2023年ディボーショナル
真理を擁護する


真理を擁護する

ヤングアダルトのためのワールドワイド・ディボーショナル

2023年5月21日(日)

ダリン・H・オークス管長:美しい音楽に感謝します。ギルバート長老,すばらしい紹介もありがとうございます。

卒業間近の高校生を含め,愛するヤングアダルトの皆さん,オークス姉妹とわたしはこの大切なディボーショナルで話せることをうれしく思います。現代において,だれしもストレスを抱えています。しかし,イエス・キリストの福音は,喜ぶ理由を十分に与えてくれるものです。神は預言者を通して逆境を乗り越えるというチャレンジを与えておられ,イエス・キリストの教えは永遠の命という神聖な行く末に向かって勝利を得る道のりを示しています。

I.

皆さんのような聴衆に向け,ラッセル・M・ネルソン大管長は次の重要な対処法を教えています:「世がさらに世俗的になり,霊性を欠く中,皆さんの成長はより霊的で世俗的でないものであるべきです。流行に囚われず,原則を擁護しましょう。」

その後,大管長はこのディボーショナルのタイトルにもなっているこのようなチャレンジを残しました。「真理が政治的に人気を得ていなくても,真理を知り,擁護してください。」1

現世におけるわたしたちの目標と,わたしたちが勝利を得るために歩むべき道は,救いの計画の中で,また近年の「家族—世界への宣言」の中で与えられています。ネルソン大管長の次の貴重な要約にある視点について考えてください。

「人生は一幕の劇ではなく,前世は実際に存在し,死後の生活もあり,前世と現世は,現世の後の生活に先立つものに過ぎません。預言者により明らかにされた3つの栄光の階級の知識により,来世での可能性を垣間見ることができます。永遠の命は輝かしく,探求に値します。」2

末日聖徒として,わたしたちは現世の目的についてより理解を与えてくれる現代の啓示に恵まれています。ネルソン大管長が言ったように,わたしたちは現世を一幕の劇とは見なしません。永遠の旅路には少なくとも3つの幕があります。第1幕は前世です。次は第2幕の現世です。死後の生活は第3幕です。この最後の幕には,これまで生を受けたすべての人の文字どおりの復活と,最後の裁きによって,行いや決断,望みに応じて栄光の王国に割り当てられることが含まれます。

回復されたイエス・キリストの福音により,愛に満ちた天の御父がその子供たちに用意された救いの計画の真理を独自の方法で知ることができます。

第2幕である,地上での人生の目的は永遠の命の行く末に向かい成長することです。それは,神の戒めに反する多くの誘惑を含め,モルモン書ですべての事物の反対とされていることを克服することで達成します。誘惑に遭って打ち勝ち,正しいことを選び,誤った選びをした際は悔い改め,神に近づくことで,神の子供として現世の目的である永遠の成長が得られます。

聖霊の賜物を持ち,現代の啓示という光を受けているわたしたちには多くの洞察が与えられています。例えば,モルモン書には,「熱心に求める人は見いだすであろう。神の奥義は聖霊の力によって,……明らかにされる」3であろうと約束されています。この声の届く範囲にいる神の子供たちを含む,愛するすべての人々が招きに従って行動し,真理を知るよう祈っています。

Ⅱ.

最初の真理は結婚に関するものです。結婚は現世とその後の目的の中心を成します。わたしたちは,増えよ,地に満ちよという戒めに従う能力を与えられた,愛に満ちた天の御父の子供です。創造の力は,わたしたちが現世で持つ最も貴い賜物の一つです。しかし,その賜物の中心を成すのが純潔の律法であり,それは生殖の力が男女間の結婚でのみ用いられるべきとする戒めです。この戒めはイエス・キリストの福音の中心を成すものです。そのため,わたしたちは異なる価値観を持ち,周囲で一般的とされる特定の行動を控えるのです。

結婚の定義や結婚そのものに対するわたしたちの姿勢は,その一例です。教会の指導者は,アメリカにおける結婚の性質とその基準が最近変わっていることを特に懸念しています。これには,一部の若い末日聖徒の男女を含め,結婚を先延ばしにする,合衆国市民の傾向が高まっていることも含まれます。その傾向を示す,結婚に関する二つの表を見てみましょう。数字はアメリカのものではあるものの,世界規模の問題を示しています。

