2015年
たいまつが燃えたまま走り切る
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大管長会メッセージ

たいまつが燃えたまま走り切る

Sports

写真/Comstock/Stockbyte/Thinkstock

古代ギリシャでは,ランパデドロミアと呼ばれたリレー競走が行われていました。1このレースの走者はたいまつを持って走り,次の走者に渡します。こうしてチームの最終走者がゴールするまで次々に手渡していきます。

最も速く走ったチームに賞が与えられたのではありません。たいまつの炎が燃えたまま最初にゴールしたチームに賞が与えられたのです。

ここに,古代と現代の預言者たちが教えた深遠な教訓があります。それは,レースを始めることが大切であると同時に,もっと大切なことは,たいまつが燃えている状態でレースを終えるということです。

ソロモンは強い心で始めた

偉大な王ソロモンは,強い心で始めた人の模範です。ソロモンは若いとき,「主を愛し,父ダビデの定めに歩」みました(列王上3:3)。神はソロモンのことを喜んでこう言われました。「あなたに何を与えようか,求めなさい。」(列王上3:5)

富や長寿を願う代わりに,ソロモンは,「聞きわける心をしもべに与えて,あなたの民をさばかせ,わたしに善悪をわきまえることを得させてください」と願いました(列王上3:9)。

主はこのことを非常に喜ばれ,ソロモンに,知恵だけではなく,大いなる富と長寿も祝福されました。

ソロモンは実に賢明で,多くの偉大なことを成し遂げましたが,最初の強い心で生涯を閉じることはありませんでした。悲しいことに,晩年,「ソロモンは主の目の前に悪を行い,……全くは主に従わなかった」のです(列王上11:6)。

自分自身のレースを走り切る

わたしたちは何かを始めて,完遂しなかったことが何回あるでしょうか。ダイエットですか。運動プログラムですか。毎日聖文を読む決意ですか。イエス・キリストのより良い弟子となる決意ですか。

1月に決心して,数日間,数週間,さらには数か月間,燃える決意で実行したものの,10月には決意の炎は消え,冷たい灰同然になったことが何度あるでしょうか。

ある日わたしは,伏せた犬の傍らに咬みちぎられた紙が写った面白い写真を偶然見つけました。紙には「犬の従順訓練証明書」と書かれていました。

わたしたちは時としてこの犬のようです。

善良な意図を持ち,強い心で物事を始め,最高の自分になりたいと思います。でも最後に,決心は粉々になって捨てられ,そして忘れ去られます。

つまずき,失敗し,時にはレースをやめたいと思うのは人の常です。しかし,イエス・キリストの弟子として,わたしたちはレースを始めるだけでなく,たいまつが明るく燃えたままで走り切ることを決意しています。救い主は御自身の弟子にこう約束されました。「最後まで耐え忍ぶ者は救われる。」(マタイ24:13)

救い主がわたしたちの時代に約束されたことを別の言葉で言い換えましょう。主の戒めを守り,たいまつが燃えたままで走り切るなら,わたしたちは永遠の命を得るでしょう。それは神のあらゆる賜物の中で最も大いなるものです(教義と聖約14:7参照。2ニーファイ31:20も参照)。

決して消えない光

つまずき,失敗し,さらには諦めた後に,わたしたちは落胆し,炎が消えてレースに負けてしまったと思うことがあります。しかし,わたしは証します。キリストの光は消えることがありません。主に心を傾けるなら,キリストの光は真っ暗闇の夜に輝いて心を再び照らします(列王上8:58参照)。

わたしたちが何度倒れても,あるいはどのような深みに落ちても,キリストの光は変わることなく明るく燃えています。そして最も暗い夜であっても,主に向かって歩みさえするなら,主の光は影を消し去り,魂に再び光をともすのです。

弟子としてのこのレースは,短距離走ではありません。マラソンです。そしてどれだけ速く走ったとしても違いはほとんどありません。事実,わたしたちがこのレースに負けるのはただ一つ,最終的に走るのをやめる,つまり諦めるときです。

起き上がり,救い主に向かって進み続ける限り,たいまつが明るく燃えている状態でレースに勝利を収めるのです。

たいまつは,わたしたちやわたしたちの行いを表すものではないからです。

それは,世の救い主を表すものです。

そして,決して暗くなることのない光です。暗闇を消し去り,わたしたちの傷を癒やし,最も深い悲しみの最中や底知れない暗闇の中にいるときでさえ強く輝く光です。

わたしたちの理解をしのぐ光です。

わたしたち一人一人が,走り始めた道を走り切ることができますように。そして,わたしたちの救い主,贖い主であるイエス・キリストの助けにより,たいまつの炎が燃えたままで,わたしたちは喜びのうちに走り切ることができるでしょう。

Liahona Magazine, 2015/10 Oct