1 さて、わたしニーファイは、エジプトに連れて行かれた①ヨセフに関し、父が語った預言について述べる。
2 見よ、ヨセフは自分のすべての子孫について預言した。そして、彼の書き記した①預言に勝るものは少ない。彼はわたしたちと、わたしたちの将来の子孫について預言した。その預言は真鍮の版に書き記されている。
3 それで父は、ヨセフの預言について語り終えると、レーマンの子供、すなわちレーマンの息子、娘たちを呼び寄せて言った。「見よ、わたしの①長男の息子や娘であるわたしの孫たちよ、わたしの言葉に耳を傾けてほしい。
4 それは主なる神が、『あなたがたは、わたしの命令を①守るかぎり地に栄える。しかし、わたしの命令を守らなければ、わたしの前から絶たれる』と言われたからである。
5 しかし見よ、わたしの孫たちよ、わたしはあなたがたに①祝福を残さなければ、墓に入ることができない。見よ、わたしは、あなたがたが②行くべき道に従って育てられるならば、その道から離れないことを知っているからである。
6 したがって、もしあなたがたがのろわれるならば、見よ、そののろいがあなたがたから取り去られて、その責任が両親の①頭に帰するように、わたしはあなたがたに祝福を残す。
7 したがって、わたしの祝福のゆえに、主なる神はあなたがたが滅びるのを①許さず、あなたがたと子孫を、とこしえに②憐れんでくださるであろう。」
8 さて、父はレーマンの息子、娘たちに語り終えると、次にレムエルの息子、娘たちを自分の前に連れて来させた。
9 そして、父は彼らに言った。「見よ、わたしの次男の息子や娘である孫たちよ、見よ、わたしはレーマンの息子、娘たちに残した祝福と同じ祝福をあなたがたに残す。したがって、あなたがたはことごとく滅ぼされてしまうことはなく、あなたがたの子孫は、最後には祝福されるであろう。」
10 そして父は、彼らに語り終えると、見よ、①イシマエルの息子たちと、またイシマエルの家のすべての者に語った。
11 そして、彼らに語り終えると、父はサムに言った。「あなたとあなたの子孫は幸いである。あなたは弟のニーファイと同様に、地を受け継ぐからである。あなたの子孫は、ニーファイの子孫とともに数えられる。そして、あなたは弟と同じようになり、あなたの子孫は弟の子孫と同じようになる。そしてあなたは生涯、祝福を受けるであろう。」
12 そして父リーハイは、自分の心に感じるままに、また自分の内にある主の御霊に従って、自分の家のすべての者に語った後、年老いて、死んで葬られた。
13 さて、父の死後幾日もたたないうちに、レーマンとレムエル、それにイシマエルの息子たちは、主の勧告のことでわたしに腹を立てた。
14 それは、わたしニーファイが主の言葉に促されて、やむを得ず彼らに語ったからである。わたしはそれまでに多くのことを彼らに語り、父も生前に多くのことを彼らに語ってきた。そして、語ったことの多くは、わたしの造った①ほかの版に書き記してある。わたしの造ったほかの版には、歴史に関する部分が多く書き記してあるからである。
15 そして①この版には、わたし自身のことと、真鍮の版に刻まれている聖文の多くを書き記す。わたしは聖文に喜びを感じるからである。わたしは聖文について心に②深く考え、わたしの子孫の③知識となり利益となるようにこれを書き記す。
16 見よ、わたしは主に関することに①喜びを感じる。わたしの②心は、これまでに見聞きしたことを絶えず深く考えている。
17 それでも、主が深い①慈しみを、大いなる驚くべき業の中でわたしに示してくださっているにもかかわらず、わたしの心は、「おお、わたしは何と②惨めな人間なのだろう」と叫ぶ。まことに、わたしの心はわたしの肉のために苦悩し、わたしの霊はわたしの罪悪のために嘆く。
