2010–2019
イエス・キリストの贖罪を信じる信仰は,わたしたちの心に記されているでしょうか。
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イエス・キリストの贖罪を信じる信仰は,わたしたちの心に記されているでしょうか。

聖約を交わし,守り,喜ぶことは,イエス・キリストの贖罪が真にわたしたちの心に記されているという証拠です。

愛する姉妹の皆さん,わたしはこの大きな責任について考えながら,何か月もの間,皆さんのことを頭に思い浮かべ,心にかけてきました。与えられた責任にふさわしいとは思いませんが,この召しは主から選ばれた預言者を通して主から与えられたことを知っています。差し当たり,それで十分だと思います。聖文はこう教えています。「わたし自身の声によろうと,わたしの僕たちの声によろうと,それは同じである。」1

この召しに関連した貴重な賜物の一つは,天の御父がすべての娘たちを愛しておられるという確信です。わたしたち一人一人に対する御父の愛を感じています。

皆さん同様,わたしも聖文が大好きです。エレミヤ書の中に心の琴線に触れる聖句があります。エレミヤは困難な時代と場所で生きた人ですが,主はエレミヤに「末日にイスラエルが集合するときに,希望にあふれる時代が来ることを」予見させられました2。末日とは現代のことです。エレミヤはこう預言しています。

「それらの日の後に……わたしは,わたしの律法を彼らのうちに置き,その心にしるす 。わたしは彼らの神となり,彼らはわたしの民となると主は言われる。

……それは,彼らが小より大に至るまで皆,わたしを知るようになるからであると主は言われる。わたしは彼らの不義をゆるし,もはやその罪を思わない。」3

わたしたちはエレミヤが予見した民です。わたしたちは律法,すなわち教義を心に記すよう主にお願いしてきたでしょうか。エレミヤが述べているように贖罪を通して得られる赦しが,わたしたち個々人にも当てはまると信じているでしょうか。

数年前ジェフリー・R・ホランド長老は,開拓者たちの深い信仰についての思いを語りました。彼らはわが子を亡くした後でさえ,ソルトレーク盆地へ向かう旅を続けたのです。長老はこう述べています。「彼らがそうしたのは,プログラムのためでも,親睦のためでもありませんでした。それはイエス・キリストの福音に対する信仰が心の奥底に,骨の髄にあったからなのです。」

長老は優しい気持ちでこう述べています。

「だからこそ母親たちは,パンを入れる箱に幼いわが子を入れて埋葬し,『約束の地は必ずあるわ。わたしたちはその盆地にたどり着くのよ』と言いながら前進したのです。

聖約,教義,信仰,啓示,御霊のゆえに彼らはそのように言えたのです。」

ホランド長老は次のような示唆に富む言葉を述べています。「もしもわたしたちが家族と教会でそのような態度を維持できるならば,ほかの多くのことは自然にうまくいき始めるでしょう。恐らく,その他の多くの必要性の低い物は荷車からこぼれ落ちていくことでしょう。当時,手車に積める荷物はわずかだったと聞いています。開拓者は持ち物を選ばなければなりませんでした。わたしたちの先祖とちょうど同じように,恐らく21世紀の社会も『この手車に何を積めるだろうか』という決断をわたしたちに迫ることでしょう。手車に積む物,それはわたしたちの霊を構成し,骨の髄の要素となるものです。」4 言い換えると,わたしたちの心に記されたものです。

新しい扶助協会会長会としてわたしたちは,主の業を続けて前進させるために,扶助協会の手車に乗せるように主が望まれる最も重要な物は何かを分かるように,主に懇願してきました。天の御父はまず第1に,御父の愛する娘たちがイエス・キリストの贖罪の教義を理解する助けをするよう望んでおられると感じました。そうするときに,わたしたちの信仰と義にかなった生活をしたいという望みが深まります。第2に,家族と家庭を強めるという重大な必要性を考えながら,主は愛する娘たちに喜んで聖約を守るよう励ますことを望んでおられると感じました。聖約を守るとき,家族が強まります。最後に,困っている人を探し出し,道をそれずに進むよう助ける努力をするとき,ほかの補助組織や神権指導者たちと一致協力して働くことを望んでおられると感じました。わたしたち一人一人が心を開き,贖罪,聖約,一致という教義を,主の手により,心に深く刻み込んでいただけるよう心から祈っています。

