教会歴史
第8章:神権の祝福はすべての人に——神権との切り離せないつながり


第8章

神権の祝福はすべての人に

神権との切り離せないつながり

預言者ジョセフ・スミスによって,神の神権が完全な状態で地上に回復されました。神権は神の永遠の力と権能であり,神は神権によって御自分の子供たちを祝福し,あがない,高く上げて,「人の不死不滅と永遠の命」をもたらされます。1

天の御父のふさわしい息子は神権の職に聖任され,特定の義務と責任を課せられます。神の子供たちを世話し,人々が儀式を受け,聖約を交わして尊ぶよう助けるために,神の御名みなによって行動する権能が与えられます。天の御父のすべての息子,娘は,神権の力にあずかるときに等しく祝福を受けます。

十二使徒定員会のダリン・H・オークス長老は,総大会における説教で次のように教えています。「わたしたちは神権を授けられた人を神権者と呼びますが,神権がその人の所有物またはその人自身だと決して考えないようにしなければなりません。神権は男性,女性,子供のために用いるように,神聖な信頼の下に託されたものなのです。」2オークス長老はその後,同じく十二使徒定員会の会員として働いたジョン・A・ウイッツォー長老の次の言葉を引用しています。「神権と神権を有することから来る祝福について,男性は女性よりも多くの祝福を要求できるわけではない。」3

「神権の霊的な祝福に十分あずかる者」

多くの末日聖徒の女性が生活の中で受ける神権の祝福についてあかししています。中央扶助協会第12代会長であるイレイン・L・ジャック姉妹は,扶助協会の姉妹たちの気持ちを次のように言い表しています。「すべての教会員の生活の中に神権の力が働いていることについて,わたしは強い証を持っています。教義と聖約には,メルキゼデク神権は『教会のすべての霊的な祝福のかぎを持つ』(教義と聖約107:18)と……書かれています。それは,わたしたちの生活を祝福してこの世での経験を永遠へと結びつける,地上における神の力であり権能です。神権の祝福を受けるとき,わたしたちは神の力と恵みにあずかっているのです。」ジャック姉妹は次のように続けています。

「姉妹たちが神権の権能の下で組織されたことは,わたしにとって重要な意味があります。わたしたちは神権を支持し,神権の力によって支えられています。教会の姉妹たちは,……神権の霊的な祝福に十分あずかる者となる機会を大切にするのです。

わたしたち一人一人はこれらの祝福を受けることにより,永遠に進歩していく中で導きと祝福を受けることができます。儀式と聖約,結び固め,聖霊の賜物たまものは,昇栄するために不可欠です。そのほかにも,個人的に受ける神権の祝福がたくさんあります。神権の祝福はわたしたちに導きをもたらし,正しい物の見方を示し,勇気と霊感を与え,献身を促してくれます。わたしたちは皆,これらの霊的な祝福にあずかることができるのです。」4

中央扶助協会会長会で顧問として働いたシェリー・L・デュー姉妹もまた同じように教えています。「姉妹の皆さん。皆さんの周りには,女性が神権に聖任されないのは不公平だと言い伏せようとする人たちがいます。そのような人たちは間違っており,イエス・キリストの福音を理解していません。男性でも女性でも,神権の祝福は義にかなったすべての人に与えられます。わたしたちは皆,聖霊と個人の啓示を受けることができます。そして神殿でエンタウメントを受け,力を『帯びて』出て行くことができます。神権の力はすべての義にかなった人をいやし,守り,暗黒の力に抵抗する力を与えてくれます。何より重要なのは,主の宮で受ける最高の儀式に含まれる完全な神権は,夫婦一緒でなければ受けられないということです。」5

儀式,聖約,祝福

1842年の春,イリノイ州ノーブーでジョセフ・スミスによって扶助協会が組織されたとき,その会員はすでに幾つかの神権の儀式と聖約によって祝福を受けてきた女性たちでした。彼女たちは罪のゆるしのためのバプテスマを受けていました。聖霊の賜物を授かり,たまを常に伴侶はんりょとする権利と個人の啓示による導きを受ける力を与えられていました。イエス・キリストを記念し,聖約を覚えるために聖餐せいさんを受けていました。御霊の賜物を授かっていました。祝福師の祝福を受け,自分の賜物と,可能性と,自分がイスラエルの家に属する者であることを知っている人もいました。主は彼女たちの必要と信仰に応じて,御心みこころのままに癒し,慰め,導いてこられました。

