「モーセ7章」『聖文ヘルプ:旧約聖書』
聖文ヘルプ
モーセ7章
エノクは引き続き悔い改めを説きます。主は御自分の民を敵から守られました。エノクは義の原則の上にシオンの町を設立しました。エノクは、当時から福千年までの地球の歴史についての示現を見ました。彼はサタンの影響を見て、神が御自分の子供たちの苦しみのために涙を流されるのを見ました。エノクはまた、救い主の来臨、最終的な福音の回復、イスラエルの集合、シオンの町の地上への帰還を予見しました。エノクとエノクの町は変貌しました。
リソース
注:末日聖徒イエス・キリスト教会が発信したものではない情報源が引用されている場合、その情報源や著者が教会によって承認されている、あるいは教会の公式見解を表していることを意味するものではありません。
背景と文脈
カナンの子供たちと彼らののろいについて分かっていることは何ですか
洪水の前に暮らしていたカナンの民については、ほとんど知られていません。カインと名前が似ているにもかかわらず、カナンの民が彼と血縁関係にあることを示唆する聖典からの証拠はありません。また、彼らがエノクの曾祖父にちなんで名付けられた「カイナンの地」の義にかなった人々とつながっているという証拠もありません。また、ノアの孫のカナンや、旧約聖書で頻繁に言及されている、後からやって来たカナン人とも異なります。
エノクは、カナンの子供たちがシュムの民を滅ぼしたと思われるため、不毛の、実を結ばない地によってのろわれることを預言しました。そして記録には、「カナンのすべての子らのうえに暗黒が及んだ」ので、「彼らはすべての民の中でさげすまれた」と記載されています。この節の「暗黒」が何を意味するのかは分かっていません。「暗黒」は肌の色が黒いことを指していると考える人もいますが、この解釈を正当化する文章はありません。
その地に巨人がいるとは、どのような意味ですか
巨人については、エノクの記録とノアの記録の両方に登場します。どちらの記録も、巨人が神とその預言者の敵であったことを示しています。巨人という言葉は一般的に身長が高い人を指しますが、創世6:4で「巨人」と翻訳されたヘブライ語のnephilimは、「堕落した人」を意味することもあります。この人々の身長が高かったかどうかは定かではなく、この単語は単に彼らの霊的に堕落した状態を表していたのかもしれません。
シオンとは何ですか
末日の啓示は、シオンを「心の清い者」と定義しています。シオンはまた、心が清い者の住む場所を指すこともあります。エノクの町は「シオン」や「聖なる町」と呼ばれました。主はエノクとその民とともに住まわれました。それは、彼らが一つになり、義にかなっており、貧しい人の世話をしたからです。最終的に、エノクのシオンの町は天に取り上げられ、そこで「神が御自身の懐にそれを迎え入れられ」ました。
シオンに関するほかの聖句では、シオンは古代のエルサレムの都であり、ミズーリ州ジャクソン郡に築かれる末日の新エルサレムであるとされています。今日、末日聖徒はどこに住んでいようとシオンを築くように勧告されています。救い主の福音を宣べ伝え、エノクとその民が模範を示した団結、信心深さ、慈愛の原則に従って生活することによって、シオンを築くことができます。預言者ジョセフ・スミスは次のように教えています。「わたしたちはシオンを築き上げることを最大の目標としなければなりません。」
シオンの町が「天に取り上げられた」とはどういう意味ですか
エノクと神に従う義にかなった人々は身を変えられた、すなわち死を経験することなく天に取り上げられたのです。身を変えられた人とは、「復活して不死不滅となるまで、痛みや死を味わうことがないように体の状態を変えられた人」です。身を変えられた人でも、復活した状態に変えられるときには死を経験しますが、この変化は一瞬のうちに起こります。
「City of Zion Translated」デル・パーソン画
「カインの子孫は肌が黒〔い〕」とはどういう意味だろうか
モーセ7:8でカナンの民に及んだ「暗黒」の描写と同様に、22節の「黒」という言葉の意味は不明瞭です。モーセ書の前半にあるカインの子孫に関する記述には、「彼らの業は闇の中にあ〔り〕」、「神の戒めを守らなかった」ために、神が彼らを教え導かなかったと述べられています。
