その他のリソース
第12課:家族の福利に対する父親の責任


第12課

家族の福利に対する父親の責任

目的

父親には,よく計画を立てて,家族の必要を満たしていく責任があることを理解する。

導入

主の預言者はこのように言った。「この世と永遠にわたって家族は最も大切な組織である。この世におけるわたしたちの目的は,わたしたち自身のために永遠の家族単位を作り上げることである。」(ジョセフ・フィールディング・スミス,「聖徒と世の人々への勧告」『聖徒の道』1972年12月号,536-537)

永遠の家族とは族長制度に基づく家族である。すなわち,父親が家族の長であり,夫と妻が神殿で結び固められた家族である。すべての家族は,真に家長として行動する父親のいる永遠の家族に倣うべきである。

父親は家族の必要を満たす

聖典は,父親が家族の頭であると教えている(エペソ5:23参照)。家長である父親は家族の物質的あるいは霊的な必要を満たす責任がある(モーサヤ4:14-15参照)。これは主から与えられた神聖な義務であり,実際に,父親が行う最も大切な仕事である。デビッド・O・マッケイ大管長は「いかなる成功も家庭における失敗を償うことはできない」と述べている(Conference Report,1964年4月,4)

子供たちが育てられ,永遠の原則を教わるのは家庭である。「最も重要な主の業は,わたしたちの家庭の中で行われる」とハロルド・B・リー大管長は語った(『地区代表セミナー報告』1972年4月,2)。両親ほど子供たちにたくさんの影響を与える教師はほかにいない。このゆえに,両親は模範と言葉によって子供を教えなければならない。妻や子供たちと神殿で結び固めを受け,福音の原則に忠実に従って生活するならば,日の栄えの王国で永遠の家族としてともに住むことが約束される(『福音の原則』第47章「昇栄」参照)。

家族の物質的な必要を満たす

父親は家族の物質的な必要を満たすように求められている。そのために父親は以下のことを行う。

  1. 正直な職業に就き,家族の必要を満たす。

  2. 妻と協力して家計の予算を立てる。

  3. 子供に働くことを教える。

  4. 家庭内での自給計画や貯蔵計画に指示を与える。

近代の聖典には,働けるのに働かない人は「働く者のパンを食べてはならないし,その衣服も着てはならない」(教義と聖約42:42)と記されている。怠惰な者はそれを改めないかぎり,働く者が受ける祝福を得ることはできない。また,教会の中でいるべき場所を得ることもない(教義と聖約75:29参照)。もちろん,正直で満足できる仕事であれば,どんな職業であっても問題はない。

夫は妻とともに家族の予算を立てる。夫が得た収入は夫一人のものではなく,家族全体のものである。夫はその管理者であるから,自分ばかりでなく家族全員の財政上の必要を満たすように配慮する責任がある。夫が家族の物質的な必要を満たすために全力を尽くすならば主から祝福を受け,妻や子供は家庭内のそれぞれの責任を果たすことができる。

  • 写真ページ12-a「協力して働く家族は,物質的にも霊的にも祝福される」を見る。

子供が生涯の仕事に備えて可能な限りの教育を受けられるように励まし,必要な援助を与える。できるならば,仕事のために学業を離れることのないようにする。これは家庭の中で働かせてはならないという意味ではない。ハロルド・B・リー大管長は,両親が特定の家事を割り当てて子供たちから倦怠感を取り除き,働く習慣を身に付けさせるように,指示を与えた(「若人を備える」『聖徒の道』1971年8月号,236-237ページ参照)。

子供たちに割り当てられる責任の一つに家庭菜園の手入れがある。わたしたちは家庭菜園を作って必要な食物の一部を自給し,できるだけ多くの食糧を貯蔵するように勧められてきた。スペンサー・W・キンボール大管長は各家庭に次のような勧告を与えた。「庭を利用してできるだけいろいろな作物を栽培するようにお勧めしたい。……食糧保存および貯蔵の技術を高めていただきたい。教会がかねてから与えている勧告,すなわち1年分の生活必需品の貯蔵計画に従い,それを継続すべきである。」(「家族の備え」『聖徒の道』1976年8月号,439)

子供に働くことを教えるために家族でできる仕事は何か。家族の物質的な必要を満たすことができない場合,どこから援助を得たらよいだろうか。(最初に家族や助ける立場にいる親戚しんせきに援助を求める。彼らが援助できなければ,教会の定員会の指導者と連絡を取る。政府の福祉機関に問い合わせるのは,教会が必要な援助を与えられない場合だけである。)