最初の表は,アメリカ国内で結婚したことのある人の数が大幅に減少していることを示しています。過去30年間で,この割合は男女とも8-9パーセント減少しています。アメリカにおいて婚姻数は明らかに減少しています。

二つ目の表は,若い末日聖徒の婚姻年齢が高くなっていることを示しています。こちらは,末日聖徒の男女の初婚時の平均年齢を表しています。男女ともに5歳ほど上昇しているのが分かります。4

若い末日聖徒の結婚が故意に大幅に遅らされることでどのような機会が失われ,祝福が後送りになるか考えてみてください。夫婦間で起きる個人の重要な成長,すなわち犠牲を払うことや謙虚であることといった特質の成長の遅れ,また神の王国を築くためにともに働く機会が減ることを意味し,何より,福音という祝福を受けて誕生する子供が減少することを意味します。それを皆さんは既に御存じでしょう。独身者の多くが自分ではどうにもできない理由で早く結婚できないでいることを指導者も知っています。それを知っていただきたいと思います。後で詳しくお話しします。

クリステン,加えることがあればお願いします。

クリステン・M・オークス姉妹:はい。事実,結婚は贈り物です。結婚は,子供を与えてくれるだけでなく,互いに成長する旅路を始める機会と動機付けを与えてくれます。ほかではあまりできない方法で,犠牲を払うことや,奉仕することを学びます。

独身だった頃,わたしは常に奉仕する機会を探すようにしていました。今では,毎晩夕食時に,奉仕する相手が真向かいに座ります。夫をさらに愛し,助ける方法を学びます。ともに笑い,ともに泣く友達がいます。擁護してくれる人,教師,応援団長として今度は相手が助けてくれます。結婚にはコミュニケーションの取り方と物の見方を学ぶ機会が組み込まれています。結婚関係がより大きな何かとつながり,救い主に近づくことで,人生はより良くなることをお伝えしたいと思います。皆さんにも同様のことを望んでいます。

「レ・ミゼラブル」の劇に,「だれかを愛することは神の顔を見ることだ」というセリフがあります。5結婚以上にそれが起きる場はありません。

オークス管長:最近の全国的な世論調査で,子供を持つことの重要性を感じる人が過去25年で66パーセントから33パーセントに低下していることからも明らかなように,この世は子供を持つことを遅らせ,またその意義自体を低く評価する傾向にあります。6

クリステンとわたしは,クリステンの妹がかつて幼い孫に言われたことをきっかけに,子供の大切さを軽視するこの国の現状が,回復された教会にとってどのような意味を持つのかを考えました。二人が『フレンド』を読み,イエス様の絵を見ていると,彼女は救い主が御自分のもとに来るよう子供たちを招いておられる絵を不思議そうに見ていました。4歳のアンダーズは,次の霊感に満ちた説明をしました。「分からないの?イエス様は子供を愛しているんだよ。」

愛に満ちた天の御父はヤングアダルトのための計画をお持ちであり,そこには結婚と子供も含まれます。

さて,余談として,デートと単に何か一緒にすることについて以前教えたことを分かち合います。2005年,今いる最年長のヤングアダルトが12歳くらい,残りの皆さんが幼いか,まだ生まれていないかくらいの時のものです。

教会は長年,青少年に16歳未満でデートをしないよう勧告してきました。ヤングアダルト,特に男性の中には,その賢明な勧告を過度に受け入れ,26歳,あるいは36歳までデートしないと決めた人がいるかもしれません。さて,2005年にさかのぼり,このビデオを観てみましょう。

オークス管長〔ビデオ〕:「男性の皆さん,伝道から帰還し,15歳のときに従うよう勧告された指示にまだ従っているなら,成長する時です。勇気を奮い,二人で会える相手を探しましょう。様々なデート,様々な女性と知り合い,見込みがあれば,交際を進めます。結婚の時です。それは主が御自分の若い息子,娘に期待されていることです。男性は率先して取り組むべきです。デートが何か分からない場合,この定義が役立つでしょう。18歳の孫娘から聞きました。3つの『P』に当てはまる必要があります。(1)プランは前もってする,(2)ペイ(つまり支払い)をする,(3)ペアになる。……