まずわたしたち自身がイエス・キリストを信じる不動の深い信仰と,主の無窮の贖罪を自分の心に記さずに,どうして家族を強め,ほかの人を助けることができるでしょうか。今晩わたしは贖罪の3つの原則についてお話ししたいと思います。それを心に記すなら,イエス・キリストを信じる信仰を増すことができます。これらの原則を理解することで,新会員であれ,長年の会員であれ,わたしたち一人一人が祝福されるよう望んでいます。

原則1「人生の中で経験するすべての不公平なことは,イエス・キリストの贖罪によって正される。」5

わたしたちは皆さんとともに,救い主イエス・キリストの贖罪について証します。皆さんの証と同様にわたしたちの証は,霊的な成長を促す様々な困難や苦難に遭遇する中で,心に記されてきました。天の御父の完全な幸福の計画と,その計画の中心となる救い主の贖罪を理解しなければ,こうした困難は不公平に思えることでしょう。わたしたちは皆,人生の試練を受けています。でも忠実な心には,「人生の中で経験するすべての不公平なことは,イエス・キリストの贖罪によって正される」と記されているのです。

わたしたちが人生で苦難や試練に遭うことを主が容認されるのはなぜでしょうか。簡潔に言えば,それはわたしたちの成長と進歩のための計画の一部だからです。現世の生活を経験するために地上へ来る機会を頂くことを知ったとき,わたしたちは「喜び呼ばわった」のです。6 ダリン・H・オークス長老はこう教えています。「安らぎと静けさの中で生活するよりも,苦しみと逆境に囲まれて生活する方が,真の改心を早く成し遂げることが多いのです。」7

これが真実であると物語る忠実な開拓者の姉妹の例を挙げましょう。メアリー・ロイス・ウォーカーは17歳のとき,ミズーリ州セントルイスでジョン・T・モリスと結婚しました。二人は1853年に聖徒たちと一緒に平原を渡り,最初の結婚記念日を迎えてからまもなくソルトレーク盆地へ入りました。旅の途中二人は,ほかの聖徒たちと同様,窮乏生活を余儀なくされました。しかし,二人の苦難と試練は,ソルトレーク盆地へ着いた後も続きました。翌年,当時19歳であったメアリーはこう書いています。「息子が生まれました。……息子が2,3か月だったころのある晩……幼い息子を失うというささやき声が聞こえました。」

その冬,赤ん坊の健康状態が悪くなりました。「できるかぎりのことをしました。……でも赤ん坊はだんだん悪くなりました。……2月2日に亡くなり,……自分の血肉であるわが子と別れるという苦い杯を飲んだのです。」しかし彼女の試練はまだ終わりませんでした。夫も病に倒れ,赤ん坊を失った3週間後に亡くなったのです。

メアリーはこう書いています。「そこでわたしは,まだ10代で,20日という短い間に,親類からはるか遠く離れた見知らぬ地で,夫とたった一人の子を奪われました。しかも目の前には困難な問題が山積みされていました。……自分も死んで,愛する者たちのところへ行きたいと思いました。」

さらにこう続けています。「ある日曜日の夕方,わたしは友人と散歩をしていました。……夫がいないことを思い起こし,切ない孤独感に襲われて,つらい涙に暮れました。すると,頭の中に自分が登らなければならない険しい山の姿が見えてきました。しかもそれが現実のものであるという強い力を感じました。深い失望感に取り付かれました。敵はわたしたちを攻撃すべき時を知っているのです。でもわたしたちの〔救い主,イエス・キリスト〕 は救う力を持っておられます。御父から与えられた助けにより,わたしはそのときに大勢で襲いかかって来るように思えたあらゆる力と戦うことができました。」8

メアリーは19歳という若さで学びました。それは,この世の人生で経験するすべての不公平なことは,最も深い悲しみでさえ,正されることが可能であり,必ず正されるという確信を贖罪が与えてくれるということです。