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エリザベス・アン・ホイットニー

エリザベス・アン・ホイットニー

最初の扶助協会の集会に出席したエリザベス・アン・ホイットニー姉妹が回復された福音について知ったのは,その12年前である1830年のことでした。ホイットニー姉妹は次のように回想しています。「長老たちが福音をべ伝えるのを聞いた瞬間,それが良い羊飼いの声であると分かりました。」ホイットニー姉妹は「すぐにバプテスマを受け」,夫のニューエル・K・ホイットニーも数日後にバプテスマを受けました。6この経験を振り返りながら,ホイットニー姉妹はバプテスマと確認という神権の儀式を通して受けた祝福について次のように語っています。

「もし何らかの原則によって力を得て,もっと誠実に人の役に立つ生き方ができるようになったとするならば,この喜びと力を人に分かち合いたいと願うのではないでしょうか。福音を受け入れ,その律法に従って生活するようになって以来,福音が自分にとってどのようなものとなってきたかを伝えたいと願うのではないでしょうか。日々御霊により新たな啓示を受け,以前は暗く,深く,説明がつかず,理解できなかった奥義が明らかにされることについて,また,神の力と,父なる神から発せられる無限の真理に対する絶対的な信仰について,伝えたいと願うのではないでしょうか。」7

御霊の賜物

1842年4月28日,ジョセフ・スミスはノーブー女性扶助協会の集会で話をしました。説教の一部は,1コリント12-13章に記されている御霊の賜物についての使徒パウロの教えに基づくものでした。ジョセフ・スミスは「すべて信じる者には,病人を癒し,悪霊を追い出すなど,これらのしるしが与えられる」ことを強調しました。8

末日聖徒の女性は聖霊の賜物を授かっているので,「異言,預言,啓示,示現,癒し,異言の解釈などの賜物」といった霊的な賜物を求めて,それらの賜物によって祝福を受けることができます。9教会歴史を通じて,末日聖徒の女性は御霊の賜物を授かり,それを用いて家族やほかの人々を祝福してきました。

アマンダ・バーンズ・スミスは,ジョセフ・スミスが御霊の賜物について扶助協会の姉妹に教えた1842年4月28日の集会に出席していました。アマンダはジョセフの教えが真実であると知っていました。その約4年前,息子を救うために主の助けを必要としたときに啓示の賜物を授かっていたからです。

1838年10月下旬,アマンダと夫のウォーレンは子供たちやほかの教会員とともにミズーリ州ファーウェストに向かっていました。一行は馬車の修理のためにかじ屋に立ち寄りました。彼らの滞在中,かじ屋で働いていた末日聖徒たちを暴徒が襲い,少年を含む男性17人が殺され,15人が負傷しました。襲撃の間隠れていたアマンダが戻ると,ウォーレンと息子のサーディアスは命を落としていました。もう一人の息子アルマは重傷を負っていました。銃で腰を吹き飛ばされていたのです。そのとき,アマンダは息子が癒されるにはどうすればよいかについて個人の啓示を受けました。後にアマンダは次のように語っています。

「わたしはそこで命を落とした人,傷を負った人とともに,長く恐ろしい一夜を過ごしました。わたしたちの医師,助け手は神だけでした。

わたしはこう叫びました。『ああ,天のお父様,わたしはどうしたらいいのでしょうか。あなたは,わたしのかわいそうな傷ついた息子を御覧になっています。また,わたしに何の経験もないことを御存じです。天のお父様,何をするべきかお教えください。』

するとそのとき,ある声によって導かれました。」

アマンダは火の灰で洗浄剤の灰汁あくを作って傷口を洗うように指示されました。次に,布とにれの皮で湿布を作って傷口に詰めるように指示されました。翌日,アマンダは鎮痛剤のバルサムを見つけ,アルマの痛みを和らげるため傷口に注ぎました。

