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第8課:家族の歴史と記録の保持


第8課

家族の歴史と記録の保持

目的

家族の記録を編さんし,亡くなった親族のために神殿の儀式を執行する責任について学ぶ。

導入

自分自身の行動に責任を負える人は,バプテスマをはじめとするもろもろの儀式を受けなければ,日の光栄の王国に入ることはできない。しかし,この世で福音を耳にすることなく,また救いに必要な儀式を受けることなく死んでいった人が大勢いる。

主はジョセフ・スミスや現代の預言者に啓示を与えられ,このような死者が霊界において福音を受け入れることができるという教義を明らかにされた(教義と聖約138章「死者のあがないに関する示現」参照)。死者であっても救いに必要な儀式を受けなければならない。これは生者によってのみ執行されるものである。したがって,わたしたちに課せられた責任は,先祖の名前を探し出して,彼らのために神殿で儀式を行うことである。この作業を家族歴史活動と呼んでいる。

主は預言者ジョセフ・スミスに,この業が非常に重要であるという啓示を与えられた。

先祖について必要な情報が得られたら,神殿において彼らを永遠の家族として結び固めることができる。一つの世代が次の世代に結び固められていき,何代にもわたる家族が巨大な鎖のように永遠に結ばれるのである。ジョセフ・フィールディング・スミス大管長は,この点について,次のように述べている。

「結婚した男性は……自分の家族の長となる。例えば,わたしはこの世にも永遠にも結び固められることにより自分の家族の長となり,自分の子供たちは自分に属するようになる。また,わたしは両親の家族の中では両親に属する。同様に,わたしの父は祖父の家族の中で祖父に属し,祖父はその前のそう祖父そふに属する。このようにして,すべての世代が鎖のように結ばれるのである。」(Seek Ye Earnestly,225)

覚えの書

主の民は常に覚えの書を記している。アダムの子孫はその記録を書き記し(モーセ6:4-8参照),ニーファイ人もまた神聖な記録を残すように命じられた(3ニーファイ23:6-13参照)。この責任は,今日のわたしたちにも与えられている(教義と聖約128:24参照)。

覚えの書は,家族の一つの記録である。その中には,系図,家族の重要な出来事,そして先祖や自分たちの歴史が記されている。覚えの書を作るときは,情報を整理する箱などを都合の良い場所に置き,自分たちや先祖に関するあらゆる記録を集めるとよい。

  • どのような記録を集めればよいだろうか。(出生証明書,バプテスマと聖任の証明書,祝福師の祝福,結婚証明書,写真,日記,新聞の切り抜き,学校での記録など)

覚えの書で最も重要な部分は,自分自身の歴史である。この個人の歴史は,先祖に関する情報を集めたのと同じ方法を用いて書くことができる。これまでの生活に関する記録を集め,両親,親戚しんせき,友人などから話を聞けば,様々な経験についてそのあらましを記せるであろう。このような記録や情報によって,忘れていた出来事や経験を思い出すことがしばしばある。

自分に関する情報をすべて入手したら,それらを幼年時代から始めて年代順に整理する。そして,人生の歴史を書き始めるのである。その方法としては,自分で書くか,ほかの人に依頼して書いてもらうか,あるいはテープに録音してもよい。

人生の歴史は,箱やバインダーに集めた系図に関する大切な書類とともに保管する。こうして覚えの書を作り始め,最終的には家族の神聖な記録が盛り込まれることになる。

日記

  • 視覚資料8-a「すべての会員は日記をつけなければならない」を見せる。

わたしたちが残す記録には,大切な経験や考え,そのときの気持ちなどを記した日誌や日記が含まれている。わたしたちは毎日あるいは毎週時間を取って,そのときに起こった出来事を記す必要がある。キンボール大管長は,機関誌『ニューエラ』(New Era)で次のように述べている。

「そこで,〔教会員の皆さん〕にお勧めする。今日から,自分の生活に起きる重要な出来事を……記録していただきたい。……

苦難を乗り越えたこと,挫折ざせつから立ち直ったこと,……目的を完遂した喜び,これらを記した一生の記録を残すこと以上に,子供や孫のためにしてやれることがあるだろうか。……

ノートを用意して生涯の記録を書き留めていただきたい。天使たちは永遠にわたってその記録から引用することもあり得るのである。今日から始めて,生活のあれこれや心に深く考えていること,達成したことや成功,失敗,交際および印象に残ったこと,そして自分のあかしを,そこにつづりなさい。」

同じ記事の中で次のようにも述べている。「アブラハムが人生の記録をつづり,世界史のあの大切な部分を書き残し,自分が受けた啓示や考え,気持ち,豊かな経験を記してくれたことは,わたしたちにとってどんなにありがたいことだろうか。」(「永世にわたる記録」『聖徒の道』1977年6月号,300-301)

