2000–2009
夫婦宣教師――犠牲と奉仕から得られる祝福
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夫婦宣教師――犠牲と奉仕から得られる祝福

天の御父は皆さんを必要としておられます。救い主イエス・キリストが指揮される神の業は,皆さん一人一人が蓄えた独自の特質を必要としているのです。

4年前の総大会で,専任宣教師として奉仕する夫婦についてお話ししました。そして「聖霊が皆さんの心の琴線に触れられ,どこかの夫または妻が,自分の伴侶はんりょを静かにつつき,真理に目覚める瞬間〔決断の瞬間〕が訪れる」ように祈りました。1 後にある姉妹がまさにその経験を書き送ってくれました。「わたしたちは居間でくつろぎながら,総大会のテレビ中継を楽しんでいました。……長老のお話を聞いていたとき,感動で胸がいっぱいになりました。主人と二人,顔を見合わせました。その瞬間,人生が永遠に変わったのです。」

夫婦宣教師の年代,またはそれに近い年代の皆さんに,今日きょうは人生を永遠に変えることのできる祝福について証あかしします。天の御父は皆さんを必要としておられます。救い主イエス・キリストが指揮される神の業は,皆さん一人一人が蓄えた独自の特質を必要としているのです。どんな伝道の経験にも信仰と犠牲と奉仕が必要ですが,やがて必ず豊かな祝福が注がれます。

この祝福について話し合うと,前に紹介した4つのFを当然思い浮かべることでしょう。つまり恐れ(Fear),家族の問題(Family Concerns),適切な伝道の機会を見いだすこと(Finding the right missionopportunity),そして財政(Finances)です。2 今回はもう一つ,もっと大切で強力なF,信仰(Faith)を加えます。信仰によって初めて,次の神の勧告に従うことができるからです。「あなたがたの仕える者を,今日きょう,選びなさい。」3「あなたがたを造られた主なる神に仕えることを選びなさい。」4 そして,信仰の試しを通して初めて,奇跡的な祝福を受けることができます。その祝福こそ,わたしたちが自分にも家族にも注がれることを求めるものです。こうあるからです。「もしも人の子らの中にまったく信仰がなければ,神は人の子らの中で何の奇跡も行うことがおできにならない。したがって,彼らが信じてからでなければ,神は御自身を現されなかった。」5

ここで,過去4年間に届いた手紙や報告の中から,この奇跡的な祝福の一部を紹介させてください。アイダホ出身のある謙遜けんそんな夫婦は,主からロシアへ行くよう召されたとき,信仰によって恐れを克服しました。召しを受諾する手紙にこう書いています。「わたしたちがこのような召しを受けるとは,だれも想像できなかったでしょう。どうやってロシア語を学んだらいいのか,どうしたらお役に立てるのか,見当もつきません。不安におののきながらも,信仰に頼ってこの召しをお受けします。主と主の預言者はわたしたち以上に,わたしたちがどこで奉仕すべきか御存じなのですから。」10か月後,少しだけロシア語が分かり始めたこのアイダホの夫婦に引率されて,ロシアの小さな支部から30人の聖徒がスウェーデン・ストックホルム神殿に到着しました。聖文はこう教えています。「このように,神は人が信仰によって偉大な奇跡を行うことができるように,一つの手段を与えてくださいました。」6 こうして神の業はその子供たちによって達成されます。それは「信仰もまた地に増すため,……わたしの完全な福音が弱い者や純朴な者によって世界の果てまで……宣のべられるため」です。7

もう一組の夫婦は,信仰をもって家族の問題に取り組みました。ある忠実な姉妹からの手紙です。「伝道に出るという決心は難しくありませんでした。でも,97歳になる母は,わたしたちが行ってしまうことで非常に不安になっていました。それでも母は,わたしたちの伝道によって家族が祝福されると聞き,大いに慰められたのです。」ある忠実な兄弟も,年老いた両親を残して伝道に出ることを心配していました。両親にその思いを告げると,父親がこう答えました。「おまえたち夫婦が伝道に出ない言い訳に母さんとわたしを使わないでほしい。二人で祈って,御霊みたまの導きに従いなさい。」

家族を残して伝道に出た初期の宣教師たちに,主は次のように確約しておられます。「彼らができるかぎりへりくだった心で……これを行うならば,主なるわたしは彼らに,わたしがその家族に必要なものを与えると約束をしよう。」8