「わたしは言いました。『アルマ,あなたの腰は主が作ってくださったの。そう信じているでしょう。』

『はい,お母さん。』

『主は今,腰のあった場所に何か代わりのものを作ってくださるのよ。信じられる?』

『お母さんはそうなると思うの?』息子は無邪気むじゃきにそう尋ねました。

『そうよ。主はわたしに示現で示してくださったの。』

そして,彼をそっとうつ伏せに寝かせました。そしてこう言いました。『この姿勢で動かないでいるのよ。そうすれば主があなたの新しい腰を作ってくださるからね。』

アルマは5週間,うつ伏せになっていました。やがて吹き飛ばされた関節に代わって軟骨ができてきて,……医師も驚くほどすっかり快復しました。

アルマが再び歩いた日,わたしはバケツで水をくみに家の外に出ていました。子供たちの叫び声が聞こえたので驚いて家に駆け込むと,アルマが床の上を踊るように歩き回り,子供たちが驚きと喜びで大歓声を上げていました。」10

啓示という霊的な賜物によって,主はどのように息子を介抱すればよいかスミス姉妹にお教えになったのです。エリザベス・アン・ホイットニーやほかの無数の姉妹たちと同じように,スミス姉妹は忠実であったために「喜びと力」と「御霊によ〔る〕新たな啓示」を受けたのでした。11

神殿の祝福

主が扶助協会を組織された目的の一つは,神殿の儀式と聖約にあるいっそう大いなる神権の祝福に向けて御自分の娘たちを備えることでした。初期のノーブーの姉妹たちは胸を躍らせて神殿の完成を待ちました。預言者ジョセフ・スミスがマーシー・フィールディング・トンプソンに約束したように,エンダウメントが自分たちを「暗闇くらやみから出して,驚くべき光の中に」導いてくれることを知っていたからです。12

預言者ジョセフ・スミスを通して,主はオハイオ州カートランドの末日聖徒に次のことを明らかにされました。「わたしは,一つの家を建てるようにという戒めをあなたがたに与えた。わたしはこの家の中で,わたしが選んだ者たちに高い所から力を授けようと考えている。」13主は忠実な聖徒に「多くの祝福」を約束され,14神殿は「すべての聖徒たちが感謝をささげる場所と〔なり〕,またそれぞれの召しと職のすべてにおいて奉仕の業に召されたすべての人を教える場所と〔なる〕。それは,彼らの務めを理解することにおいて,理論において,原則において,教義において,……地上の神の王国に関するすべてのことにおいて,彼らが完全になるためである」と宣言されました。15

ノーブーで,主は再び聖徒たちに神殿を建てるように命じ,神殿で「完全な神権」を回復し「〔御自分の〕儀式を示す」とおっしゃいました。16

扶助協会の姉妹は,神殿の儀式とそれに伴う聖約に備えられるように互いに助け合いました。神殿の建設に貢献し,扶助協会の集会で預言者から学び,また互いに学び合い,慈愛をもって仕え合い,より清らかな生活を送ろうと努めました。

神殿の完成が近づくと,36人の女性が神殿の儀式執行者に召されました。最初に召された儀式執行者の一人であるエリザベス・アン・ホイットニーは,次のように回想しています。「わたしは自分自身と,自分の時間と関心をその使命にささげました。毎日神殿で閉館になるまで休むことなく働きました。」17

ノーブー神殿で聖徒たちが受けた大神権の儀式によって「神性の力が現れ」ました。18当時もその後も,聖徒たちは聖約を守るとき,試練の中でこの力によって強められ,支えられました(第3章参照)。

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ジョセフ・フィールディング・スミス大管長

ジョセフ・フィールディング・スミス

今日こんにちの教会においても,世界中の忠実な男女あが神殿で奉仕し,神殿の儀式を通してのみ受けられる祝福によって強さを得ています。第10代大管長であるジョセフ・フィールディング・スミス大管長は次のように述べています。「この教会の姉妹には神の王国において昇栄を受け,女王および女祭司として権能と力を受ける特権があります。」19

