2015
青少年に教える  救い主の方法に従って指導するには
2015年10月


青少年に教える救い主の方法に従って指導するには

青少年は単に未来の指導者であるだけではありません。現在も既に指導者なのです。彼らが救い主のように指導できるよう助けることができます。

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youth participating in an activity

青少年の親や指導者に対して,十二使徒定員会のデビッド・A・べドナー長老は,わたしたちは微妙なバランスを取る必要があるとして,次のように語っています。「若い人々に行動を起こしてもらってください。「若い人々に行動するよう勧めてください。皆さんはそこに立ち合う必要はありますが,立ちはだかることのないようにしてください。指示は与える必要がありますが,それで拘束しないでください。」1

親や指導者は,若い男性や若い女性が原則を学び,それによって義にかなった指導をし,地上における神の王国を打ち立てるための備えができるよう,助けることができます。

わたしは14歳のとき,実に優れた指導者であった若い女性たちと出会う機会がありました。当時,わたしの家族は引っ越しでアメリカ合衆国を横断し,新しいワードの会員になったばかりでした。そのとき,マイアメイドのクラスの会長会で誰が奉仕していたのか,まったく覚えていません。でもはっきりと覚えているのは,若い女性たちがわたしに特別優しく接してくれたということです。おどおどしたやせっぽちの新しい女の子を,彼女たちはまるで行方不明になっていた友人が久しぶりに帰って来たかのように真心から受け入れ,歓迎してくれたのです。それまで住んでいたデラウェア州では,わたしは通学する中学校でただ一人のモルモンでしたし,わたしが知っている範囲で,もう一人だけいたモルモンの女の子は我が家から車で1時間ほどの所に住んでいました。わたしは「天国ってきっとこんなところに違いないわ」と思ったものです。

生涯で初めて,わたしは『若人の強さのために』で述べられている標準に従って生活している友人に囲まれるようになったのです。彼女たちは,活動に参加しようと誘ってくれましたし,わたしと同じ福音の証を述べていました。彼女たちの愛と優しさに満ちた模範のおかげで,当時は,話を聞いたり,レッスンに参加したりするよりも,はるかに強く末日聖徒イエス・キリスト教会につなぎとめられていたのです。愛とキリストのような光に包まれた彼女たちは,存在そのものがキリストの福音のメッセージであって,わたしを主の群れに導き,連れて行ってくれる仲間だったのです。

どうして,わたしの新しい友人たちは偉大な指導者でいることができたのでしょうか。

ある若い宣教師は,指導力というものを非常に簡潔に定義しました。長老は次のように言いました。「わたしたちは適切なときに適切な場所にいて,主の御心を行い,わたしたちの助けが必要な人を助ける必要があります。それができれば,指導者になれます。」2教会の中にはどこでも,自分たちが何者であるかを知り,キリストの光を輝かせている,信仰深い若い男性や若い女性たちがいます。彼らには,救い主に倣って人を導き,『イエス・キリストに真に従う者となるよう〔人々を〕助ける』能力が与えられています。3

わたしたちは指導者として,教会の若い男性や若い女性を教え,導き,ともに歩みます。しかしながら,クラスや定員会の実務を指導し,指示を出したりする責任は,クラスや定員会の会長会にあります。その責任の中には,日曜日のレッスンを選んだり,平日の活動の計画を立てたりすることも含まれます。クラスや定員会の指導者は,神権の鍵を持つ人々の指示の下に召され,任命されます。つまり,その人々には,他の青少年を指導し,強めるための権限が与えられているということです。指導者たちは救い主の模範に従い,救い主がされたように仕えることを学び,救い主がされたように教え導くことを学びます。

青少年が指導力を発揮する機会

指導力の養成は家庭から始まります。十二使徒定員会のロバート・D・ヘイルズ長老はこう教えています。「親であれ指導者であれ,神への務めを果たす第一歩は,模範により導く,すなわち,家庭の中で常に熱心に,福音の原則に従って生活することです。それには毎日の決意と努力が必要です。」4親はキリストの教義を教えます。そして,青少年たちが目標を設定し,達成できるよう助けます。「成長するわたし」や「神への務め」は,青少年がイエス・キリストの証を強め,神聖な聖約を交わしたり,守ったりする備えをするうえで,助けになります。また,家族や家庭や教会にあって,神から託された役割や責任を果たすための助けにもなります。

教会では,アロン神権や若い女性の指導者は,定員会やクラスの会長会で奉仕する青少年を対象に,彼らが神聖な責任を理解し,その召しを尊んで大いなるものとし,それによって定員会やクラスの他の会員たちを養い,強めることができるよう助けます。

わたしたちは成人の指導者として,青少年が定員会やクラスの集会,ミューチャルの活動の運営ができるよう備えさせます。また,会長会集会で青少年たちと会合を持ちます。その中で,彼らは,問題を抱えている人々に仕えたり,日曜日のレッスンに全ての青少年を招いたり,また,活動や奉仕プロジェクト,キャンプ,ユースカンファレンスなどを計画したりするために,その方法を決定します。

