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今日の話し合い—4

将来に向けて貯蓄と投資をする

読む:前の章では,投資とは,ある種の見返りを期待しつつ,時間や手間,お金を何かに投じることだと学びました。お金を投資する理由の一つは,退職時に十分なお金があるようにすることです。

エズラ・タフト・ベンソン大管長はこのように教えています。「退職とそれに続く生活を迎えるに当たり,わたしたちはすべての……会員に,退職後の生活を質素なものとして計画するように勧めます。」(『歴代大管長の教え—エズラ・タフト・ベンソン大管長』192)退職後に役立つ政府のプログラムまたは社会制度があるかもしれませんが,こういったものから得られる金額を,自分の貯蓄や投資で補う必要に迫られる可能性が高いでしょう。今,備えを怠れば,退職後に自立するに十分な収入や貯蓄を準備できないかもしれません。

話し合う:退職後に快適に過ごすためのお金が不足する場合,どのようなことが起こるでしょうか。

1.退職後の目標を立てる

読む:退職に向けて貯蓄を始める前に,幾ら必要になるか見積もりを立てるとよいでしょう。まずは,この簡単な公式から始めてみましょう—

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退職後の公式

どれだけ長生きするかは予想できませんが,退職の時期は予想がつきます。また退職後,何年くらい生きるかを想定することもできます。世界中でほとんどの人が,60歳から70歳くらいで退職します。その後,20年から30年は生きるでしょう。

注—投資財産は退職後も膨らみ続けるため,退職時にこの金額が必ずしも必要にならないかもしれませんが,この金額について考えることは,よいきっかけとなるでしょう。

2.複利を理解する

読む:複利は,退職時に十分なお金を備えるための鍵になります。複利とは,利息に対するさらなる利息を得ることであり,通常,パーセントまたは利回りとして表されます。最初の利息が支払われると,その利息は元本に追加されます。すると,増額した元本はさらに増え続けます。

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複利

読む:利回りのよい投資は,退職後に向けて十分な貯蓄をするうえで役立つ場合がよくあります。ほとんどの人にとって,定期的に大きな額を投資するよりも,時間をかけて少しずつ投資する方が簡単です。月々定額を投資するなどします。以下の例は,30年間,異なる利回りで月々1万円ずつ投資したときの総額を示しています。これが複利の力です。

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複利のチャート

話し合う:時間と利回りは,投資総額にどのような影響を与えるでしょうか。

3.リスクとリターンの関係を理解する

読む:これまで見てきたように,利回りはとても大きな影響を持つものです。必要なことは,単純に言って,利回りの高いものに投資することのように思えます。しかし,それほど単純ではありません。次の表が示している通り,すべての投資には,リスクとリターンの関係が伴います。通常,リターン率が低いほど,その投資によりお金を失うリスクも低くなります。反対に,高いリターン率が見込めるものほど,お金を失うリスクの見込みも高まります。

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リスク対リターン

4.投資の選択肢を検討する

読む:投資の選択肢を検討する際,幾つかの基本事項を知っておくと役立ちます。ほとんどの投資は二種類に分かれます。利回りが固定のものと,変動のものです。

固定金利では,利率の上下がなく,一定のままです。固定金利の貯蓄や投資の例には,普通預金口座や譲渡性預金,債券などがあります。多くの場合,固定金利投資は利回りが低く,変動金利の投資商品よりもリスクが低いと考えられています。

変動金利では,リターン額が上下するため,利益を出す場合も,損失を出す可能性もあります。変動金利の投資の例には,株,投資信託,事業所有権,不動産などがあります。通常,変動金利の投資は,固定金利の投資よりもリスクが高いと考えられていますが,高いリターンが見込めます。

分散投資とは,複数の投資商品にお金を分けて費やすことです。複数商品への投資や複数種類への投資は,リスク軽減に役立ちます。

投資の種類について,詳しくは,今週各自でこの章末の「リソース」の項を読んでください。

話し合う:グループの全員がよく理解できたと感じるまで,以下の概念についてグループで復習しましょう。

  • 複利

  • リスク対リターン

  • 固定金利

  • 変動金利

  • 分散投資

5.退職金口座の選択肢を調べる

読む:通常,投資に対して何らかの税金を支払う必要が生じます。事実,投資する際,税金は考慮すべき最大の経費の一つです。幸い,多くの政府は,特別な税制上のメリットをもつ退職金口座を認めています。これについて理解しておくとよいでしょう。このような投資口座は,雇用主や個人が出資しているもので,口座内で株や債券,投資信託などに投資することができます。居住地域によってこの口座の名称は異なりますが,基本的な税制上のメリットは似通っており,大まかに言って二種類に分かれます—課税が繰り延べられるものと非課税のものです。

課税繰延:課税が繰り延べられる口座への積立金は,通常積立を行った年度の所得から控除することができますが,退職後に引き出す際には,その時点で課されている税率で課税されます。利回りが低い,あるいは期間が短いために,投資金が大幅に増大する見込みがない場合,課税率の低い退職時まで所得税の支払いを繰り延べすることにより節税することができるかもしれません。

非課税:非課税口座への積み立ては,当初,税金面でのメリットはありません。こういった口座の場合,積立金を稼いだ年に課税されますが,その後発生する利益や引き出しについては課税されません。利回りが高い,あるいは期間が長期にわたるために,投資が大幅に増大する見込みがある場合には,非課税口座を使って節税することができるでしょう。

お分かりのように,どのような口座を選ぶかにより,税金を前払いするか,払い戻しの際に支払うかが決まります。状況によって,どちらかが自分にとってより有利に働くでしょう。

6.退職に向けて,できるだけ早く貯蓄を始める

読む:予備金が貯まり,負債を完済したら,できるだけ早く退職時に向けて貯蓄を始めるべきです。退職に向けて貯蓄を開始する時期が早いほど,資産を育てる期間が長くなり,退職時に使えるお金が増える可能性が高まります。

退職後に向けて貯蓄を始めるのに優れた方法の一つは,雇用主が後援する退職計画です。雇用者が何らかの退職金口座を提供しており,積立金に対して補助金が出る場合は,ぜひ利用しましょう。補助金は,自分用の貯蓄を積み立てるだけで支払われるボーナスや昇給のようなものです。

次の活動は,長期にわたる定期的な投資がもたらす影響力を示すためのものです。

家族評議会の中で,退職時への備えについて話し合う

読む:今週の家族評議会で,退職後に向けた計画について話し合いましょう。幾ら必要になるか,いつ退職したいか,また退職時の財政状況を見積もります。貯蓄したい金額を書き留め,毎月,退職時のために取り置きできる金額を決めます。退職時に備えてできるだけ早く貯蓄を始めることは重要ですが,予備金を蓄え,負債を完済することがまず先決です。話し合いの中で,以下の「家族評議会の話し合いサンプル」を活用するとよいでしょう。

家族評議会の話し合いサンプル

御霊を招くために,始まりと終わりに必ず祈るようにします。

パート1:振り返り

  • 現在の財政上の優先事項に則っていますか。

  • 現在,退職時にどのように備えていますか。

パート2:計画

  • いつ退職したいですか。

  • 必要を満たすには,毎年幾ら必要になるでしょうか。

  • 幾ら貯蓄する必要がありますか。

  • 退職時の財政状況はどのようなものとなる見通しでしょうか。マイホームはありますか。まだ住宅ローンを支払い続けていますか。夫婦伝道に出る備えをしていますか。家族を支援する必要はありますか。生活費は,今よりも上がるでしょうか,下がるでしょうか。