2000–2009
賛美歌の持つ養いの力
2007年4月


賛美歌の持つ養いの力

賛美歌は,霊性を高め,啓示を招き,改心を促すに当たって欠かすことのできない役割を果たしてくれます。

タバナクル合唱団のすばらしい歌声に耳を傾けていると,霊感された説教を聞いているような気持ちになります。実際に「賛美歌を歌うことが,すばらしい説教になることもあります。」1少年時代,シオンの賛美歌を歌うことから大きな影響を受けたわたしは,回復された福音について証を得て,改心しました。わたしはユタ州のメイプルトンという小さな町で育ち,今では「古ぼけた白い教会」と呼ばれている建物で集会に参加していました。95歳になる母は今もメイプルトンに住んでいます。母を訪ねる途中,「古ぼけた白い教会」のそばを通ると,数多くの懐かしい思い出がよみがえります。神権会や日曜学校,そして聖せい餐さん会で賛美歌を歌ったときに改心の力を感じたことも思い出の一つです。わたしの経験は,まだ執事だったころのヒンクレー大管長の経験と似ています。父親とステークの神権会に出席し,賛美歌「たたえよ,主の召したまいし」2を歌ったときのことについて,大管長は後にこう語っています。「わたしはジョセフ・スミスが確かに神の預言者であると感じました。以来,その気持ちが薄れたことはありません。」3同じ経験を度々している聖徒もたくさんいると,わたしは確信しています。賛美歌は,霊性を高め,啓示を招き,改心を促すに当たって欠かすことのできない役割を果たしてくれます。

賛美歌は御み霊たまを招く

賛美歌は「教会の集会に欠かすことができません。賛美歌は主の御霊を招き」ます。4また,賛美歌を通して,ほかのどのような手段よりも早く御霊を感じるということがよくあります。J・ルーベン・クラーク・ジュニア管長は次のように言いました。「祈りを除けば,恐らくわたしたちは音楽を通して最も主に近づくことができます。」5

ペルーで伝道していた一組の宣教師が,ある年配の夫婦の自宅で福音を教えていました。そこへ息子夫婦が3人の子供を連れて入って来ました。長老たちは自分たちが宣教師で,福音を教えていたことを説明しましたが,息子は宣教師たちを信用できない様子で,気まずい雰囲気になりました。後輩の宣教師は心の中で「天のお父様,どうしたらよいですか」と祈りをささげました。歌いなさいという気持ちを感じ,二人は「神の子です」6を歌いました。御霊が家族5人の心を和らげました。賛美歌から影響を受けたことがきっかけとなり,この家族は2人だけでなく7人全員が改宗したのです。

教会の集会やクラスにおける音楽は,礼拝と啓示と証の霊を招くものでなければなりません。聖餐会の音楽を選ぶ,または承認する責任はビショップリックと支部会長会にあります。ビショップリックは,メロディー,歌詞,楽器が神聖かつ厳かで,礼拝と啓示を促すものであるよう取り計らいます。音楽そのものが注目を集めるようでは単なる音楽発表になってしまいます。何年も前のことですが,ある集会で音楽の責任を受け,特別な音楽発表を行いましたが,結果は残念なものでした。礼拝の霊が損なわれてしまったのです。

賛美歌は啓示を招く

賛美歌は「敬けい虔けんな雰囲気をかもし出し」ます。7敬虔さ啓示 という言葉は,仲の良い双子のようなものです。大管長会と十二使徒の集会に七十人と管理ビショップリックも同席するとき,わたしたちは早めに到着し,敬虔な気持ちで前奏曲に耳を傾けるよう指示を受けます。そうすることによって啓示を招き,集会に備えることができるからです。

パッカー会長は次のように教えています。オルガニストが「前奏曲の賛美歌を静かに演奏するのを聞くと,わたしたちは心が静まり,王国にかかわる平和をもたらす事柄を教える歌詞を心に思い浮かべることができるようになります。なぜなら,福音の回復を歌う賛美歌は,まさに教義を教えるレッスンとも言えるものだからです。」8

賛美歌は改心を促す

回復の賛美歌には改心の霊が宿っています。これらの賛美歌は犠牲のうえに生まれました。回復の偉大な真理には,天の御父と御子の神性,贖いの計画,啓示,末日の聖典,イスラエルの集合,聖なる神権,儀式と聖約などが含まれますが,「たたえよ,主の召したまいし」9 「恐れず来たれ,聖徒」10「イスラエルの長老たちよ」11「感謝を神に捧ささげん」12「イスラエルの救い主」13をはじめとする多くの賛美歌は,これらの真理をさらに力強いものにしてくれます。これらの賛美歌には養いの力があり,それが作り出す雰囲気はわたしたちを改心に導く御霊を招きます。

