1さて見よ、主はまことに夢の中で父に告げてこう言われた。「リーハイよ、あなたはこれまで行ってきたことのために、幸いである。あなたは忠実であり、わたしが命じたことをこの民に告げ知らせたため、見よ、彼らはあなたの命を奪おうとしている。」
2そして、主は夢の中で父に、家族を連れて荒れ野へ出て行くように命じられた。
3そして、父は主の言葉に従順であったので、主が命じられたとおりにした。
4そして、父は荒れ野へ出て行った。父は自分の家や受け継ぎの地、金や銀、貴重品を後に残して、家族と食糧と天幕のほかは何も持たずに荒れ野へ出て行った。
5そして父は、まず紅海の海辺に近い境の地の辺りに下って行って、それから、さらに紅海に近い境の地の荒れ野を進んだ。父は荒れ野の中を家族を連れて旅をしたが、その家族とは、母サライアと兄たち、すなわちレーマン、レムエル、サムであった。
6さて、父は荒れ野を三日の間旅してから、ある谷で、水の流れている川のほとりに天幕を張った。
7そして父は、石で一つの祭壇を築き、主にささげ物をして、主なるわたしたちの神に感謝をささげた。
8さて、父はその川をレーマンと名付けた。その川は紅海に注ぎ、その谷は河口に近い境の地にあった。
9父は、その川の水が紅海の源に注ぐのを見て、レーマンに向かって言った。「おお、おまえはこの川のように、絶え間なくあらゆる義の源に流れ込むように。」
10またレムエルに向かって言った。「おお、おまえはこの谷のように、主の戒めを守ることにおいて堅く確固として、揺るぎなくあるように。」
11ところで、父がこう言ったのは、レーマンとレムエルが強情であったからである。見よ、この二人は多くのことで父に対してつぶやいた。それは、父が幻を見る人で、自分たちの受け継ぎの地や、金や銀、貴重品を後に残して、エルサレムの地から自分たちを連れ出し、荒れ野で死ぬほかなかったためであった。そして、父がこのようにしたのは、心に浮かんだつまらない空想のためだ、と彼らは言った。
12このように、いちばん年上のレーマンとレムエルは父に対してつぶやいた。彼らがつぶやいたのは、自分たちを造られたあの神の計らいを知らないためであった。
13またこの二人は、あの大きな都のエルサレムが、預言者たちが言ったように滅ぼされることも信じなかった。彼らは、父の命を奪おうとしたエルサレムのユダヤ人のようであった。
14そこで父は、レムエルの谷で御霊に満たされ、二人の体が自分の前で打ち震えるまで力強く彼らに語った。そして父が二人を言い伏せたので、二人は一言も言い返さず、父の命じるとおりにした。
15父は天幕に住んだ。
16さて、わたしニーファイはまだとても若かったが、もう身の丈は高く、また神の奥義を知りたいという大きな望みを抱いていたので、主に叫び求めた。すると見よ、主がわたしを訪れ、心を和らげてくださったので、わたしは、父がこれまでに語った言葉をすべて信じた。そのためにわたしは、兄たちのように父に逆らおうとはしなかったのである。
17そしてわたしはサムに、主が聖なる御霊によってわたしに明らかにしてくださったことを話して聞かせた。そこで、サムはわたしの言葉を信じた。
18しかし見よ、レーマンとレムエルは、わたしの言うことに決して聞き従おうとしなかったので、わたしは二人の心がかたくななのを悲しく思い、二人のために主に叫び求めた。
19そこで主は、わたしに告げて言われた。「ニーファイよ、あなたは信仰があるので幸いである。あなたがへりくだった心で、熱心にわたしを求めたからである。
20あなたがたは、わたしの命令を守るかぎり栄えて、約束の地に導かれるであろう。まことにそこは、あなたがたのためにわたしが備えた地であって、それはまことに、ほかのあらゆる地に勝ったえり抜きの地である。
21あなたの兄たちは、あなたに背くかぎり主の前から絶たれるであろう。
22またあなたは、わたしの命令を守るかぎり、兄たちを治める者、教える者とされるであろう。
23見よ、彼らがわたしに背くその日に、まことにわたしはひどいのろいをもって彼らをのろうであろう。また、あなたの子孫がわたしに背いた場合を除いて、彼らがあなたの子孫を支配する権力を得ることは決してないであろう。
24しかし、もしあなたの子孫がわたしに背くならば、彼らは、あなたの子孫に主を思い出させるために、あなたの子孫にとって鞭となるであろう。」