2000–2009
人が独りでいるのはよくない
2001年10月


人が独りでいるのは良くない

「結婚でも、家族でも、ワードやステークでむ、夫婦が、両親が、あるいは男女が、一つの目的を持ち協力し台わなければ、可能性を最大限に引ぎ出すことは期待でぎません。」

この5年間・わたしはアフリカからアマゾンまで、世界中の扶助協会の姉妹たちと神権指導者とともに仕える機会に恵まれてきました。皆さんとのそのような経験を通し、ある基本的な福音の原則の大切さを再認識するようになりました。今日はその原則について、特に若い成人会員の兄弟姉妹たちにお話ししたいと思います。皆さんは人生で最もチャレンジに満ちた時期に差しかかろうとしています。

この夏、わたしは肩を痛めて何週間も片腕が使えなくなってしまいました。それまで、体のバランスを取るのに片方の腕がもう片方の腕にどれだけ依存しているかなど、考えたこともありませんでした。片腕では重い物をなかなか持ち上げられないし、まったく不可能な事柄もあることに気づきました。この不調のおかげで、体の障害によく対処している方々への尊敬の念を新たにし、両腕を使ってこそ多くを達成できることを知りました。

二人は通常一人に勝ります。1天の御父は「人が独りでいるのは良くない」2と言われ、アダムに助け手を造られました。助け手とは、自分とは別の才能を持っていて自分の能力を補い、均衡を保ってくれる人のことであり、この世の重荷を分かち合い、一人では不可能なことを可能にしてくれる人です。「主にあっては、男なしには女はないし、女なしには男はない」3 とあるとおりです。

サタンは、義の下に一致した男女の持つ力を知っています。サタンとの戦いで天使ミカエルが率いた天の衆群ぐんしゅうは、キリストの大義の下に団結した勇気ある男女で構成されていました。戦いの後で永遠に追放されたサタンは今も敵意を燃やしています。ペテロの恐ろしい言葉を借りれば、「あなたがたの敵である悪魔が、ほえたけるししのように、食いつくすべきものを求めて歩き回っている」4のです。ルシフェルは結婚と家族を食い尽くそうと躍起になっています。この二つが崩壊すれば、巻き込まれるすべての人の救いだけでなく、主の王国そのものの生命力が危うくなるからです。サタンが男女の異なる責任と特性について混乱を引き起こそうとするのはそのためです。サタンは、性別や結婚、家族、そして男女の結びつきすべてについて誤ったメッセージを浴びせてきます。そのねらいは、男女の差など取るに足りないものであり、固有の賜物など不必要だとか、逆に、その隔たりが大きすぎて理解し合うことなど不可能だと信じさせることです。そのどちらも間違っています。

天の御父はわたしたちを創造されたとき、御自分のしていることの意義をはっきりと認識しておられました。つまり、人を男と女に創造されたとき、愛し合えるように類似点を与え、互いの力と役割を合わせて初めて完全になれるように相違点を与えられたのです。男性も女性も、自分だけでは不完全です。同様に、結婚でも、家族でも、ワードやステークでも、夫婦が、両親が、あるいは男女が、一つの目的を持ち、互いの力を尊重しながら頼り合い、協力し合わなければ、可能性を最大限に引き出すことは期待できません。

今日の社会は、神が与えられた男女の責任に関するこれらの真理のほとんどを忘れています。テレビのホームドラマでも、そして、残念ながら、家族やワードの中でさえそれらを見いだすことができません。しかし、主は忘れてはおられません。主は、わたしたちが「欺かれないために……すべてのことに関して規範を与え」5ておいでになります。夫婦のために、そして主の王国でともに奉仕する男女のためにこの規範を確立したのは、最初の両親であるアダムとエバでした。アダムとエバはともに働き6、嘆き7、従順に従い、子どもをもうけ8、子孫に福音を教えました。9また、主の御名を呼び求め、「主の声を聞」き10、神の御名をたたえ111、神に自分自身をささげました。聖文には繰り返し、アダムとエバについて「彼ら」という代名詞が用いられています。

