2000–2009
まさにそのとおりです
2003年4月


まさにそのとおりです

人生の「霊的な」最大イベントに参加する資狢を得るためには,目標を達成し,標準を維持する必要があるのです。

こんばんは。神の神権を持つ皆さんとともに集まることができ、大変うれしくおもいます。わたしは世界に広がる兄弟のきずなに感謝しています。今この場には特別な雰囲気があります。その雰囲気は,これからイエス・キリストの福音の分かりやすくて尊い教えを受けるという期待から生じています。

今晩,教会の若い男性の皆さんにお話ししたいと思います。自分は別の年代に属するとお感じの方も,どうぞ遠慮なさらずにお聞きください。

昨年の暮れ,タバナクル合唱団とテンプルスクウェァ管弦楽団による久リスマスコンサートに,ジャーナリストのウォルター・クロンカイト氏が出演しました。「クロンカイト氏は19年間CBSイブニングニュースの総合司会を務め……『全米で最も信頼できる人物』という名声を博するようになりました。」1クロンカイト氏はかつて,どのような人物として人々の記憶に残りたいかと尋ねられとき,こう答えました。「最善を尽くした男として覚えられたいですね。」2クロンカイト氏は番組の中で,ニュースリポートを伝え終わると必ず「まさにそのとおりです」と言って締めくくりました。今晩,まさにそのとおり真実の事柄についてお話ししましょう。

先日,あるステーク大会を訪問したときに,ステーク会長と話しました。最近の日曜の夜に開かれたファイヤサイドでどんなことが話し合われたか息子に尋ねたのだそうです。まだ若い息子はこう答えました。「『基準を高くすること』さ。」それから父親に向かって,このテーマはもう聞き飽きたと言いました。最近どのクラスでも,どの集会でもこの話ばかりだったからです。ステーク会長のこの話を聞いてわたしはまずこう思いました。「聖徒たちが預言者の勧告を話し合い,伝え,実践しているとは,すばらしいことだ。」次に,何度も同じことを聞いている若い兄弟の気持ちを考えてみました。最善を尽くそうしているときに,同じことを繰り返し聞かされるのは,きっと嫌なものでしょう。

若いころ,母が決まって言う「デビッド,自分が何者か忘れちゃだめよ」という言葉にいつもそっぽを向いていたのを覚えています。友達はいつも母のこの言葉についていろいろ興味深い意見を述べました。父はといえば,ソルトレーク・シテイー東13番通りを通る度に,ジョージ・アルバート・スミス大管長の家を指さし,「おまえのことを愛している,生ける神の預言者がここに住んでいるんだよ」と繰り返し言うものですから,いいかけんにしてほしいと思ったものです。しかし今では,両親がそのように何度も繰り返してくれたことに心から感謝しています。

「基準を高くする」という言葉は,スポーツ界でよく使われる表現で,より高いレベルを達成していくということです(訳注—「基準を高くする」の英語“raising the bar”は元来,高飛びなどのバーの高さを上げていくことを意味する)。スポーツに置き換えれば,前回の総大会でヒンクレー大管長がわたしたちに求めた事柄に従うことがなぜそれほど重要なのか,説明しやすいかもしれません。大管長はこう言いました。「教会の若い男性や若い女性が,バラード長老の提示したチャレンジにこたえるように願っています。わたしたちは,主イエス・キリストの大使として全世界へ出て行く人々のふさわしさと資格について,基準を高くしなければなりません。」3

1年前,ソルトレーク・シティーですばらしい冬季オリンピック大会が開催されました。オリンピックのたいていの種目では,選手は参加資格を得るために,一定の記録を保持していなければなりません。わたしたちの生活も,オリンピックの出場資格を得るのと似ています。つまり,人生の霊的な重大イベントに参加する資格を得るためには,目標を達成し,標準を維持する必要があるのです。世界水準のスポーッ選手は,決められた練習を毎日こなしています。競技に必要とされる技能を極めたとき初めて,競技への参加資格を得るのです。まさにそのとおりです。

若い男性の皆さん,もし皆さんが世界水準に達し,神権の儀式,神殿の祝福,宣教師としての奉仕といった,人生で最も重要なイベントに参加する資格を得たいと望むなら,皆さんもまた,毎日,正直,徳研究,祈りによって備えなければなりません。まさにそのとおりです。

オリンピック選手は競技のルールを十分に理解しています。ルールを無視すると,厳しい罰則が科せられ,参加資格を剥奪されることもあります。前回のオリンピックでは,運動能力を向上させる薬の使用に関するルールを破り,メダルを取り上げられた選手がいました。ゴルフには,最も厳しい罰則があります。18ホールのどこか一つでもスコアカードの記入を間違えると,参加資格を剥奪されるのです。容救なしです。記入ミスのせいで,スコァが上がろうが下がろうが,結果は同じ,参加實樒の剥奪なのです。

