2022
恐れることはない。ただ信じなさい。
2022年5月


恐れることはない。ただ信じなさい。

あらゆる良い賜物の贈り主がすでに与えてくださった豊かな恵みをまず受け入れることから,幸福の探求を始めてください。

今日は教会の若い人,つまりラッセル・M・ネルソン大管長と同じ歳か,大管長より年下の皆さんに向けてお話しします。わたしは視覚資料はあまり使わないのですが,一つだけぜひお見せしたいものがあります。

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マリン・アーノルドからの手紙です。

これは,8歳のマリン・アーノルドが7歳のときに書いた「心の叫び」です。マリンの書いた発達段階初期の改良エジプト文字を解読してみましょう。

ビショップさんへ

そうたいかいは

つまんなかった。どうして

しなければいけないの?

おしえてください

まりん

ああのるど より1

マリン,わたしの話もきっとつまらないと思うけれど,ビショップに苦情の手紙を書くときは,そのつまらない話をした人の名前は「キアロン,パトリック・キアロン長老」だと言ってくださいね。

聖書の時代の疫病を思わせる大規模なパンデミックは,2年近くもの間地球全体を覆い,社会のほとんどすべての活動を止めました。しかし,国内,国外を問わず,残虐な行為や暴力,冷酷な政治的侵略に休止をもたらしていないことは明らかです。それでもまだ足りないと言わんばかりに,貧困や環境破壊,人種間の不平等など,長年横たわってきた社会的・文化的な問題は,今もわたしたちの目の前にあります。

そのような強風に立ち向かわなければならない暗い日々は,本来なら将来への希望と熱意にあふれているはずの若者たちから,気力を奪ってしまうかもしれません。これまでよく言われてきたように,「若者たちが持っている力は,全世界の共有財産です。……若者たちは……わたしたちの……未来を映しています。」2さらに,この教会の行く末は,わたしたちの子供たちの手に委ねられています。

昨今の状況を考えると,若者たちの持つ理想主義に多少の影が差したとしてもうなずけます。イェール大学の教授,ローリー・サントス博士は,「心理学と豊かな暮らし」という科目を最近開設しました。「最初の年には,〔全学生〕の〔4分の1〕近くが受講しました。」3その後インターネットで,6,400万人がサントス博士の講義を聞いています。この現象を見たあるジャーナリストは,これほどまでに多くの若くて聡明な学生や大人たちが,「失ったものを探す」必死な姿,さらにはまだ得ることさえできなかった何かを切望する姿には,心を痛めると,記しています。4

わたしは今日,教会の若者たち,そして彼らに助言する親や大人の皆さんに懇願します。幸福を探したいなら,まずはあらゆる良い賜物を下さる御方がすでに下さっている豊かな恵みを受け入れてください。5世の多くの人々が心の底から問いかけている今こそ,わたしたちはイエス・キリストの「よい知らせ」6をもって答えるべきです。世の救い主の使命とメッセージを高く掲げる末日聖徒イエス・キリスト教会は,この時代にこそ必要とされる,善を見つけ行うための永遠にわたり最も大切な価値のある方法を提供しているのです。

ラッセル・M・ネルソン大管長は,現代の若者には「これまでのどの世代よりも世界に〔良い〕影響を与える能力」7があると言いました。わたしたちは,ほかのだれにも増して,「贖いをもたらす愛の歌を歌〔って〕」8いるはずですが,それには「弟子」としての鍛錬が必要です。つまりわたしたちが永遠の救いの歌を歌おうとするときに音程を狂わせようとする否定的な態度や有害な習慣に対抗して,防御を固める必要があります。

「陽の当たる道」9を歩いていても,何につけ暗く陰気な面にばかり目を向けようとする人に出会うことがあるかもしれません。そのような人の口癖はこうです。「暗闇の後には,真っ暗闇が来る。」〔訳注:「暗闇の後には夜明けが来る」ということわざをもじっている。〕何と悪意のある,惨めな考え方でしょう。もちろん,今いる場所から逃げ出したくなるときもあるでしょうが,自分自身から逃げてはなりません。わたしたちは,神から愛され,いつでも赦しを受け,決して,決して見捨てられはしない,生ける神の子供です。あなたは神にとって最も貴い存在です。神の子供なのです。神はあなたに,預言者,約束,霊的な賜物,啓示,奇跡,メッセージ,そして幕の両側にいる天使たちを与えてくださいました。10