確かに家族の問題は大切であり,軽んじるべきではありません。しかし,主の祝福がなければ,家族の問題に対処することはできませんし,犠牲を払って専任の夫婦宣教師として奉仕するときに,必要な祝福が豊かに与えられるのです。例えば,ある夫婦は,教会から離れている末娘を残して伝道に出ることを心配していました。忠実な父親はこのように書いています。「娘のために絶えず祈り,定期的に断食してきました。すると,総大会の最中に,御霊がこうささやいたのです。『伝道に行けば,娘のことはもう心配しなくてもよくなるでしょう。』そこで監督と面接をしました。召しを受けた翌週,娘とボーイフレンドは婚約しました。アフリカにたつ前に,家で娘の結婚パーティーをしたとき,わたしは〔家族を集めて〕家族会議を開き,……主とジョセフ・スミスについて証しました。……そして一人一人に父親の祝福を授けたいと言いました。長男とその妻から始めて,家族の最も若い者まで祝福を授けました……〔その中には結婚したばかりの娘の夫もいました。〕」

夫婦で伝道に出ることを考えるとき,この夫婦のように家族を参加させることは良いことです。家族会議を通して,子供たちは両親を支援していることを伝えることができます。また,必要とする特別な助けを申し出たり,両親が不在の間に自分たちが力づけられるよう神権の祝福を受けたりすることもできます。必要な場合は,両親が子供から神権の祝福を受けることもできます。この手紙の忠実な父親が家族一人一人に祝福を授けたことにより,娘の夫は聖霊の力を感じました。父親はこう記しています。「伝道1年目が終わるころには,〔娘の夫の〕心が教会に対して和らぎ始めました。そして帰還する少し前に夫婦で訪ねに来てくれたときは,スーツケースに彼が初めてそろえた教会用のスーツが入っていました。娘夫婦はわたしたちとともに教会に出席しました。そして,わたしたちが帰還してから,娘の夫はバプテスマを受けたのです。1年後,二人は神殿で結び固めを受けました。」9

この話にまつわる個々の出来事は特別かもしれませんが,原則は「主よ,み旨のまま行かん」10 と言うすべての人に当てはまります。主を信頼するなら,適切な伝道の機会が与えられることを証します。主がおっしゃったように,「もしわたしに仕えようとする人があれば,その人を父は重んじて下さるであろう。」11

伝道の機会について考えると,世界中の多くの夫婦は,奉仕への十分な願望を抱きながら,十分な資金に欠けています。そのような状況にあるなら,適切な伝道地は聞き慣れない名前の遠い国ではないかもしれません。ふさわしい召しは自分のステークや地域内で奉仕することかもしれません。「あなたがたの天の父は,これらのものが,ことごとくあなたがたに必要であることをご存じである。」12親族や監督または支部長に相談してください。主の僕しもべは皆さんの現状をよく理解しているので,皆さんは専任宣教師としての永遠の祝福を受けられることでしょう。

特別な事情があるために自ら伝道できなければ,伝道に出る人を資金面で援助することを考えてみてはどうでしょうか。資力に応じたできる限りの犠牲は,宣教師と彼らが仕える人々だけでなく,あなた自身と家族にも祝福をもたらすでしょう。

さて,若いときに伝道に出ることができなかった人に向けてお話しします。皆さんは宣教師として奉仕し成長する機会がなかったために,何年もの間,後悔にさいなまれ,あるいは自分は決して十分とは言えないと感じてきたかもしれません。過去でなく,未来を見るよう助言します。夫婦宣教師になる準備を今日始めましょう。毎月少しずつ貯金し,聖文を研究し,教会の召しを受け入れてください。周りの人々への主の愛を感じて,主から愛と信頼を受けられるように祈ってください。皆さんはいつの日か,伝道のすべての祝福を享受できるでしょう。

それは何とすばらしい祝福でしょうか。結婚51年目に,こう聞かれました。「いつごろの生活をもう一度したいですか。」わたしは躊躇ちゅうちょせずに答えました。「妻と二人で,主の伝道の業に携わったときの生活です。」別の夫婦も同じような思いを述べています。「伝道に出る決断は,新たな活力,新たな感動,新たな友人,新たな場所,新たな課題を与えてくれました。夫婦としていっそう親密になり,共通の目標を持った本物のパートナーになりました。何よりもすばらしいのは,霊的な引退生活に代えて,新たな霊的成長をもたらしてくれたことです。」兄弟姉妹の皆さん,霊的な引退生活に入らないようにしましょう。

ここで,世界中の監督と支部長の皆さんにお願いします。これから6か月の間に,すでに伝道を計画している人を除いて,各ユニットから少なくとも一組の夫婦宣教師を推薦するよう考えることは可能でしょうか。この課題を達成するうえで貴重な人材は,すでに伝道を経験したワードにいる熟年の会員です。わたしのワードでは霊感を受けた監督が,帰還した夫婦宣教師と将来の夫婦宣教師を対象にした,特別な集会を開きました。わたしたちが犠牲と奉仕について証を述べると,伝道は確かに「〔主の〕恵みの豊かさを知る」13召しであると,御霊が皆に証しました。

