2017年
見知らぬ人に与えた神権の祝福

末日聖徒の声

見知らぬ人に与えた神権の祝福

A Blessing for a Stranger

イラスト/アレン・ガーンズ

わたしと家族が教会に入ってから何年かたったとき,わたしはナイジェリア・ポートハーコート伝道部で奉仕するよう召されました。最初のエリアに到着して間もないころのある晴れた日,同僚とわたしはいつものように街頭伝道と戸別訪問に出かけました。

人の往来が多い通りを歩いていると,低いフェンスに囲まれた住宅の庭から,わたしたちを呼ぶ弱々しい声が聞こえました。フェンスの上からのぞくと,門のそばでうつ伏せに倒れている中年の男性が見えました。

彼はわたしたちに中に入るように言いましたが,敷地内に入る方法はありませんでした。門には鍵が掛かっていましたし,フェンスを乗り越えて行くことは正しい行為ではないと思ったのです。わたしはもう一度門の錠を確認するよう促されました。数分後,わたしたちは何とか外から錠を外し,門を開けました。その男性は具合が悪く,面倒を見てくれる人がいなかったことが分かりました。その人は,自分が病気になっていて,激しい痛みのせいで立ち上がれないと説明しました。

その人と話した後,はいつくばりながら家の中に戻る彼の後について行きました。わたしたちに祈ってほしいと頼んだので,祝福することを提案しました。男性の頭に手を置いたとき,わたしは言葉に詰まって,何も言えなくなりました。恐怖に襲われ,震えと汗が止まらなくなり,涙が頬を流れ落ちました。声を出して祈れなかったので,わたしは天の御父に,御心にかなうなら舌を緩めてくださるよう心の中で祈り始めました。

すると突然,声が出るようになりました。自分が話しているのは分かりましたが,自分の意志で言葉を出していませんでした。病に苦しむこの男性を癒してください,と天の御父に求める自分の声が聞こえました。わたしたちがアーメンと言う前に,その人は眠ってしまいました。わたしたちはその人をそこに置いて,ほかの約束があったので移動しましたが,アパートに戻る途中に様子を見ることにしました。

戻ってみると,驚いたことに,その人が「効いたぞ!効いたんだ!」と叫びながら駆け寄って来ました。わたしたちは喜びにあふれ,わたしは涙を抑えることができませんでした。

その次の日曜日,ビショップが壇上で突然言葉を切り,礼拝堂の扉をじっと見詰めました。振り向くと,あのときわたしたちが祝福した男性が見えました。ビショップは彼を知っていて,教会に入って来る姿を見て驚いたのです。その日以降,その男性は聖餐会やほかのクラスに定期的に出席するようになりました。その後,わたしはそのエリアから転勤しました。

あの日,神が奇跡を見せてくださったことに驚嘆するとともに,天の御父がわたしをふさわしいと見なしてくださったことにへりくだる思いです。わたしたちが神の御手に使われる器だったことを知っています。癒しの祝福はあの男性に与えられましたが,証と喜びという祝福が与えられたのはわたしでした。