先祖の記録

わたしたちはそれぞれ,立派な遺産を受け継いでいる。今日わたしたちが様様な祝福を享受できるのも,わたしたちの先祖が多くの犠牲を払ってくれたおかげである。そこで,わたしたちは先祖に対する愛を深め,彼らに福音の祝福をもたらさなければならない。この先祖に祝福をもたらす業が可能になったのは,主が死者のための救いのかぎがジョセフ・スミスに回復されたからである。主は特別な神権の鍵を有する古代の預言者エリヤを遣わして,預言者ジョセフ・スミスにそれらの鍵を授けられた。

自分の先祖について手に入る情報をすべて学んでいくと,彼らの成長を願う愛の気持ちがわいてくる。わたしたちの心が先祖に向けられるのである。わたしたちは先祖についてもっとよく知りたいと思い,彼らの生活について考えるようになる。そして,先祖も福音の恵みを享受して,ともに永遠の家族の一員となれるように願うのである。

死者の救いに関する神権の鍵が回復されたとき,エリヤは家族を永遠に結び固める力をジョセフ・スミスに授けた。アダムに至る切れることのない鎖に自分の家族をつなぎたいと思う気持ちは,「エリヤの霊」によりもたらされる。この霊を受けると,先祖の記録を探し出して,彼らができない事柄を代わって行いたいという思いに駆り立てられるのである。

  • 視覚資科8-b「家族歴史活動は家族の責任である」を見せる。

この業を始めるために,すべての教会員は「4代家族の記録プログラム」を行うよう預言者から勧告されてきた。4代家族の記録プログラムは,自分の家族を含めて4代にわたる家族の重要な情報を集め,「系図表」と「家族の記録」と呼ばれる特別な用紙にその情報を記録する作業から成っている。このプログラムを完全に行うには,以下の段階を追っていくとよい。

  • 1代目:自分と妻子の情報を記した家族の記録1枚

  • 2代目:自分の両親と妻の両親が,それぞれ夫および妻として記されている家族の記録2枚

  • 3代目:自分の祖父母と妻の祖父母の家族の記録4枚

  • 4代目:自分のそう父母ふぼと妻の曾祖父母の家族の記録8枚

    教師自身の家族の記録を生徒に見せる。それを作成した方法について話し,系図と家族の記録について証を述べる。

    わたしたちが探求するように求められているのは4代であるが,それ以前の先祖に関する情報を記録する際にも「家族の記録」の用紙を使うとよい。4代家族の記録プログラムで作成した記録は,すべて覚えの書にとじておく。

家族のための神殿儀式

家族の記録をまとめていくと,神殿で代理の儀式を行う必要のある先祖が明らかになる。そのような先祖の名前を家族歴史部に提出すると,彼らのために適切な儀式が行われるように手配してくれる。

  • 視覚資料8-c「死者のための神殿儀式は,代理人により行われる」を見せる。

生者にとって必要なすべての儀式は死者のためにも執行されなければならない。こうしてすべての人が同じように昇栄という祝福にあずかることができるのである。これらの儀式は,神権の力により神殿の中で行われる。ふさわしい教会員であれば神殿に参入して,死者のためにバプテスマ,確認,神権への聖任,エンダウメントの儀式を受けることができる。また,死者に代わって永遠の家族に結び固める儀式を受けることもできる。

ウィルフォード・ウッドラフ大管長は次のように述べている。「わたしはこの業を,生者に福音をべ伝える業と同様に重要な業であると考えている。この世を去った人々は……神の名によって建てられた神殿において彼らのために儀式が行われなければ……復活の朝によみがえることはできない。この世を去った者の救いのためには,生ける者の救いと同じ過程を踏まなければならないのである。」(Discourses of Wilford Woodruff, 160

天の御父からの助け

系図探求という神権の責任を果たすために全力を尽くすならば,わたしたちは必要に応じて天の御父から助けを得ることができる。これは通常,穏やかで自然な霊感として与えられる。しかし,時にはこの業に携わる教会員に奇跡が起こることもある。例えば,メルビン・J・バラード長老は次のような話を紹介している。

「わたしの父が経験したことをお話ししよう。その当時,わたしたちはローガン神殿の完成を待ち焦がれていた。奉献式も近かった。わたしの父は着工当初からその宮の建設のために働いていた。採石所から岩を切り出す父に毎日夕食を運んだことが,今でも幼いころの記憶に残っている。わたしたちは神殿の奉献という偉大な行事をどんなに心待ちにしていたことだろうか。そうしている間にも,父は親族に関するあらゆる情報を入手するためにできる限りの努力をしていた。朝な夕なに主の前にひざまずき,先祖の記録を得る道が開かれるように祈っていた。