また,家族がこの世で強められ,永遠に結ばれるように,教会を与えてくださいました。教会には3万1,000以上のワードと支部があり,人々はそこに集い,歌い,断食し,互いのために祈り,貧しい人々に生きる糧を与えています。そこでは,すべての人が名前を記され,数えられ,ミニスタリングを受け,また一般の会員である友人や隣人がボランティアとして,事務から建物の管理に至るまで様々な召しを受けて互いに奉仕しています。何千ものヤングアダルトとシニア夫婦宣教師が,自分で任地を選ぶことなく自費で伝道し,老若の会員がかさばる荷物を抱えて神殿に足を運び,家族を永遠に結ぶために必要な神聖な儀式を行っています。これほど分断された世界において,それは大胆な活動であり,分裂や別離が一時的なものであると宣言するものです。これらは「〔わたしたち〕のうちにある望み」11について説明する一例に過ぎません。

もちろん,今日においては,イエス・キリストの弟子の誰もが難しい問題に直面します。この教会の指導者たちは,自らの命を削って,問題の解決方法を主に求めています。だれもが納得する形で解決できない問題があるとすれば,それは恐らく,イエスに従う人々が負わなければならない十字架の一つなのでしょう。12暗い日々や難題があるからこそ,神は,昼は雲,夜は火の柱をもって預言者を導き,鉄の棒を与え,まっすぐな道に続く狭い門を開き,とりわけ,終わりまで堪え忍ぶ力を与えると,約束してくださったのです。13

ですから,どうぞこのごちそうを終わりまで味わってください。ごちそうに入っているブロッコリーは苦手かもしれないと思っても,です。主の光を浴び,あなたの明かりでこの大義に光を添えてください。14初等協会で教えている通り,「光となるように」15エスさまは本気で皆さんに求めておられます。

ユダヤ人の会堂司ヤイロは,死の床にある12歳の娘を癒してほしいとイエスに嘆願しました。しかし,救い主が群衆に呼び止められている間に,家の人が来て言いました。「『お嬢さんはなくなられました。この上,先生を煩わすには及びません』……。

しかしイエスはこれを聞いて会堂司にむかって言われた,『恐れることはない。ただ信じなさい。娘は助かるのだ』。」16

そしてそのとおりに癒されたのです。あなたも助かります。「恐れることはない。ただ信じなさい。」

この話を聞いている皆さん一人一人が,神と教会にとって大切な存在です。終わりに当たり,使徒として特別に宣言します。聖霊の賜物を授かる前から,皆さんの魂にはキリストの光が与えられていました。17それは「万物の中にあり,万物に命を与える光であり」,18過去,現在,未来のすべての人の心に備わっている良心です。その光が与えられたのは,皆さんを守り,教えるためです。その中心となる教えの一つは,命が最も大切な贈り物であり,それは主イエス・キリストの贖罪を通してのみ永遠に得ることのできる贈り物だということです。「世の光であり命であられる」19神の独り子は,死に打ち勝って人に命を与えるために来られました。

わたしたちは,この命という賜物のために全力を尽くし,その神聖な賜物を自ら断とうとする人を助けるために奔走しなければなりません。指導者やアドバイザー,友人,家族の皆さん,うつや絶望,自傷行為の兆候に気づいてください。手を差し伸べ,耳を傾け,必要に応じて,何らかの介入をしてください。

今苦しんでいる若い皆さん,あなたの悩みや苦難が何であれ,自殺は絶対に答えではありません。あなたが感じている苦痛も,自分が原因だと思っている苦痛も,自殺によって取り除かれることはありません。光に飢え渇く世界において,この世が存在する前に,神があなたの魂にともした永遠の光をどうか消さないでください。だれかに話し,助けを求め,キリストが御自身の命をささげて救おうとされたあなたの命を自ら滅ぼさないでください。あなたはわたしたちの助けを得て,この世の苦難に耐えることができます。あなたは自分が思う以上に強いのです。助けは来ます。人から,そしてだれよりも,神から。あなたは愛され,大切にされ,必要とされています。わたしたちにはあなたが必要です!「恐れることはない。ただ信じなさい。」

あなたやわたしよりはるかに苦しい経験をした人が,こう言い残しました。「前に進んでください。〔愛する若き友よ,〕勇気を出してください。勝利に向かって進み,進んでください。心を喜び楽しませ,大いに喜んでください。」20喜ぶべきことはたくさんあります。わたしたちには互いがいて,主がおられます。わたしたちがあなたと一緒にいられるこの機会を,どうか取り去らないでください。主イエス・キリストの神聖な,聖き御名により,アーメン。