手引きと召し
19. 音楽


「19. 音楽」『総合手引き—末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕』

「19. 音楽」『総合手引き』

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ピアノを弾く女性と子供

19.

音楽

19.1

教会における音楽の目的

主は預言者ジョセフ・スミスに対する啓示の中でこのように言われました。「わたしは心の歌を喜ぶ……。まことに,義人の歌はわたしへの祈りである。それに対する答えとして,彼らの頭に祝福が注がれるであろう。」(教義と聖約25:12)主はまた,こう言われました。「義人は……永遠の喜びの歌を歌いながらシオンに来るであろう。」(教義と聖約45:71

神聖な音楽は,イエス・キリストを信じる信仰を増し加えます。また,御霊を招き,教義を教えてくれます。そして,敬虔な気持ちを生み出し,会員を一つにし,天の御父とイエス・キリストを礼拝する方法を与えてくれます。

19.2

家庭における音楽

主は預言者を通して,個人や家族に,日々の生活の中で心を高める音楽を用いるよう勧めておられます。神聖な音楽を歌うことや聴くことによって,美と平安の精神を招くことができます。また,家族間の愛と一致を深めることもできます。賛美歌は,一人一人が勇気を得られるように,そして誘惑に耐えられるように助けてくれます。

教会の音楽の音源は,以下で入手できます。

教会は,個人や家族が基本的な音楽技術を学ぶのに役立つリソースを提供しています。それらのリソースは,music.ChurchofJesusChrist.orgから入手できます(19.6も参照)。音楽の技術を育むことにより,会員は家庭や教会で奉仕する機会を広げることができます。

19.3

教会の集会における音楽

神聖な音楽は,聖餐会やその他の教会の集会において,重要な役割を果たしています。神聖な音楽には,御霊を招き,人を神に近づける力があるのです。「賛美歌を歌うことが,すばらしい説教となることもあります。」(『賛美歌』9参照)

19.3.1

教会の集会の音楽を計画する

ワードやステークの音楽コーディネーターは,神権指導者と協力して,礼拝行事のための音楽を計画します。そして,集会において礼拝の精神を高める音楽を選びます。

賛美歌は,すべての会衆が礼拝行事で歌うために用います。賛美歌やその他の神聖な曲は,前奏曲や後奏曲,聖歌隊の音楽,独唱や独奏,少人数グループの発表に用いることができます。教会の集会における音楽はすべて,音楽の才能を披露するためではなく,天の御父とイエス・キリストを礼拝する精神をもって発表するべきです。

音楽の発表は,賛美歌の礼拝の精神に沿ったもので,力強く明快に福音を教えるものであるべきです。

文化的に多様な音楽スタイルで作曲または歌唱された神聖な音楽は,会衆を一つにするのに役立つ場合があります。音楽コーディネーターと神権指導者は,様々な背景を持つ会員の心に訴えかけるために,様々な適切な音楽スタイルを取り入れることができます。

19.3.2

聖餐会での音楽

会員は,聖餐会に集い,聖餐にあずかることにより,イエス・キリストを思い起こします。会員は,信仰と証を築くために,また天の御父とイエス・キリストを礼拝するために集います。音楽は,こうした目的を達成する助けとなるように選ぶべきです。

聖餐会の音楽には,集会の開会と閉会,および聖餐を執行する前に会衆で歌う賛美歌が含まれます。会衆で歌う賛美歌は,ともに礼拝に積極的に参加する会員に一致する機会をもたらします。聖餐の賛美歌は,聖餐そのものや,救い主の犠牲に関する曲にするべきです。詳しくは,「会衆で歌う場合『賛美歌』330-331を参照してください。

前奏曲は,集会の前に会員が集まる間に演奏します。前奏曲の目的は,御霊を招き入れる礼拝の雰囲気を醸し出すためです。閉会の祈りの後,会員が集会を離れるときに,後奏曲を演奏します。賛美歌やその他の神聖な音楽は,前奏曲や後奏曲として選ぶことできます。

聖餐会では,集会の途中に,例えば話者と話者の間などに,会衆で歌う賛美歌を一曲追加することもできます。あるいは,一曲または複数の音楽の発表を入れることもできます。発表は,聖歌隊(19.3.7参照),独唱,独奏,あるいは少人数のグループで行うことができます。聖餐会の時間を,外部の音楽グループに一任すべきではありません。

聖餐会で歌う賛美歌の伴奏には,ピアノやオルガン,またはビショップリックが承認したほかの楽器を使うことができます(19.3.6参照)。

音楽コーディネーターとビショップリックは,よく知られている賛美歌とあまり馴染みのない賛美歌のバランスを取るように努めます。ワードの聖歌隊などによる音楽の発表は,会員がよく知られていない賛美歌に親しむ助けとなるでしょう。

