2016
聖霊
2016年5月


聖霊

聖霊の賜物を授け,この賜物を通して御自身の御心を明らかにし,わたしたちを支えてくださる天の御父に愛と感謝の思いをお伝えします。

愛する兄弟姉妹の皆さん,今日,わたしは主の僕として,また一人の曽祖父としてお話します。皆さんと,わたしの愛する子孫たちに,聖霊というすばらしい賜物について教え,証します。

まずキリストの光について確認しましょう。これは「世に来るすべての人」に与えられます。1わたしたちの誰もがこの聖なる光から恩恵を受けます。それは「万物の中にあり,万物を貫いてあり」,2この光によって,わたしたちは善と悪を見分けることができます。3

しかし,聖霊はキリストの光とは異なります。聖霊は神会の第三の御方であり,他の御二方とは異なる特徴を持つ,神聖な責任を負われた霊の御方です。そして,御父と御子とともに目的においては一つです。4

教会の会員として,わたしたちは絶えず聖霊を伴侶とすることができます。回復された神の神権を通して,わたしたちは罪の赦しのために水に沈めるバプテスマを受け,,末日聖徒イエス・キリスト教会の会員に確認されます。この儀式で,わたしたちは神権者による按手によって聖霊の賜物を授かります。5その後,いつも救い主を覚え,主の戒めを守り,罪を悔い改め,ふさわしい状態で安息日に聖餐を取ることで,わたしたちは常に聖霊を伴侶とする状態を保つことができるのです。

聖霊はわたしたちが,教育や伝道,仕事,結婚,子供,また家族と住む場所といった人生における重要な決断をするうえで助けとなる個人的な啓示を与えてくださいます。このような決断をする際,天の御父はわたしたちが選択の自由を使い,福音の原則に照らして心の中でその事をよく思い計り,祈りを通して決定したことを御父と相談するよう期待しておられます。

個人の啓示は不可欠なものですが,それは聖霊の働きの一部にすぎません。聖文で証明されているように,聖霊はまた,救い主と父なる神について証してくださいます。6聖霊は「王国にかかわる平和をもたらす事柄」7を教え,わたしたちを「望みにあふれさせて下さ〔います〕。」8聖霊は「善を行うように〔わたしたちを〕導〔き〕……〔また〕義にかなって裁くように導〔いてくださいます〕……。」9聖霊は「すべての人〔に〕……〔霊的な〕賜物〔を与え〕……すべての人がそれによって益を得られるように〔してくださいます〕。」10聖霊は「〔わたしたちに〕理解……を与え」,11〔わたしたち〕にすべてのことを……思い起させ〔てくださいます〕。」12聖霊を通して,わたしたちは「聖められ」,13「罪の赦し」14を受けます。この御方は「慰め主」であり,「〔救い主の〕弟子たちに約束〔された御方です〕。」15

思い起こしていただきたいのは,聖霊は,わたしたちをコントロールするために与えられるわけではないということです。よく考えずに,生活のあらゆるささいな決断について聖霊の導きを求める人がいます。このようなことをすると,聖霊の神聖な役割が取るに足りないものになってしまいます。聖霊は選択の自由の原則を尊重し,わたしたちの思いと心に,重要な事柄について優しく語りかけてくださいます。16

聖霊の影響をどのように感じるかは人によって異なります。一人一人の必要と状況により,聖霊の促しを感じる度合いも変わってきます。

この末の日にあって,こう断言します。聖霊を通して,教会全体に関する啓示を受けることができるのは預言者だけです。アロンとミリアムがモーセを自分たちに同意させようとしたときのように,このことを忘れる人がいます。主は彼らに,またわたしたちに次のように教えられています。と救い主ははっきりと述べておられます。

「あなたがたのうちに,もし,預言者があるならば,主なるわたしは……これにわたしを知らせ……

彼とは,わたしは口ずから語〔る〕。」17

時折,サタンは聖霊の導きと混同するような誤った考えでわたしたちを誘惑します。わたしは証します。戒めに従い,聖約を守ることに忠実であるなら,そのような欺きから自らを守ることができます。聖霊を通して,わたしたちは人の戒めを教義として教える偽預言者を見極めることができるのです。18

自分自身のために聖霊の導きを受けるに当たって,他の人に対する啓示を受けることはできないということを覚えておくのは賢明なことです。若い女性に次のように言った若い男性を知っています。「ぼくは,あなたがぼくの妻になるべきだという夢を見ました。」その若い女性はその言葉についてよく考えたうえで,次のように答えました。「あなたと同じ夢を見たら,連絡するわ。」

わたしたちは誰でも,聖霊の導きよりも自分の個人的な望みを優先するように誘惑を受けることがあります。預言者ジョセフ・スミスは,モルモン書の最初の116ページをマーティン・ハリスに貸す許可を天の御父に請い願いました。ジョセフはそれが良い考えだと思いましたが,初めは,聖霊からの確認は受けられませんでした。結局のところ,主は原稿を貸すことをジョセフに許されましたが,マーティン・ハリスはその原稿を紛失してしまったのです。しばらくの間,主は預言者から翻訳の賜物を取り上げられましたが,それを通してジョセフはその後の働きを方向づける,痛みを伴う貴重な教訓を学んだのでした。