家庭における神権

扶助協会は姉妹が家庭と家族を強めるのを助け,それを通して神権の基本的な目的の一つを達成するのを助けます。十二使徒定員会のラッセル・M・ネルソン長老は次のように述べています。「神権の権能が回復されたのは,家族を永遠に結び固めるためです。」20同じく十二使徒定員会のリチャード・G・スコット長老は次のように教えています。「家族と家庭は義にかなった生活の基です。主は家族を支えるために,神権の力と,神権系統という手段を備えてくださっています。」21扶助協会は,約束されている神権の祝福を受けられるように女性とその家族が福音を実践するのを助けることによって,この神権の働きを支援しています。

夫と妻

十二使徒定員会のダリン・H・オークス長老は次のように述べています。「男性としての特質,女性としての特質が最も崇高な究極の形で表現されるのは,男女の間の結婚の新しくかつ永遠の聖約においてです。この関係がなければ昇栄はできません。使徒パウロが教えたように『主にあっては,男なしには女はないし,女なしには男はない』のです。」22昔の聖文に記されたアブラハムとサラ,イサクとリベカ,ヤコブとラケルの聖約による結婚の話はこのことを裏付けています。結び固めの儀式は夫婦を互いに結び合わせ,また子供たちと,さらに天の御父と結びます。オークス長老は次のように続けています。「このように,神権定員会……と扶助協会……の共通の目的は,『神のあらゆる賜物の中で最も大いなるもの』である永遠の命に導く神聖な結婚と家族関係に兄弟姉妹を至らせることなのです。」23

親となる機会に恵まれた夫婦は,子供が神権の儀式と聖約を理解し,それらを受けるように助ける厳粛な責任をともに負います。24わたしたちの最初の先祖であるアダムとエバは,夫婦が助け合いながら一致して子供を教えることの手本を示しました。十二使徒定員会のブルース・R・マッコンキー長老は次のように教えています。

「これらの事柄に携わったのはアダムだけではありませんでした。……

エバも積極的に協力しました。エバはアダムが語ったすべてのことを聞き,『わたしたちの背き』と『贖いの喜び』について語り,自分たちが授かることになる『子孫』について語りました。そして彼らのどちらも一人では得ることができず,常に男女が一緒に受けるものとして用意されている『永遠の命』について語りました。

エバとアダムはどちらも祈り,どちらも主の名をほめたたえ,どちらも子供を教え,どちらも啓示を受けました。主はアダムとエバの両方に,イエス・キリストの名によってとこしえに主を礼拝し,主に仕えるようお命じになりました。」25

末日の預言者と使徒たちは,家庭においてこの規範に倣うよう夫婦に奨励しています。「神の計画により,父親は愛と義をもって自分の家族を管理しなければなりません。また,生活必需品を提供し,家族を守るという責任を負っています。また母親には,子供を養い育てるという主要な責任があります。これらの神聖な責任において,父親と母親は対等のパートナーとして互いに助け合うという義務を負っています。心身の障害や死別,そのほか様々な状況で,個々に修正を加えなければならないことがあるかもしれません。また,必要なときに,親族が援助しなければなりません。」26

世界中の末日聖徒が,簡単でありながらも有効な方法でこの勧告に従っています。夫婦は子供を集めて祈り,聖文を読んでいます。多くの家庭で,親は簡単な棚などを用意して聖典や教会の資料を置く特別な場所としています。言葉と模範によって福音を教えています。子供が神殿の祝福を受け,専任宣教師として働き,自分自身の家庭を築き,教会で奉仕を続けられるように備える手助けをしています。アダムとエバのように,教え,祈り,仕え,主を礼拝する責任をともに果たしているのです。

時に,夫や妻は伴侶はんりょが聖約を交わしていないために,あるいは交わした聖約からそれてしまっているために,これらの責任において孤独を感じることがあるかもしれません。しかし,たとえそのような状況であっても,忠実な人は孤独を感じる必要はありません。神権の儀式を受けて聖約を守ることによって,祝福と強さを授かっているからです。また,親族やほかの末日聖徒の支援を求めることもできます。

独身の姉妹と神権

末日聖徒の中には未婚の人が大勢います。伴侶を亡くした人や,伴侶に置き去りにされたり,離婚したりして独りでいる人もいます。教会のすべての会員と同じように,それらの会員も聖約に忠実であり続け,永遠の家族の中で暮らすという理想に向けてできることをすべて行うときに祝福を受けます。儀式を受けて聖約を守ることによって,生活の中で,また家庭の中で,神権の祝福と力と影響力を享受することができます。

