歴代大管長の教え
第21章 福音を世に宣言する


第21章

福音を世に宣言する

「わたしたちは福音の実を味わい,それが良いものであることを知っています。そこで,わたしたちのうえにとても豊かに注がれてきたのと同じ祝福と同じ ( ) ( たま ) をすべての人に受けてほしいと望んでいます。」

ジョセフ・フィールディング・スミスの生涯から

ジョセフ・フィールディング・スミスと妻のルーイのもとに,ロレンゾ・スノー大管長の署名が入った1通の手紙が届いた。それはジョセフ・フィールディング・スミスに専任宣教師の召しを告げる手紙だったが,二人は驚きはしなかった。教会の初期の時代には,既婚の男性が家を離れて奉仕するのはよくあることであった。そこで,あと1か月ほどで結婚1周年を迎えようとしていた1899年3月17日にその手紙が届いたとき,二人は2年間の別離を思うと悲しくもあったが,信仰と勇気をもってその機会を受け入れた。

スミス長老は家から約4,700マイル(約7,600キロ)離れたイギリスで奉仕した。スミス長老とルーイは頻繁に手紙を交わし,二人の手紙は愛と ( あかし ) を伝える言葉であふれていた。伝道に出て間もないころにルーイにあてて書いた手紙で,スミス長老は次のように述べている。「わたしの召されている業が神の業であることを知っています。そうでなければ,一瞬たりともここにとどまることはないでしょう。いえ,家を離れていなかったでしょう。それでも,わたしたちの幸せが,この地にいる間のわたしの忠実さに懸っていることを知っています。救い主がわたしたちのために苦しみをお受けになったことを思えば,わたしも人類への愛のゆえにこのくらいの務めは進んで果たさなければなりません。……わたしは天の御父の ( ) ( ) の中にあり,もし 御心 ( みこころ ) を行うならば,御父が見守り,保護してくださるでしょう。そしてわたしがいない間,御父はあなたとともにいて,すべてのことについてあなたを見守り,保護してくださるでしょう。」1

スミス長老と同僚たちは主の ( しもべ ) として献身的に働いた。スミス長老はルーイへの手紙の中で,彼とほかの宣教師たちは毎月約1万冊のパンフレットを配り,約4,000軒の家を訪問したと報告している。しかし続けて,冷静に次のように述べている。「読んでもらえるパンフレットは100冊のうち1冊あるかないかでしょう。」2スミス長老がイギリスにいた期間,その地で回復された福音のメッセージを受け入れた人はほとんどいなかった。奉仕した2年間で,スミス長老は「一人も改宗者を得ず,バプテスマを施す機会もなかった。ただし,一人の改宗者の確認を行った。」3自分の働きの結果をあまり目にすることができなくても,スミス長老は自分が主の御心を行っていて,人々が後の人生で福音を受け入れられるように備える手助けをしていることを知っていることに慰めを得た。

伝道中,スミス長老はほかの4人の宣教師とともに約2週間の入院を強いられた。5人の長老たちは天然痘の感染にさらされたため,病気が広まるのを防ぐために隔離されたのである。スミス長老は自分たちの入院を「投獄」と呼んだが,彼と同僚たちはその機会を最大限に生かした。彼らは病院の職員に福音を分かち合いさえした。隔離が終わりを迎えたとき,スミス長老は日記に次のように書いている。「わたしたちは看護師や,投獄期間中に訪れてくれた人たちと親しくなった。何度も彼らと福音について話し,読んでもらおうと書物も渡した。退院するとき,わたしたちは賛美歌を1,2曲歌い,とりわけ聴いてくれた人たちの胸を打ったようだった。わたしたちが去るときに,彼らは涙を浮かべていたからだ。病院でわたしたちは良い印象を与えたと思う。特に看護師は,わたしたちが自分たちの思っていたような人々でないことを認め,いつでもわたしたちを擁護すると言ってくれている。」4

スミス長老は1901年6月に伝道を終えた。そして70年後,大管長として地域大会を管理するために再びイギリスを訪れた。そのころには,スミス長老やほかの人々がまいた種は芽を出し,花開いていた。スミス大管長は大勢のイギリスの聖徒たちが集会にやって来たのを見て喜んだ。5スミス大管長は次のように述べている。「シオンの幾つかのステーク,主に奉献された神殿,たくさんのワードやステークの建物,大きな成功を収めている伝道活動。そのすべてが,イギリスにおいて教会がしっかりと確立されつつあることを証しています。」そして,このイギリスでの発展は今後世界中で起こることの典型であると述べた。福音はすべての人のためのものであって,「人の子の再臨の前に,教会はあらゆる場所で,あらゆる国民の中で,地の果てに至るまで確立される」と,スミス大管長は宣言した。6

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"Smith, Joseph Fielding, 1876-1972."

