2000–2009
自分が何者か知っていますか
2008年4月


D自分が何者か知っていますか

自分が何者なのか知ることによって,強く,確固として,揺らぐことのない霊性を身に付けることができます

アロン神権者として,執事に聖任されたばかりのときに感じた胸の高まりを今でもよく覚えています。わたしは神権の務めが果たせる日を心待ちにしていました。初等協会に集っていた幼いころから,自分が12歳になって神権を授かり聖せい餐さんのパスができる日を思い描きながら,ワードの執事たちを注意深く観察していました。その日がついにやって来たのです。当時ワードのビショップだった父から聖任を受けると,緊張しながらも,新任の執事として務めを始める準備が整ったと感じました。

そのときからアロン神権定員会に所属することになりました。この定員会の会員はまさに最良の友となりました。神権の務めをともに学び,果たす中で,定員会の兄弟たちとの友情ときずなは強くなっていきました。わたしたちは皆,親友となり,定員会の活動で一緒に楽しく愉快な時間を過ごしました。

ある日曜日,いつものように温かく長い聖餐会の後で,ビショップリックの第一顧問がわたしをわきに呼んで話しかけました。簡潔ながらも意義深い会話の中で尋ねられた質問について深く考えると,この予定外の神権面接がわたしの人生に祝福をもたらしたことが分かります。ベイトマン兄弟はわたしの目を見詰めてこう言いました。「ディーン,君は自分が何者なのか知っているかい。」しばしの沈黙の後,彼は短くとも力強い言葉を口にしました。「君はリード・バージェスの息子なんだよ。」

その質問の意味と大切さは心にずっと刻まれています。10代を通じて幾度となくこの質問について考えました。「君は自分が何者なのか知っているかい」というこのすばらしい兄弟の質問のおかげで,これまでの生涯を通じて霊感あふれる導きを受けてきましたし,家族や神権を尊び敬うという決意をすることができました。

今こ宵よい,アロン神権を持つ若い男性の皆さん一人一人に向けて,わたしが若い男性のときに尋ねられたのと同じ質問をしたいと思います。「皆さんは自分が何者なのか知っていますか。」

自分が何者なのか知ることによって,強く,確固として,揺らぐことのない霊性を身に付け,神権の務めを果たすことができます。信仰と決意に裏打ちされた確信をもって正しい決断を下すことができるようになります。正しいと自分が知っていることを勇気をもって擁護できるようになります。神の神権を持ち,神の御み名なによって行動する権能があることは特権なのだということを悟ります。

モルモン書に登場する偉大な宣教師アンモンは,ラモーナイ王の忠実で勇敢な僕でした。奇跡的な方法でラモーナイ王の羊の群れを守り,全力を尽くして王に仕えました。アンモンの力強い行動について耳にしたラモーナイは,アンモンとは一体何者なのだろうと思いました。アンモンはこう断言しました。

「『まことに,わたしはただの人間であって,王様の僕です。ですから,わたしは王様がお望みになることで正しいことは何でもいたします。』

王はその言葉を聞くと,アンモンが自分の思いを見抜くことができたのを知って,またもや驚いた。しかし,それでもラモーナイ王は口を開き,『おまえはだれなのだ。すべての物事を知っているあの大霊か』と尋ねた。

アンモンは王に答えて,『そうではありません』と言った。」

それからアンモンは自分が何者なのか次のような言葉で説明しました。「わたしはただの人間です。……神の形に造られました。わたしはこの民にこれらのことを教え……るために,神の聖なる御み霊たまによって召されています。」(アルマ18:17-19,34)アンモンは自分が何者なのか,また自分のほんとうの使命は何なのかを知っていたのです。

自分が何者なのかを見いだすことは,人生における最大の探求の一つです。両親として,指導者として,わたしたちは愛する人々が「わたしは何者なのか」という単純で奥深い質問に対する答えを理解し,確信することができるように誠意を尽くして助けます。

アロン神権を有する若い男性の皆さんに尋ねます。「自分が何者なのかということについての知識と証はどのようにして得られるでしょうか。」

自分が何者であるかを真に理解するうえで不可欠な次の3つの質問と,その質問に関連する原則について,よく考えてみてください。

第1に,皆さんは自分が神の息子であることを知っているでしょうか。

皆さんは文字どおり神の息子であり,「前世で霊として生まれました。神の子供である皆さんは,自分が神から受け継いでいる永遠に続く可能性を秘めていること,その可能性を最大限にまで伸ばそうと努力するときに〔皆さんの天の御父〕が助けてくださることを確信できるのです。」(『真理を守る』「わたしたちの霊の父」の項,146)