ダリン・H・オークス長老は,若くして夫を亡くした自分の母親の忠実さについて語っています。神殿で夫と結び固められていたオークス長老の母親は,自分のことを独りであるとは思いませんでしたが,それでも独りで3人の子供を育てなければなりませんでした。オークス長老は次のように回想しています。

「父は,わたしが7歳のときに亡くなりました。わたしは3人きょうだいの長男で,母は独りで幼いわたしたちを苦労して育ててくれました。執事に召されたとき,母は,家庭に神権者がいてどんなにうれしいか話してくれました。しかし母は引き続き家族を導き,毎朝ともにひざまずいて祈るときにも,だれが祈るかを決めていました。……

父が亡くなってからは,母が家庭を管理しました。母には神権の職はありませんでしたが,残されたもう一人の親として,家庭の管理者となりました。同時に,母はいつでも,ビショップをはじめ教会の指導者が持つ神権の権能に敬意を抱いていました。母は家庭を管理しましたが,彼らは教会を管理しました。……

女手一つでわたしたちを育ててくれた信仰深い母は,家族の永遠の特質について何の混乱もありませんでした。いつも亡くなった父の存在を敬い,身近に感じさせてくれました。父との神殿結婚が永遠に続くものであることを話してくれました。救い主が約束されたとおり,永遠の家族になれるように,父が行うように望んでいる事柄をよく思い出させてくれました。」27

別の男性は,母親が家庭を管理したことについて次のように語っています。「ちょうどわたしが専任宣教師として奉仕する準備をしていたとき,父が家族のもとを去り,教会からも離れてしまいました。このような状況で2年間家庭を離れるのはつらいことでしたが,それでもわたしは伝道に出ました。遠く離れた地で主に仕えている間,家庭における母の強さについて耳にしました。祖父やおじ,ホームティーチャー,ワードのそのほかの神権者など,神権を持つ人たちが母に特別に心を配ってくれました。母はそのような配慮を必要としていましたし,またそうした配慮に感謝していました。しかし,母に最も大きな力を授けてくださったのは主御自身でした。母は家庭で神権の祝福を得るために神権者の訪問を待つ必要はありませんでした。また,訪問者が去っても,それらの祝福が彼らと一緒に去ることはありませんでした。母はバプテスマの水に入るときに交わした聖約や神殿で交わした聖約に忠実だったので,生活の中で常に神権の祝福を受けました。主は母に母自身の能力を超えた霊感と強さを授けてくださり,母が育てた子供たちも,今,母を支えてきたのと同じ聖約を守っています。」28

この女性たちは,自分が交わし,守ってきた聖約によって強さを増し加えられ,助けを受けていることを理解していました。

教会での奉仕

末日聖徒イエス・キリスト教会において公式な立場で働く人は皆,ビショップやステーク会長など神権の鍵を持つ人の指示と権能の下で働きます。扶助協会でも,最初の扶助協会の集会においてこの規範が定められました。預言者ジョセフ・スミスの指示により,十二使徒定員会のジョン・テーラー長老がエマ・スミス姉妹とその顧問であるサラ・M・クリーブランド姉妹,エリザベス・アン・ホイットニー姉妹に順に按手あんしゅを施しました。テーラー長老は彼女たちがその務めにおいて導きを受けるように祝福しました。それ以来,扶助協会の召しや教会のあらゆる召しにおいて働いてきた姉妹たち,そして訪問教師たちは,神権の鍵を持つ人の権能の下で働いてきました。

十二使徒定員会のボイド・K・パッカー会長は次のように述べています。

「扶助協会はメルキゼデク神権者の指示の下に働きます。『教会における他のすべての権能または職は,この神権に付属する』からです。〔扶助協会〕は『神権の規範に倣って』組織されました。……

兄弟たちは,自分が神権定員会に所属していることを自覚しています。しかし,実に多くの姉妹たちは,扶助協会は出席すべき一つのクラスにすぎないと考えています。単なる出席でなく,扶助協会への帰属感が一人一人の姉妹の心に養われなければなりません。」29