1910年,使徒に聖任された直後のジョセフ・フィールディング・スミス長老

ジョセフ・フィールディング・スミスの教え

1

わたしたちは回復された完全な福音を持つ唯一の民であり,すべての人が同じ祝福を受けるように望んでいる

主は限りない知恵をもって,昔の預言者たちと交わした聖約と約束を果たすため,この終わりの時に御自分の完全な永遠の福音を回復されました。この福音は救いの計画です。この救いの計画は,この地の基が据えられる前に永遠の会議で定められ,確立されたものであって,あらゆる場所にいる御父のすべての子供たちに救いと祝福をもたらすために,わたしたちの時代に 今日 ( こんにち ) 再び啓示されました。……

キリストがこの世に来られるおよそ600年前,偉大な預言者ニーファイはその民に向かって次のように言いました。「……全地を支配されるのは唯一の神,唯一の羊飼い……である。

そしてこの御方が,すべての国民〔に〕 御姿 ( みすがた ) を現される時が来る。」(1ニーファイ13:41-42

その約束された日が,今,明けようとしています。この時代は,全世界で福音を ( ) べ伝え,すべての国民の中で主の王国を築き上げるように定められている時です。すべての国民の中に,真理にこたえ,教会に入り,自分自身の民を導く光となるであろう善良で高潔な人々がいます。……

……福音はすべての人のためのものであって,主は福音を受け入れた人々に,その真理に従って生き,自分と同じ国民,同じ国語の民に真理を伝えるように期待しておられます。

ですから今,預言者ジョセフ・スミスとその同僚たちによってこの時代に明らかにされた永遠の命の言葉に耳を傾けるように,わたしたちは愛と兄弟愛の精神をもって,あらゆる場所にいるすべての人々を招きます。

「キリストのもとに来て,キリストによって完全にな〔る〕」ように,また「神の御心に添わないものをすべて」拒むように,天の御父のほかの子供たちを招きます(モロナイ10:32)。

キリストとその福音を信じるように,主の教会に入るように,主の聖徒たちと一つになるように招きます。

わたしたちは福音の実を味わい,それが良いものであることを知っています。そこで,わたしたちのうえにとても豊かに注がれてきたのと同じ祝福と同じ ( ) ( たま ) をすべての人に受けてほしいと望んでいます。7

わたしはあらゆる教派や宗派,門派の中に善良で信心深い人々がいることを心に留めています。彼らはそのすべての善い行いに対して祝福と報いを受けるでしょう。ただし,次のことが事実であることに変わりはありません。天の住まいにおいて完全な報いを受けられるように人を備える完全な律法と儀式を与えられているのは,わたしたちだけなのです。ですから,わたしたちは世界中の善良で気高い人々,高潔で信心深い人々に申し上げます。皆さんの持っているすべての良いものを保ってください。今,皆さんが得ているすべての真実の原則を固く守ってください。そのうえで,昨日も, 今日 ( きょう ) も,またとこしえに変わらない御方である神が再び御自分の民のうえに注いでおられる,より豊かな光と知識を受けに来てください。8

教会の内外において,地上における主の目的が速やかに成し遂げられるように祈ります。主が忠実な聖徒を祝福してくださいますように。真理を求める,主の前に心の正しい大勢の人々が,回復された福音の満ちみちる祝福をわたしたちとともに受け継ぐ者となるように祈ります。9

2

すべての教会員には自分の持つ力と活力,手段と影響力を用いて福音を宣言する責任がある

わたしたちは全員が宣教師であると言われています。……わたしたちは皆,任命を受けています。ただし, ( あん ) ( しゅ ) によってではありません。特別な召しは受けていません。伝道の務めを果たすようにそれぞれが召されているわけではありません。しかし,わたしたちは教会員として,イエス・キリストの福音を広めることを固く約束しているゆえに宣教師となるのです。それはすべての教会員に課せられた責任の一部です。10