奉献式の前日のことである。……ローガンの街角で二人の老紳士がわたしの妹たちの方に歩み寄ってきた。そして年輩の紳士が妹に新聞を手渡して言った。

『これをお父さんに届けなさい。ほかのだれにも渡してはいけない。さあ,急いで行きなさい。決してなくさないように。』

小さな妹は言われたとおりにした。家に帰ると母親がその新聞を見ようとしたので,妹は言った。『だめよ,これはお父さん以外のだれにも渡しちゃいけないの。』

妹は父の部屋に入ると,今あった出来事を話した。わたしたちはその旅行者を捜してみたが無駄だった。影も形もなかった。だれも見た人がいないのである。そこで,新聞を開いて見ると,それは父の故郷英国で印刷された『ニューバリー・ウイークリー・ニューズ』(The Newbury Weekly News)だった。日付けは1884年5月15日木曜日であり,わたしたちが手にしたのは実に3日後の1884年5月18日だった。わたしたちは驚いてしまった。どのような手段を使っても,3日で届けることは不可能だったからである。わたしたちは好奇心に刺激されて新聞を調べ始めた。すると,あるぺージに……古い基地を訪れたレポーターの記事が掲載されていた。そのレポーターは珍しい碑文に興味を持ち,墓石に刻まれている文字を調査して記事を書いたのである。そこには死者の名前,生年月日,死亡年月日などが1ページのほぼ全面にわたって記載されていた。

バラード家の先祖代々の墓はその古い墓地にあったので,父の直系の先祖と親しい友人たちの名前がたくさん記されていた。

ローガン神殿のメリル神殿長にその話をすると,彼は次のように言った。『バラード兄弟,彼らのために儀式を行う権限はあなたにあります。なぜならあなたは主の御使みつかいからそれを受けたからです。』

霊界で福音を受け入れた死者がレポーターの心を動かしてあの記事を書かせたこと,そして情報を求めていた父のもとにそれを届ける道が備えられていたこと,これらは疑う余地のない事実である。」(Three Degrees of Glory, 23–24

先祖に関する記録を探し求めるときに霊感や導きを受け,その証を多くの教会員が述べている。信仰と祈りと断食をもって先祖の記録を探すならば,天の御父からの助けが与えられるのである。

まとめ

神権者であるわたしたちは,家族を永遠に結ぶために働くという重大な責任を持っている。この責任の一つが,覚えの書を記すことである。覚えの書には,生涯の出来事,先祖に関して集めた情報,そのほか神聖な家族の記録を記載する。系図に関する資料を集めれば,先祖が救いに不可欠な福音の儀式を受けられるように道を備えることができる。そうするときに,わたしたちは「シオン山の救い手」になるのである。預言者ジョセフ・スミスは次のように述べている。

「鍵がもたらされ,エリヤの霊が与えられ……聖徒たちがシオン山に救い手として立つ。しかし,どのようにしてシオン山の救い手となるのであろうか。この世を去った先祖のために神殿を建て……あらゆる儀式を……受けるのである。彼らが第一の復活によみがえり,ともに栄光の御座みざに昇栄できるように彼らを贖うのである。ここに父の心を子に,子の心を父につなぐ鎖がある。これこそがエリヤの使命を完了するものなのである。」(Teachings of the Prophet Joseph Smith, sel. Joseph Fielding Smith,1976年,330)

チャレンジ

キンボール大管長は,家族の歴史に関して次のように述べている。「神殿活動は主の業であり,わたしたちは主からこれを与えられたのである。この業を推し進めることは,わたしたちの責任であり,喜びであり,特権である。業が速やかに前進するよう,わたしたちは自らと業をよく組織しなければならない。」(「永遠の事柄」『聖徒の道』1977年5月号,248)

以下の項目の中から一つ以上選んで,今日から実行する。

  1. 箱か容器を準備して,これまでの生活記録を書くうえで役立つ資料を集める。

  2. 日記帳を入手して,今日から書き始める。日記帳はよく目につく場所に置いておく。毎日または毎週日記を書くという目標を定める。

  3. 自分の家族について「家族の記録」を作成して,4代家族の記録プログラムを始める。このプログラムを完了するまで必要な記録を収集する。

  4. すでに覚えの書を作成していれば,別の目標を選んで家族とともに実行する。特別な家庭の夕べを開いて,子供たちが各自の覚えの書を書き始めるように助けるとよい。

参照聖句

1ニーファイ5:10-16(リーハイの先祖の保存された系図)

教義と聖約21:1(教会において記される一つの記録)

教義と聖約127:9(神殿で記される記録)

教義と聖約128:8(天において記される記録)

教義と聖約110:13-16(エリヤがジョセフ・スミスを訪れる)

教師の準備

レッスンの前に以下のことを行う。

  1. 教義と聖約128:15-19,22-24およびジョセフ・F・スミスの「死者の贖いに関する示現」(教義と聖約138章)を読む。

  2. 『福音の原則』第40章「神殿活動と家族の歴史」を復習する。

  3. クラスの中に定期的に日記を書いている人がいれば,その人に頼んで,目記をどのように書き始めたか,また目記を書くことがどのような助けになったかについて話してもらう。

  4. 自分の家族について「家族の記録」を作成し,レッスンに持参する。記入方法が分からなければ神権指導者から援助を受ける。

  5. 「できるだけ系図をさかのぼって4代にわたる先祖の名前を調べる」というチャレンジを生徒に与えるために準備する。自分の系図を見直すとよいであろう。

  6. レッスンの中で話や聖句を読むよう生徒に依頼する。

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日記をつける

8-a,すべての会員は日記をつけなければならない

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家族歴史活動

8-b,家族歴史活動は家族の責任である

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死者のための神殿儀式

8-c,死者のための神殿儀式は,代理人により行われる