神権定員会は,奉仕を行い,義務を学んで遂行し,福音の教義を学ぶために男性を組織します。扶助協会は教会の女性のために同じ目的を果たします。教会のすべての女性は,たとえほかの責任を受けていて扶助協会のすべての集会に出席するのが難しい場合でも,扶助協会に所属しています。扶助協会の姉妹たちによって見守られ教えを受け続けます。

一致——「すべての人が心を合わせて行動しなければなりません」

末日聖徒イエス・キリスト教会では,男性と女性は互いに強め合い,励まし合い,一つとなって働くように求められています。主は次のようにおっしゃっています。「一つとなりなさい。もしもあなたがたが一つでなければ,あなたがたはわたしのものではない。」30

預言者ジョセフ・スミスは次のように教えています。「すべての人が心を合わせて行動しなければならず,そうでなければ何も行うことはできません。」31また,ジョセフは人々と心を合わせて働くことによって模範を示しました。エライザ・R・スノー姉妹はその模範を生涯忘れず,大切に心に留めました。そしてユタ州で扶助協会が再び設立されたときには,地元の教会指導者にジョセフの模範を紹介しました。スノー姉妹は,ノーブーでジョセフ・スミスと扶助協会との間にあったのと「同じ関係」を,ビショップはワードの扶助協会との間で持つべきであると教えました。また,「扶助協会は……〔ビショップの〕助言なしには存在し得ない」と教えました。32

中央扶助協会第4代会長として働いたバスシバ・W・スミス姉妹は,召しを果たすときにジョセフ・スミスの教えと模範を思い起こしました。スミス姉妹は扶助協会の姉妹に神権指導者と協調して働くように教えました。次のように述べています。「わたしたちは主から与えられている召しを尊んで大いなるものとしたいと謙遜けんそんに願っています。受け入れていただけるような形でそれを行うためには,大管長会と使徒,ステーク会長やビショップの信仰と支援が必要です。わたしたちはいつも彼らを支持したいと感じており,彼らと協調して働きたいと望んでいます。」33

この規範は何十年にもわたって続いてきました。大管長会の顧問であるヘンリー・B・アイリング管長は次のように述べています。「神権者がこれまで常に扶助協会に敬意を示し,また扶助協会から同様に敬意を受けてきたことを見れば,この協会の受け継ぎの中でもひときわすばらしいものが分かります。」34

バーバラ・W・ウインダー姉妹は中央扶助協会第11代会長として働き始めたとき,当時大管長会の顧問として働いていたゴードン・B・ヒンクレー管長から,神権の下で扶助協会と若い女性,初等協会で働く姉妹たちを一つにするように求められました。ウインダー姉妹は一致について次のことを理解しました。「姉妹たちが一緒に働けばそれでよいわけではありません。わたしたちは神権を持つ兄弟たちのパートナーなのです。わざにおける同僚なのです。」35

ウインダー姉妹は次のように述べています。中央扶助協会会長に召されて間もなく,ダリン・H・オークス長老から会合を持ちたいと言われました。オークス長老はある重要な問題について教会の声明を準備する割り当てを受けていて,教会の女性の指導者たちから意見を聞かなければならないと感じていたのです。オークス長老はウインダー姉妹の助けを求め,それを生かすことによって,彼女の知識と意見と霊感に敬意と感謝を示したのでした。

後にウインダー姉妹は,教会の男性と女性は御業において互いの助けを必要としていると教えました。ウインダー姉妹は次のように説明しています。「会合に招かれるとき,期待されているのは自分が抱えるすべての問題に不平を言うことではなく,解決策を用意して参加することだということを学びました。そうすれば,アイデアについて話し合い,何がうまくいくかを知ることができます。神権者の兄弟たちは,教会の女性たちの観点を聞くことを期待しており,また必要としています。わたしたちは準備し,彼らを助ける必要があります。」36

目的における一致が見られる場に教会の評議会集会があります。評議会で働く男性と女性が互いに耳を傾け,御霊の導きを求め,一致して働くとき,彼らは個人や家族の必要を満たす方法を知るために霊感を受けます。主は次のようにおっしゃっています。「一つのことについて二人または三人がわたしの名によって集まっている所には,見よ,わたしもその中にいる。」37

