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第14課:家族で楽しむ


第14課

家族で楽しむ

目的

楽しい時間を一緒に過ごして家族を強めるようになる。

導入

  • 視覚資料14-a「楽しい活動は家族を強める」を見せる。

あらかじめ割り当てておいた二人の神権者に,最も楽しかった家族の活動について話してもらう。視覚資料14-aの家族は,何をしているか話し合う。家族が一緒に何かを行うことは,福音の重要な一部であることを指摘する。

マリオン・D・ハンクス長老は,次のような話をしている。

「若人は誇りを持てる家族や両親を必要としており,またそのような家庭にあってしかるべきである。……次に紹介する匿名の記事は,良い家族の与える影響力というものを的確にとらえている。

『すばらしい10月のある日のことです。夫のアートとわたしは,親しいドンのモーターボートを海岸に引き上げる作業を手伝っていました。再びみんなでボートに乗り込むと,アートは物足りない様子で,これで来年の夏までしばらくの間海で遊べなくなる,と言いました。するとドンが言いました。『君の家族もスキーを始めれば,うちの家族のように1年中楽しめるよ。』

『でも,とても費用がかかりませんか』とわたしが尋ねました。

ドンはまっすぐわたしの方を見ると,ほほえみながら言いました。『おかしなことに,わたしの家族は古い家に住んでいます。まだ足の付いた浴槽を使っているような古い家です。何年もの間,ふろ場を改造するために貯金してきました。ところが毎年冬になると,その貯金を引き出しては家族でスキー旅行に2回ずつ出かけました。長男は今軍隊に入っていますが,あのころの楽しかった旅行の思い出を何度も手紙に書いています。こんなことを書いてくるのはとても想像できません。「ほんとうに,ぼくたちの家のふろ場は立派ですよね。」』」(Conference Report,1968年4月,57;“Where Art Thou?” Ensign1968年6月号,75)

  • この家族は家族の一致を強めるために何をしただろうか。

多くの人々は,やりがいのあることを行うために時間を使おうとする。仕事をする,教会の召しを尊んで大いなるものとする,休養する,自己を改善する,これらはいずれも重要であり,多くの時間を要するものである。しかし,わたしたちの生活の中で最も価値あるものではない。次の質問についてよく考えていただきたい。

  • わたしの人生で最も大切なものは何であろうか。

  • わたしは人生で最も有意義な事柄を行うために十分な時間を取っているだろうか。

  • 最も大切なことにより多くの時間を費やせるようにするには,自分の時間をどのように調整したらよいだろうか。

人生で最も大切なものは家族である。時としてわたしたちは仕事やそのほかの活動に没頭するあまり,いちばん大切なものを忘れてしまう。毎日の決まりきった仕事,自己の関心事,不十分な計画などが原因となって悪い習慣がつき,家族と過ごすべき時間を浪費してしまうことがある。

家族は永遠に続くものである。いかなる事情があろうとも,わたしたちは家族と過ごす時間を取って,家族のきずなを強める方法を見いださなければならない。

  • 家族が親密になるにはどうすればよいだろうか。(関心を持つ,愛を示す,分かち合う,互いのために何かをする,一緒に活動をする。)

活動は家族のきずなを強める

子供のころの記憶をたどると,家族と一緒に活動した楽しかった経験を思い出す人が多いだろう。ある母親は,次のように述べている。

「子供のころや10代のころの記憶をたどると,わたしたち子供と父母が家族として活動したときの楽しい思い出がよみがえって,敬虔けいけんな気持ちさえ感じます。当時の地域社会では,楽しめる所も多くはなく,わたしたち家族は家庭の中にレクリエーションの場を求める必要がありました。家族で開いたパーティーをはじめ数々の楽しい思い出は,今日の映画やボーリング,レストランなどどんなものにも換えることはできません。……

わたしはできる限りのことをして家族の活動を計画し,両親の家庭が御霊みたまで満たされていたように,わたしの家庭にも主の御霊をもたらしたいと思います。そして,わたしにとって何より大切な思い出の数々を子供たちにも持たせて,このすばらしい祝福を受けさせてやりたいと思います。」(Family Home Evening Manual,1968年,184—85)