独身の若い友人の皆さん,異性とはタッチフットボールのスポーツチームを組むためなどではなく,結婚の可能性へと通じるデートを行う付き合い方をするようお勧めします。少なくとも子供たちをもうけるまでは,結婚はグループ活動ではありません。」7

〔ビデオ終了〕

独身男性に対するメッセージを涼しい顔で聞いていた姉妹の皆さん,これからクリステン姉妹が独身女性へメッセージを分かち合います。

オークス姉妹:オークス管長,あのデートに関するビデオは大分古いですが,結婚の前にはデートがあるという原則は変わりません。

わたしは53歳で結婚したので,ふさわしい伴侶を待ち望む気持ち,待ち遠しさと心痛で枕に涙する気持ちが分かります。しかし,経験から,待ち望む雄々しい姉妹たちに対する主の愛について証することができます。そして,同様のことを望む信仰深い兄弟たちにも心を寄せています。辛さは現実のものです。お付き合いする,また,しないといったことにもストレスが伴います。

わたしの信仰,また将来が試されていると思えたとき,福音に従うため最善を尽くしているのに人生がなぜこれほど難しいか疑問に思ったとき,時に,自分が何か間違ったことをしているからなのかもしれないと感じました。何も間違ってなどはいませんでした。

ミッシェル・D・クレーグ姉妹が言ったように,「試練は計画の失敗を意味するのでは〔ありません〕。」計画は成長を含み,わたしたちが神を求めるためのものです。クレーグ姉妹は次の言葉を付け加えています。「天の御父は〔皆さん〕が快適に過ごすよりも,イエス・キリストの弟子として成長する方に関心をお持ちで〔す〕。」8

もし,結婚の見通しを待つために時間を費やしているとすれば,待つのをやめ,備えを始めてください。教育や経験,計画によって,人生に備えましょう。幸福が訪れるのを待たないでください。奉仕と学習の機会を探し求めましょう。そして何よりも,主を信頼し,「日々主の御名を呼び,……将来の出来事を確固として信じ続けて」9ください。そうするときに,幸福がもたらされると約束します。

オークス管長:オークス姉妹から,姉妹の皆さんへの価値ある助言でした。彼女の勧告は古いものではありません。わたしの,独身男性に対する勧告も実際古くはないです。イエス・キリストの教会の指導者は,20年前と同じように結婚に関して懸念があります。その懸念には,若い既婚者が購入できる住宅の不足や奨学金の返済の問題などがあります。

皆さんがよく知っているように,この状況を作った原因は皆さんにはなく,皆さんは被害者です。ではどうすればよいのでしょう。わたしや皆さんの祖父母が若いころの住宅市場とは異なる現状で信仰をもって前進し,最善を尽くしてください。特に,奨学金の負債を最低限に抑えてください。

神の計画において,全てが享受可能です。しかし,それはこの世が指揮する順序とは異なります。神の計画と先人たちの善き模範を皆さんに思い起こしてもらうことが助けになればと思います。初期の開拓者たちは,霊的安全を求め,家族を山岳部西部に導くために家や資産を後にしました。今日,物質的資産を求めるがゆえに霊的な安全や家族を離れることのないよう,皆さんに強くお勧めします。

Ⅲ.

では,ここにいる愛する高校生の皆さんが気にかけている問題についてお話しします。

全国的に,皆さんと同年代の人々が不安症に悩まされ,薬物の被害を受け,ソーシャルメディアに依存し,記録的な数でカウンセリングを求めています。こうした影響を皆さんも受けます。しかし,良い知らせ,福音はこれを上回るものです。

皆さんは自分が神の子供であり,特別で神聖な受け継ぎがあることを知っています。神は皆さんを愛しておられます。神は力強い助言者で,教えられている方法で主を求めれば助けを得られることが約束されています。自分が神の愛する子だという力強い真理を心の中で,また自分の優先順位を決める中で確立してください。神の愛は,人生で直面するあらゆる問題に立ち向かう自尊心と強さ,そして動機を与えてくれます。そして,主の僕たちが皆さんを愛していることを決して忘れないでください。わたしたちは皆さんを愛しています。

会員の少ない州に住む16歳の少女から,先日貴重な手紙を受け取りました。少女を仮に「エイミー」と呼びましょう。彼女の手紙は,教会の全ての若人に共通する気持ちを表しており重要です。エイミーの長い手紙の一部にこうあります。皆さんの一人に彼女の言葉を読むよう依頼しています。

