「聖文の中でイエス・キリストに焦点を当てる:救い主の象徴と特質を探す」『旧約聖書 セミナリー教師用手引き』(2026年)
「聖文の中でイエス・キリストに焦点を当てる:救い主の象徴と特質を探す」『旧約聖書 セミナリー教師用手引き』
聖文研究の技術:第166課
聖文の中でイエス・キリストに焦点を当てる
救い主の象徴と特質を探す
聖文の主要な目的の一つは,わたしたちが天の御父とイエス・キリストについて学べるようにすることです。イエス・キリストについて学ぶことは,天の御父についても学ぶ重要な方法です。御二方について学べば学ぶほど,御二方に対する信仰が深まります。この課は,聖文を研究するときに,生徒が救い主に焦点を当てられるようにすることを目的としています。
生徒の準備:個人や家庭での聖文研究を行っているときに,天の御父とイエス・キリストについてどのような洞察が得られるかを見つけるよう生徒を招きます。見つけたことを発表する準備をしてきてもらいます。
学習活動案
聖文の目的
ホワイトボードに的の絵を描きます。
一人か二人の生徒に,的をめがけて柔らかい物を投げてもらいます。生徒に試し投げをしてもらった後,的の絵を消します。もしできるなら,一人の生徒に,もうそこにない的をめがけて物を投げてもらってもよいでしょう。(この場合は,おそらく当てるべき場所がわからなくなるでしょう。)的がないときはその活動についてどう感じるかを生徒に尋ねましょう。
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活動に目標や目的があるとよいのはなぜでしょうか。
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聖文研究の目標,あるいは目的は何ですか。
生徒からは様々な意見が出るでしょう。もしよければ,的を描き直し,聖文研究の目的についての生徒の答えを,的の中か隣に書くとよいでしょう。
聖文の目的を理解すると,聖文研究に役立つことを説明します。
十二使徒定員会のD・トッド・クリストファーソン長老の以下の言葉を読み,聖文の主要な目的を見つけてください。
「結局のところ,すべての聖文の第一の目的は,わたしたちの心を父なる神と御子イエス・キリストへの信仰で満たすことなのです。すなわち,御二方が存在しておられるという信仰,わたしたちの不死不滅と永遠の命をもたらす御父の計画への信仰,この幸福の計画を実現可能にするイエス・キリストの贖罪と復活への信仰,イエス・キリストの福音をわたしたちの生き方とする信仰,『唯一まことの神と,〔その神が〕遣わされたイエス・キリスト』を知るという(ヨハネ17:3)信仰でわたしたちの心を満たすことなのです。」(「聖文の祝福」『リアホナ』2010年5月号,34)
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聖文の目的を,あなたならどのように要約しますか。
ホワイトボードに次の真理を書きます:聖文の第一の目的は,天の御父とイエス・キリストへの信仰を築くことです。この真理から的の中心に向かって矢印を描きます。
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この目的が分かると,わたしたちの聖文研究の方法にどのような影響を与えるでしょうか。
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天の御父とイエス・キリストに対する信仰を築く努力を続けることが大切なのはなぜでしょうか。
聖文を研究するとき,自分が何に焦点を当てているかを深く考えてください。聖文を研究するとき,自分は天の御父とイエス・キリストに対する信仰を築くことにどれほどうまく焦点を当てられていると思いますか。
この課で聖文研究の技術を学ぶ際に,そうした技術を使って,どのように天の御父とイエス・キリストへの信仰を築けばよいか分かるよう,聖霊の助けを求めてください。
この課では,生徒が救い主に焦点を当てる助けとなる二つの聖文研究スキルについて話し合います。天の御父とイエス・キリストは完全に一致しておられるので,救い主について学べば,同じ特質が御父にも当てはまることを説明するとよいかもしれません(ヨハネ6:38;10:30;14:7-9参照)。この課のスキルは,イエス・キリストに焦点を当てるのに役立ちます。キリストに焦点を当てると,天の御父について学ぶのにも役立ちます。
それぞれのスキルについて,そのスキルを定義し,実演して,生徒に練習してもらいましょう。
スキル:救い主の象徴を探し,その意味を深く考える
定義する
聖文には,至る所に救い主の象徴が記されています。救い主の象徴とは,わたしたちの生活における救い主の役割を思い起こさせてくれる物です。このスキルについては,以下のことを行ってください。
以下の手順をホワイトボードに書くとよいでしょう。
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救い主を思い起こさせる象徴を探してください。
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次の質問について考えてください。
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救い主はどのような点でこの象徴に似ておられるでしょうか。
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救い主をこの象徴にたとえると,救い主があなたの人生でどのように助けてくださるかを理解するのに,どのように役立ちますか。
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見本を示す
クラス全体で行って,このスキルの見本を示しましょう。これを行うと,そのスキルがどのようなもので,どのように利用するかを生徒が理解するのに役立ちます。
預言者エレミヤを通し,主は力強い象徴を用いて,わたしたちに御自身のことを教えられました。エレミヤ2:13;17:13を読んで,救い主の象徴を探してください。
