インスティテュート
人を赦す


「人を赦す」『赦しという神の賜物 教師用資料』(2021年)

「人を赦す」『赦しという神の賜物 教師用資料』

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ベンチに座る二人のヤングアダルトの女性。一人は悲しそうな表情を浮かべ,もう一人は手を差し伸べて慰めている

第12週 教師用資料

人を赦す

この課では,生徒は人を赦すことの必要性や,そのように彼らが努めるときにイエス・キリストが果たす役割について話し合います。人から受けた傷が癒えた自分自身の経験について分かち合う機会を得ます。また,生徒は彼らを不当に扱った人を赦す力を主から受けるために何をすることができるのか判断できるでしょう。

教えるためのアイデア

第21章

わたしたちに対して罪を犯し,傷つけた人をすべて赦すように,わたしたちは命じられている

  • 生徒に第21章の中で印象に残ったことや,その箇所がなぜ自分の心に響いたのか分かち合ってもらうとよいでしょう。

  • ビデオ「わたしたちは進んでほかの人々を赦さなければならない」(3:57)見せるとよいでしょう。この中でアンダーセン長老は,第2章に紹介されている元夫を赦した女性の話を採り上げています。赦すことを可能にする主の賜物についてのこのビデオを見て,学んだことを話すよう生徒に勧めるとよいでしょう。

  • アンダーセン長老はこの章の前半で,人を赦すことについて幾つかの聖句を紹介しています:マタイ6:14-15ルカ6:36-38教義と聖約64:9-10モーサヤ26:31。これらの聖句を読み,それが人を赦すことについて何を教えているか分かち合う備えをするよう生徒に勧めてください。生徒が見つけたことを発表したら,この章の第2段落を読み直し,この項の上記の見出しと似た真理を見つけてください。それから,次の質問の中から一つ,あるいは幾つかを話し合うとよいでしょう:

    • アンダーセン長老は,わたしたちを故意に傷つけたり,何の償いもしようとしない人々について,どのようなことを教えていますか。

    • 意図的にわたしたちを傷つけたり,傷つけても悪びれた様子さえ見せない人を赦すのは,時として,特に難しく思えることがあるのはなぜでしょう。

    • 人を赦すことは努力したりもがき苦しむ価値があるのはなぜでしょうか。

  • この章の第6-7段落(「赦しとは,責任を免れたり,……」で始まる箇所)を読み直し,赦しの本質と,本質ではないことを見つけるようにしてください。それから,次の質問のいずれか一方,あるいは両方について話し合うとよいでしょう:

    • わたしたちが赦したり,癒しを受けたりするための努力を行う際,救い主が果たされる役割とは何でしょうか。

    • 人を赦すことの意味とは,責任を免れることでも,容赦することでも,打ち消すことでも,まして忘れることでもないと理解することは,なぜ役立つでしょうか。

  • 「神の憐れみ」のセクション,または,マタイ18:21-35に出ている不正な僕のたとえを読み直すか,一人の生徒に要約してもらうとよいでしょう。その後,人を赦すという神の戒めに加えて,神の憐れみについても,このたとえがどのように理解を深めてくれるか話し合ってください。

  • また,十二使徒定員会のジェフリー・R・ホランド長老が話した,赦しについて明確に述べている次の言葉を紹介して,話し合うとよいでしょう:

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ジェフリー・<strong>R</strong>・ホランド長老

「現在苦悩の中にいる人にとって,〔救い主〕がおっしゃらなかったことに注目するのは大切なことです。主は,『ほかの人のせいでつらい経験をしたからといって,それは真の苦しみやほんとうの悲しみを味わっているわけではない』とは言っておられず,『完全に赦すためには,再度不快な人間関係に戻ったり,あるいは暴力的,破壊的な環境に戻ったりしなければならない』とも言っておられません。しかし,どんなにひどく傷つくことがあろうとも,その苦しみを乗り越えることができるのは,真の癒しの道に足を踏み入れたときだけです。その道とは,『わたしに従ってきなさい』とすべての人に呼びかけるナザレのイエスが歩まれた,赦しの道です。」(「和解の務め『リアホナ』2018年11月号,79)

