「聖文に注釈を付ける:印を付け,メモを書き足して,聖典をリンクすることによって学習を改善する」『旧約聖書 セミナリー教師用手引き』(2026年)
「聖文に注釈を付ける:印を付け,メモを書き足して,聖典をリンクすることによって学習を改善する」『旧約聖書 セミナリー教師用手引き』
聖文研究の技術:第168課
聖文に注釈を付ける
印を付け,メモを書き足して,聖典をリンクすることによって学習を改善する
個人で聖文研究を行うと,天の御父やイエス・キリストとの関係を深めるのに役立つます。聖文に注釈を付ける(印を付ける,メモを追加する,リンクする)と,研究している言葉にもっと注意が払えるようになり,結果的に天の御父とイエス・キリストをより身近に感じることができます。この課で生徒は,天の御父とイエス・キリストをより近くに感じられるような方法で,自分の聖典に注釈を付ける方法を学びます。
生徒の準備:生徒に,家族やワード,支部の何人かの人に,聖文に印を付けて役立ったと思ったことを尋ねてもらいます。生徒に,学んだことを発表できるようにしてクラスに来てもらいます。
学習活動案
聖典へのアクセス
レッスンのはじめに,以下のような旧約聖書の時代の若い男性の画像を表示するか,絵を描くとよいでしょう。この人は,紀元前600年に10代であったヤコブという名のイスラエル人であることを生徒に伝えます。生徒に,自分がヤコブにインタビューしているところを想像してもらいます。ヤコブは次の質問にどのように答えるか,二人一組か少人数のグループで,生徒に話し合ってもらいましょう。
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あなたの時代には,聖典はどのように作られていますか。
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聖文から学ぶために,あなたは何をしなければなりませんか。
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聖文とのやり取りはどのようなものでしょうか。
生徒に助けが必要な場合は,紀元前600年当時,聖文は金属板や木の板に刻まれているか,場合によっては羊皮紙に書かれていたことを伝えるとよいでしょう。ヤコブは恐らく,聖文のあるところまで旅をして,だれかに読んでもらわなければならなかったでしょう。また,人々が覚えていることを話すのを聴いていたかもしれません。
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もしヤコブがあなたにインタビューをしたら,あなたはこれらの質問にどう答えますか。
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彼はあなたの答えについてどう思うでしょうか。
聖文に触れる特別な機会について生徒が考えるのを助けるために,次の文を紹介しましょう。
十二使徒定員会のD・トッド・クリストファーソン長老は,次のように教えています。
「聖書に加え,モルモン書,教義と聖約,高価な真珠など900ページにも上る聖文を与えられていることがどれほど大きな祝福か考えてください。それに加えて,このような状況で,聖霊に動かされて預言者が語る,主が聖典と呼ばれている言葉が,ほぼ絶え間なく流れ込んでくることを考えてください(教義&と聖約68:2-4参照)。歴史が始まって以来,これほど多くの聖文恵まれている民はいないと思います。それだけでなく,すべての男性,女性,そして子供が,このような神聖な言葉を,ほとんどの場合は自分の国の言葉で,個人用に所有し,研究することができるのです。このような事柄は,過去の神権時代に生きた人々にとってどれほどすばらしいことと映るでしょうか。また主が,この祝福を与えることによって,わたしたちが常に聖文を用いる必要性が以前のどの時代と比べても高いと語っておられることも確かです。」(「聖文の祝福」『リアホナ』2010年5月号,35)
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クリストファーソン長老の言葉で印象に残ったものはどれですか。
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自分の聖典を持つことには,どのような利点があるでしょうか。
自分の聖典を見せるとよいでしょう。(もしあれば,あなたが最初に揃えた聖典を持ってくるとよいでしょう。)生活の中で自分用の聖典を持つことがあなたにとってどのような意味を持つか,生徒に話して聴かせるとよいでしょう。
個人の聖典を持つことの祝福の一つは,それに注釈を付ける(印を付ける,メモを書き込む,聖句をリンクする)ことができることだと生徒に伝えます。
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自分の聖典に注釈を付けることで,どのようなメリットがあるでしょうか。
生徒に,注釈を付ける技術を使って,今日自分の聖典をより有効に活用する方法を見つけてもらいます。
注釈を付ける3つの技術をすべて教える時間はないかもしれません。生徒にとって最も祝福になると思うものを一つ以上選んでください。複数のスキルを教える場合は,各スキルの「定義する」と「見本を示す」の部分を最初に教えてから,生徒に同時にスキルを「実践」してもらうとよいでしょう。
スキルを紹介する前に,モーセ7:18(またはあなたが選んだ別の聖句)の全文をホワイトボードに掲示するか書くかして,この課のあいだに様々な方法で印を付けられるようにしておくとよいでしょう。
スキル:聖文に印を付ける
定義する
聖文に印を付けることは,重要だったり,意義深いと感じたりする言葉や語句,聖句を強調する方法です。これを行うと,その節が教えていることを覚えておくのに役立ちます。聖文に印を付けると,読んでいる内容により注意を払う助けにもなり,それによって思いと心が開かれ,イエス・キリストとその教え,そして主の僕の言葉に対する理解が深まります。
見本を示す
何人かの生徒にホワイトボードのところに来てもらい,モーセ7:18を使って,ホワイトボードに書かれている様々な方法の印の付け方を実演してもらうとよいでしょう。