19.3.3

クラスやその他のワードの集会における音楽

賛美歌を歌うことは,福音の原則を導入または強調するための効果的な方法となり得ます。指導者は教師に,レッスンの質を高めるために賛美歌やその他の神聖な音楽を用いるように勧めます。

日曜日の定員会集会やクラスでは通常,開会の賛美歌は歌いません。

19.3.4

ステーク大会における音楽

ステーク大会のための音楽は,信仰と証を強めるために計画するべきです。また,19.3.1に記された原則に従うべきです。管理役員は,提案された曲目すべてを,計画の初期の段階で確認します。

ステーク大会のための音楽には通常,会衆で歌う賛美歌のほか,聖歌隊や個人,少人数のグループによる音楽の発表が含まれます。会衆は通常,集会の中盤に賛美歌を一曲歌います。ステーク会長会は,独奏用や伴奏用に,ピアノやオルガン以外の楽器を承認することができます(19.3.6参照)。

19.3.5

礼拝堂におけるその他の音楽

礼拝堂は,コンサートやリサイタル,その他の発表会など,世俗的な音楽を含む文化芸術行事で使用する場合があります。拍手は,礼拝行事では奨励されませんが,このような行事では適切と見なすことができます。

地元の神権指導者は,礼拝堂で行われる文化活動に関する質問に答えます。集会所の適切な使用方について詳しくは,35.5を参照してください。

19.3.6

楽器

生演奏の楽器は通常,教会の集会で,前奏曲や後奏曲,賛美歌の伴奏のために使用します。楽器が利用でき,会員が演奏できる場合,オルガンとピアノが標準楽器となります。ビショップリックは,会衆で歌う歌の伴奏,前奏曲と後奏曲,音楽の発表のために,その他の楽器の使用を承認することができます。

楽器は,礼拝の気持ちを伝え,その集会の精神に沿って演奏するべきです。

ピアノやオルガンがない場合や,伴奏者がいない場合は,録音された音楽を用いることができます(19.2参照)。

19.3.6.1

楽器の入手

教会の建物には通常,オルガン,ピアノ,または電子キーボードが支給されます。指導者は,新しい楽器や取り替える楽器の入手方法について,地元の施設マネージャーに問い合わせることができます。

19.3.6.2

楽器の維持

ピアノの調律やオルガンのメンテナンスは定期的に行います。ビショップやステーク建物代表者は,質問があれば施設マネージャーに問い合わせることができます。また,必要に応じて,「施設問題報告」(FIR)を使って,ピアノとオルガンのメンテナンスや修理の申請を提出することもできます(35.4.2参照)。

19.3.7

聖歌隊

旧約聖書の時代から,神の子供たちは聖歌隊で歌い,神に賛美をささげてきました。教会の聖歌隊は,神に栄光をもたらし,教会員を一つにまとめ,教化し,参加者と会衆に喜びをもたらします。

19.3.7.1

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調整に関する指針のアイコン
ワード聖歌隊

会員の人数が十分にいるワードは,聖餐会で定期的に歌を発表する聖歌隊を組織することができます。ビショップリックは,聖歌隊の指揮者と伴奏者を召すことができます(19.4.3.3参照)。

ワードの会員は自ら志願して,聖歌隊で歌うことができます。会員や会員以外の人を,聖歌隊に参加するように招くこともできます。オーディションは行いません。

聖歌隊は,教会の賛美歌を使用するように勧められています。賛美歌を歌うことは御霊を招き,聖歌隊の参加者と会衆が福音を学ぶ助けとなります(『賛美歌』331-333参照)。その他の神聖な曲目を使用する場合は,19.3.1の指針に従うべきです。

聖歌隊の練習は,通常,1時間を超えてはなりません。

ワード聖歌隊で楽譜が必要な場合は,ワード予算で購入することができます(19.7.1参照)。ワード聖歌隊は,購入した楽譜をステーク内のほかの聖歌隊と共有するように勧められています。著作権所有者の許可なく楽譜を複製することは,教会の方針に反しています(38.8.11参照)。

ワード聖歌隊に加えて,家族,あるいは女性,男性,青少年,子供のグループに,教会の集会で歌うように依頼することができます。

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歌う聖歌隊

19.3.7.2

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ステークおよび複数のステークを対象とした聖歌隊

ステークや地域の指導者の承認を得たうえで,ステーク大会やその他の機会(地域社会の行事など)のために,ステークや複数のステークによる聖歌隊を組織することができます。集会や行事が終われば,次の機会があるまでこの聖歌隊は解散します。

