「教義のバランスを保つ」『聖文研究のスキル』
教義のバランスを保つ
定義する
教義のバランスとは,神が明らかにされた別の関連する真理に照らして,ある教義の要点に適切な焦点や重みを持たせることであると説明します。生徒がこのスキルを理解できるよう,次の言葉を共有するとよいでしょう。
「真理の断片を取って,それが全体であるかのように扱うのはきわめて愚かなことです。」(Joseph F. Smith, Gospel Doctrine, 5th ed. [1939], 122)
「聖文の中には,互いに補足し合う教えや調節機能を持った教えがあり,それによって偏りのない真理の知識が明らかになってきます。」(ボイド・K・パッカー「私たちの生まれ」『聖徒の道』1985年1月号,66)
生徒に,聖文を研究し,福音の教えを見つける際,次のことを自問してもらいます。
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この教えをほかの福音の真理から切り離して理解したり応用したりしようとすると,どのような不均衡が生じる可能性があるだろうか。
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この福音の教えに対してバランスを加減するべきほかの真理には,どのようなものがあるだろうか。
モデルを示す
次の例を使うか,自分で考えたものを使ってこのスキルを実際にやって見せるとよいでしょう。
マタイ22:39を読んで,自分を愛するようにほかの人々を愛するという主の戒めを見つけてください。
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この戒めがほかの福音の真理から切り離されると,どのような不均衡が生じる可能性がありますか。 |
もしもだれかが,愛と思いやりをもって人々に手を差し伸べることに,神の律法に反する選択を容認することが含まれると考えた場合,不均衡が生じる可能性があります。また,人に対する愛ゆえに,神の律法の重要性を過小評価したり,律法について謝ったりすると,バランスが崩れます。 |
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この福音の教えに対してバランスを加減するべきほかの真理には,どのようなものがあるでしょうか。 |
大切な第一の戒めは神を愛することであり,これには神の律法に従い,神を恥としないことが含まれることを心に留めるとよいでしょう(マタイ22:37-38;ローマ1:16参照)。神はまた,イエス・キリストのもとに来て悔い改めるように人々を招くよう,命じられました(教義と聖約18:14-16参照)。神の律法に従って生活するよう人々を招くことは,神と神の子供たちに対する愛の表れです。 |
「帰りなさい,今後はもう罪をおかさないように」(3:21)のビデオを見せるかヨハネ8:1-11の説明を読んでもよいでしょう。生徒たちに,人々を愛するという戒めと,神の律法に対する献身とのバランスの模範を救い主がどのように示されたか,見つけてもらいます。
練習する
今週読む聖文の範囲から,適切に理解し応用するために別の真理とのバランスを取る必要のある真理を教えている聖句を一つ選んでください。または,以下の聖句から選ぶこともできます。生徒たちに,この聖句を研究し,次の事柄を見つけてもらいます。
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聖句が教えている福音の真理
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この真理がほかの福音の教えから切り離された場合に生じる可能性のある不均衡
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この真理にバランスをもたらす福音の教え
生徒に,見つけたことをクラスまたは少人数のグループで発表してもらいます。
練習のためのその他の聖句:
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イザヤ63:1-6。イザヤは,再臨は報復と滅亡の日であると教える。
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マルコ11:24。救い主は,弟子たちが信仰をもって祈るものは何でも与えられると教えられる。
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エペソ2:8-9。パウロは,わたしたちは行いではなく,信仰を通して恵みにより救われると教える。
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アルマ34:32-33。アミュレクは,この世の生涯は神に会う備えをする時だと教えている。
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教義と聖約64:2,4。主は,御自身が憐れみ深く慈悲に富んだ御方であると教えておられる。
招き,フォローアップする
聖文と福音を研究する際に教義のバランスを保つ練習をするよう,生徒に勧めます。忘れずにフォローアップを行い,このスキルを使って個人学習で見つけたことを発表する時間を取りましょう。また,このスキルが,聖文で教えられている福音の真理をよりよく理解するうえでどのように役立つかを,生徒に発表してもらってもよいでしょう。クラスでこのスキルを引き続き練習する機会を探してください。