わたしたちはこの母親のように,家族のためによい思い出を残したいものである。しかし,家庭を離れた一般社会で提唱される活動には,ふさわしくないものもあって,その多くは家族の一致をはぐくむことも,わたしたちを天の御父に近づけることもしない。教会指導者は家族みんなで行う活動が必要になっていることを認めて,そのような活動を計画するよう勧告してきた。例えば,デビッド・O・マッケイ大管長は,家庭を魅力ある場所にして,さらに多くの活動を家庭で行うように勧めている(Gospel Ideals1954年,485—86)。この勧告に従えば,家庭は温く友好的で楽しい場所となるので,子供たちは幸福感を抱き,誇りを持って友達を家庭に招くようになるだろう。

家族が互いにもっとよく知り合うには,どのような活動をしたらよいだろうか。提案された活動を黒板に書き出す。以下の項目の中から必要なものを加える。

  • 離れて生活している家族に手紙を書く。定期的に行う。

  • 家族用のスクラップブックを作る。

  • ゲームを作って,みんなで楽しむ。

  • 活動の後で,ごちそうを食べる。

  • 歌の夕べを開く。

  • 趣味の夕べを開く。各自が趣味を持てるように助ける。

  • たこを作ってみんなで揚げる。

  • 家族全員が好みそうな本を選んで,順番に読む。毎週決まった時間に行う。

  • ほかの家族を助けるために家族のプロジェクトを作る。

次の話に出てくる父親は家族とともにどのようなことをしただろうか。

わたしが伝道部長として召されたのは,8人の子供を抱えた最も大変な時期だったので,立派な父親となるために十分な時間が取れなくなるのではないかと不安だった。そこで,父親としての責任は伝道部長になることよりも大切な主からの召しであると心に決めた。つまり,たとえ伝道に自分自身をささげたとしても,父親としての責任を果たすためにはその2倍の献身を惜しまないと決心したのである。わたしは伝道部を効率よく管理するには,まず家庭を正しく管理する必要があることを知っていた。わたしの使命が終わるときにもわたしのものとなるかけがえのない家族と多くの時間を過ごした。着任当初に家族が安心して幸福な日々を送れれば,万事はよりよい状態に進展するであろう。

第一にわたしが手がけた仕事の一つは,庭に茂っている巨大なトネリコの枝に太いロープをかけることだった。〔宣教師〕がそのローブをよじ登って,枝にしっかり結びつけた。こうして,伝道本部に大きなブランコが誕生した。このブランコのおかげで,近所の子供たちがすぐに遊びに来て,わたしの子供と親しくなった。

着任してから2,3か月後に,伝道部長セミナーが開かれた。その集会で各伝道部長は,これまでで最も効果的だったアイデアについて尋ねられ,伝道活動を促進したプログラムをいくつか報告した。わたしの番になると,わたしはこのように言った。『いちばん良かったことは,ブランコを作ったことです。』するとみんなが笑った。S・デルワース・ヤング長老は驚いた様子で,『何ですって』と尋ねた。そこでわたしはブランコの話をして,立派な父親になるというわたしの大きな目標について説明した。……

それ以来,このブランコは優先順位を決めるときのシンボルになった。やがて,バスケットボールのゴールと砂場が出来上がった。伝道本部の庭は公園のようになり,そこで子供たちはわたしと多くの時間を過ごし,幸福な3年間を送った。ケンタッキーとテネシーでの楽しかった日々の思い出は,いつまでも子供たちの心に残ると,わたしは確信している。」(ジョージ・D・デュラント,Love at Home, Starring Father1973年,18—20)

家族で一緒に遊んでいると,時々問題が起こる。ほとんどの人はゲームに勝ちたいので,負けると不気嫌になり,口論やけんかにまで発展することもある。両親が犯しやすい誤りは,ゲームに真剣になりすぎること,子供たちに期待しすぎること,また家族全員が楽しめるように公平な立場に立たないことである。そういった問題が起こると,活動はする価値がないのではないかと思うことがある。だからといって,家族が一緒に遊ぶ時間をなくしてはならない。家族は互いの相違点を受け入れることにより,さらに親密になる。問題が起きたら,家族全員が納得できるような解決策を取るべきである。家族がみんなで楽しむことこそ,家族の活動のまことの目的であることを忘れてはならない。

