2010–2019
モルモン書に目を向け,主に目を向ける
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モルモン書に目を向け,主に目を向ける

皆さんは,モルモン書を皆さんのかなめ石,皆さんの霊的な強さの中心として見ることができているでしょうか。

メアリー・エリザベス・ロリンズ

わたしは今,若人の皆さんが,世界のどこかで,大会のこの部会を視聴している様子を思い浮かべています。これから皆さんに,模範と教訓のどちらともなり得る実話を紹介したいと思います。この話から,主に近づき,誘惑に負けない力を増し加える方法が分かることでしょう。

これはニューヨーク州に住んでいたある少女の話です。この少女は3歳になる前に,父親を亡くしました。父親の乗っていた船が大きな湖で沈没したのです。少女と母親,兄,妹は別の州の新しい町に引っ越し,そこでおばやおじとともに暮らすことになりました。この家族が越して来てからしばらくして,新しく組織されたある教会の宣教師と会員が,回復された福音の輝かしい知らせを携えて,この町を訪れました。彼らは,一人の天使がジョセフ・スミスという名の若者に古代の記録を渡し,その若者がその記録を神の力によって翻訳したという驚くべき話をしました。訪問者の二人,オリバー・カウドリとジョン・ホイットマーは,その古代の記録が刻まれた金属の版を実際に自分の目で見ており,ホイットマーは金版を自分の手で持ったというのです。その記録はつい最近出版されたばかりで,ホイットマー兄弟はその書物を持って来ていました。その書物の名前は,言うまでもなく,モルモン書でした。

12歳のメアリーは,宣教師がその書物について話すのを聞いたとき,特別な気持ちを感じました。モルモン書はページ数の多い分厚い書物でしたが,メアリーはぜひ読んでみたいと思いました。ホイットマー兄弟は立ち去るとき,貴重なモルモン書を1冊,アイザック・モーリー兄弟に渡しました。モーリー兄弟はメアリーのおじの友人で,その新しい教会の地元の指導者でした。

メアリーは後にこう記しています。「わたしは〔モーリー兄弟の〕家に行き……その本を見せてほしいと頼みました。〔彼は〕それをわたしの手に置きました。〔そして〕わたしはそれを見たとき,どうしても読みたくなり,家に持ち帰って読ませてほしいと頼まずにはいられませんでした。……彼が言うには……彼自身時間がなく1章も読んでおらず,ほかの兄弟たちでさえ,その本を見たことのある人はわずかでした。しかし,わたしが貸してほしいと熱心に頼むと,彼はやっとこう言いました。『お嬢ちゃん,明日の朝,朝食前にこの本を返してくれるなら,持っていってもいいよ。』」

メアリーは家に走って帰り,夢中になって,ほとんど徹夜でその書物を読み続けました。翌朝,その書物を返すとき,モーリー兄弟はこう言いました。「大して読めなかっただろう。」それからこう言いました。「一言だって覚えているとは思えないよ。」メアリーは背筋をぴんと伸ばすと,モルモン書の最初の節を暗唱しました。それから預言者ニーファイについての話をしたのです。メアリーは後にこう記しています。「彼は驚いてわたしを見詰め,こう言いました。『お嬢ちゃん,この書物を持ち帰って,読み終えなさい。わたしは待てるから。』」

それから少しして,メアリーはその書物を読み終え,町で最初にその書物を読み終えた人になりました。メアリーはその書物が真実であり,天の御父から与えられたものであると知りました。その書物に目を向けたとき,彼女は主に目を向けたのです。

それから1か月後,メアリーの家を特別な人が訪れます。その日の忘れ難い出会いについて,メアリーはこう記しています。「〔ジョセフ・スミス〕はわたしをほんとうにまじまじと見ました。……少しして彼は……わたしにすばらしい祝福を授けてくれました。……そして,あの本をわたしにくれたのです。それからモーリー兄弟にはもう〔一冊〕渡すと言いました。……わたしたちは皆,彼は神の人だと感じました。話に力があり,権威ある者のように語ったからです。」

この少女,メアリー・エリザベス・ロリンズは,その生涯においてほかにも多くの奇跡を目にし,常にモルモン書に対する証を持ち続けました。1この話はわたしにとって特別な意味があります。なぜならメアリーはわたしの5代前のおばだからです。メアリーの模範と,自分自身の経験によって,わたしは,モルモン書について個人的な証を求め,それを得るのに,若すぎることはないと知りました。

あなたの証のかなめ石

メアリーの話には,皆さんが自分に生かすことのできる教訓があります。若い男性,若い女性,そして子供たちのだれもが,メアリーと同じ気持ちを持つことができます。モルモン書を読み,それが真実であると知りたいという望みをもって祈るなら,皆さんもメアリーと同じ印象を心に受けることができるのです。また,モルモン書について雄々しく証するとき,同じ確認の御霊を感じられることに気づくでしょう。聖霊が皆さんの心に語りかけるからです。また,ほかの人がモルモン書について証するのを聞くときにも,同じ確認の御霊を感じることができます。こうした霊的な証の一つ一つによって,モルモン書が皆さんの証のかなめ石となっていくのです。