第16代大管長であるトーマス・S・モンソン大管長は,主の務めにおいて扶助協会の姉妹たちと神権者の兄弟たちがともに働くときにどのようなことが起こり得るかについて一例を紹介しています。

「〔1992年〕8月24日にハリケーン・アンドリューがフロリダ州南部マイアミの海岸地帯を襲いました。突風は時速200マイル(約320キロ)を超えました。……8万7,000戸の家屋が破壊され,15万人が住む家を失いました。……

地元の神権指導者と扶助協会指導者は,負傷者の有無や被害状況を調べ,復旧作業を支援するために,速やかに結束して事に当たりました。3次にわたり延べ5,000人以上の教会員がボランティアとして被災者と協力して働き,3,000戸の家屋,またユダヤ教の会堂,ペンテコステ教会,2つの学校の修復を手伝いました。」38

「神権者と手を携えて」——末日の預言者の霊感に満ちた勧告

末日の預言者は,忠実な神権者の兄弟たちと忠実な扶助協会の姉妹たちがともに働くときに教会と家族にもたらされる祝福について語ってきました。

第12代大管長であるスペンサー・W・キンボール大管長は次のように述べています。「この〔扶助協会の〕組織には,シオンの家庭を強め,神の王国を築くために,まだ十分に行使されていない力があります。姉妹と神権者がともに扶助協会のビジョンをよく理解して初めて,その力は完全に発揮されるのです。」39

ジョセフ・フィールディング・スミス大管長は,扶助協会と神権定員会の関係を次のように要約しています。

「彼女たち〔姉妹〕には扶助協会など彼女たち自身の集会があり,そうした集会においてたくさんの事柄を行う力と権能が与えられています。……

主はその知恵によって,神権者の助け手となるよう姉妹たちに求めてこられました。彼女たちのあわれみの情と思いやりと優しさのゆえに,主は姉妹たちを御覧になって,助けを必要とする人や苦しむ人を世話する義務と責任をお与えになります。主は姉妹たちが進むべき道を示し,この大いなる組織をお与えになっています。この組織において,姉妹たちはワードのビショップの指示の下で,ワードのビショップと協調して働く権能を持ち,わたしたちの民の霊的および物質的な益を図ります。」40

ゴードン・B・ヒンクレー大管長は第15代大管長として働いていたとき,扶助協会の姉妹に次のように述べました。

「姉妹の皆さんに申し上げます。皆さんは御父がその子供たちの永遠の幸福のために定められた計画の中で,その重要性において劣る位置に置かれているわけではありません。皆さんは神の計画において,絶対不可欠な位置を占めているのです。

皆さんなくして,この計画は機能することができません。女性がいなければ,教会の全プログラムが崩壊してしまいます。……

皆さんは一人一人が神の娘であり,聖なる生得権を授けられています。その権利は何ものにも侵されることがありません。……

……この教会の女性には強さと大きな能力があ〔ります〕。この主の王国の一翼を担い,神権者と手を携えて前進する女性たちの中には,指導力,確かな独立心,そして大きな充実感があります。」41

第8章

  1. モーセ1:39

  2. ダリン・H・オークス「扶助協会と教会」『聖徒の道』1992年7月号,40参照

  3. ジョン・A・ウイッツォー,Priesthood and Church Government(1939年),83

  4. イレイン・L・ジャック「栄光にあずかる者」『聖徒の道』1997年1月号,87,88参照

  5. シェリー・L・デュー「人が独りでいるのは良くない」『リアホナ』2002年1月号,14参照。教義と聖約109:22を引用

  6. エリザベス・アン・ホイットニー,“A Leaf from an Autobiography,” Woman’s Exponent1878年9月1日付,51

  7. エリザベス・アン・ホイットニー,“A Leaf from an Autobiography,” Woman’s Exponent1878年8月1日付,33

  8. ジョセフ・スミス,Relief Society Minute Book,イリノイ州ノーブー,1842年4月28日,教会歴史図書館,36

  9. 信仰箇条1:7

  10. アマンダ・バーンズ・スミス。エドワード・W・テューリッジ,The Women of Mormondom(1877年),124,128で引用。『わたしたちの受け継ぎ——末日聖徒イエス・キリスト教会歴史概観』43-44も参照。かじ屋の所有者はジェイコブ・ハウンという人物であった