家族で何かを行えば,家族関係が親密になる。一緒に遊ぶことにより,互いの愛と一致の精神が高められる。こうして家族が親しくなれば,互いに協力し,問題について話し合い,一緒に祈れるようになる。

この聖句では,「笑うに時がある」ことも含めて「天が下のすべての事には季節があり,すべてのわざには時がある」と教えている。どんなに忙しくとも,休息の時間を取って家族一緒に楽しい一時を過ごすべきである。わたしたちの家庭を,笑いとほほえみのあふれる場所にするのである。

正しい方法で持ちかければ労働でさえ楽しむことができる。例えば,小さな子供のいる家庭では,家事(庭の手入れ,掃除,皿洗いなど)をゲームとして行うとよい。これは家族の熱意や関心を高める効果がある。このような方法を用いれば労働と休息と娯楽のバランスの取れた幸福な生活へと家族を導くことができる。

家族の活動計画

家族の活動を成功させるには,前もって計画する必要がある。

  • 家族の楽しいレクリエーションを計画するにはどうすればよいだろうか。

以下の提案を生かして家族の活動を計画するとよい。

  • 家族全員が集まる家庭の夕べで,みんなが楽しめる活動を列挙する。ほぼ全員が参加できる活動にする。

  • その中から一つの活動を選んで,それに費やす時間を決める。

  • 活動する日を決めて,混乱を避けるために家族の日程表に記入する。

  • 家族全員が活動の計画に参加し,準備を助けるために何らかの割り当てを受ける。

選んだ活動を最高の状態で運営するにはどうすればよいだろうか。

  • 家庭内でその活動について宣伝する。家族の心をわき立たせるように話す。

  • 活動に資金が必要であれば蓄え始める。家族全員から援助を求める。

  • ホームティーチャーに計画を伝える。

  • 各自に割り当てを与えて,全員が参加できるようにする。

  • 実行する。

活動が終わったら,家族でより楽しい時間を持つために改善すべきことについて話し合う。どうすればもっと楽しい活動になったか,どうすれば家族がいっそう親密になれたか,自問してみる。そうすれば,同じ失敗を繰り返すこともなくなり,次の活動をより良いものにするために全員で計画できる。

活動を行ったら,家族の記録や個人の日記に書いておく。写真や記念になるものも盛り込むとよい。家族で行った楽しい経験を思い出すことができれば,家族の親密さは増し,互いの愛が強まるであろう。

家族の活動を計画する際に,父親は家族一人一人と個別に過ごす時間も計画する必要がある。これはしばしば父親が子供と打ち解けた関係を築く唯一の方法になる。父親が二人で過ごす時間を作るために努力すれば,子供は自分が大切な存在で愛されていると感じるであろう。

十分に計画された活動が有意義であるように,時にはまったく計画のない活動が最大の効果を上げることもある。時間的に都合のよいときや家族に備えができているときは,即座に活動を行う。このような活動も大切であり,利用できる機会を逃すようなことがあってはならない。

一緒に遊ぶ家族

次の記事は,子供が父親に最も望んでいることを表している。

「326人の小学生を対象に,自分の父親をどう思うか無記名で書いてもらった。教師はPTAの集会で子供たちの回答を読むことにした。すると,子供たちが書いたことに興味をもって,ほとんどの父親がその集会に出席した。

彼らの乗って来た自動車は安価なものから非常に高価なものまで様々だった。職業も銀行の頭取,労働者,専門家,秘書,セールスマン,農夫,商人,パン屋,仕立屋,製造業者,工事の請負人など様々で,各自の持つ財産や技術,善良さなどがその風貌ふうぼうにはっきり表れていた。