どういう意味か説明しましょう。神の賜物と力によってモルモン書を翻訳した預言者ジョセフ・スミスは,モルモン書が「この世で最も正確な書物であり,わたしたちの宗教のかなめ石である」と述べました。2

1830年に初めて印刷されて以来,1億7400万冊以上のモルモン書が110の異なる言語で出版されてきました。このことはモルモン書が今もなお,わたしたちの宗教のかなめ石であることを示しています。しかし,皆さん一人一人にとって,これはどんな意味があるのでしょう。

建築的に言えば,かなめ石はアーチ型の門の最も大切な部分です。それはアーチのまさしく中央,最も高い位置にあるくさび型の石です。これがすべての石の中でも最も大切な石であるのは,アーチの両側を然るべき位置で,崩れ落ちないよう支えているからです。また,それは門,すなわちその下の空間を安心して通れるようにしてくれるものだからです。

福音的に言えば,わたしたちの宗教のかなめ石が,モルモン書のよう触れたり,つかんだりできるものであるということは,主から与えられた賜物であり,祝福です。皆さんはモルモン書を持ったり,読んだりできるのです。皆さんは,モルモン書を皆さんのかなめ石,皆さんの霊的な強さの中心として見ることができているでしょうか。

エズラ・タフト・ベンソン大管長は,そのことに関するジョセフ・スミスの教えをさらに詳しく説明し,こう述べています。「モルモン書は3つの点でわたしたちの宗教のかなめ石です。それはキリストの証におけるかなめ石であり,わたしたちの教義のかなめ石であり,証のかなめ石です。」

ベンソン大管長は,さらにこう教えています。「モルモン書は確かに真実を教え,キリストについて証していますが……それ以上のものがあるのです。モルモン書には力があって,真剣に読み始めるやいなやその力は読む者の人生に流れ込み,誘惑に打ち勝つ力となります。細くて狭い道にとどまる力となります。」3

わたしの個人的な証

わたしの場合,何年もかけて,多くの経験を通して,モルモン書はわたしの証のかなめ石となっていきました。わたしが証を築くうえで大きな力となった経験の一つは,若い宣教師として最初の任地である日本の熊本で伝道していたときのものです。同僚とわたしは戸別訪問をしていました。あるおばあさんに出会い,彼女は親切にも,日本語で「玄関」と呼ばれる家の入口に招いてくださり,暑い日でしたので,冷たい飲み物を出してくれました。わたしは日本に来てまだ日が浅く,やっとモルモン書を読み終えたばかりで,モルモン書が真実であることをはっきり知るために祈っていました。

日本にまだ慣れていなかったので,日本語もよく話せませんでした。実際,そのおばあさんはわたしが何を言っているのか,ほとんど分かっていなかったでしょう。わたしはモルモン書について教え始め,ジョセフ・スミスがどのようにして金版に刻まれた古代の記録を天使から受け取り,金版をどのようにして神の力によって翻訳したかを話しました。

モルモン書が神の言葉であり,イエス・キリストについてのもう一つの証であることについて証を述べたとき,わたしはかつてないほど強い印象を受け,慰めと平安に満ちた温かい気持ちを胸に感じました。その気持ちについて,聖文には「あなたの胸を内から燃や〔す〕」と記されています。4この気持ちは,モルモン書が紛れもなく神の言葉であるということをしっかりと再確認させてくれました。そのとき,わたしの抱いた気持ちはとても強く,その日本人のおばあさんに話しているときに,涙が出てきました。その日に感じた特別な気持ちを一度たりとも忘れたことはありません。

あなたの個人的な証

皆さんも,それぞれ,この書物について個人的な証を得ることができます。モルモン書が皆さんのために,また皆さんの時代のために書かれた書物であることに気づいているでしょうか。この書物は,わたしたちが時満ちる神権時代と呼んでいるこの時代に生きることで与えられている祝福の一つなのです。モルモン書は霊感を受けた古代の著者によって書かれ,その多くは預言者でしたが,彼らも,その時代の人々も,この書物全体を所有するという恩恵にあずかることはできませんでした。皆さんは今,預言者,祭司,王たちが大切にし,尊び,保管してきたこの神聖な記録をいつでも手にすることができるのです!皆さんは完全なモルモン書を手に取る恩恵にあずかっています。興味深いことに,モルモン書の預言者の一人モロナイは,わたしたちの時代,つまり皆さんの時代を見ていました。実に何百年も前に,皆さんを示現で見ていたのです!モロナイはこう記しています。