すべての人への愛に満ちた心をもって,わたしは教会員の皆さんにお願いします。福音を学んで実践し,自分の持つ力と活力と手段を用いて福音を世に宣言してください。わたしたちは主から任務を受けています。主は神聖な命令を与えておられます。主はわたしたちに,疲れることなく熱意をもって出て行き,預言者ジョセフ・スミスに明らかにされた救いをもたらす真理を,御父のほかの子供たちに伝えるように命じておられます。11

わたしたちの使命は,力の及ぶかぎりできるだけ多くの天の御父の子供たちを再生させ,悔い改めに導くことです。……これは主が教会に課しておられる義務であり,より具体的に言えば教会の神権定員会に課せられたものですが,それでもなお,この義務はすべての人が果たすべきものです。12

わたしたちの中には,正直な人でありながらも,主の啓示によって知らされているすばらしい真理を見いだす機会を受け入れたことのない人や,そうした機会を探し求めたことのない人が大勢います。彼らはこれらの事柄について考えませんが,わたしたちに混じって暮らしており,わたしたちは彼らと交わり,日々接しています。彼らはわたしたちのことを善い人たちだと思っていますが,特異な宗教観を持っていると思っているので,わたしたちの信仰には少しも注意を向けません。ですから,現在シオンのステークで行われているこの大いなる伝道の業によって,まさにこの地で,これまでに福音を聞く機会があったけれども,その機会を一度もとらえることがなかった人々の間で刈り入れが行われ,正直で忠実な人々が集められているのです。13

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Two native elder missionaries walking down a dirt road.

「福音の光を受け入れるすべての人は,自分が教えることのできるすべての人の光となり,導き手となります。」

永遠の福音の真理を受けているわたしたちは,最良のもの以外のどんなものにも満足してはいけません。最良のものとは,御父の完全な王国です。わたしたちがその王国のために生活し,すべての人に対して義にかなった模範を示すように,わたしは願い,祈ります。わたしたちの行いや言葉のためにつまずいたり,揺らいだり,義の道から離れたりする人がだれもいないようにするためです。14

個人だけでなく,教会が与える良い影響があります。世界で教会が伝道に成功するかどうかは,おもに聖徒たちの態度に懸っていると,わたしは信じています。教会員が思いと行い,振る舞いにおいて完全に一つになり,真理の言葉を愛し,主から望まれているように真理のうちを歩むなら,この共同体から,すべての地域社会にいる末日聖徒の〔会衆〕から,世界中に抗し難い影響が及ぼされることでしょう。ますます多くの正直な男女が改宗するでしょう。主の ( ) ( たま ) がわたしたちの前を行き,道を備えてくれるからです。……もしこの民が主の戒めを守るなら,それは反対を打ち破り,人々に永遠の福音の光を受け入れる備えをさせる力となり,影響力となることでしょう。また,もし主の戒めを守らないならば,恐ろしい結果を伴う責任を負うことになります。

裁きの座の前に呼ばれるとき,だれかに指をさされて次のように言われたとしたら,わたしや皆さんはどのように感じるでしょうか。「この人やこの人たちの行いがなかったなら,わたしは真理を受け入れていたでしょう。ところが,彼らが光を受けていると公言しながら,それに従って生活しなかったので,真理に気づかなかったのです。」15

生涯力を尽くし,一人でも救うならば,その人とともに受けるわたしたちの喜びはいかに大きいことかと,主は言っておられます〔教義と聖約18:15参照〕。反対に,もしわたしたちの行いによって,一人の人をこの真理から遠ざけてしまったとするならば,わたしたちの悲しみはどれほど大きく,どれほど重い罪の宣告を受けることでしょうか。16

末日聖徒はどこにいようと,世の光であり,またそうでなければなりません。福音は ( くら ) ( やみ ) にさす光であって,福音の光を受け入れるすべての人は,自分が教えることのできるすべての人の光となり,導き手となります。

皆さんの責任は,この業が真実であり神の業であることの生きた証人となることです。わたしたちは皆さんが福音を実践し,自分自身の救いを達成するように願っています。また,人々が皆さんの善い行いを見て天の御父をあがめるようになることを願っています〔マタイ5:16参照〕。17

