう説明してくれました。「長老のご両親はお二人とも,わたしたちのどんな質問にもすばらしい説明をしてくれました。今でも,まるで光に覆われたようなお二人の顔が浮かびます。帰り際,わたしたちはいつも長老のお母様を抱きしめました。お母様はいつもわたしの母を尊重し,母が安心できるように努めてくださいました。長老のお父様は,イエス・キリストについて教えるとき,いつも目が輝いていました。そして父もレッスンに参加できるように努め,そのうち引き入れるのに成功したのです。わたしの父は地元のカントリークラブでシェフをしており,長老のご両親にも振る舞うようになりました。お父様の好物,キーライムパイも作っていました。」16

ラズバンド長老姉妹が,レベッカとその家族にモルモン書を読むように伝えた際,レベッカは5日で読み終わりました。彼女はすぐにでもパブテスマを受けたかったのですが,家族はまだ準備ができていませんでした。4か月後,レベッカはバプテスマを受けて真の教会に入りたいと強く言いました。「わたしは全身全霊で,真実であることを知っていたのです」17と彼女は振り返ります。1979年4月5日,宣教師は19歳のレベッカと彼女の母親,二人の妹にパブテスマを施しました。わたしの父はそのとき証人を務めました。

教会でレベッカとその子供たちに会ったとき,わたしはレベッカの家族と一緒に写真を撮りました。わたしはそれを持ち帰って年取った母に見せると,母はそれを胸に抱き寄せて,「ロニー,これはわたしの人生で最も幸せな日の一つよ」と言いました。

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グズマン家,ラズバンド家,オズモンド家

わたしの母の言葉は,シニアの皆さんへこう問いかけるものです。「皆さんは人生のこの段階で何をしているでしょうか?」ほかの人にはなし得ない多くの事柄もシニア宣教師にはできるのです。皆さんは教会で経験を培い,神の子供たちを励まし,救うために準備が整った,卓越した善なる力なのです。

一部の方はこう考えるでしょう。「でも孫たちはどうするのか。家族のイベントや誕生日も逃し,友達やペットにも会えなくなる」と。もし母に,なぜ両親が伝道に出たのか聞けば,きっとこう答えたでしょう。「わたしには孫がいるわ。孫たちに,わたしとあなたのお父さんが伝道して,子孫のために模範を示したことを知ってほしいの。そして祝福されたわ,ほんとうに祝福された。」

わたしは世界中の伝道部を訪問して,大勢のシニア宣教師たちの優れた奉仕を目にしてきました。彼らが「主の思いに従って」「主の業務」18を喜んで行っているのは明らかです。

一部の皆さんにとって,願わくば何千人もの皆さんにとって,世界のまったく別の場所で専任宣教師の務めに就くことこそが皆さんの然るべき居場所です。19そのほかの方たちには,自宅にいて教会奉仕の伝道をすることが望ましいかもしれません。健康上の問題やそのほかの事情により,奉仕できない方もいるかもしれません。そのような状況は理解できます。奉仕している方たちを皆さんがサポートする方法を見つけていただければと願っています。預言者の勧告に従い,そして主があなたに望まれていることが分かるように祈ってください。

世界中の伝道部があなたの助けを懇願しています。ネルソン大管長は,シニア宣教師のことを次のように言い表しました。「彼らの霊は若々しく,賢明で働く意欲にあふれています。」20

伝道地に行けば,多種多様の機会が待ち受けています。伝道本部や神殿で奉仕もできれば,若い宣教師を強めたり,小さな支部を鼓舞させたり,ファミリーサーチセンターや教会史跡で奉仕したり,人道支援をしたり,若い人々と一緒に働いたり,雇用センターや教会の農場を助けたりすることもできます。奉仕の具体的な種類やどれが自分に適しているか,どこで必要とされているか,そのための準備については,“Senior Missionary”(「シニア宣教師」)21のウェブサイトに掲載されています。ビショップや支部会長に話すこともできます。

わたしは多くの夫婦を伝道に召し,彼らの面影がキリストの光で満たされていくのを見てきました。22彼らは帰還すると,主とお互いとの距離が近くなり,主の御霊が降り注がれるのを感じ,良い影響をもたらしていることが分かる,と語っています。23そのようなことを望まない人はいるでしょうか?