礼拝の賛美歌がなかったとしたら,聖餐会はどれほど不完全でむなしいものとなってしまうでしょうか。14賛美歌の中で特に神聖なのは,イエス・キリストの犠牲,万人のために救い主が流された血と,無限の贖いを歌ったものです。

わたしが救い主の癒いやしの力を感じた最初の記憶は,聖餐の賛美歌に関連したものです。「主イエスの愛にただ驚く恵みの深きにわれ惑う」15わたしにとってこの歌詞はまさに真実です。

贖いの教義についてのわたしの理解は賛美歌と結びついています。次の歌詞がそれをよく表しています。

救いの計画

いかに尊とうとし

憐あわれみと愛の

神の恵み16

子供に賛美歌を教えるのは家庭から

賛美歌を歌ったり適切な音楽を聴いたりする習慣は家庭で始めなければなりません。大管長会は次のように教えています。

「末日聖徒は,家庭を価値ある音楽で満ちあふれさせなければなりません。

……〔この賛美歌集が〕家庭の中にあって,聖典や他の霊的な書物などとともに,大切に扱われるように願っております。賛美歌は家庭に,美と平和を愛する心をもたらし,家族同士の愛と一致を強める力を持っています。

子供たちに賛美歌を愛するように教えてください。安息日や〔家庭の〕夕べ,また聖典を学ぶときや祈りのときにも歌うようにしてください。そして,働くときにも,遊ぶときにも,家族で旅行をするときにも歌ってください。小さな子供たちに,子守り歌として賛美歌を歌って聞かせ,信仰と証を築く一助としてください。」17

賛美歌を通して礼拝をより有意義なものとする

賛美歌についてわたしが学んだ大切な教訓を次に挙げます。わたし自身も実践したいと願っている事柄です。

  1. もっと時間に余裕をもって集会に到着し,静かに座って前奏曲に耳を傾け,敬虔な気持ちで啓示を受けられるよう努力する。

  2. 集会後,後奏曲を聴き,御霊が引き続きとどまるよう,さらに敬虔な気持ちで退室する。

  3. 賛美歌を歌う。賛美歌集が手もとにあっても歌わない人がいます。

  4. 集会とテーマにふさわしい賛美歌を選ぶ。

  5. レッスンやクラスで,聖文や福音の真理を紹介したり強調したりするために賛美歌を使う。

  6. 御霊があふれるよう,家庭でもっと賛美歌を聴く。

わたしたちが生活の中からあらゆる不適切な音楽を取り除き,大管長会の次の教えに従うことができるように祈ります。「兄弟姉妹の皆さん,賛美歌を歌い,主の御霊をわたしたちの集いに,家庭に,個人の生活の中に招き入れましょう。賛美歌を覚え,歌詞について深く考えましょう。また,暗唱して歌いましょう。そして賛美歌の持つ霊的な糧にあずかろうではありませんか。義人の歌は天の御父に対する祈りであって,『それに対する答えとして,〔わたしたちの〕頭こうべに祝福が注がれる』ことを心に留めてください。」18これが確かに真実であることをイエス・キリストの御み名なによって証します。アーメン。

  1. 『賛美歌』9ページ

  2. 『賛美歌』16番

  3. Teachings of Gordon B. Hinckleyn B. Hinckley(1997年),399

  4. 『賛美歌』9ページ

  5. Conference Report,1936年10月,111

  6. 『賛美歌』189番

  7. 『賛美歌』9ページ

  8. 「啓示をもたらす敬虔さ」『聖徒の道』1992年1月号,24

  9. 『賛美歌』16番

  10. 『賛美歌』17番

  11. 『賛美歌』196番

  12. 『賛美歌』11番

  13. 『賛美歌』4番

  14. 安息日や家族の礼拝に賛美歌が欠かせないように,クリスマスにも賛美歌やクリスマスキャロルがとても重要です(『賛美歌』116-128番参照)。

  15. 「主イエスの愛に」『賛美歌』109番

  16. 「高きに満ちたる」『賛美歌』112番

  17. 『賛美歌』10ページ

  18. 『賛美歌』10ページ