エイミー:「教会のメッセージが矛盾し,混乱を招くものだと感じることがあります。日々生活する中で,ソーシャルメディア上で末日聖徒イエス・キリスト教会の会員が,福音を軽視する様子が見受けられることがあります。ワードで世のおかしな点が見えている若い女性は自分だけのように思うことがあります。教会の多くの青少年がなぜ,人々が性別を変えたり,同性の人とデートしたり,自分がノンジェンダー(性別がない)と語ることを問題視しないのか理解できません。

ワードやステークの青少年の活動では,どの性別として見られたいか尋ねられ,学校では自分が男の子だと思っている女の子とダンスするよう言われたりします。すべての人を愛し,敬意を示すべきことは分かりますし,そうしています。ただ,一線を越えているように感じます。この問題について教会指導者からの声がもっとあればと思います。」10

オークス管長:高校3年生の若い女性の手紙です。なぜ彼女の手紙は深く心を打つのでしょう。正しいことをしたいと思いながらも,誤っていると感じる価値観や行動に囲まれ,ただどうすればよいのか分からないのです。真理のために立ち上がりたいものの,それをどのように愛をもって行うことができるのか分からないのです。エンサインカレッジのヤングアダルトを対象としたディボーショナルで,クラーク・G・ギルバート長老とわたしは,真理を宣言しながら愛をもって堅く立つことについて説明しました。わたしたちは知っている真理を妥協することなく,人々を愛し,共通点を見いだすことができます。11

エイミーは手紙の中で,性の混乱を感じている教会の友人について語っています。これは性別違和と呼ばれる状態です。この混乱は,人の人生の様々な時期に様々な形をとることがあります。ですから,そのような影響を受けている人や家族は,長期的視野を持ち,永遠の原則に頼り,行動するよう努めるべきです。わたしはしばらく,このテーマについて深く考えてきました。このような問題に直面する人々を思い,気にかける気持ちで,そのような混乱の中で助けとなる,イエス・キリストの福音が明らかにしている尊い真理をいくつか強調するよう霊感を受けました。

若い男性と女性,教会指導者,セミナリー・インスティテュートの指導者,教師,両親には,イエス・キリストの回復された福音の真理を教える責任と霊感があります。天の御父の救いの計画,イエス・キリストの贖罪,バプテスマを受けたときに交わした聖約,安息日に毎週聖餐を受けることによって新たにする聖約の原則を土台とした,貴重な小冊子,『青少年の強さのために』があります。最初のページには次の約束が含まれています。「ここに書かれている真理を指針とするなら,皆さんは霊感に基づいた選択をすることができるようになり,この世から永遠にわたって祝福を受けるでしょう。」12

イエス様は,大切な戒めは何かと尋ねられたとき,二つをお与えになりました。第一に,神の戒めを守ることによって示すことのできる,神を愛するということ。第二は,隣人を愛することです。13両方を行わなければなりませんが,それは容易なことではありません。わたしたちの多くは,隣人を愛することをないがしろにし,律法(戒め)を守ることを強調しすぎる傾向にあります。法律の訓練を受けているわたしも,その傾向にあります。結局のところ,神を愛し,神の戒めを守ることによって神への愛を示すことが,第一の偉大な戒めです。そして,律法に従っているかどうかで自分自身やほかの人を裁くのは簡単です。しかし,わたしたち一人一人に欠かせないのは,「同様の」142番目の戒めを守ることであり,イエスがわたしたちを愛しておられるように隣人を愛することなのです。15

二つの大切な戒めを合わせて守ることに関して,わたしの好きな神聖な模範は,問題に直面された救い主の行動にあります。ヨハネの第8章には,律法学者とパリサイ人の一団が,イエスに裁かせるために女性を連れて来た様子があります。彼らの動機は,モーセの律法か,モーセの律法にある死刑が認められないローマの律法のいずれかに反することを選ばせて救い主にわなを仕掛けることでした。しかし,イエスがわなを避け,二つの大切な戒めの両方を適用することについて力強い教訓を残されたということは,今日のわたしたちにとって価値のある模範です。