3

教会は主の用向きに出て行くさらに多くの宣教師を必要としている

わたしたちは宣教師を必要としています。……畑は広く,収穫は多いのですが,働き人が少ないのです〔ルカ10:2参照〕。また,畑は白くなっていて,刈り入れを待っています〔教義と聖約4:4参照〕。……

……わたしたちの宣教師たちは出て行きます。いかなる力をもってしても彼らの手をとどめることができませんでした。妨げようとする試みもこれまでにありました。ほんの一握りの宣教師しかいなかった初期の時代には,そうした試みがさかんに行われました。しかし,この業の発展を止めることはできませんでした。今も止めることはできません。最終的な滅亡が悪人に及ぶ前に,地に住む人々が罪を悔い改め,罪の ( ゆる ) しを受け,神の教会と王国に入る機会を得られるようにするために,この業は進まなければならず,進むことでしょう。なぜなら,そのように約束されているからです。……

これらの宣教師たちは大半が若者で,この世の教育をほとんど受けていませんが,この救いのメッセージを携えて出て行き,偉大な者や力ある者を当惑させます。彼らには真理が与えられているからです。宣教師はこの福音を宣言しており,正直で誠実な人々がそのメッセージを聞き,罪を悔い改め,教会に入っています。18

すべてのふさわしく資格のある若い末日聖徒の男性が,地のもろもろの国民の中で真理の証人となるために,主の用向きを受けて出て行く特権を受ける日が来ることを,わたしたちは願っています。

現在,この伝道活動という大いなる業に携わっている献身的な熟年の夫婦が大勢いますが,わたしたちはさらに多くの夫婦を必要としています。ふさわしく資格のある人々が必要な準備をして福音を ( ) べ伝える召しにこたえ,主に受け入れていただけるような方法で義務を果たすように願っています。

また,この業に携わっている若い姉妹も大勢いますが,わたしたちはさらに多くの姉妹を必要としています。ただし,彼女たちには兄弟たちと同じ責任は課せられていません。若い姉妹たちについてわたしたちが最も関心を寄せているのは,彼女たちが主の神殿でふさわしい結婚のきずなを結ぶことです。

わたしたちは教会員に対して,経済的な支援によって伝道活動の業を支え,福音を広めるために自分たちの財産を惜しみなくささげるように勧めます。

伝道活動という大いなる業においてとても雄々しく奉仕している人々を,わたしたちは称賛します。ジョセフ・スミスは次のように言っています。「結局のところ,最も偉大で最も重要な義務は福音を宣べ伝えることです。」19

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A senior missionary couple reading the scriptures.

「伝道活動という大いなる業においてとても雄々しく奉仕している人々を,わたしたちは称賛します。」

4

わたしたちは救いの教義を,聖文に記録されているとおりに,分かりやすく簡潔に, ( ) ( たま ) によって導かれるままに ( ) べ伝えなければならない

この神権時代の初期に,主は教え導く務めに召した人々に対して次のように言われました。「すべての人が主なる神,すなわち世の救い主の名によって語るため,……わたしの完全な福音が弱い者や純朴な者によって世界の果てまで,また王や統治者の前に宣べられるためである。」(教義と聖約1:20,23

主の「福音を宣べ伝えるために出て行く」ように召された人々と,主の教会のすべての「長老と祭司と教師」に対して,主は次のように言われました。彼らは「『聖書』と……『モルモン書』〔およびほかの聖典〕の中にあるわたしの福音の原則」を「 ( ) ( たま ) に導かれるままに……教え……なければならない。」(教義と聖約42:11-13参照)

主の代理人として,わたしたちは世の哲学や現代の科学の時代の推論的理論を教えるために召され,権能を受けているのではありません。わたしたちの使命は救いの教義を,聖文で明らかにされているとおりに,また記録されているとおりに,分かりやすく簡潔に宣べ伝えることです。

主は標準聖典の中に見いだされる福音の原則を御霊によって導かれるままに教えるよう,わたしたちに指示されました。その後,次の重要な宣言をされました。これは,教会で教える人にはだれにでも常に当てはまります。「御霊は信仰の祈りによってあなたがたに与えられるであろう。そして,御霊を受けなければ,あなたがたは教えてはならない。」(教義と聖約42:1420