カインがサタンと汚れた契約を結び、弟のアベルを殺した後、主はカインにのろいを宣告されました。カインののろいは、地が彼のために実を結ばず、放浪者のようにさまよい、神の前から引き離されてしまうというものでした。主はまた、ほかの人々がカインに報復しようとするのを防ぐために、カインに詳細不明のしるしをつけられました。
聖文には、カインのしるしが子孫に受け継がれたことを示す記述はありません。カインにつけられたしるしの性質や見た目について憶測したり、のろいがカイン以外のだれかにも当てはまると推測したりするべきではありません。
「創世4:7-15;モーセ5:23-40カインにつけられたのろいとしるしについて分かっていることは何ですか」も参照してください。
悪人が行く獄とはどのようなものだろうか
神は、御自分に従うことを拒み、間もなく洪水で滅びてしまう御自分の子供たちを見て、涙を流されました。主は彼らのために用意された獄について話されましたが、これは死後の霊の獄を指していました。神はエノクに、イエス・キリストの贖罪を通して、霊の獄にいる人々に悔い改める機会が与えられると教えられました。
教義と聖約138章に記録されている啓示の中で、ジョセフ・F・スミス大管長は、洪水で滅んだ霊を含め、獄にいる霊たちはパラダイスから来た義の霊によってイエス・キリストの福音を教えられ、身代わりに福音の儀式を受けてもらう機会を与えられたことを知りました。スミス大管長は次のように証しています。「悔い改める死者は、神の宮の儀式に従うことによって贖われるであろう。彼らは自分の背きの代価を支払い、洗われて清くなった後、その行いに応じて報いを受けるであろう。彼らは救いを受け継ぐ者だからである。」
「小羊は世の初めからほふられている」とは、どのような意味だろうか
イエス・キリストを「世の初めからほふられ〔た小羊〕」と述べたエノクの表現によって、救い主の贖いの犠牲が「無限にして永遠」の特質を持つことをはっきりと思い出すことができます。前世の大会議で、エホバは世の罪に対する贖いの犠牲をささげるために選ばれました。ハロルド・B・リー大管長は次のように教えています。「神の御子は……様々な世界を創造し、それを治める力を持っておられました。救い主は使命を果たして、世の基が据えられる前にほふられた小羊となり、すべての人々に救いをもたらすために、独り子として地上に来られました。救い主は御自身の命をささげることにより、復活への道を開き、またわたしたちが永遠の命を得るために従うべき道を教えられたのです。これはつまり、御父と御子の御前に戻るということです。それこそが、偉大さに満ちたイエスでした。」
モルモン書の中で、ベニヤミン王は、救い主が地上での教導の業を行われる前に生きていた自分の民に、「あたかもキリストが自分たちの中にすでに来ておられるかのように自分たちの罪の赦しを受け、また非常に大きな喜びを味わうため」に「キリストが来られると信じる」よう教えました。救い主の贖いの犠牲は無限にして永遠であるため、救い主が地上で教え導かれる以前に生きていた人々も、主の贖いの力によって祝福を受けることができました。
ジョセフ・スミス訳を読むことで、神がエノクおよびノアと交わされた聖約に対する理解はどのように深まるだろうか
創世記に記されている洪水の話は、神が地上に洪水をもたらすことは二度とないとノアに約束されたことを説明しています。創世9:12-17で、主はノアに、虹はその聖約のしるし、または思い起こさせるものであると教えられました。
預言者ジョセフ・スミスによる聖書の霊感訳には、創世記に記録されていないこの聖約のさらなる詳細について記載されています。モーセ7章から、神が最初にエノクとこの聖約を交わされたことが分かります。さらに、創世9章のジョセフ・スミス訳では、末日にエノクとその民が地上に戻ることも主の聖約の一部であったことが説明されています。
虹のしるしは、この聖約のもう一つの側面を考えるときに、意味のある象徴をもたらしてくれます。例えばある学者は、虹の軌跡は、シオンが地上から天に取り上げられることと、将来シオンが地上に降って来ることを思い起こさせると示唆しました。虹はまた、エノクの町が地上の神の聖徒と再会するときに起こる天と地のつながりを思い起こさせてくれます。
この聖句のイエス・キリストの称号から、救い主についてどのようなことが分かるだろうか