ほかの人たちがわたしたちに対して罪を犯しても,イエス・キリストはわたしたちの傷を癒すことがおできになる

  • 「イエス・キリストと主の贖罪に対するさらなる信仰」のセクションから,スペンサー・クリステンセンの話の一部を紹介するか,話を要約するとよいでしょう。それから,教師は次のような質問をするとよいでしょう:「ほかの人から受けた悲惨なほどの傷から,わたしたちはどのように癒されるのでしょうか。」

  • そのセクションの第1段落を全員で読み直し,この項の上記の見出しと似たような真理を見つけるとよいでしょう。また,そのセクションの第2段落も読み直して,次の質問をするとよいでしょう:

    • あらゆる人の罪の苦しみに加えて,イエス・キリストはほかにどのような代価を支払ってくださったでしょうか。

    • このことを理解すると,人を赦すうえでどのような助けになるでしょうか。

  • リチャード・ノービーの話(同じセクションの最後の2段落)を読み直し,その話の何がいちばん心に残ったか生徒に尋ねるとよいでしょう。それから次のことを話し合うとよいでしょう:

    • 救い主の犠牲と苦しみの大きさを覚えておくと,癒しを求めるわたしたちの努力にどう役立つでしょうか。

    • 人から受けたあなたの傷を癒すのを,救い主はこれまでどのように助けてくださいましたか。

イエス・キリストを信じる信仰とその贖罪に対する理解が深まれば,人を赦し,赦されたことを感じるわたしたちの力も伸びる

  • この章の「人を赦す」のセクションに登場するコリー・テン・ブームまたはクリストファー・S・ウィリアムズの話を読み直すとよいでしょう。その後,自分や家族に対してひどいことをした人を赦すことについて,それらの経験から何を学んだか分かち合うよう生徒に勧めるとよいでしょう。

    話し合いの一環として以下のビデオも役立つでしょう:

    • キース・B・マクマリンビショップはビデオ「We Must Forgive(わたしたちは赦さなければならない)」(1:56)の中で,コリー・テン・ブームと彼女がどのように赦すことができたかについての話を紹介しています(「わたしたちの義務の道」『リアホナ』2010年5月号,13も参照)。

    • ビデオ「赦し:わたしの重荷は軽くされた」(8:23)の中で,クリストファー・S・ウィリアムズは赦すことをどのように学べたか語っています。

  • この章の最後の5段落(「ラッセル・M・ネルソン大管長は……」で始まる箇所)を読み直して,人を赦すことについての真理を見つけるよう生徒に勧めてください。生徒に,見つけた真理をホワイトボードに書き出してもらいます(この中にこの項の見出しと似た真理を含めるとよいでしょう)。生徒にホワイトボードの真理から一つを選んでもらい,自分にとってどのような意味があるか話すように勧めてください。その後,以下の質問の中から一つ,またはそれ以上を尋ねるとよいでしょう:

    • 救い主は赦す力をわたしたちに授けることがおできになる,ということを理解するのはなぜ大切なのでしょうか。

    • 赦すに値しないと思える人を赦すことは,イエス・キリストの贖罪の力を理解するうえでどのように助けになるでしょうか。

    • 救い主の贖罪に頼ることにより,わたしたちが人を赦すうえでどのように助けとなるでしょうか。

    • 自分がほんとうに人を赦していることは,どのようにすれば分かるでしょうか。

  • 生徒に,だれかほかの人を赦したことにより心に癒しを感じたときのことを考えてもらいます。2,3人の生徒に,自らの経験を通して人を赦すことについて学んだことを分かち合うように勧めるとよいでしょう。わたしたちが主を信じる信仰を行使すれば,救い主は人を赦せるように助けてくださるというあなたの証を述べてください。

次回に向けて

次週のために,第22章と第23章を事前に研究してくるよう生徒に勧めてください。研究する際,以下の質問について考えるよう生徒に勧めるとよいでしょう:

  • イエス・キリストから赦しがもたらされるとすれば,重大な罪はなぜ神権指導者に告白する必要があるのでしょうか。

  • 自分が赦されたことは,どのようにして分かりますか。