難しい聖句や分かりにくい聖句に取り組む

定義する

この話し合いを始めるに当たって，神の言葉の真実性と力，すばらしさについて話すとよいでしょう（2ニーファイ32：3；アルマ31：5参照）。聖文には神の言葉が含まれていますが，現在記録されているように，それらは完全でも完璧でもないことを指摘します（教義と聖約1：24；エテル12：24；信仰箇条1：8参照）。言語の制限，翻訳の誤り，内容の不足は，理解し難い聖句を生み出す可能性があります。（「福音トピックス」の「聖書の正確さ」の項も参照。）

生徒に次の配付資料を配り，それぞれの質問について考えることは，分かりにくい聖句や難しい聖句を読むときにどのような助けとなるかを手短に話し合います。（この聖文研究スキルは，「聖文の背景を理解する」「永遠の観点で読む」「情報源の信頼性を評価する」などのそのほかの研究スキルを理解することにかかっています。）

分かりにくい聖句や難しい聖句を見つけたときに尋ねる質問

分かりにくい聖句や難しい聖句に遭遇したら，次の質問を一つ以上尋ねるとよいでしょう。

• この聖句を背景に照らして理解することは，どのように役立つでしょうか。聖文には，わたしたちのものとは大きく異なる文化や世界観が示されていることがよくあります。聖句の背景を理解できないと，聖文を誤解しがちです。聖文研究に役立つリソースを活用してください。

• どのような情報や詳細が欠けている可能性がありますか。聖文は不完全な記録です。重要な詳細が欠けている聖句もあり，それが分かれば理解しやすくなります（1ニーファイ13：26－29；モルモン書ヤコブ3：13；ヒラマン3：14；3ニーファイ26：6参照）。

• 永遠の観点でその聖句について考えることによって，さらにどのような洞察が得られるでしょうか。一つの聖句に基づいて結論を下す際には気をつけてください。人々や教え，出来事について，ほかに知っていることについて考えてください。天の御父と御父の計画についてすでに知っていることについて考えてください。

• 頼りになる，信頼できる情報源は，どのように役立つでしょうか。神はわたしたちの最も信頼できる情報源です。分かりにくい聖句について主に祈るとき，さらなる洞察と平安を与えてくださる主の御霊を招くことができます。ほかの聖句や神の預言者の教えの中で教えられている真理も参考になるでしょう。親や教会の指導者，教師も助けてくれるでしょう。教会の出版物を始めとする信頼できる情報源から助けを得ることができます。

注：これらの質問について調べ終えても分からない場合は，今は説明できない聖句があるかもしれないことを覚えておいてください。主の時に，さらなる光と知識が与えられることをただ信頼する必要がある場合もあります（教義と聖約101：32－34参照）。

モデルを示す

今週の研究から，生徒にとって難しい，または分かりにくいと思われる聖句を一つ選んでください。この聖句に取り組むために，配付資料にある指針となる質問の幾つかをどのように使えばよいかを手短かに説明します。

あるいは，ウザが契約の箱を支えた話を記したサムエル下6：1－7を使うとよいでしょう。ウザが助けようとしたために主によって殺されたように思われるため，この話は一部の人々にとって分かりにくいかもしれないことを説明します。

• この聖句を背景に照らし合わせて理解することは，どのように役立つでしょうか。

  ある聖文研究の補助資料には，「その罰は厳しく見えますが，……〔神の〕箱は神聖な保管場所であり，指定された人だけが〔神の〕箱に触ることができると明確に警告されており，不従順の結果についても警告されていたことを覚えておかなければなりません。」（Bible Dictionary， “Uzzah”）

• どのような情報や詳細が欠けている可能性がありますか。

  聖文には，ウザや彼の意図について，あるいは神の箱に触れることについて主がイスラエルの民に与えられた指示に対する彼の理解についてあまり述べられていません（民数4：15参照）。また，この話には主の視点が記されていません。

• 永遠の観点からその聖句について考えることによって，どのような洞察がさらに得られるでしょうか。

  天の御父の神聖な特質についてわたしたちが知っていることについて考えてください。わたしたちは，神が公正であるだけでなく，憐れみ深く，思いやりのある御方であることを知っています（モーセ7：30参照）。主は，まず警告することなしに人々を滅ぼされることはありません（2ニーファイ25：9参照）。愛にあふれた御父であられる神の望みは，御自分の子供たちを助け，祝福をもたらすことです（2ニーファイ26：24参照）。この話には，この幾つかの節に記録されていない事柄もあるでしょう。

• 頼りになる，信頼できる情報源は，どのように役立つでしょうか。

  主は末日の啓示の中でこの出来事について言及し，神が召された人々に指示を与える（または「神の箱を支える」）べきではないという原則を教えられました。神は，御心を明らかにし，地上の神の王国を導くために預言者と使徒を任命されます（教義と聖約85：6－8参照）。

  ウザと神の箱について，デビッド・O・マッケイ大管長は，主の権能なしに主の業を導いたり正そうとしたりすることには危険があると教えました（Conference Report，1936年4月，60参照。『教義と聖約生徒用資料』457も参照）。

練習する

生徒にとって難しい聖句や分かりにくい聖句を選んでもらうとよいでしょう。このレッスンの配付資料を使って，難しい聖句について（二人一組で，小グループで，またはクラス全体で）話し合ってもらいます。または，以下の聖句から一つ選んで研究してもらいましょう。

練習のためのその他の聖句：

• 列王下2：23－25。エリシャが何人かの子供たちをのろい，クマが彼らを襲った。

• マタイ15：21－28。救い主が，カナンの女性の娘を癒される。

• 使徒5：1－11。アナニヤとサッピラは欺きのわなに陥り，死んだ。

• 1ニーファイ4：10－18。ニーファイが，ラバンを殺すよう命じられる。

招き，フォローアップする

次に難しい聖句や分かりにくい聖句を研究する際に，配付資料の質問を使うよう生徒に勧めます。クラスの話し合いの中で，難しい聖句や分かりにくい句に遭遇したら，質問を使うよう生徒を招く機会を探してください。