教師は子供たちの回答の中から幾つか選んで,『わたしはお父さんが好きです』で始まる文章を読んでいった。理由はいろいろあった。お父さんは人形の家を作ってくれたから,そりに乗せてくれたから,弓の引き方を教えてくれたから,宿題を手伝ってくれるから,公園に連れて行ってくれるから,犬を飼うのを許してくれたから,などであった。多くの子供たちの考えを要約すれば,『わたしはお父さんが好きです。一緒に遊んでくれるから』ということに落ち着くようだった。

自分の家や自動車,住む場所,食物,衣服などについて書いた子供は一人もいなかった。社会的に様々な分野から集まった父親たちは,二つに分類されて帰って行った。つまり,子供の友達か,または他人かである。

子供たちと遊ぶのに裕福すぎるとか,貧しすぎるということはないのである。」(ブライアント・S・ヒンクレー,The Savior, the Priesthood, and You,『救い主と神権とあなた』〔1973年メルキゼデク神権テキスト〕269-270ページより翻案)

家族として祈れば,福音の原則を教える機会がしばしば訪れる。家族の祈りによって活動を始めると,子供たちに祈りの大切さを教えることができる。人により祈りの内容が異なっていることから,人の気持ちを思いやり,仲良くやっていく方法を教えることもできる。助け合い,一体となって働くならば,責任感と協調性を養うことになるだろう。一緒に楽しい時間を過ごせば,家族全員が積極的で明るい態度を身に付けるだろう。

何年もたつと,家族の活動が家族の伝統になることが多い。そのような伝統が確立すると,何軒もの家族が一緒になって特別な活動を行うようになる。例えば,家族の親睦しんぼく会を開く,一緒に休暇旅行に出かける,神殿を訪問する,魚釣りや猟に行く,そのほか家族でバンドを編成するなど趣味を生かした活動もできる。家族により様々な伝統が築かれており,それらはすべて貴重なものであって,家族のきずなを強めるものである。

一緒に遊ぶことがいかに家族の助けになるか話してもらう。

  • 青少年に,父親や家族とどのようなことをしたいか尋ねる。

わたしたちの中には,仕事や教会に忙しすぎて,家族をなおざりにしている人がいる。これは天の御父がよしとされることではない。教会の責任で生活のほとんどの時間を使っていたある父親が,ある日,自分の息子を失いかけていることに気づいた。彼は息子と一緒に過ごす時間があまりなかったので,息子との間に本来あるべき親密さを欠いていた。息子に福音に従って生活することを教えようとしたところ,息子は反抗して教会にあまり来なくなってしまった。

しかし,この立派な父親は賢明にも,自分がまだそれほど忙しくなかったころに年上の息子にしたように,その息子と過ごす時間を作った。息子に説教をする代わりに,一緒に遊ぶようになった。息子が好むことをやり始めた。一緒にスポーツ大会に出かけ,魚釣りや猟に行き,二人でキャンプをした。

そのような活動を3年間続けると,二人は打ち解けて親しくなった。息子は教会に戻って活発になり,後に伝道の召しを受け入れた。この父親は,息子の心を開くには,何かを一緒にすることであると悟った。

まとめ

家族はわたしたちの生活の中で最も重要な存在であり,わたしたちが永遠に所有できる唯一の存在である。したがって,わたしたちにとって大切なことは,永遠の家族を築き上げるうえで役立つあらゆることを行うことである。その中には,生活のまじめな面とのバランスを取る楽しい活動や遊びが含まれている。一緒に遊ぶ時間を取れば,より福音に従った生活をするうえで助けになるであろう。

  • 家族で遊ぶことの大切さについて証を述べる。

チャレンジ

  1. 家庭の夕べの時間に,家族全員が楽しめる活動を一つ計画し準備する。

  2. 特別な家族の活動を書き込んだ家族の日程表を作成する。

  3. それらを実行に移して,家族で楽しむ。

教師の準備

レッスンの前に以下のことを行う。

  1. 大人と青少年の二人の神権者に,楽しかった家族の活動について話すよう依頼する。

  2. 家族で遊ぶことの大切さについて証を述べるために準備する。

  3. レッスンの中で話や聖句を読むように生徒に依頼する。

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家族の楽しい活動

14-a 楽しい活動は家族を強める