天の御父がわたしたちを愛しておられ,わたしたちが神の子供であるという知識は,この現世で生きていくための力と慰め,そして希望を与えてくれます。ヨハネの第一の手紙にはこう記されています。

「わたしたちが神の子と呼ばれるためには,どんなに大きな愛を父から賜わったことか,よく考えてみなさい。わたしたちは,すでに神の子なのである。世がわたしたちを知らないのは,父を知らなかったからである。

愛する者たちよ。わたしたちは今や神の子である。」(1ヨハネ3:1-2

皆さんは愛に満ちた天の御父にとって大切な存在です。若い男性の皆さん,絶えず祈ってください。朝も夜も祈るならば,自分が神の息子であることを確信するようになるでしょう。

第2に,皆さんは自分が神の計画の中でどのような存在であるか知っているでしょうか。

アルマはこの計画を「偉大な幸福の計画」(アルマ42:8),すなわち神が皆さんを含めわたしたち一人一人のために準備された計画と呼んでいます。この計画に従うことによって,一人一人が現世で幸福を味わい,死んだ後には神のみもとに帰ることができます。天の御父は「死の縄目を解くために」(アルマ7:12),またわたしたちの罪と世の罪を贖うために,愛する御子イエス・キリストを送ってくださいました。救い主にわたしたちの罪を贖わせられたのは,わたしたち一人一人に対する天の御父の愛の最も大いなる表れです。「神はそのひとり子を賜わったほどに,この世を愛して下さった。それは御み子こを信じる者がひとりも滅びないで,永遠の命を得るためである。」ヨハネ3:16)救い主の使命を知り,信じ,理解することは,自分が何者であるかを知るうえで助けになります。

皆さんは,天の御父の計画の一部として,地上の家族,家庭へと送られました。神の計画の中で,個人として,また家族の一員として聖約を交わすときに,皆さんは自分の家族,そして神の家族といつまでも永遠に結び固められるのです。皆さんが身に受けているこれらの家族の名前を尊び,敬ってください。神の標準と戒めに従った生活を送ってください。小冊子『若人の強さのために』にもあるように,標準に従って生活する皆さんの姿を見て,皆さんが何者なのかを周囲の人々が分かるようにしてください。天与の標準を学び,熟考し,それに従って生活してください。これらは皆さんのために与えられたのです。

3番目に,末日聖徒イエス・キリスト教会の会員として,皆さんは自分が何者なのかを知っているでしょうか。

皆さんはバプテスマを受け,聖霊を授かっています。回復されたイエス・キリストの教会の会員です。この教会はイエス・キリストの教会であり,イエス・キリストはわたしたちに預言者を与えてくださっています。預言者はわたしたちを教え,導き,地上における主の業を管理しています。わたしはトーマス・S・モンソン大管長がこの「苦難の時代」を導く預言者であることを証します(2テモテ3:1)。大管長の声に耳を傾けてください。モンソン大管長と現代に与えられたほかの預言者は,皆さんが何者であり,救い主のようになるにはどうすればよいかを教えてくれます。

皆さんは末日聖徒イエス・キリスト教会の会員であり,聖任されて神の神権を授かっています。モンソン大管長は次のように語っています。「わたしたちは信任を受けて神権を授かり,神の御名によって行動することができます。神の信頼を受け,大きな期待を寄せられているのです。」(「王国の神権者」『リアホナ』2007年11月号,59)

皆さんは若い男性から成る神権定員会に所属し,そこでほかの神権者との兄弟愛や友情を感じることができます。定員会はこの世の影響力から守ってくれます。皆さんは互いに仕え合い,神権の儀式に携わることができます。定員会では,イエス・キリストの福音の原則を学び,自分が何者なのかを理解するのに役立てることができます。若い男性の皆さん,神の神権を尊んでください。

自分が何者なのかを知り,主との約束と聖約を守ることによって,皆さんの生活に幸福がもたらされることを証します。

わたしたち皆が,自分が一体何者なのかを知り,理解することができますように。今晩ここで感じた御霊が,「わたしたちの霊と共に,わたしたちが神の子であることをあかしして」くださいますように(ローマ8:16)。イエス・キリストの御名によって,アーメン。