伝道は,夫婦の人生の中で最もすばらしい章となり得るでしょう。良さそうな題名は,「主は召したまわん」24でしょうか。未知の領域となるでしょうが,御霊の力により自らの居場所があることを感じることでしょう。

帰還したわたしの両親,そして何万もの夫婦宣教師が伝道を通して見いだした喜びについて証を述べています。主は末日の聖文で述べられました。「あなたがたはこの民に悔い改めを叫ぶことに生涯力を尽くし,一人でもわたしのもとに導くならば,わたしの父の王国で彼とともに受けるあなたがたの喜びはいかに大きいことか。」25

イザヤは,伝道地の「畑」で仕えることの意味を詩的な表現で表しました。聖文では,「畑は世界である」と教えています。26この古代の偉大な預言者は次のように書きました。「あなたがたは喜びをもって出てきて,安らかに導かれて行く。山と丘とはあなたの前に声を放って喜び歌い,野にある木はみな手を打つ。」27山や丘や野や木は,伝道部会長やビショップ,地方部の指導者,会員,そして真理を求めていながら「見いだす場所を知らない」人々になぞらえることができます。28彼らは,シニア宣教師が,救い主,贖い主であられるイエス・キリストについての証で風景そのものを一変させてくれた,と証するでしょう。

主イエス・キリストの使徒として,イスラエルの集合のために皆さんが宣教師として奉仕するように,さらには再度奉仕するよう,お願いします。わたしたちは皆さんを必要としています。皆さんが必要なのです。シニアの皆さん,これまで歩んできた人生と,家庭やワード,ステークでの模範に感謝しています。皆さんのノウハウとともに,長い年月の間なされてきた数多くの証を携えて伝道に出るようお招きします。次回シニアの夫婦を割り当てるためにわたしが席に着くときは,何百人もの皆さんがその召しを心待ちにしていることを祈ります。

また皆さんが奉仕するとき,皆さんの生活の中で主の愛を感じ,皆さんは主を知り,主も皆さんをお知りになり,「〔その〕喜びはいかに大きいこと」でしょうか。29皆さんのイエス・キリストに対する献身的な奉仕は,家族,孫たち,そしてひ孫たちにも啓発と祝福を与えます。この先何年も彼らの生活に「平安と愛とが……豊かに加わ〔るでしょう〕。」30約束します。イエス・キリストの御名により,アーメン。

  1. ラッセル・M・ネルソン「シオンのつわもの」(青少年対象のワールドワイド・ディボーショナル,2018年6月3日)『リアホナ』2018年9月別冊号

  2. 教義と聖約18:10

  3. 3ニーファイ10:18

  4. 教義と聖約78:18

  5. 教会では世界中において,南北アメリカからヨーロッパ,アフリカ,アジア,オーストラリア・オセアニアまで,414の伝道部に7万1,000人の宣教師がいます。シニア教会奉仕宣教師の人数は3万4,000人。(2023年9月付け,宣教師管理部データ。)

  6. ロナルド・A・ラズバンド「宣教師の神聖な召し『リアホナ』2010年5月号参照

  7. ラッセル・M・ネルソン「 シニア宣教師が輝く瞬間『リアホナ』2016年4月号,11

  8. ラッセル・M・ネルソン「夫婦宣教師と福音『リアホナ』2004年11月号,81

  9. 教義と聖約4:3

  10. ヨハネ4:36

  11. 2006年4月,アメリカ合衆国ニューヨーク州で,孫娘のブルックリンのバプテスマと孫娘エラの祝福のために集っていました。

  12. ロナルド・A・ラズバンド長老宛のレベッカ・グズマンからの手紙,2009年9月8日

  13. わたしの両親は,1979年にフロリダ州フォートローダーデール伝道部で奉仕しました。

  14. オズモンド家は,ポップソング界で名の知れたアメリカの音楽グループ。1970年代半ば,グループはその名声の頂点に達し,テレビのバラエティーショーなどに出演しました。ドニーとマリーはテレビや俳優業を続け,そのほかの兄弟たちは何十年もの間,ミズーリ州ブランソンでカントリーアーティストとして活躍しました。

  15. レベッカ・グズマンからの手紙,2009年9月8日

  16. レベッカ・グズマンからの手紙,2009年9月8日

  17. レベッカ・グズマンからの手紙,2009年9月8日

  18. 教義と聖約64:29

  19. シニア宣教師の機会には様々な形があります。夫婦もしくはシニアの姉妹は,希望を出すこともできれば,フルタイムや教会奉仕の割り当てを受けることもできます。最終的には,教会の預言者が専任宣教師の召しを発行します。ステーク会長は教会奉仕の割り当てを発行します。奉仕は6か月から23か月の期間があり,シニア宣教師は若い宣教師よりも融通が利き,そこまで負担が伴う伝道活動ではありません。seniormissionary.ChurchofJesusChrist.org参照

  20. ラッセル・M・ネルソン「夫婦宣教師と福音『リアホナ』2004年11月号,79

  21. seniormissionary.ChurchofJesusChrist.org参照

  22. アルマ5:14参照。「面影」とは,個人の霊的な姿勢や心の状態を反映するとも言えるでしょう。

  23. ユダ1:22モーサヤ4:20参照

  24. 「み旨のまま行かん」『賛美歌』 172番参照

  25. 教義と聖約18:15

  26. 主は次のように説明されました。「畑は世界である。……収穫とは世の終わりのこと……である。」(マタイ13:38-39

  27. イザヤ55:12

  28. 教義と聖約123:12

  29. 教義と聖約18:15

  30. ユダ1:2