5

福音はこの世の唯一の希望であり,地上に平和をもたらすただ一つの道である

地に恒久的な平和を確立する最大の力,この世で最も影響力を持つ要因が何であるかご存じでしょうか。その質問にお答えしましょう。少なくとも,それについてわたしの考えを述べましょう。世の中のほかの平和運動については何も申し上げません。この世で最も重要な要因となるのは,聖なる神権の力であり,それは末日聖徒が保有しています。最初から主は長老たちを世に遣わし,人々に呼びかけて次のように言うように命じられました。「悔い改めなさい,シオンに来なさい。わたしの福音を信じなさい。そうすれば平安を得るであろう。」

言うまでもなく,平和は義によって,正義によって,神の ( あわ ) れみによって,主がわたしたちに授けてくださる力によってもたらされるのであり,その力によって,わたしたちは心を動かされ,互いに対して愛を抱くようになります。さて,わたしたちの義務はこれらのことをすべての人々の間で宣言し,シオンへ来るように呼びかけることです。シオンには旗,すなわち平和の旗が掲げられており,ここでは主の宮の祝福と,この場所に現れている主の聖なる御霊の影響力を受けることができます。そして皆さんに申し上げたいのですが,わたしたち自身,もしぜひとも主に仕えようとするならば,世界の平和の確立にかかわるすばらしい力を持っているのです。

さて,わたしたちはこの目標に向かってほかの平和運動が進むことに異議はありません。世に平和をもたらすすべてのものを支持します。ただし,次の事実を見失わないようにしましょう。わたしたち末日聖徒は,もし団結して,一つとなって主に仕え,もろもろの国民の中に永遠の命の言葉を送ろうとするならば,わたしの考えでは,地に平和を確立するために,ほかのどのような力よりも大きな力を持つことになるでしょう。わたしはこれまで述べられてきた次のような考えに完全に同意します。主は様々な集団を用いておられます。主の業は末日聖徒だけに限定されたものではありません。主は教会外においても,御自分の務めを果たすように多くの人々を召し,彼らに力を授け,御自分の業を行うように霊感を与えてこられたからです。……そうであっても,兄弟姉妹の皆さん,次の事実を見失わないようにしましょう。わたしたちは地に善をもたらす力であり,すべての国民,部族,国語の民,民族の中で真理を広め,平和を確立する力なのです。……わたしたちの使命は,これまでも今も次のとおりです。「悔い改めなさい。神の王国が近づいているからである。」〔教義と聖約33:10参照〕

わたしたちは続けなければなりません。すべての義人が集められるまで,すべての人が警告を受けるまで,聞こうとする人々が聞き,聞こうとしない人々も聞くまで続けるのです。聞かないものはなく,心として貫かれないものもないと主が宣言しておられるからです〔教義と聖約1:2参照〕。主の言葉は世に響き渡ります。それが主の長老たちの言葉であるか,あるいはほかの何らかの手段によるかは重要ではありません。しかし主は御自分の定めたときに,その業を義にかなって短くされるでしょう。必ずや御自分の真理を確立し,地上に来て統治されることでしょう。21

わたしたちは,あらゆる教派や宗派,門派に属する天の御父のほかの子供たちに敬意を抱いています。彼らが啓示によってわたしたちに与えられているさらなる光と知識を受けて,わたしたちとともに回復された福音の大きな祝福を受け継ぐ者となるのを見ることのほか,わたしたちには何も望むことはありません。

しかしわたしたちには救いの計画があります。わたしたちは福音を託されています。そして福音はこの世の唯一の希望であり,地上に平和をもたらし,あらゆる国民の中に存在する誤りを正すただ一つの道なのです。22

わたしたちは次のことを知っています。もしキリストを信じる信仰を持ち,罪を悔い改め,主の戒めを守ることをバプテスマの水の中で聖約し,その後,召しと聖任により権能を授けられた者による ( あん ) ( しゅ ) によって聖霊を受けるならば,そしてそれ以後,戒めを守るならば,その人はこの世において平和を,また ( きた ) るべき世において永遠の命を受けます〔教義と聖約59:23参照〕。23