  11. エリザベス・アン・ホイットニー,“A Leaf from an Autobiography,” Woman’s Exponent1878年8月1日付,33

  12. ジョセフ・スミス。マーシー・フィールディング・トンプソン,“Recollections of the Prophet Joseph Smith,” Juvenile Instructor1892年7月1日付,400で引用

  13. 教義と聖約95:8

  14. 教義と聖約97:28

  15. 教義と聖約97:13-14

  16. 教義と聖約124:28,40

  17. エリザベス・アン・ホイットニー,“A Leaf from an Autobiography,” Woman’s Exponent1879年2月15日付,191

  18. 教義と聖約84:19-22参照

  19. ジョセフ・フィールディング・スミス,“Relief Society–an Aid to the Priesthood,” Relief Society Magazine1959年1月号,5-6

  20. ラッセル・M・ネルソン「結婚のきずなをはぐくむ」『リアホナ』2006年5月号,37

  21. リチャード・G・スコット「補助組織に関する基本的な教義」『世界指導者訓練集会』2004年1月10日,5-6参照

  22. ダリン・H・オークス「扶助協会と教会」『聖徒の道』1992年7月号,41参照。1コリント11:11を引用

  23. ダリン・H・オークス「扶助協会と教会」『聖徒の道』1992年7月号,41参照。教義と聖約14:7を引用

  24. 教義と聖約68:25-28参照

  25. ブルース・R・マッコンキー,Conference Report,オーストラリア・シドニー地域大会,1976年,34。モーセ5:11を引用

  26. 「家族-世界への宣言」本書166-167ページ

  27. ダリン・H・オークス「家庭と教会における神権の権能」『リアホナ』2005年11月号,24,26,27

  28. 未発表原稿。匿名

  29. ボイド・K・パッカー「扶助協会」『聖徒の道』1998年7月号,77,78参照。教義と聖約107:5;サラ・M・キンボール,“Autobiography,” Woman’s Exponent1883年9月1日付,51で引用されているジョセフ・スミスの言葉を引用

  30. 教義と聖約38:27

  31. ジョセフ・スミス,Relief Society Minute Book,イリノイ州ノーブー,1842年3月30日,22

  32. エライザ・R・スノー,Relief Society Minutes,ソルトレークステーク第11ワード,1869年3月3日,教会歴史図書館

  33. バスシバ・W・スミス,“Official Announcement,” Woman’s Exponent1902年1月1日付,68

  34. ヘンリー・B・アイリング「扶助協会の不朽の受け継ぎ」『リアホナ』2009年11月号,123

  35. バーバラ・W・ウインダー。スーザン・W・タナーによるインタビュー,2011年1月3日,筆記録,教会歴史図書館,1

  36. バーバラ・W・ウインダー。スーザン・W・タナーによるインタビュー,2011年1月3日,1

  37. 教義と聖約6:32

  38. トーマス・S・モンソン「行動する神権者」『聖徒の道』1993年1月号,56参照

  39. スペンサー・W・キンボール「扶助協会—その将来と可能性」『聖徒の道』1977年3月号,182参照

  40. ジョセフ・フィールディング・スミス,“Relief Society–an Aid to the Priesthood,” 5

  41. ゴードン・B・ヒンクレー「教会の女性」『聖徒の道』1997年1月号,76

息子を介抱するために助けを祈り求めるアマンダ・スミス

イリノイ州ノーブー神殿

ソルトレーク神殿の階段に並ぶ神殿の儀式執行者,1917年

アダムとエバは聖約によって一つとなっていました。

末日聖徒の女性が聖約を交わして守るとき,主は彼女たちが主の王国で働けるように強めてくださいます。

扶助協会は女性が子供を養い育てるのを助けます。

「扶助協会への帰属感が一人一人の姉妹の心に養われなければなりません。」(ボイド・K・パッカー)

教会で,男性と女性は一つとなって働きます。

「この教会の女性には強さと大きな能力があ〔ります〕。」(ゴードン・B・ヒンクレー)