19.4

ワードにおける音楽のリーダーシップ

19.4.1

ビショップリック

ビショップは,ワードの音楽に対して責任を負っています。この責任は,顧問の一人に割り当てることもできます。ビショップリックには,以下の責任があります。

  • 必要に応じて,19.4.2および19.4.3に記載されている音楽の召しで奉仕する会員を召して任命する。

  • ワード音楽コーディネーターと協力して,聖餐会の音楽を計画する(19.3.1参照)。

  • 集会で音楽を通して礼拝することの大切さについて教える。会衆で歌うときに参加するように会員を励まします。会員たち(特に青少年)に,心を高める音楽を日々の生活の中で用いるように励まします(19.2参照)。

  • 教会の集会でピアノやオルガン以外の楽器を使用する場合について決定を下す(19.3.6参照)。

  • 会員に参加を促すことで,ワード聖歌隊を支援する。

19.4.2

ワード音楽コーディネーター

ワード音楽コーディネーターは,ビショップリックの指示の下で奉仕します。また,以下の責任を負っています。

  • 音楽に関する事柄について,ビショップリックやその他のワード指導者のリソースとして働く。ビショップの招きに応じてワード評議会集会に出席し,ワードにおける音楽の調整を助けます。

  • ビショップリックと協力して,聖餐会の音楽を計画する(19.3.1および19.3.2参照)。

  • 必要に応じて,ワードにおける音楽訓練を推薦し,監督する(19.6参照)。会員がワードで音楽の才能を伸ばし,活用する機会を見いだせるように助けます。

  • ビショップリックの要請に応じて,ワードの音楽の召しで奉仕する会員を推薦する。これらの召しで奉仕する会員にオリエンテーションを行い,必要に応じて支援,指導,訓練を行います。

  • ワードのその他の音楽の召しに人がいない場合,その召しを果たす。

  • 必要に応じて,訓練と支援についてステーク音楽コーディネーターと協議する。

19.4.3

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その他の召し

十分な人数のいるワードでは,ビショップリックは以下の召しで奉仕する会員を召すことができます。青少年や異なる信仰をもつ人を召すこともできます。ビショップリックは,ワードの必要を満たすために,必要に応じて,これらの召しを調整することができます。

19.4.3.1

ワード音楽指導者

音楽指導者は,要請に応じて,聖餐会やその他のワードの集会において会衆で歌う賛美歌を指揮します。

19.4.3.2

ワード伴奏者

ワード伴奏者は,要請に応じて,聖餐会やその他のワードの集会において,前奏曲と後奏曲を演奏し,賛美歌の伴奏をします。必要に応じて,伴奏者は聖歌隊の伴奏者や初等協会のピアニストを務めることもできます。

ワードにピアノやオルガンを弾ける人がいない場合,以下の選択肢があります。

  • 会員は,ビショップが承認したほかの楽器で伴奏してもよい(19.3.6参照)。

  • 一部の集会所では,あらかじめ組み込まれた賛美歌の伴奏を自動演奏するデジタルピアノやオルガンを利用できる(19.3.6.1参照)。

  • 会員は,以下の音源を利用できる。

19.4.3.3

聖歌隊指揮者および聖歌隊伴奏者

ワード聖歌隊指揮者は,聖歌隊が歌う曲を推薦し,聖歌隊の練習を指導し,聖餐会で聖歌隊の指揮をします(19.3.7参照)。

ワード聖歌隊伴奏者は,聖歌隊が練習や聖餐会で発表する際に伴奏を行います。

聖歌隊の指揮について詳しくは,『指揮者コース』(Conducting Course〔英語〕)手引き,73-83ページを参照してください。

19.4.3.4

初等協会音楽指導者および初等協会ピアニスト

12.3.4を参照してください。

19.4.3.5

音楽スペシャリスト

ビショップリックは,ワードでの音楽訓練を支援するスペシャリストを召すことができます(19.6参照)。

19.5

ステークにおける音楽のリーダーシップ

19.5.1

ステーク会長会

ステーク会長は,ステークの音楽を監督します。また,顧問の一人または高等評議会の一員に,以下の責任を割り当てることができます。

  • 必要に応じて,19.5.2および19.5.3に記載されている音楽の召しで奉仕する会員を召して任命する。

  • ステーク音楽コーディネーターと協議して,ステーク大会やその他のステークの行事のための音楽を計画する(19.3.119.3.419.3.7.2参照)。

  • 集会で音楽を通して礼拝することの大切さについて教える。会衆で歌うときに参加するように会員を励まします。心を高める音楽を日々の生活に取り入れるように会員を励まします(19.2参照)。