この世の不幸を ( いや ) す方法は,主イエス・キリストの福音をおいてほかにありません。平和,物質的および霊的な繁栄,そしてついには神の王国を受け継ぐことに対する希望は,回復された福音の中にのみ,また福音を通してのみ見いだされるものです。わたしたちがだれでも携わることのできる業の中で,福音を ( ) べ伝え,地上に神の教会と王国を築き上げることほど重要なものはありません。24

研究とレッスンのための提案

質問

  • ジョセフ・フィールディング・スミスが専任宣教師として困難にどのように応じたかについて考えてください(「ジョセフ・フィールディング・スミスの生涯から」参照)。スミス長老の模範は,あなたが教会で行う奉仕にどのような影響を及ぼすでしょうか。

  • 「福音の実」を味わうという祝福について深く考えてください(第1項)。あなたがこれらの「実」を分かち合うことのできる人たちについて考えてください。

  • 第2項にあるスミス大管長の言葉は,ほかの人々と福音を分かち合ううえでどのような助けとなるでしょうか。

  • 教会は「熟年の夫婦」を含む多くの専任宣教師を必要としていると,スミス大管長は言っています(第3項)。青少年が伝道に備えられるようにどのような助けができるでしょうか。自分自身が伝道に備えるためにどのようなことができるでしょうか。

  • わたしたちは言葉や行いを通して,福音が分かりやすく簡潔なものであることをどのように伝えることができるでしょうか(第4項参照)。これらの取り組みにおいて,どのようなときに聖霊の導きを感じてきたでしょうか。

  • 第5項にある教えの中で,あなたの霊を特に鼓舞してくれるものはどれでしょうか。「この世の唯一の希望……,地上に平和をもたら〔す〕ただ一つの道」を伝えることについて考えるとき,どのように感じるでしょうか。

関連聖句

マタイ24:14マルコ16:151ニーファイ13:372ニーファイ2:6-83ニーファイ12:13-16教義と聖約1:17-244章50:13-1488:81133:57-58

教える際のヒント

出席者がスミス大管長の教えを声に出して読むとき,ほかの出席者には,耳を傾けて「特定の原則や概念を探〔す〕」ように勧める。「その聖句に変わった言葉や難しい表現が使われているときは,読む前に説明を加える。クラスに朗読が苦手な人がいれば,順番に読ませる代わりに希望者に読んでもらうようにする。」(『教師,その大いなる召し』56)

  1. ジョセフ・フィールディング・スミスがルーイ・シャートリフ・スミスに述べた言葉,ジョセフ・フィールディング・スミス・ジュニア,ジョン・J・スチュワート共著,The Life of Joseph Fielding Smith(1972年),114-115で引用

  2. ジョセフ・フィールディング・スミスがルーイ・シャートリフ・スミスに述べた言葉,The Life of Joseph Fielding Smith, 102で引用

  3. The Life of Joseph Fielding Smith, 91参照

  4. ジョセフ・フィールディング・スミスの日記,1901年4月30日,教会歴史図書館;句読点および大文字は標準化した。

  5. Conference Report, イギリス地域総大会,1971年,85参照

  6. Conference Report, イギリス地域総大会,1971年,176

  7. 「主は生けりと知る」『聖徒の道』1972年5月号,193-195参照

  8. “A Witness and a Blessing,”Ensign,  1971年6月号,109-110

  9. 「闇より出でて」『聖徒の道』1971年10月号,279参照

  10. Take Heed to Yourselves, ジョセフ・フィールディング・スミス・ジュニア編(1966年),27-28

  11. Conference Report, 1970年10月,5-6

  12. Conference Report, 1944年4月,50。Doctrines of Salvation, ブルース・R・マッコンキー編,全3巻(1954-1956年),第1巻,308も参照

  13. Conference Report, 1921年4月,42

  14. Conference Report, 1923年4月,139

  15. Conference Report, 1933年10月,62-63

  16. Conference Report, 1951年4月,153

  17. Conference Report, イギリス地域総大会,1971年,176

  18. Conference Report, 1953年4月,19-20

  19. Conference Report, 1970年10月,7。『歴代大管長の教え-ジョセフ・スミス』330も参照

  20. Conference Report, 1970年10月,5

  21. Conference Report, 1919年10月,89-90

  22. 「英国の聖徒たちへ」『聖徒の道』1972年2月号,50参照

  23. Conference Report, 1970年10月,7

  24. 「聖徒と世の人々への勧告」『聖徒の道』1972年12月号,536参照