1さて、コリホルの死後、アルマは、ゾーラム人が主の道を曲げており、また彼らの指導者であるゾーラムが人々の心を迷わせて、物の言えない偶像を拝ませているという知らせを受けたので、その民の罪悪のために再び心を痛めた。
2自分の民の中に罪悪があるのを知ることは、アルマにとって深い嘆きの種であったからである。したがって、ゾーラム人がニーファイ人から別れたことで、彼は心に非常な悲しみを覚えた。
3ところで、ゾーラム人は彼らがアンテオヌムと名付けた地に集まっていた。その地はゼラヘムラの地の東にあり、ほとんど海岸に接しており、ジェルションの地の南にあって、南方の荒れ野にも接していた。その南方の荒れ野にはレーマン人が大勢いた。
4そこでニーファイ人は、ゾーラム人がレーマン人と行き来し、そのためにニーファイ人の側に大きな損害が出るのではないかとひどく恐れた。
5ところで、御言葉を説き教えることは民に正しいことを行わせるのに大きな効果があり、まことにそれは、剣やそのほか、これまで民に起こったどのようなことよりも民の心に力強い影響を及ぼしたので、アルマはこの度も神の言葉の力を使うのが望ましいと思った。
6それでアルマは、アンモンとアロンとオムナーを連れて出かけた。アルマはヒムナイをゼラヘムラの教会に残して、先の三人とミレクにいたアミュレクとゼーズロム、および自分の二人の息子を連れて行ったのである。
7このとき、アルマは長男を連れて行かなかった。その長男の名はヒラマンという。また、彼が連れて行った息子たちの名は、シブロンとコリアントンである。以上が、ゾーラム人に御言葉を宣べ伝えるために、アルマと一緒にゾーラム人の中に出かけて行った人々の名である。
8さて、ゾーラム人はニーファイ人から離反した者たちであったので、彼らは以前に御言葉を聞いていた。
9しかし彼らは、モーセの律法に従って神の戒めと神の掟を守ろうと努めなかったので、大きな過ちに陥っていた。
10また彼らは、誘惑に陥らないために神への祈りと嘆願を日々続けるようにという教会の決まりを守ろうとしなかった。
11要するに、彼らは非常に多くの点で主の道を曲げていた。それでアルマと彼の同僚たちは、彼らに御言葉を伝えようとしてその地に入って行ったのである。
12さて、彼らがその地に入ってみると、見よ、驚いたことに、ゾーラム人は会堂を幾つも建てており、一週のうちの一日を主の日と呼んで、その日に集まることにしていた。そして彼らは、アルマと彼の同僚たちがまだ一度も見たことのない方法で礼拝していた。
13彼らは会堂の中央に一つの場所、すなわち立ち台を設けていた。それは人の背丈よりも高く、その上の部分は人が一人しか立てない広さであった。
14そして、礼拝したいと思う者はだれでも、進み出てその台の上に立ち、両手を天に向けて伸ばし、大声で次のように叫ばなければならなかった。
15「聖なる、聖なる神よ、わたしたちはあなたが神でましますことを信じています。あなたが聖なる御方であり、あなたが過去に霊であり、現在も霊であり、将来もとこしえに霊であられることを、わたしたちは信じています。
16聖なる神よ、わたしたちは、あなたがわたしたちを同胞から分けられたことを信じています。わたしたちは、同胞の先祖が愚かにも同胞に伝え、彼らが今もなお受け入れている言い伝えを信じていません。しかし、あなたがわたしたちをあなたの聖なる子となるように選ばれたこと、またわたしたちにキリストが現れることはないと知らせてくださったことを、わたしたちは信じています。
17またあなたは、昨日も、今日も、とこしえに変わらない御方でまします。あなたはわたしたちを選んで、わたしたちが将来救われるようにしてくださいました。一方、わたしたちの周りの者は皆、あなたの怒りによって地獄に投げ込まれるように定められています。おお、神よ、わたしたちを聖い者としてくださったことを、わたしたちは感謝します。また、わたしたちを選んで、同胞の愚かな言い伝えに惑わされることのないようにしてくださったことを感謝します。その愚かな言い伝えは彼らを束縛してキリストを信じさせ、彼らの心を神でましますあなたから遠く引き離しています。
18おお、神よ、今一度、わたしたちが選ばれた聖なる民であることをあなたに感謝します。アーメン。」