原則2「贖罪には,生まれながらの人に打ち勝ち,イエス・キリストの真の弟子となれるようにしてくれる力がある。」9

福音の教義や原則をわたしたちが理解したかを知る方法があります。それは子供にも理解できるように教義や原則を教えられることです。子供に贖罪を理解するよう教えるための貴重な資料として,初等協会のレッスンに書かれたたとえがあります。恐らくこれは,わたしたちが自分の子供や孫,あるいはこの非常に重要な教義を理解したいと望むほかの宗教の友人に教えるときに役立つでしょう。

「ある〔女性〕が道を歩いていて穴に落ちました。穴は深くて,どんなにあがいても自分では這い上がれません。大声で助けを呼ぶと,うれしいことに通りがかりに人が,親切にも穴の中にはしごを降ろしてくれました。そこで穴から出て自由になることができました。」

「わたしたちはこの穴に落ちた〔女性〕と似ています。罪を犯すと穴に落ちたのと同じで,自分では出られません。親切な通行人が〔女性の〕助けを求める叫び声を聞いたように,天の御父は,わたしたちが穴から脱出できるように,独り子を送ってくださいました。イエス・キリストの贖罪は穴にはしごを降ろすことにたとえられます。わたしたちはそのはしごがあるので穴から出られます。」10 しかし救い主は,はしごを降ろしてくださるだけではありません。「穴へ降りて来られ,わたしたちが逃れるためにはしごを使えるようにしてくださるのです。」11 「穴に落ちた〔女性〕は自分ではしごを上らなければなりませんが,わたしたちも罪を悔い改めて福音の原則と儀式に従うことにより穴から出て,贖罪の効力が及ぶようにしなければなりません。こうして,わたしたちでできることをすべて行った後は,贖罪の効力が及び,わたしたちは天の御父のもとに戻る資格を得るのです。」12

先日わたしは,現代の開拓者であり,神の愛する娘である,最近チリで教会に改宗した姉妹に会う特権にあずかりました。独身の母親で,二人の幼い息子がいます。贖罪の力により,過去を捨て去り,今はイエス・キリストの真の弟子になろうと熱心に努力しています。彼女のことを思うと,デビッド・A・ベドナー長老が教えた原則が思い出されます。「イエス・キリストは地上に来てわたしたちのために死んでくださいました。そのことを知るのは大切ですし,それはキリストの教義の根本にかかわる基礎的な部分です。しかし同時に,主は贖罪を通し,そして聖霊の力により,わたしたちの内に生きて,わたしたちに導きだけでなく力を与えたいと望んでおられることも理解する必要があります。」13

このチリの姉妹と,永遠の命へ通じる道にとどまるにはどうしたらよいかについて話し合っているとき,その道を歩み続ける決意をしていると,姉妹は熱意を込めて語りました。生涯の大半,道を離れて歩んできた姉妹は,「外の世界」には自分の生活に再び取り戻したいと望むものは何もなかったと断言しました。人に能力を得させる贖罪の力が姉妹の心の中に生きています。心に記されているのです。

その力は,穴から這い上がる力を与えてくれるだけでなく,天の御父のみもとへ戻る細くて狭い道を歩み続ける力をも与えてくれます。

原則3「贖罪は,御父の子供たちに対する御父の愛を示す最大の証拠である。」

オークス長老は次のような感動的な考えを述べています。わたしたちもそれについて深く考えてみるとよいでしょう。「天の御父が,御子を遣わし,わたしたちの罪のために理解できないほどの苦しみに耐えるようにされたとき,どれほどの悲しみをお感じになったか,考えてみてください。それは,御父がわたしたち一人一人を愛しておられることの最大の証拠です。」14

そのような愛に満ちた至高の行いを知るとき,わたしたちは皆,ひざまずいて謙遜に祈り,御父が御自身の独り子,罪なき御子を遣わしてくださったほど深くわたしたちを愛しておられることに感謝するようになるでしょう。御子はわたしたちの罪,わたしたちの心痛,わたしたち自身の生活で不公平と思われるあらゆることのために苦しまれたのです。

最近,ディーター・F・ウークトドルフ管長のお話の中に出てきた女性を覚えているでしょうか。管長はこう語りました。「長年にわたって試練と悲劇に見舞われてきたある女性が涙ながらにこう言いました。『自分が古い20ドル札のような存在だということが分かってきました。しわくちゃになり,破け,汚れ,乱暴に扱われ,傷だらけになっています。それでも,わたしは20ドル札です。価値ある存在なのです。見栄えはあまり良くないかもしれませんし,くたびれて使い古されていますが,それでもわたしには十分,20ドルの価値があるのです。』」15