  • ステークの集会で,ピアノやオルガン以外の楽器を使用する場合について決定を下す(19.3.6参照)。

19.5.2

ステーク音楽コーディネーター

ステーク音楽コーディネーターは,ステーク会長会の指示の下に,以下の責任を果たします。

  • 音楽に関する事柄について,ステーク会長会とステークのほかの指導者のリソースとして働く。

  • ステーク会長会と協議して,ステーク大会やその他のステークの行事のための音楽を計画する(19.3.119.3.419.3.7.2参照)。

  • ステークにおける音楽訓練を推薦し,監督する(19.6参照)。

  • ステーク会長会の要請に応じて,ステークの音楽の召しで奉仕する会員を推薦する。これらの召しで奉仕する人々にオリエンテーションを行い,必要に応じて,支援,指導,訓練を行います。

  • 必要に応じて,ワード音楽コーディネーターに訓練と支援を提供する。

  • ステークの集会で音楽指導者や聖歌隊指揮者が召されていない場合,それらの責任を務める。

19.5.3

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ステーク音楽スペシャリスト

必要に応じて,ステーク音楽スペシャリストを召すことができます。この中には,ステーク聖歌隊指揮者,ステーク音楽指導者,ステーク伴奏者などが含まれます。また,ステーク音楽スペシャリストに,音楽訓練を行うように割り当てることもできます(19.6参照)。

19.6

音楽の訓練とリソース

基本的な音楽技術を学ぶことは,会員が自分の才能を活かして教会で奉仕するための備えとなります。以下のリソースは,音楽の召しを受けている人の助けとなるでしょう。また,音楽能力の開発に興味のあるすべての会員の役に立つでしょう。

音楽訓練の基本的な資料は,『賛美歌』の「賛美歌集使用に際して」の項と『子供の歌集』の「本書の使用法」の項に掲載されています。

以下のリソースも助けになるでしょう。

  • 家庭や教会で使用できる音楽の楽譜や音源は,「チャーチ・ミュージック」アプリやmusic.ChurchofJesusChrist.orgで利用できます。録音された曲を聴くことは,会員がさらに賛美歌に親しむ助けとなります。

  • ChurchofJesusChrist.orgのインタラクティブ音楽プレーヤーは,新しい曲を覚えるときや,音楽の技術を伸ばすときに助けとなるでしょう。

  • 「音楽基礎コース」は,会員が楽譜の読み方や演奏方法を学ぶのに役立ちます。このコースには,『指揮者コースキット』(Conducting Course Kit〔英語〕)と『キーボードコースキット』(Keyboard Course Kit〔英語〕)が含まれます。これらのリソースはstore.ChurchofJesusChrist.orgで購入できます。

  • 教会本部では,音楽技術を伸ばそうとしている会員に,キーボードや訓練資料,指導を提供するための「音楽教育基金」を設けています。この基金について詳しくは,musicfund.ChurchofJesusChrist.orgを参照してください。

ステークやワードの音楽コーディネーターは,音楽指導者,聖歌隊指揮者,伴奏者を対象とした音楽訓練基礎コースを開催することができます。この訓練には,現在音楽の召しを果たしている人や,音楽に興味を持っているその他の成人,青少年,子供も参加できます。音楽コーディネーターや音楽スペシャリストがこのコースを教えることができます。音楽コーディネーターは,訓練を行うのに適した講師を推薦することもできます。

会員の人数が十分にいる場合,音楽コーディネーターは神権指導者と協議して,ステークまたは複合ステークによる訓練ワークショップの開催を推薦することができます。教会主催の訓練では参加費を徴収しません。

19.7

その他の方針と指針

19.7.1

楽譜の入手と使用

新設の集会所には賛美歌集が支給されます。さらに賛美歌集が必要な場合や,聖歌隊の楽譜,その他の楽譜が必要な場合は,ステークやワードの予算で購入できます。

19.7.2

練習,個人指導,リサイタルのための集会所の楽器の使用

ほかに妥当な方法がない場合,神権指導者は,集会所を使用しているユニットの会員が参加する練習や有料の個人指導,リサイタルのために,集会所のピアノやオルガンの使用を許可することができます。この許可は,35.5.6.1に記載されているように,例外です。リサイタルでは入場料を徴収してはなりません。

19.7.3

地域の合唱団

長期的に活動している地域社会の合唱団は,教会員が指揮者を務め,教会員を主体としていても,教会が主催しているものではありません。このような合唱団は,教会を連想させる名称を用いるべきではありません。

ステーク会長会が承認すれば,地域社会の聖歌隊は,練習や発表のために教会の建物を利用することができます。その場合,教会の標準と集会所に関する方針に従うべきです(35.5参照)。