家族の霊的な必要を満たす

家族の霊的な必要を満たすために以下の事柄を行う。

  1. 妻子に福音を教える。

  2. 家族の祈りを毎日行う。

  3. 家庭を主の御霊みたまが常にとどまる場所にする。

  4. 什分の一などの献金を主にささげる。

  5. 価値ある家庭の夕べを開く。

以上はすべて神聖な責任である。『教義と聖約』には,特に一つの責任の重要性が強調されている。

父親は家族が家庭で福音を学べるように配慮する責任がある。福音を教え始める最良の方法は家庭の夕べを使うことである。そうすれば,定期的に家族を指導しともに話し合う時間を取ることができる。大管長会は次のように勧めている。「両親の皆さんは,毎週月曜日の夜に家族を集め,聖文を教え,……あかしを述べるようにしてください。この集いは,子供たちと親しく交わり,彼らの問題や〔目標〕に耳を傾け,必要な指示を与える絶好の機会です。」(「大管長会メッセージ」『家庭の夕べ』1977年版,3)

父親は子供を正しく教えるために,しばしば家族とともに過ごす時間を作らなければならない。また,自身の生活を通して福音に生きる喜びを表すために,忠実に什分の一などの献金を納め,教会の召しを引き受けて全うし,さらにほかの戒めを守る必要がある。

  • 子供を教えるために教会はどのような助けを与えるか。

父親と家族への祝福

写真ページ12-b「ベニヤミン王は家族の霊的および物質的な必要を満たした」を見る。

『モルモン書』は,偉大な預言者,王そして父親であったベニヤミン王について教えている(モーサヤ2:12,14参照)。彼は国王であり預言者であったが,家族を養うために自らの手で働き,ほかの人から援助を受けようとしなかった。父親はこの模範に従って家族を養うべきである。

アブラハムも,わたしたちが模範とすべき父親である。彼は忠実さのゆえに,義にかなった家族と,子孫が大いに栄えることとを約束された(創世記17:3-8参照)。アブラハムは熱心に主に従い,妻子を正しく養ったので,主から祝福を受けた。アブラハムの子孫であるわたしたちも,家族の物質的および霊的な必要を満たすならば同じ祝福を得ることができる。さらに大切なことは,家庭内の愛が高まり,家族が霊的に成長することである。

まとめ

次の話は,ある父親が福音を受け入れて生活したときに,彼自身と家族にどのような祝福がもたらされたかを述べている。ジョセフ・ガルシアは教会に加わる以前は,友人と酒を飲むことを楽しみにしていたので,家にいることはほとんどなかった。その結果,彼の妻は家族を養うお金を得るために,簡単なクリーニングの仕事をしなければならないことがしばしばあった。子供たちは父親についてほとんど知らず,彼を敬愛するどころか,恐れを抱いていた。

しかし,ある日彼はモルモンの宣教師に紹介された。6か月間宣教師から学んだ後に,彼の生活は完全に変わった。酒場の仲間から離れると,すぐに教会に加入した。彼は子供たちと時間を過ごすようになり,家庭の夕ベを開き,妻子とともに外出をして楽しむようになった。さらに,家計管理を慎重に行い,妻は仕事を辞めていつも家で過ごせるようになった。

彼はすぐに,以前の仲間から受ける以上の喜びを家庭や妻と過ごす時間から感じるようになった。子供たちも彼を愛するようになり,今では彼の義にかなった生活の模範に倣おうとしている。

チャレンジ

  1. 家族の霊的,物質的な必要をいかに満たしているか評価する。

  2. 家族の要望をかなえる決心をする。

  3. 聖文や教会の指導者の勧告に従って生活するために,妻や子供とともに計画を立てる。

参照聖句

1テモテ5:8(父親は家族を養う責任がある)

モーサヤ27:14,22-24(主は子供のためにささげる父親の祈りを聞かれる)

教義と聖約68:30-31(怠惰な子供は成長して悪事を行う)

教義と聖約75:28-29(父親は家族を扶養する)

教師の準備

レッスンの前に以下のことを行う。

  1. 『福音の原則』第27章「労働と個人の責任」,第36章「家族は永遠に」を読む。

  2. 黒板とチョークを用意する。

  3. 父親が家族の霊的,物質的な必要をどのようにして満たすかを,黒板か紙に書いて準備しておいてもよい。

  4. レッスンの中で引用文や聖句を読む割り当てを生徒に与える。

画像
協力して働く家族

12-a 協力して働く家族は,物質的にも霊的にも祝福される

画像
働くベニヤミン王

12-b ベニヤミン王は,家族の霊的および物質的な必要を満たした