聖霊は回復において中心的な役割を果たしました。少年の頃,ヤコブの手紙第1章5節を読んだときのことについて,預言者ジョセフは次のように語っています。「この聖句が,このとき,かつて人の心に力を与えたいかなる聖句にも勝って,わたしの心に力強く迫って来たのであった。」19ジョセフ・スミスが述べたこの力は,聖霊の影響でした。その結果,ジョセフは自宅近くの森に入り,ひざまずいて神に願い求めました。それに続く最初の示現は,実に,きわめて重大かつ壮大なものでした。しかし,御父と御子から直接の訪れを受けるきっかけとなったのは,祈るようにという聖霊の促しでした。

回復された福音という啓示された真理は,祈りによって願い求め,聖霊の促しを受け,それに従うというパターンを通して与えられました。次の例を考えてみてください—モルモン書の翻訳,神権の回復およびバプテスマに始まる神権の儀式の回復,教会の組織も,同様のパターンに従った幾つかの例となります。今日,主から大管長会および十二使徒定員会に与えられる啓示も,同じ神聖なパターンにのっとって与えられていると証します。この同じ神聖なパターンに従うことによって,個人の啓示を受けることができます。

ジョセフ・スミス自身の家族をはじめとする,聖霊に従って回復された福音を受け入れた全ての人々を称賛します。少年ジョセフがモロナイの訪れについて語ったとき,それを聞いた父親は自ら確信となる証を受けました。すぐにジョセフは父親から,農場の仕事をおいて天使の指示に従うよう勧められました。

両親,また指導者として,わたしたちも同じように行いましょう。聖霊の導きに従うよう,子供たちや他の人々に勧めましょう。そうするときに,自らも聖霊の模範に従い,温厚,柔和,優しさ,寛容,また偽りのない愛によって導くようにしましょう。20

聖霊は,家庭と教会全体での神の業における橋渡し役となられます。このことを理解したうえで,わたし自身が自分の生活や教会における奉仕で,聖霊に関して経験したことを幾つか紹介したいと思います。これは,聖霊がわたしたち全てを祝福してくださるという個人的な証としてお話します。

何年も前のこと,ヘイルズ姉妹とわたしは,わたしの仕事仲間を何人か自宅に招いて,特別な夕食会を開くことにしました。職場から帰る途中,ホームティーチングの担当家族で,夫を亡くしたある姉妹の家に立ち寄るべきだという促しを受けました。その姉妹の家のドアをノックすると,彼女がこう言いました。「あなたが来てくれるように祈っていたわ。」その促しはどこから来たのでしょうか。聖霊です。

かつて重病を患った後で,ステーク大会を管理したことがありました。体力を温存するために,神権指導者会の後すぐに,礼拝堂から出ようと思っていました。しかし,閉会の祈りの後で,聖霊がこのようにささやきました。「どこに行くのですか。」わたしは,部屋を後にする全ての人と握手をするよう霊感を受けたのです。ある若い長老が近寄ってきたとき,わたしは次のような特別なメッセージを彼に伝えるべきだという促しを受けました。彼は下を向いていましたが,彼と目が合うまで待ってから,次のような言葉を伝えることができました。「天の御父に祈り,聖霊に耳を傾け,与えられた導きに従ってください。そうすれば,人生において全てがうまくいきます。」後でステーク会長から,この青年が伝道から早期に帰還したばかりであることを聞かされました。このステーク会長は明確な印象に従って行動し,この青年の父親に,もし神権会に息子を連れてくれば「ヘイルズ長老が彼と話す機会があるでしょう」と約束していたのです。わたしはどうして立ち止まって全ての人と握手をしたのでしょうか。わたしはなぜ,この特別な青年に話しかける時間を取ったのでしょうか。その青年に対するわたしの助言はどこから来たのでしょうか。単純なことです。聖霊です。

2005年の初めに,わたしは夫婦宣教師に関する総大会のメッセージを準備するよう導きを受けました。大会の後,一人の兄弟がこう話してくれました。「大会の話を聞いていると,……すぐに主の御霊がわたしの霊に触れました。……愛する妻とわたしのための間違いようのないメッセージでした。夫婦で伝道に出るべきだ,今こそ,その時だと感じたのです。妻の方に……目を向けたとき,彼女もまったく同じ促しを受けたことに気がつきました。」21このような力強い答えを同時にもたらしたものは何だったのでしょうか。聖霊です。

わたしの子孫たち,またわたしの声の届く限り全ての人にお伝えします。聖霊によって,わたしの家族が,個人的な啓示や,とめどなく与えられる日々の導き,警告,励まし,力,霊的な清め,慰め,そして平安を受けてきたことを証します。聖霊を通して,わたしたちは「〔キリスト〕の豊かな深い憐れみ」22と絶えることのない奇跡を経験することができるのです。23

救い主が生きておられることを心から証します。聖霊の賜物を授け,この賜物を通して御自身の御心を明らかにし,わたしたちを日々支えてくださる天の御父に愛と感謝の思いをお伝えします。イエス・キリストの御名によって,アーメン。