第1に,救い主は,律法の迅速な適用を求めた人々を効果的に無防備にされました。自身を吟味するよう伝えたのです。「あなたがたの中で罪のない者が,まずこの女に石を投げつけるがよい。」16自身を恥じた群衆が去ったとき,救い主は愛の力を用いられました。主は憐れみ深く,女性を非難することを拒み,愛ある行いによって彼女は新しい生活に引き上げられました。律法は,悔い改めを含む,彼女の人生の全容が裁かれるときに適用されます。しかし,その前にあって,救い主は非難することを控え,愛と憐れみを示し,「もう罪を犯さないように」と言って律法を肯定されました。17

霊感あるタイミングで,律法と愛の両方を合わせて適用する必要性は常にあります。クリストファーソン長老は次の言葉で思い起こさせてくれています。「第一の戒めを第一にすることで,第二の戒めを守るわたしたちの能力が弱まったり,制限されたりすることはありません。むしろ,その力は増し加わり,強められます。……わたしたちは実質的に,神と力を合わせて神の子供たちの世話をしているため,神を愛することで,ほかの人々をもっと十分に,もっと完全に愛する能力が高まるのです。」18

次の二つの言葉について考えてみてください。一つはBYUの最近の話者から,もう一人は中央幹部からのものです。

「主イエス・キリストの大いなる贖いの犠牲における救いの計画の全貌は,わたしたちが他者との深いつながりにおいて愛そのものとも言える存在になることを可能にしてくれます。……

それは,家族に関する宣言にある貴い真理を含め,戒めとすべての預言者の導きは,わたしたちが愛そのものとも呼べる存在となるため,神の方法で導いてくれるものであることを教えています。」19

続いて別の引用です。

「神を喜ばせる前に,人を喜ばせようとすることは,いちばん大切な戒めと2番目に大切な戒めの順番を逆にすることです。どちらを向くべきかを忘れるということです。しかし,だれもがこの過ちを犯します。 人を恐れるからです。……

偉大な模範者である救い主は,いつも御父の方を向いておられました。主は御自身に従う者,特に,救いの手を求める者を愛し,そのような人々に仕えられましたが,こう言っておられます。『わたしは人からの誉を受けることはしない。』(ヨハネ5:41)主は御自分から教えを受ける者が御自分に従うことは望まれましたが,その人から好意を受けることは求められませんでした。」20

愛と律法に関するこれらの記述は,どちらも神がわたしたちに行うよう命じられた真の指針です。わたしはこれまで,「愛と律法に関する二つの戒めのバランスを取る」ために絶えず〔努める〕ことについて述べましたが,21それは二つの戒めにともに完全な方法で従うことで達成できるものだと考えています。また,「性に関する問題に直面している人を,愛と尊厳をもって扱わない人は,第一〔と第二の偉大な〕戒めの教えに沿っているとは言えません。しかし,神の律法に関しては,神が男性と女性を創造されたと繰り返し明らかにしておられることを覚えておく必要があります。22そして,隣人を愛するという務めについて言えば,すべての戒めを守らない人々をも愛するように神がわたしたちに命じられたことを覚えておく必要があります。

あなたや家族,友人のだれかが,性の混乱の問題で苦しんでいるなら,福音の律法,そして忍耐強く主の道を歩むならば助けと導きを与えてくださる救い主,贖い主の愛と憐れみを用いるよう強くお勧めします。御自分を「世の光である」23と言われたイエス・キリストは,天の御父の最良の祝福を享受するために従うべき道を教えておられます。主は聖文や預言者,個人の啓示を通して教えてくださいます。主はわたしたちを愛しておられ,わたしたちが主の導きに従おうとするときに導いてくださいます。

IV.