神権を持つアダムも、母なるエバも、一人で堕落をもたらすことは不可能でした。彼らの独自の役割はそれぞれ関連し合ったものでした。二人は話し合い、一人で担うには重すぎる荷をともに負い、不安に満ちた荒れ野をともに歩んで行ったのです。これこそ義にかなった男女に与えられた主の規範です。

さて、人は理想とおりにいかない状況に直面することがあります。わたしはこのことをよく理解しています。わたし自身もそれに対処しているからです。しかし、愛する若い兄弟姉妹の皆さん、教会と教会の家族の未来は皆さんの手にゆだねられています。主のこの規範に対する皆さんの理解が、皆さんの結婚や家族、そして王国の建設を助ける能力と、永遠の命に影響を与えるということを、わたしは皆さんにお伝えしておかなければなりません。

若い姉妹の皆さん。皆さんの周りには、女性か神権に聖任されないのは不公平だと言い伏せようとする人たちがいます。そのような人たちは間違っており、イエス・キリストの福音を理解していません。男性でも女性でも、神権の祝福は義にかなったすべての人に与えられます。わたしたちには、聖霊と個人の啓示、そして神殿でエンタウメントを受け、力を「帯びて」12出て行く機会が与えられています。神権の力はすべての義にかなった人を癒いやし、守り、暗黒の力に抵抗する力を与えてくれます。何より重要なのは、主の宮で受ける最高の儀式に含まれる完全な神権は、夫婦一緒でなければ受けられないということです。13 ハロルド・B・リー大管長はこう語っています。「清い女性と神権者が一つになって昇栄が可能になるのです。神権者のいない女性や、清い女性のいない神権者では昇栄することはできません。」14

姉妹の皆さん、わたしたち女性は神権の力によって立場を弱くされているのではなく、むしろ力を増し加えられているのです。わたしはそれか真実であることを知っています。何度も体験してきたからです。

皆さんの将来の夫や、ともに教会で奉仕する男性たちは、皆さんにしか与えられない支えを必要とします。皆さんにはジェームズE・ファウスト副管長か男性と同等の、もしくは男性をしのぐ15と表現した、内に秘めた強い霊性があるからです。霊的な責任を放棄しないでください。皆さんの信仰には強い説得力かあります。鏡の前でどんなに長時間過ごしても、聖霊を伴侶とする人の魅力にはかないません。徳と信仰高潔さ、そして限りない思いやりという、神の女性にしかできない方法で家族や教会を祝福してください。

若い兄弟の皆さん、神権への聖任は大いなる特権と責任を伴いますが、神権は人を支配する資格ではありません。奉仕のために与えられたこの神の力を行使するに当たり、いつもふさわしくあってください。御霊に導かれ、神権を尊ぶ男性ほど崇高な存在はありません。

主の御声が聞ける徳高い女性と結婚すれは、彼女は生涯を通して毎日皆さんを祝福することになるでしょう。エバを思い出してください。木の実が好ましいものだと最初に気づいたのはエハでした。そして食べ終わってから、「ともにいた夫にも与えたので、彼も食べた」16 のです。エバがいなかったら、わたしたちの進歩は止まっていたはすです。ダリン・H・オークス長老は、エハのしたことは「永遠の命への扉を開けるうえで必須ひっすの栄えある行為」であり、「アダムはよく知恵を使った結果、同じ行為を選びました」17と語っています。

若い兄弟の皆さん、いすれ皆さんは家庭と教会で管理の責任を持つことになります。身近にいる女性の話に耳を傾け、彼女たちから学ぼうとする謙遜さを身に付けてください。彼女たちは洞察力、偏りのない考え方、そしてユニークな知恵を提供してくれるはずです。そしてチャレンジに直面したとき、皆さんは父なる神とイエス・キリストに献身する女性の回復力の強さに目を見張ることでしょう。