わたしたちは青少年の会長会に対して,定員会やクラスの会員をことごとく助けてくれるよう励まし,彼らが救いの業のあらゆる分野に関わることができるよう助けます。その中には,会員伝道活動,改宗者の定着,あまり活発でない人々の活発化,神殿および家族歴史の活動,福音を教えることといったことが含まれます。5青少年の会長会は,全ての若い男性と若い女性が救い主の御名によって奉仕をし,その羊を養うことから生まれる喜びと祝福を体験することができるよう,手助けします。

指導者の働きは,完璧にレイアウトされたちらしを作成したり,事実満載の講義をしたりすることだけではありません。指導者は,若い男性や若い女性が原則を学び,応用できるよう助けます。その原則に従えば,若い男性と若い女性も救い主に倣って指導することができるようになります。次にそれらの原則から4つを紹介しましょう。6

霊的に備える

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family home evening

自分が行う霊的な備えには力があるということを理解できるよう,青少年たちを助けてください。聖餐の儀式の中で交わす聖約を信じる信仰を働かせるよう,教えます。キリストの御名を受け,いつもキリストを覚え,その戒めを守ること。これを進んで行うことで,聖霊をいつもともにする資格にあずかることができます。聖霊の促しを受け,それを認識し,それに従って行動しているとき,彼らの奉仕の業は決して一人で行っているのではありません。

また彼らは,熱烈な祈りによって導きを求め,答えを求めて聖文を研究するなら,霊的に備えをすることができます。戒めを守ろうと努力する彼らには,聖霊がその心と思いとに語りかけ,彼らは,自分たちの助けを必要としているのは誰か,また自分たちは何ができるのか,といったことを感じ取り,知ることができます。クラスや定員会の一人一人に対してキリストの純粋な愛を感じます。

霊的な備えを進めると,自分が主の代理人であり,主の用向きを持つ者であるという自信を持てるようになります(教義と聖約64:29参照)。

評議会に参加する

青少年に,評議会の基本的な秩序と啓示を受ける力について教えてください。神により定められたこの話し合いの場には彼らも参加しますが,その機会を通じて,主の教会は統治され,個人や家族が祝福を受けています。7ビショップリック青少年委員会や定員会,クラスの会長会集会も評議の場です。そこでは,青少年は自分の義務について学び,他の人々に仕える責任を引き受けます。

評議会の構成員は,

  • 神権の鍵を持つ神権指導者の指示に対して,心を一つにして従います。

  • 義,神聖さ,信仰,美徳,忍耐,慈愛,そして兄弟愛の精神の下,互いの考えやアイデアを出し合います。

  • 一緒に働き,聖霊の導きに従って,困っている人々を助けるためにどんなことができるか,計画を立てます。

人々に仕え,教え,導く

青少年は,愛と思いやりをもって人々に仕え,教え,導くとき,救い主の方法に倣って指導をします。ジョセフ・スミス・シニア預言者ジョセフ・スミスはこう教えました。「人々に罪を捨てさせるために,手を取り,優しく見守ること以上に良い方法はありません。人々が少しでも優しさと愛を示してくれるとき,それはわたしの心にどれほどの力を与えることでしょう。」8

救い主は,一人一人が貴くかけがえのない価値を持つ存在であると教えられました(教義と聖約18:10-15参照)。イエス・キリストは御自分の命をささげ,あらゆる人が主のもとに来ることができるよう,その道を開かれました。青少年が栄光に満ちたその真理を理解できるよう,助けてください。主がしてくださったことに対して感謝の心を抱くと,真の主の僕は,愛と思いやりの精神であらゆる若い男性,あらゆる若い女性に手を差し伸べ,仕えるようになります。救い主がその人々のために全てのことを犠牲にされたのです。

イエス・キリストの福音を教える

若い男性や若い女性が,彼らにも福音を教える機会があることを認識できるよう,また彼らのできる最も大切な教えとは自分の模範を示すことであるということを理解できるよう,助けてください。青少年が預言者の言葉に従って生活し,『若人の強さのために』に書かれている標準を守るようになったら,彼らは救い主の方法に従って導きます。言葉と行いが完全に一致できれば,イエス・キリストの真の弟子とはどういうことか,身をもって実践することができます。偽善に陥らずに,主の証人となることができるのです。そうすれば,証を述べるとき,日曜日のレッスンを手伝うとき,あるいは友人に福音の真理を伝えるとき,彼らは御霊に満たされ,その言葉には人を変える力が宿ることでしょう。

救い主の方法で導く

救い主の方法で導くのは,神聖な特権であって,それに応える青少年は,家庭や教会や社会で主に仕えるときに,最善を尽くすよう求められています。救い主の方法で導く若い男性や若い女性たちは,キリストの福音のメッセージとなり,誰かの祈りの答えとなり,困っている人々に仕える天使となり,そして世を照らすキリストの光となるのです。

  1. デビッド・A・べドナー,“Youth and Family History,” lds.org/youth/family-history/leaders

  2. 2015年3月13日付,キャロル・F・マッコンキーの孫からの手紙

  3. 『手引き 第2部-教会の管理運営』3.1

  4. ロバート・D・ヘイルズ「神に対するわたしたちの義務-次の世代に対する親と指導者の使命」『リアホナ』2010年5月号,95

  5. 『手引き第2部』5参照

  6. 『手引き第2部』3.2参照

  7. 『手引き第2部』4.1参照

  8. 『歴代大管長の教え-ジョセフ・スミス-歴史2007:394428