19さて、アルマと同僚たちと彼の息子たちは、この祈りを聞いて非常に驚いた。
20見よ、すべての男が進み出て、この同じ祈りをささげたからである。
21ところで、ゾーラム人はその場所をラミアンプトムと名付けた。それは聖台という意味である。
22さて、彼らは一人残らずこの台からまったく同じ祈りを神にささげ、自分たちが神から選ばれていること、また神が自分たちを同胞の言い伝えに惑わされないようにされたこと、また心を奪われて、自分たちのまったく知らない将来のことを信じるように仕向けられることのなかったことを、自分たちの神に感謝した。
23人々は皆この方法で感謝をささげてから各々の家に帰ったが、その後は、再びその方法で感謝をささげるためにその聖台に集まるまで、神のことをまったく口にしなかった。
24さて、アルマはこれを見ると、心が痛んだ。彼らが邪悪でよこしまな民であるのを見たからである。まことに彼らが、金銀そのほかあらゆる立派な品々に執着しているのを見たからである。
25アルマはまた、彼らが心を高ぶらせて、非常に誇るようになり、高慢になっているのも見た。
26そこでアルマは、天に向かって声を上げ、叫び求めた。「おお、いつまで、おお、主よ、あなたは僕たちが肉にあってこの地上で暮らし、人の子らの中でこのようなひどい悪事を見るのをそのままにしておかれるのでしょうか。
27まことに、おお、神よ、この民はあなたに叫び求めていますが、その心は高慢にのまれています。まことに、おお、神よ、彼らは口ではあなたに叫び求めながら、俗世のむなしいものをもって、甚だしく誇り高ぶっています。
28まことに、おお、わたしの神よ、彼らの高価な衣服と小環、腕輪、金の装身具、そのほか装飾に用いるすべての高価な品々を御覧ください。まことに、彼らはそれらのものに執着していながら、あなたに叫び求め、『おお、神よ、ほかの人々は滅びますが、わたしたちはあなたにとって選ばれた民であることを、あなたに感謝します』と言っています。
29また彼らは、キリストは現れることはないと、あなたが彼らに示されたと言っています。
30おお、主なる神よ、いつまでこのような悪事と不信仰がこの民の中にあるのをお許しになるのでしょうか。おお、主よ、わたしが自分の弱さに耐えられるように、どうかわたしに力をお与えください。わたしは弱い者であり、この民の中のこのような悪がわたしを苦しめます。
31おお、主よ、わたしの心は非常に嘆いています。どうか、キリストにあってわたしを慰めてください。おお、主よ、この民の罪悪のためにこれから先わたしに降りかかるこれらの苦難を、忍耐をもって乗り切ることができるように、どうか力を得させてください。
32おお、主よ、どうかわたしを慰め、わたしに成功を収めさせてください。また、わたしとともにいる同僚のアンモンとアロン、オムナー、アミュレク、ゼーズロム、および二人の息子たちにも成功を収めさせてください。おお、主よ、これらの人々をすべて慰めてください。どうかキリストにあって彼らを慰めてください。
33民の罪悪のために彼らに降りかかる苦難に耐えることができるように、どうか彼らに力を得させてください。
34おお、主よ、どうかわたしたちがこの民をキリストにあって再びあなたのみもとに連れ戻すのに、成功を収められるようにしてください。
35まことに、おお、主よ、彼らは貴い人々であり、その多くはわたしたちの同胞です。ですから、おお、主よ、わたしたちが同胞であるこれらの人々を再びあなたのみもとに連れ戻すことができるように、わたしたちに力と知恵をお与えください。」
36さて、アルマはこれらの言葉を述べ終えると、ともにいたすべての人に手を置いた。すると見よ、アルマが手を置いたので、彼らは聖なる御霊に満たされた。
37その後、彼らはそれぞれ分かれて出かけたが、何を食べようか、何を飲もうか、何を着ようかなどと思い煩うことはまったくなかった。
38彼らが飢えることも渇くこともないように、主が彼らのために備えをされたのである。また主は、彼らに力を与え、キリストの喜びにのまれてしまう苦難のほか、彼らがどのような苦難も受けることがないようにされた。これはアルマの祈りによるものであった。彼が信仰をもって祈ったので、このようになったのである。