2020
教会の活動を通して行うミニスタリング
2020年7月号


ミニスタリングの原則

教会の活動を通して行うミニスタリング

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食べ物を準備する結婚した夫婦

PHOTOGRAPH OF WOMEN AT SERVICE PROJECT BY LAURENI ADEMAR FOCHETTO; PHOTOGRAPH OF ICE CREAM AND CHAINSAW FROM GETTY IMAGES

同じワードの会員や近所の人,友達にミニスタリングをすることができる一つの方法は,教会の活動の活用です。ミニスタリング先の人の要望や興味に関連した活動を計画するのであれ,活動や,人に奉仕する機会,ワードやステーク,合同ステークの活動に彼らを誘うのであれ,活動は一致を育み,会員を強くする有意義な楽しい方法にすることができます。

また教会の活動には,多くのミニスタリングの機会への扉を開く可能性もあります。例えば,教会の活動を通して,ほかの人たちを祝福し,地域社会に良い人間関係を築く奉仕プロジェクトに参加する機会を提供することができるのです。また教会の活動は,あまり活発でない教会員やほかの宗教を信じている友達,宗教にかかわりを持たない友達に働きかけるチャンスにすることもできます。

教会の活動にたくさんの人が参加すると,主がワードや支部,近隣の人たち,地域社会の人たちを祝福してくださるので,きずなを深める機会が生まれます。

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〔握手をする人々の画像〕

良い人間関係を築く

もうすぐ冬が来るというのに,デビッド・ディクソンには,家族が暖かく過ごせるようにするためにどうすべきか,まったく分かりませんでした。

デビッドと妻と二人の娘は,アメリカ合衆国アリゾナ州の田舎町フレドニアに引っ越して来たばかりでした。フレドニアは壮大な赤土の崖とヤマヨモギ,常緑樹に囲まれた高地の砂漠です。

ディクソン家が借りた家は,薪ストーブがおもな暖房でした。薪を集める技術が必要だということを,デビッドにはすぐに知りました。フレドニアの冬は雪と氷の世界だからです。

「わたしには薪もチェーンソーもなく,チェーンソーの使い方も知らなかったのです」とデビッドは言います。「どうすればいいのか分かりませんでした。」

お宅には冬を乗り切るだけの薪はあるのかと,何人かのワードの会員がデビッドに聞いてきました。「わたしに薪の用意がないことが分かるのに大した時間はかかりませんでした」とデビッドは言います。「長老定員会はすぐに,薪集めを手伝うと申し出てくれました。わたしは心の底から感謝してその申し出を受け入れました。」

この薪集めの旅は,計画して組織的に行っている多くのワード活動の典型で,たくさんの人が参加するということを,デビットは間もなく知ります。ある土曜日,デビッドは朝から長老定員会ほかワードの会員たちと一緒にトラックとトレーラーを連ねて山に向かいました。

「ワードの人たちの持っていた道具と知識,技術のおかげで,その日の午後には,二冬は優に持つだけの薪の山が我が家に積み上がりました」とデビッドは言います。「さらに大切なのは,自分で薪を集めるために知っておく必要のあることをすべて教わったということです。わたしはフレドニアから移り出るころまでにはチェーンソーを使えるようになっていましたし,数え切れないほどのワード薪集め活動に参加して手伝っていました。」

そのようなワードの活動をすることによって,教会内で良い人間関係ができただけでなく,地域に住むすべての人たちとの関係も良くなりました。

デビッドは言います。「その地域に来たばかりの,教会員ではない,ある女性のことを思い出します。この女性は暖を取るために,自分の家の板壁をはがして燃やすしかありませんでした。そんな窮状を知ったわたしたちは,冬を乗り切れるだけの薪を彼女のために用意したのです。彼女は感謝のあまり言葉が出ないほどでした。」

フレドニアでは,ミニスタリングの取り組みのおかげで皆がその冬,無事安全に過ごせました。

助けの手を差し伸べる

メグ・ヨストはルーマニアで伝道中,長い間教会に来ていないある家族を,同僚と一緒に定期的に訪問していました。メグは言います。「スタニカ家は,ルーマニアでいちばん古い教会員の中に数えられる家族で,わたしたちは大好きでした。」

支部の活動を計画することになったとき,指導者たちは「開拓者の夕べ」を開くことに決めました。アメリカ合衆国横断の旅をしてソルトレーク盆地にたどり着いた勇敢な開拓者たちを祝う夕べにして,ルーマニアの教会での開拓者を称える機会にもしようと考えたのです。

「何人かの教会員に,改宗したときの証をしてもらったり,それまで見てきたルーマニアでの教会の発展の経緯を話してもらったりするのにとても良い方法だと,わたしたちは思いました」とメグは言います。「すぐに思いついたのが,スタニカ家に来てもらうことでした。招待すると,彼らは喜んでくれました。」

当日の夜,スタニカ家は開会の時間になっても来ませんでした。

「来ないのではないかと心配しました」とメグはそのときのことを振り返って言います。「でも,ちょうどそのとき,彼らがドアから入ってきたのです。スタニカ家の人たちは福音と教会について,すばらしい証をしてくれました。それに,長い間会っていなかったほかの会員たちとも交流することができました。」

支部の会員は両腕を広げてスタニカ家を歓迎したのです。次の日曜日にスタニカ姉妹が教会に来たので,メグは驚くとともに喜びました。

「数か月後にその支部を訪れたときにも,彼女は教会に来ていたのです」とメグは言います。「証する機会があり,支部で活動に参加していて必要とされていると感じられたことが,彼女にとってほんとうによかったのだと思います。」

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語り合う女性たち

教会の活動を通して行うミニスタリング—4つのアイデア

  • 要望にこたえる活動を計画する:活動とは,様々な要望にこたえるすばらしい方法です。個人やグループに具体的に何が必要かを考え,それに合わせて計画を立てましょう。活動は,お互いにもっとよく知り合いたい,福音についてもっとよく知りたい,御霊を感じたいなど,参加者の要望にこたえるようなものにもするべきです。

  • 皆を誘う:活動を計画する際には,その活動に参加することから恩恵を受けられる人を誘うよう特に努力しましょう。新会員やあまり活発でない会員,青少年,シングルアダルト,障がいのある人,ほかの宗教を信仰している人のことを念頭に置いてください。本人のためを思って誘い,来てくれたらどんなにうれしいかを伝えます。

  • 参加してもらう:招かれた人は,参加する機会があると,活動から得られるものが大きくなります。参加してもらう方法の一つは,活動の中でその人の賜物や技術,才能を生かしてもらうことです。

  • 皆を歓迎する:自分の友達が活動に来てくれたら,できるかぎりのことをして歓迎されていると感じてもらえるようにしましょう。同じように,もし知らない人がいたら,気さくに話しかけてその人も歓迎してください。