イエス・キリストはメシヤであり、わたしたちの救い主となるよう初めから選ばれた「油注がれた者」であられます。シオンの王として、イエスは福千年の千年間、シオンの義にかなった聖徒たちを治められます。イエスは「天の岩」であり、わたしたちが人生を築き、永遠の命を得ることができる堅固な土台です。イエス・キリストは、わたしたちが御父のみもとに帰るための唯一の道です。永遠の命に至る道に入るために主が備えてくださった門は、「悔い改めと水によるバプテスマ」です。
「Christ’s Image」ハインリッヒ・ホフマン画
エノクは終わりの時について何を見せられただろうか
エノクの示現の終わりに、主は、終わりの時はひどい悪事と艱難の時代になると説明されました。主は次のことも約束されました。「〔だ〕が、わたしは自分の民を守ろう。」主は62節で、終わりの時に御自分の民を守られる重要な方法を説明されました。
「わたしは天から義を下そう。また、地から真理を出〔そう〕」
この預言について、エズラ・タフト・ベンソン大管長は次のように教えています。「わたしたちはその預言がこの世代に驚くべき形で成就するのを見てきました。モルモン書は地から出てきました。真理に満ちたモルモン書は、『わたしたちの宗教のかなめ石』としての役割を果たしています(モルモン書序文参照)。神はまた、天から義を下されました。御父御自身がその御子とともに預言者ジョセフ・スミスに御姿を現されたのです。天使モロナイ、バプテスマのヨハネ、ペテロ、ヤコブ、そのほか多くの天使たちが天から指示を受けて、王国に必要な力を回復しました。さらに預言者ジョセフ・スミスは、教会の成長に非常に大切な初期の時代にあって、次から次へと啓示を受けたのでした。これらの啓示は、わたしたちのために教義と聖約の中に保存されています。」
「地の四方からわたしの選民を集めよう」
主は、真理と義が「洪水のごとくに地を満たし、地の四方からわたしの選民を集め〔る〕」と約束されました。
イスラエルの集合、すなわち神の選民について、ラッセル・M・ネルソン大管長は次のように教えています。「今は確かに末日であり、主はイスラエルの集合という主の業を速めておられます。この集合は、今日地上で行われていることの中で最も重要な事柄です。規模において、重要性において、また偉大さにおいて、ほかに類を見ません。皆さんが自ら選び、望むならば、大きな役割を果たすことができます。重要で、崇高で、偉大な御業において、重大な役割を果たせるのです。
集合について話すとき、わたしたちは次の基本的な真理について述べています。すなわち、幕の両側にいるすべての天の御父の子供たちは、回復されたイエス・キリストの福音のメッセージを聞くに値します。彼らはさらに知りたいかどうかを自分で判断するのです。……
主が預言者ジョセフ・スミスに告げられたように、今、すなわちわたしたちの時代は11時であり、地の四方から選民を集めるという明確な目的のために、働き人を主のぶどう園に呼び入れる最後の時です。」
「シオン、新エルサレム」
主は、終わりの時に「シオン、新エルサレムと呼ばれる〔聖なる都〕」を築くと約束されました。末日の啓示から、この聖なる都がアメリカ大陸に築かれ、失われたイスラエルの部族が集合する場所となることが分かります。
聖文では、新エルサレムを「平和の地、避け所の都、いと高き神の聖徒のための安全の地」と説明しています。すべての国から人々がそこに集まります。主はエノクに、シオンの町は地上に戻って、救い主の再臨と福千年の統治の前に新エルサレムの人々と合流すると教えられました。
さらに学ぶ
シオンを確立する
神の愛
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ジェフリー・R・ホランド「偉大な神の性質」『リアホナ』2003年11月号、70-73
終わりの時の業
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D・トッド・クリストファーソン「主の再臨に備える」『リアホナ』2019年5月号、81-84
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ラッセル・M・ネルソン「教会の将来—救い主の再臨に世を備える」『リアホナ』2020年4月号、12-17
メディア
画像
イラスト/ベン・サイモンセン
「版を受け取るジョセフ」ゲーリー・E・スミス画