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救い主はどのような点でこの象徴(生ける水の源)に似ておられるでしょうか。
生徒がなかなか答えられない場合は,以下の幾つかを質問するとよいでしょう。
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水にはどのような使い道があるでしょうか。(渇きを癒すため,わたしたちが生きるため,清めるため,活力を得るため)。これらの使い道を踏まえて,救い主はどのように水に似ておられるでしょうか。
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救い主はどのような点で水のように不可欠なのでしょうか。水と同じくらい高頻度でわたしたちには主が必要なのはなぜでしょうか。
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なぜ主は御自身を池やそのほかの水源ではなく,水の源(泉)にたとえられたのでしょうか。
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救い主をこの象徴にたとえると,主があなたの人生でどのように助けてくださるかを理解するのにどのように役立ちますか。
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練習する
それが役に立つと思う場合は,このスキルを生徒各自または少人数のグループで練習する機会を設けてください。以下の聖句から一つ,生徒に選んでもらってもかまいませんし,教師のあなたが選んで提示してもかまいません。
以下の聖文のいずれか一つを読んでください。救い主の象徴を見つけ,ホワイトボードに書かれた二つの質問について考えてください。
イザヤ25:4(注:あなたという語は主を指しています。)
何人かの生徒に,分かったことを発表してもらいます。答えてくれた生徒に感謝し,その努力を褒める方法を見つけてください。生徒が答えられなくても,大丈夫だと言って安心させてください。これらのスキルには練習が必要です。
スキル:救い主の行動と言葉から救い主について学べることを探す
定義する
聖文を研究するとき,聖文の中から救い主の行動や言葉を探すことでも,救い主に焦点を当てることができます。そうすると,救い主の行動と言葉から救い主について何を学ぶことができるかや,主について学んだことがわたしたちの生活にどのように役立つかについて深く考えることができます。
以下の手順をホワイトボードに書いて,生徒に従ってもらうとよいでしょう。
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救い主の言葉と行いを見つけてください。
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次の質問について考えてください。
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これらの言葉や行動は救い主についてどのようなことを教えているでしょうか。
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これらの言葉や行動は,救い主があなたの人生でどのように助けてくださるかを理解するのに,どのように役立ちますか。
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見本を示す
わたしたちは,シャデラク,メシャク,アベデネゴの話を研究することで,救い主について学ぶことができます。この3人の義人は,ネブカデネザル王が造った金の像を拝むことを拒んだために,火の燃える盛る炉の中に投げ込まれました(ダニエル3:13-22参照)。
時には注意深く読んで,特に主が言われたことや行われたことを探す必要があることを生徒に説明するとよいでしょう。以下の節はその一例です。
ダニエル3:23-25を読み,これらの節で救い主がなさったことを見つけてください。
「火のかまどに入れられたシャデラク,メシャク,アベデネゴ」の絵を見せるとよいでしょう。
必要に応じて,救い主か,救い主が遣わされた天の使者のどちらかが,シャデラク,メシャク,アベデネゴとともに炉の中に立っていたことを説明するとよいでしょう。
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この行動から救い主について何が分かるでしょうか。
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この行動は,救い主があなたの人生でどのように助けてくださるかを理解するのに,どのように役立ちますか。
この経験から,主は試練のときにわたしたちを支えてくださることが分かります(アルマ36:3,27;教義と聖約3:8;24:8も参照)。
練習する
このスキルを練習するために,次の聖句のいずれかを読み,主の言葉や行動を探して,その後,このスキルに付随する二つの質問を自分に問いかけてください。
出エジプト14:21-22,30。イスラエルの子らは,エジプト軍と紅海に挟まれて捕らえられました。
サムエル上16:6-7。サムエルはイスラエルの次の王を見つけようとしていました。
イザヤ1:16-18。イスラエルの民は罪に陥っていました。
イザヤ53:3-5。救い主の贖罪の預言。
何人かの生徒に,分かったことを発表してもらいます。役に立つようであれば,「救い主のこの特質が分かると,救い主への信仰を働かせるのに役立ちますか」と質問してください。
まとめ
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これらのスキルは,あなたの聖文研究にどのように役立つでしょうか。
最後に,救い主とこれらのスキルについてのあなた自身の考えを分かち合います。生徒に,これらのスキルを聖文研究で実践する方法を探してもらいます。例えば,天の御父とイエス・キリストについて学んでいることを学習帳に書くとよいでしょう。