関連があり,より身近な課題に,同性に恋愛感情を抱くというものがあります。もちろん,行動に移さなければ,気持ち自体は罪ではありません。しかし,自分や他者のそのような気持ちにどう対処すればよいでしょうか。

まずお伝えしたいのは,天の御父の創造における多様性の違いは何であれ,御父がすべての人を愛しておられ,御父の完全な幸福の計画には皆の居場所があることを覚えておくことです。わたしたちは,神の子供たちへの愛を含め,主の戒めを守ることによって主への愛を示します。

当人や家族がそのような感情を経験する際は,レッテルを貼る行為に注意が必要です。ラッセル・M・ネルソン大管長は昨年のワールドワイド・ディボーショナルでこのことを話し,レッテルを貼ることは,自分や他者への考え方を分断し,制限するもので,共通して抑圧的であると教えました。つまり「ほかの称号が,『神の子』『聖約の子供』『イエス・キリストの弟子』という永続する称号に 取って代わる,あるいは優先されるべきではないと」教えたのです。また次の警告をしています。

「これらの3つの基本的な称号と相いれない称号は,最終的に落胆をもたらすでしょう。なぜなら,それらは皆さんを永遠の命と神の日の栄えの王国へ導く力をもたないからです。」24

永遠の命と日の栄えの王国にわたしたちを導く力を持っているのは,わたしたちが交わす聖約です。ネルソン大管長は昨年,次のように教えています。

「皆さんやわたしが神と聖約を交わすと,わたしたちと神との関係は,聖約の前よりもはるかに近づきます。今やわたしたちはともに結ばれているのです。わたしたちが神と交わしている聖約のゆえに,神は決してうむことなくわたしたちを助けてくださり,わたしたちに対する神の憐れみ深い忍耐が尽きることは決してありません。わたしたちは一人一人が,神の心に特別な場所を得ています。」25

それからほんの数か月後,ネルソン大管長は,「聖約を交わして守ることで実は人生がより容易になる」ことを再度思い起こさせてくれました。「聖約を交わしてそれを守る人は皆,イエス・キリストの力にさらにあずかることができるようになります。」26

聖約を守ることで得られる個人の力に加えて,現世の試練のただ中にあって「元気を出〔すべき〕」27であるという救い主のすばらしい教えがあります。

数か月前の世界規模の説教の中で,ジェフリー・R・ホランド長老は,イエスが十字架へのはりつけの前夜にその教えを与えられたことを思い起こさせてくれました。主が直面されたあらゆる苦悩のただ中にあって,どのように元気を出すことができるでしょうか。ホランド長老はこう説明しています。

「最後の晩餐を覆っていたであろう不穏な空気の中ですら,キリストは『元気を出〔す〕』〔ヨハネ16:33〕理由と務めを弟子たちに思い起こさせました。

……主がこれほどの信仰と希望,慈愛を示されたのは,結末を御存じだったからです。主は,終わりの時に義が勝利を収めることを御存じでした。光は常に,ずっと,永遠に闇に打ち勝つことを御存じでした。」28

クリステン,愛する皆さんへ,結びの言葉をお願いできますか。

オークス姉妹:ここで述べたすべてのことは,わたしたちの生活に祝福をもたらすものです。わたしたちは,イスラエルの子らが荒れ野で毒蛇に襲われた話を知っています。しかし今晩は皆さんのお話でもあります。神が命じられたように,モーセはわたしたちの救い主イエス・キリストを象徴する杖を作りました。その後,モーセはすべての人に,見上げるよう呼びかけ,傷は癒されました。

今,イスラエルの民と同様,わたしたちも,神聖だと見なす信条のゆえに攻撃を受けています。皆さんも,神を仰ぎ見て生きてください。今晩語られた言葉,預言者の言葉,聖文,救いの計画,祝福師の祝福に目を向けてください。祈れば主がともにいてくださいます。それは皆無傷で済むということではなく,独りになることがなく,周りの悪から導かれ,守られながら前進するという意味です。真理を知り,御霊にあって喜ぶということです。神を仰ぎ見て生きるようお招きします。

V.

オークス管長:救いの計画,明らかにされている3幕について,特に現世の目的について話し,

結婚や子供に関連する役割と時期について話しました。

永遠の行く末に至る聖約の道に沿って,イエス・キリストを知り,主の愛を感じ,主と主の愛に満ちた導きを信じる信仰を持つよう熱心に努めるべきであることを教え,

神を愛し,隣人を愛するという二つの大切な戒めについて話し,両方を守るべきであることを教えてきました。

わたしたちがあらゆる問題に取り組む中で,ともに元気を出しましょう。主が世に打ち勝たれたのですから。わたしたちにもそれができます。覚えておきましょう。御父の計画は幸福の計画です。

道であり,真理であり,命であられる救い主イエス・キリストについて証します。主イエス・キリストの神聖な御名により,アーメン。