「見よ,これらのことがあなたがたの中に起こるその時代に,間もなく必ず出て来るものについて,主は大いなる驚くべきことをわたしに示してくださった。

見よ,わたしはあなたがたがここにいるかのように語っているが,あなたがたはまだこの世にいない。しかし見よ,イエス・キリストがわたしにあなたがたを見せてくださったので,わたしはあなたがたが行うことを知っている。」5

モルモン書を皆さんの証のかなめ石とすることができるように,わたしは皆さんに一つのチャレンジをしたいと思います。最近わたしは,多くの若者が一日に平均7時間も,テレビやコンピューター,スマートフォンの画面を見ているということを知りました。6これを念頭に置き,小さな変化を起こしてみませんか。毎日の画面を見る時間,特に,ソーシャルメディアやインターネット,ゲーム,あるいはテレビに使う時間の一部を,モルモン書を読む時間に換えてみませんか。参考にした調査が正しければ,たとえ毎日10分だけだとしても,モルモン書を研究するための時間を見つけるのは簡単です。モルモン書を楽しみ,理解できるような方法で研究することができます。デジタル機器でも印刷されたものでもよいのです。ラッセル・M・ネルソン会長は,最近このように警告しました。「わたしたちは,いやな薬を急いで飲み込むようにモルモン書を読み,完了の印を付けるような,厄介な義務としてしまってはなりません。」7

幼い子供たちであれば,お父さんお母さんや,おじいさんおばあさん,あるいは愛する人たちと読んでもよいでしょう。ある章,ある節,あるいはある箇所が難しくて,読む気がなくなるようであれば,次へ次へと飛ばしてよいのです。皆さんがメアリーの模範に従う姿が思い浮かびます。皆さんが,喜びながら時間を見つけ,静かな場所でモルモン書を読む姿が思い浮かびます。皆さんが答えを見いだし,導きを感じ,モルモン書についての自分の証を,イエス・キリストについての証を得る姿が目に浮かびます。その書物に目を向けるとき,皆さんは主に目を向けるのです。

この貴い書物に収められた言葉に目を通すときに,ほとんどすべてのページで,皆さんは愛する救い主,主イエス・キリストにまみえることでしょう。呼び名は様々ですが,1.7節につき1回,主の御名が何らかの形で用いられています。8キリスト御自身が,この末日に,この書物が真実であると証しておられるのです。「あなたがたの主,あなたがたの神が生きているように確かに,その書は真実である。」9

わたしは,主が預言者モロナイを通して,皆さん一人一人に,またモルモン書を読むすべての人に与えてくださった招きと約束に感謝しています。最後に,この招きと約束を読み,わたしの証を添えます。「また,この記録〔モルモン書〕を受けるとき,これが真実かどうか〔イエス・〕キリストの名によって永遠の父なる神に問うように,あなたがたに勧めたい。もしキリストを信じながら,誠心誠意問うならば,神はこれが真実であることを,聖霊の力によってあなたがたに明らかにしてくださる。」10

わたしは,この末日に福音が回復されたこと,またモルモン書がその回復の確かな証拠であることを証します。2世紀ほど前に,この書物の言葉が,回復されたイエス・キリストの教会を信じるよう12歳の少女を駆り立てたように,皆さんがこの書物の中に見いだす真理は,同じように皆さんを高め,駆り立てることでしょう。それらの真理は皆さんの信仰を強め,皆さんの霊を光で満たし,皆さんの理解し得ない未来に皆さんを備えてくれることでしょう。

この書物のページから,皆さんは神の無限の愛と,理解し難いほどの恵みを見いだすことでしょう。そこに見いだす教えに従おうと努力するときに,皆さんの喜びは膨らみ,皆さんの理解は増し,現世で遭遇する多くの問題に対して皆さんが求めている答えが明らかになることでしょう。その書物に目を向けるなら,皆さんは主に目を向けるのです。モルモン書は啓示された神の御言葉です。このことを,イエス・キリストの御名により,心と魂を込めて証します,アーメン。

  1. “Mary Elizabeth Rollins Lightner,” Utah Genealogical and Historical Magazine,1926年7月号,193-195参照

  2. モルモン書の序文

  3. エズラ・タフト・ベンソン「モルモン経―私たちの宗教のかなめ石『聖徒の道』1987年1月号,6参照

  4. 教義と聖約9:8

  5. モルモン8:34-35

  6. American Academy of Pediatrics,“Media and Children”,aap.org参照

  7. ラッセル・M・ネルソン, “Strengthen the Shepherds” (総大会指導者会で話された説教,2016年9月28日)

  8. スーザン・イーストン・ブラック,Finding Christ through the Book of Mormon (1987年),16-18参照

  9. 教義と聖約17:6

  10. モロナイ10:43節,5節も参照