18 わたしは、非常にたやすく①まとわりつく誘惑と罪に取り囲まれている。
19 そしてわたしが喜ぼうとすると、心は罪のためにうめき苦しむ。それでもわたしは、これまでに自分がだれに頼ってきたかを知っている。
20 わたしを支えてこられたのは神である。神はわたしが荒れ野で苦難に遭っていたときに、いつもわたしを導き、また底知れない深みの海の上でも、わたしを守られた。
21 神は、わたしの肉体が燃え尽きるほどに、わたしを①愛で満たされた。
22 また、わたしの①敵を辱め、わたしの前で彼らの身を震えさせられた。
23 見よ、神は、日中はわたしの嘆願を聞き、夜は①示現によってわたしに知識を授けられた。
24 また日中、わたしは神の前に熱烈な①祈りを力強くささげ、まことにわたしの声を天に向かって上げた。すると天使たちが降って来て、わたしを教え導いた。
25 わたしの体は神の御霊の翼に乗せられて、非常に高い山の上に①運ばれて行った。そしてわたしの目は数々の偉大なことを、まことに人にとってあまりにも偉大すぎることを見た。そのためにわたしは、それらのことを書き記してはならないと告げられた。
26 おお、わたしがそれほど偉大なことを見たのであれば、そして主が、人の子らに対して御自身を低くして、それほど深い憐れみをもって人々を訪れてこられたとするならば、たとえわたしが苦難に遭ったからと言って、①どうしてわたしの心が涙し、わたしの霊が悲しみの谷にとどまり、わたしの肉体がやせ衰え、わたしの力が弱くなってよいだろうか。
27 またわたしの肉のことで、どうして罪に①負けてよいだろうか。まことに、どうして②誘惑に負けて、悪しき者がわたしの心に入って、わたしの③平安を破り、わたしの霊を苦しめるのを許してよいだろうか。わたしが敵のことで怒りを抱くのはなぜなのか。
28 目覚めよ、わたしの霊よ。もはや罪の中でしおれるな。喜べ、おお、わたしの心よ。もうわたしの①敵に場所を与えてはならない。
29 わたしの敵のことで二度と怒ってはならない。苦難のために力を弱くしてはならない。
30 喜べ、おお、わたしの心よ。主に叫び求めて言え。「おお、主よ、わたしはとこしえにあなたをほめたたえます。まことに、わたしの神であり、わたしの救いの①岩であるあなたを喜びます。
31 おお、主よ、わたしを贖ってください。わたしを敵の手からお救いください。わたしが①罪の兆しに震えおののくようにしてください。
32 わたしの①心は打ち砕かれており、わたしの霊は悔いていますので、地獄の門がいつもわたしの前に閉じていますように。おお、主よ、わたしが低い谷の道を②歩み、しっかりと平坦な道を進むことができるように、わたしの前で義の門を閉ざさないでください。
33 おお、主よ、あなたの義の衣でわたしを包み込んでください。おお、主よ、わたしが敵の前から逃れられるように道を備えてください。わたしの前に道をまっすぐにしてください。つまずかせるものをわたしの道に置かず、わたしの前に道を開いてください。わたしの道を遮らず、敵の道をふさいでください。
34 おお、主よ、わたしはあなたを頼ってまいりました。これからもとこしえに、あなたを①頼ってまいります。わたしは肉の腕に②頼る者はのろわれることを知っているので、肉の腕には③頼りません。まことに、人に頼る者、すなわち肉を自分の腕とする者はのろわれます。
35 まことに、わたしは、神は求める者には①惜しみなく与えられることを知っています。わたしが②道理に外れた③求め方をしなければ、わたしの神はわたしに与えてくださいます。それでわたしはあなたに声を上げ、まことに、わたしの神、わたしの義の④岩であるあなたに叫び求めます。まことに、わたしの声はわたしの岩であり、永遠の神であるあなたのみもとに、とこしえに上ることでしょう。アーメン。」