50年以上も前のあるゴルフトーナメントで,大会役員から「残念ですが,スコアカードの記入が間違っていたので,あなたの出場資格を取り消さなければなりません」と言われたことがあります。そのときの大会役員の声は今でも覚えています。自分からスコァカードにミスがあると告げた結果そう言われたのです。何週間もわたしは自問しました。「なぜ言ってしまったのだろう。ちょっとしたミスにすぎず,スコアの総合計は間違っていなかったのに。」このときの成績から言えば,上位入賞を果たせたのですが,表彰式では,何も手にすることはできませんでした。まさにそのとおりだったのです。

若い友人の皆さん,ルールは重要です。決定的とさえ言えます。人生においても同様に,ルールを破れば,罰せられ,資格を剥奪されることさえあるのです。天の御父の戒めの中にあるルールに従わないなら,人生の重要な機会に参加する資格は危うくなるでしょう。性的な罪,違法薬物の使用,政府への不服従,虐待などは,重要な機会への参加資格を剥奪される原因になります。どうか,ルごルを命綱と理解してください。皆さんを縛る鎖ではありません。強さは従順によって養われます。まさにそのとおりです。

1834年に,預言者ジョセブ・スミスはこう記録しています。「わたしにとって11月ほど忙しい月はこれまでになかった。しかし,わたしの人生は,奉仕と尽きることのない責任に満ちているので,わたしはこのようなルールを設けた。『主から命じられたなら,行いなさい。』」4

スポーツを職業とする人々がいます。そうした人たちにとって,勝敗の結果は,膨大な金額に換算される可能性があるのです。スポーツ選手は代理人を雇い,事務処理を委託します。代理人や専属トレーナー,コーチ,監督は,成績向上のために選手を支援します。

天の御父は,大切な若人のために,スポーツ選手よりもずっとすばらしい,この上ない支援スタッフをお与えになりました。親は最高のκ臥です。皆さんが成功するように助けてくれます。親は皆さんに関心を持っていますが,それだけではありません。皆さんを愛し,すばらしい相談者の役割も果たしてくれるのです。

使徒パウロはコロサイ人への手紙の中でこのように言いました。「子たる者よ,何事についても両親に従いなさい。これが主に喜ばれることである。」(コロサイ3:20)両親だけではありません。皆さんの霊的な能力を高めるためにいる大勢の支援スタッフについて考えてみてください。監督は専属眺レーナーとして,皆さんの生活に祝福を与えるために聖なる神権の鍵を用います。セミナリー教師,定員会アドバイザー,ホームティーチャーもまた,皆さんの支援スタッフです。彼らは,人生の大試合に皆さんを備えるよう,主が組織された人々です。彼らの言葉に従うなら,皆さんの成績は着実に伸びるでしょう。主が命じられたなら,行いなさい。まさにそのとおりです。

単に上手な選手と偉大な選手との大きな違いは,スポーツ心理学者の言うところの「集中力」があるかないかです。どう一でもよいことには目もくれず,成功のために欠かせないことに全神経を集中する能力のある選手は,成績を伸ばすことができます。集中力は欠かすことのできない重要な要因なのです。

プロゴルファーのアーノルド・パーマーと若いキャディーの会話を聞いたことがあります。このキャディーは,初めてパーマーに付いて回っていたのです。若いキャディーは,パーマーにゴルフクラブを手渡しながら,ホールまでの距離は165ヤードで,左には小川が隠れていて,右にはラフ,つまり芝生を整えていない場所が遠くまで続いていると付け加えました。非常に穏やかながら,きっぱりとした口調で,パーマーはキャディーに,自分が尋ねたのはホールまでの距離だけだと言いました。また,右や左に何かがあるからと思い悩んで,集中力を失いたくないとも言いました。

ほんとうに重要な人生の目的を見失わずにいるのはたやすいことではありません。注意をそらすものはたくさんあります。コース左手の小川でつまずいている人もいれば,長く面倒なラフを越えられずにいる入もいます。安全と成功は,重要な機会に的を絞ってフルスイングするときに得られます。つまり,神権の昇進,神殿に参入するふさわしさ,宣教師としての奉仕などです。まさにそのとおりです。

天の御父が,皆さん一人一人を祝福してくださいますように。皆さん一人一人に,イエスがキリストであられることを証します。主は生きておられます。わたしたちへの主の愛は完全な愛です。偉大な預言者に感謝しています。預言者はわたしたちを助け,主が命じられるなら,まさにそれが正しいことであり,行わなければならないと理解させてくれるのです。救い主であり,贖い主であるイエス・キリストの御名によって,アーメン。

  1. “Walter Cronkite: A Lifetime Reporting the News,” Voices from the Smithsonian Associates,インターネット,http://www.smithsonianassociates.org/programs/cronkite.cronkite.html.

  2. キラ・アルビン,“That’s the Way It is … with Walter Cronkite, ”GrandTimes,インターネット,http://www.grandtimes.com/cronkite.html

  3. 「神権を持つ男性たちへ」『リアホナ』2002年11月号,57

  4. History of the Church,第2巻,170