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聖文に印を付ける方法にはどのようなものがありますか。
例えば,聖句をハイライト表示する,語句に下線を引く,単語を丸で囲むなどが考えられます。
リストにまだ挙げていない聖文に印を付けるそのほかの方法を生徒に尋ねてもよいでしょう。
1:56デジタル版の聖典の場合は,ハイライト機能や下線機能を使って,自分の聖典に様々な色で印を付ける方法を生徒に示すとよいでしょう。これらの機能により,生徒が注釈を個人に最適化する方法の幅が広がります。これについて助けが必要な場合は,「福音ライブラリー」アプリの右上隅にある3つの点をクリックし,「ヘルプ」をクリックしてください。そこに「聖句を強調する」というタイトルのビデオがあります。
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あなたが自分の聖典に印を付けようとする理由は何ですか。
実践する
生徒が練習するのを助ける一つの方法は,「聖文に注釈を付ける練習をする」という資料を各生徒に配ることです。生徒が紙の聖典を使用している場合は,配付資料を使用する代わりに,詩篇116:1-9が掲載されている聖典の1ページをコピーして,生徒が練習できるようにするとよいでしょう。これらのいずれかの方法で活動を行うことで,生徒は印を付ける様々な方法を試すことができ,自分の聖典にどのように印を付けたいか,または付けたくないかを知ることができます。生徒には,配付資料の最初の4節(詩篇116:1-4)を読んで,いずれかの方法で印を付けてもらい,後の5節(詩篇116:5-9)には別の方法で印を付けてもらいましょう。生徒が電子版の聖典を使用している場合は,福音ライブラリーにある同じ聖句に様々な方法で印を付けて読むことができます。練習後に付けた印を削除したい場合は,デジタル版の印を削除する方法を教えるとよいでしょう。
スキル:メモを取る
定義する
注釈を付けるもう一つの方法は,メモを取ることです。
十二使徒定員会のデビッド・A・ベドナー長老は,メモの取り方とメモを取る理由について次のように教えています。
「聖文を研究するとき,学んだことや考えたこと,感じたことを書き留めるのは深く考える方法の一つであり,継続して教えが授けられるように聖霊を招く強力な方法となります。」(デビッド・A・べドナー「御言葉が目の前にあるので」『リアホナ』2006年4月号,20)
見本を示す
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聖文研究の一環として,学んだこと,考えたこと,感じたことを書き留める方法には,どのようなものがあるでしょうか。
聖典の余白や学習帳,電子メモに書くことができることを生徒が理解できるように助けます。
ホワイトボードの聖句を使って,聖典の余白にメモを書く方法を実演します。自分の聖典や学習帳を使ってメモを取る見本を示すとよいでしょう。また,福音ライブラリーのメモ機能を使って,電子メモを取る方法を紹介してもよいでしょう(「ヘルプ」セクションの「自分の考えを記録する」参照)。
実践する
先ほど配付資料を使っていた場合は,生徒に詩篇116篇で印を付けた箇所を選んでもらいます。次に,研究しながら学んだことや考えたこと,感じたことを余白に書いてもらいます。生徒が電子版の聖典を使用している場合は,同じ聖句の印の一つにメモを追加してもらうとよいでしょう。
時間が許せば,書いたことをクラスまたは少人数のグループで発表してもらうとよいでしょう。
スキル:聖句をリンクする
定義する
聖文にはほかの聖句の理解や裏付けを加えることができるので,それらの聖句を相互参照したり,リンクしたりすると役立ちます。これを行う一つの方法は,ある聖句を別の聖句の余白に書くことです。福音ライブラリーの「リンク」機能を使うこともできます。
見本を示す
ホワイトボードに書かれた聖句を参照します。生徒に,次の聖句を相互参照聖句として読んでもらいます。別の節を選んでホワイトボードに書いていた場合は,それにリンクさせるのに適した節を見つけてください。
教義と聖約97:21を読み,この節がモーセ7:18とどのように関連しているかを見つけてください。
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この二つの節をリンクすると,なぜ役に立つのでしょうか。
ホワイトボードの聖句の隣に, 教義と聖約97:21を,聖典の余白に書くように書きます。電子版の聖典の場合は,「福音ライブラリー」の「リンク」機能を使って聖句をリンクする方法を生徒に示します(「ヘルプ」セクションの「関連コンテンツをリンクする」参照)。
実践する
生徒に,もう一度配付資料を見てもらいます。この練習では,生徒を少人数のグループに分け,紙に印を付けたことに関連するほかの聖句を考えてもらうとよいでしょう。生徒が例を見つけたら,それをグループで分かち合い,一緒に読むとよいでしょう。その後,生徒は紙の余白に相互参照を追加したり,電子版の聖典のリンク機能を使ってリンクを追加したりすることができます。
まとめ
これらの注釈を付けるスキルを練習して学んだことを,有志の生徒何人かに発表してもらうとよいでしょう。次の2つのような質問をすることもできます。生徒が答えてくれたことに感謝を示します。
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聖文に注釈を付けておいたことで,個人で学習する際にイエス・キリストに近づくのにどのように役立ちましたか。
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今日あなたが得た洞察やスキルで,聖文にもっと有意義に取り組むのに役立つものは何ですか。
自分の聖典に注釈を付けたことが自分の生活にどのような祝福をもたらしてきたかについて,あなたの証を分かち合うとよいでしょう。聖典に注釈を付ける練習を通して,天の御父とイエス・キリストをより近くに感じるよう生徒を招きます。
生徒に,注釈を付けるスキルをどれほどうまく活用しているかを考えてもらい,学んだスキルを一つ選んで個人の聖文研究で試してもらいます。