神が示されたこの男女の規範は、夫婦と家族のきずなだけでなく、教会も強めてくれます。なぜなら、忠実な神権者である男性と、神権者の指示の下で奉仕することを喜びとする義にかなった女性が、一致して働かないかぎり、教会もその作られた目的を最大限に達成することができないからです。わたしはこの喜びを何度となく経験したことかあります。

ブラジルのある集会で、ポルトガル語の通訳者を通してお話ししたときのことを思い出します。彼女は自分の通訳能力に自信を持てないでいました。結局、わたしとその姉妹は、楽に意思の疎通ができたのですが、集会が終わってからその理由が分かりました。集会を管理していた中央幹部が、集会の間中、わたしたちの背後で文字どおり席から身を乗り出して、必要に応じて通訳者に小声で助け船を出していたのです。それだけでなく、ほかの神権指導者にわたしたち二人のために集会中すっと祈ってくれるようお願いしていたのでした。

その中央幹部は、わたしに責任を与えただけでなく、それを無事に果たすことができるように安全網を用意してくれたのです。このようなサポートの輪に終わりはありません。なぜなら、義にかなった男女が互いに尊敬し合い、主の果樹園で肩を並べて鎌かまを入れ刈り入れる、という善い業には終わりがないからです。神の王国を建設するには、わたしたち神に従う男女は互いに高め合わなければなりません。活発化、定着、家族に関する問題、その他どんなチャレンジであれ、評議会で話し合い、互いの重荷を軽くするように助け合うとき、わたしたちに解決できないものはありません。

愛する若い兄弟姉妹の皆さん、神がお与えになった男女の規範を今身に付けてください。聖文にあるアダムとエバの話について深く考え、皆さん自身が結婚して家族を持ち教会で奉仕をするときに強くなれるように主が何を教えてくださるかを理解してください。アメリカにおける最近の破壊的な事件を思うにつけ、厳しい将来の前兆のような気がします。けれども、皆さんの世代の男女が、義をもって、いまだかつてなかったほど一致すれば、将来は自信と勇気に満ちたものとなることでしょう。神権の指示の下で力を合わせて働き、同じくびきをともに負うときにわたしたちに不可能はないのです。

天の御父の規範はわたしたちを欺瞞ぎまんから守ってくれます。この世のものでなく主に頼って、男女に関する考えや理想を見つけてください。若い友の皆さん。皆さんこそ、この比類ない時代に母親、父親そして指導者となるよう取っておかれた特別な霊です。それは天の御父が皆さんを知っておられ、皆さんには雄々しく世に立ち向かって神の王国を建設するだけの力があることを知っておられるからです。力を合わせて働いてください。なぜなら、男性も女性も、「人が独りでいるのは良くない」からです。互いに高め合えば、ともにこの世の重荷も軽くすることができ、とこしえに栄光をその頭こうべに付け加えられます。18主は王国を建設するために義にかなった男女を必要としておられます。わたしはこれが真実であることを知っています。神はわたしたちの御父であって、キリストはその独り子です。これは御二方の業であり、御二方の栄光です。イエス・キリストの御名によって、アーメン。

  1. . 伝道4:9参照

  2. . モーセ3:18。アブラハム5:14も参照

  3. .1コリント11:11

  4. .1ペテロ5:8

  5. . 教義と聖約52:14

  6. . モーセ5:1参照

  7. . モーセ5:27参照

  8. . 2ニーファイ2:20参照

  9. . モーセ5:12参照

  10. . モーセ5:4

  11. .モーセ5:12参照

  12. . 教義と聖約109:22参照

  13. . 教義と聖約131:1-4;教義と聖約132:19-20参照

  14. . The Teachings of Harold B. Lee 1996年)292

  15. . ジェームズ・E・ファウスト「神の娘とは何か」『リアホナ』2000年1月号、122参照

  16. . モーセ4:12

  17. . 「人に幸福を与える偉大な計画」『聖徒の道』1994年1月号、81

  18. .アブラハム3:26参照