この女性は自分が天の御父の愛する娘であり,彼女自身を贖うために御子を遣わすほど御父にとって価値ある存在であることを知っています。教会の姉妹は皆,この女性が知っていること,すなわち自分が天の御父の愛する娘であることを知るべきです。自分が御父にとって価値ある存在だと知ると,聖約の守り方や,ほかの人を教え導きたいという願いに,どのような影響があるでしょうか。また,わたしたちと同様に贖罪を深く理解する必要のある人々を助けたいという願いが,どのように増すでしょうか。わたしたち一人一人が贖罪の教義を心に深く刻むなら,主が再臨されるときに,主から望まれるような人になっているでしょう。そして,主の真の弟子として主に認められるでしょう。

イエス・キリストの贖罪が,心に刻まれる「大きな変化」16をもたらしますように。わたしたちが,神の天使から「胸躍る大いなる喜びのおとずれ」17として告げられたこの教義に目覚めるとき,ベニヤミン王の民が感じたように感じることを約束します。贖罪が自分たちの生活に及ぼされるように熱心に祈った後,「彼らは…喜びに満たされ」18,「神の御心を行い,神から命じられるすべてのことについて神の戒めに従うという聖約を交わし」ました。19 聖約を交わし,守り,喜ぶことは,イエス・キリストの贖罪が真にわたしたちの心に記されているという証拠です。これらの原則を忘れないでください。

  1. 「人生の中で経験するすべての不公平なことは,イエス・キリストの贖罪によって正される。」20

  2. 「贖罪には,生まれながらの人に打ち勝ち,イエス・キリストの真の弟子になれるようにしてくれる力がある。」21

  3. 「贖罪は,御父の子供たちに対する御父の愛を示す最大の証拠である。」22

「それらの日の後に……わたしは,わたしの律法を彼らのうちに置き,その心にしるす。わたしは彼らの神となり,彼らはわたしの民となると主は言われる。」23 これらの贖罪の原則をわたしたちの心に記してくださるよう主に願い求めてください。これらの原則が真実であると証します。イエス・キリストの御名により,アーメン。

  1. 教義と聖約1:38

  2. 『旧約聖書―福音の教義クラス教師用手引き』(2001年),163

  3. エレミヤ31:33-34,強調付加

  4. ジェフリー・R・ホランド,「ラウンドテーブル・ディスカッション」『世界指導者訓練集会』2008年2月9日,28参照

  5. 『伝道活動のガイド―わたしの福音を宣べ伝えなさい』(2004年),52参照

  6. ヨブ38:7

  7. ダリン・H・オークス「主の望まれる者となるというチャレンジ」『リアホナ』2001年1月号,42

  8. メアリー・ロイス・ウォーカー・モリスの自伝(リンダ・キャー・バートン所有)

  9. デビッド・A・ベドナー,「贖罪と現世の旅」『リアホナ』2012年4月号,12-19参照

  10. 『初等協会7―新約聖書』(1997年),104参照

  11. ジョセフ・フィールディング・スミス,Doctrines of Christ,ブルース・R・マッコンキー編,全3巻,(1954-1956年),第1巻,123参照

  12. 『初等協会7―新約聖書』104

  13. デビッド・A・ベドナー,『リアホナ』2012年4月号,14

  14. ダリン・H・オークス「愛と律法」『リアホナ』,2009年11月号,26

  15. ディーター・F・ウークトドルフ「あなたは,わたしの手である」『リアホナ』,2010年5月号,69

  16. アルマ5:12-14参照

  17. モーサヤ3:3

  18. モーサヤ4:1-3参照

  19. モーサヤ5:2-5参照

  20. 『伝道活動のガイド―わたしの福音を宣べ伝えなさい』,52参照

  21. デビッド・A・ベドナー,『リアホナ』2012年4月号,12-19参照

  22. ダリン・H・オークス,『リアホナ』2009年11月号,26参照

  23. エレミヤ31:33参照,強調付加