また,あるステーク会長は,夫婦宣教師クラスを作って,宣教師になれる夫婦を霊的に鼓舞し,伝道の備えを助けていると聞きます。神権指導者の皆さん,祈りを込めて専任宣教師としての伝道を奨励しようとするときに,このことを忘れないでください。伝道に召される夫婦は,世界中で主の業の達成を助けるだけでなく,何世代にもわたって花開く奉仕の種を自分の家族に植え付けるのです。わたしは今も,イギリスで夫婦宣教師として奉仕し,子孫に模範を示してくれた両親の影響に感謝しています。

将来の夫婦宣教師の皆さん,監督から伝道の面接に呼ばれるまで待つ必要はありません。自分から監督のところへ行ってください。気持ちを打ち明けてください。伝道に関しては,主はわたしたちに希望を述べるように期待しておられます。そうすれば,伝道に出るよう促してくれた御霊が預言者に霊感を与え,わたしたちを正しい任地に召してくれると信頼することができるのです。

教会には実に多くの召しがあります。教会教育システムで,青少年を含め真理を知りたいと望む人を教える召しもあれば,福祉や人道支援活動,神殿,家族歴史センター,伝道本部,教会史跡などで働く召しもあります。「同胞はらからに最も大いなる善を行い,……あなたの主である者の栄光を増す」14 召しです。

幾つか例を挙げましょう。インドに召された夫婦は,目の見えない子供たちが通う学校で衛生施設を建てる手伝いをし,また,彼らが点字のタイプライターを手に入れられるようにしました。ハワイで働く夫婦は,会員20人の小さな支部を200人にまで発展させ,70人の会員が一緒に神殿に参入できるように備えました。ペルーでは,孤児院にいる550人の子供たちのために,夫婦宣教師が薬やクリスマスのおもちゃを用意しました。カンボジアの夫婦は,インスティテュートで教え,支部で指導者として働きました。その支部の会員数は,わずか10か月後には180人に増えました。ロシアで伝道した夫婦は,地元の農家を助けて,ジャガイモの収穫を国営農場の11倍にしました。フィリピンの夫婦は,質素な生活を送る約700家族にウサギの飼育と菜園の耕作方法を教え,ペンシルベニアの夫婦は,60人の家族歴史記録を助けました。その内の半分が別の宗派の会員でした。ガーナで伝道した夫婦は,井戸掘りや井戸の修理を助けて,近隣の村々や難民キャンプに住む19万人に水を供給しました。

それぞれの伝道が,人の目にこれほど目覚ましい結果を生むかどうかにかかわらず,主の目には,奉仕するすべての人が,計り知れない貢献をしているのです。皆「あわれみによって変化を生み出している」15 からです。夫婦宣教師は世界中の専任宣教師にとって,また神権指導者や補助組織の指導者にとって,すばらしい手本であり,強さの模範です。今日紹介した夫婦をはじめ,様々な立場で,延べ数百万時間を同胞のために奉仕している何千人もの夫婦宣教師に,心から感謝します。

兄弟姉妹の皆さん,この業に従事したいという思いを感じたら,その思いがどれほど静かなものであっても,奉仕する日を引き延ばさないでください。今こそ備えの時,召しを受ける時,犠牲を払う時,賜物たまものや才能を分かち合う時,そして自分自身と家族のために神の祝福を受ける時です。ゴードン・B・ヒンクレー大管長が語ったように「もっと多くの夫婦宣教師が絶えず必要とされてい〔る〕」のです。16 この業が進めば進むほど,その必要は増すばかりです。経験,成熟,知恵,そして何よりも信仰が最も円熟した年代にあるわたしたちが,わたしたちにしかできない方法でその必要を満たすために立ち上がりましょう。

とりわけわたしたちには,そうする特別な理由があります。今までの人生を振り返れば,自分自身と家族に対して,天の御父と御子イエス・キリストがどれだけ寛容であられたかが分かるはずです。ある忠実な兄弟はこう説明しました。「わたしたち夫婦は5回伝道したいと希望しています。神様から頂いた5人のすばらしい子供一人につき1回です。」個人的にどんな祝福を受けたかに関係なく,わたしたちは皆,何よりも大いなる祝福を頂いていることを証します。「神〔天の御父〕はそのひとり子を賜わったほどに,この世を愛して下さ」17 り,御子イエス・キリストは「御自分の命を捨てるほど,……世を愛しておられる」18 からです。主の贖あがないの犠牲がその愛の究極の表現であることを特別に証します。

末日聖徒イエス・キリスト教会の会員として,犠牲と奉仕によって主の愛に報い,主の神聖な次の約束にあずかることは最もすばらしい特権です。「わたしの名のために,わたしの大義において自分の命を捨てる者は,再びそれを見いだすであろう。すなわち,永遠の命を見いだすであろう。」19 わたしたちがそうできるよう,イエス・キリストの御名みなにより心から祈ります。アーメン。