2020
イタロの神殿
2020年2月


イタロの神殿

筆者はアメリカ合衆国ユタ州在住です。

いつの日か神殿に入るのが待ち切れませんでした。

「いつの日か入る神殿に」(『子供の歌集』99)

イタロは,ワードの神殿参入の旅を楽しみにしていました。みんなでブラジル・レシフェ神殿へ行くのです。15時間もかかります。

イタロと兄のエンリケと両親は早朝に出発しました。車にゆられながら,イタロはお母さんから聞いた話についてずっと考えていました。「今年は,あなたは外から美しい神殿をながめられるけど」とお母さんは言いました。「来年になったら,中がどんなに美しいかを見られる年齢になるわ。」

イタロはまだどこの神殿にも行ったことがありませんでした。でも,家族で住んでいるフォルタレザに新しい神殿が建てられているのを見てきました。すばらしい神殿です!

みんなは昼食のために止まりました。イタロは大好きな,黒豆のシチューのfeijoada(フェイジョアーダ)とごはんとオレンジを食べました。食べながら,イタロは神殿について考えていました。フォルタレザの神殿がほうけんされれば,家族はその神殿に何度も入れるでしょう。遠くまで車で行く必要はなくなります。

イタロと家族がレシフェの神殿に到着したころ,夕日はしずみかけていました。「Que bonito!」(「なんて美しいんだ!」)イタロは言いました。「すごくきれいだ!」思わず笑みがこぼれました。

翌朝,お母さんはイタロを子供の待合室に連れて行きました。「神殿の中にはまだ入れないけど,神殿の敷地内で特別な雰囲気を感じられるかもしれないわ」とお母さんは言いました。それから,イタロ以外の家族は神殿の中に入って行きました。

イタロをはじめとする子供たちが神殿で待つ間,親切な神殿ワーカーが子供たちを見守ってくれました。子供たちは,Livro de Mórmon(モルモン書)の物語を読みました。「聖典を読むことは,神殿にそなえる良い方法だ」とイタロは思いました。イタロは穏やかな気持ちになり,安心しました。ママの言ったことはほんとうだ,と思いました。ここは平和だ。

それから,神殿ワーカーは,イタロをはじめとする子供たちを,神殿の敷地の散歩に連れて行ってくれました。そのとき,イタロは神殿の玄関の上の言葉に気づきました。「Santidade ao Senhor. A casa do Senhor」と書いてありました。「主の宮—きよきを主にささぐ」という意味です。

だからここではこんなにおだやかな気持ちになるんだ,と思いました。神殿は神の家なのです。

神殿の旅が終わると,イタロと家族は家に帰りました。イタロは神殿で感じた気持ちを覚えておきたいと思いました。どうすればよいでしょうか。

自分の気持ちを文字で書くよりも,絵にした方が上手に表せるとイタロは思うことがありました。それで,神殿の絵をかきました。それから,それをお母さんとお父さんに見せました。

「これで自分が行きたい場所を思い出せるぞ」とイタロは言いました。イタロはその絵を毎日見えるように,部屋にかざりました。

「じゅんびをしたいな」とイタロは言いました。「いつか中に入りたいからね!」

イラスト/ミッチ・ミラー