年次放送
個人の啓示の力


個人の啓示の力

教会教育システム訓練放送,2019年6月12日,教会本部ビル・メインフロア大ホール

今日の話を始める前に,皆さんへの感謝と愛をお伝えしたいと思います。若い世代がイエス・キリストの福音を深く学ぶのを助けるという偉大な業に,皆さんと共に携わるのは喜びです。皆さんを愛し,皆さんとご家族の上に主の祝福があるよう祈ります。

今日は,モルモン書にある個人の啓示を受けるための3つのパターンについてお話しします。

第1は,イエス・キリストと御父の計画について証する神聖な記録。第2はイエス・キリストへの信仰を強め,主への改心を深める聖霊の証。第3は,イエス・キリストについて証し,悪に立ち向かう生ける預言者。

これらのパターンは,現代においてイエス・キリストへの信仰を増し加え,主への改心を深めるために必要不可欠で,極めて重要なため,モルモン書の中で鮮やかに力強く描かれています。1

わたしたちが生きているのは,善が悪であり悪が善であると若い世代に確信させるようと,邪悪で心得違いの男女が何でも行う時代です。彼らはモルモン書の中のシーレム,ニーホル,コリホルが用いた方法,すなわち狡猾な議論,へつらい,巧妙に細工したレッテルやイメージを使って,神との関係や愛,忍耐,結婚,永遠の特性,家族など多くのことについて,偽りの教義を作り出しています。こうした人の思想や教義の多くは,「神を敬うさまをするけれども,〔皆〕神の力を否定」しています。2

生徒たちは,このようなメッセージに常にさらされているので,イエス・キリストへの信仰を強め,主への改心を深めるために,個人の啓示を必要としています。個人の啓示を受けるパターンを深く学べるよう生徒を助けるために,皆さんが全力を尽くせるよう願い,祈っています。

イエス・キリストを証する神聖な記録

最初に,イエス・キリストを証する神聖な記録について話します。これはモルモン書全体に見られるテーマで,真鍮の版から始まります。3

ラバンや真鍮の版に関する経験は,ニーファイの人生において重大な出来事でした。ニーファイは,その記録が自分や家族にとっていかに大切かを学びました。「これらの記録を手に入れるのは,神の知恵です。そうすれば,先祖の言葉を……また……すべての聖なる預言者の口を通して……語られてきた御言葉を,子孫に残すことができるのです。」4

真鍮の版は,ニーファイ人の霊性,宗教,社会の発展に深い影響を与え,個人の啓示の源となり,イスラエルの聖者である神の御子の来臨に関する栄えある預言となりました。また,御父の驚くべき救いの計画について力強い証が述べられており,聖なる預言者たちは真鍮の版を引用して,メシアが世の罪を贖い,苦しみと死を受け,罪と死に勝利してよみがえられることを証しました。5

真鍮の版には,アブラハムとイスラエルの家のすべての者と交わされた御父の聖約も含まれており,リーハイは自分がヨセフの子孫であり,自分の子孫が聖約の子となり,末日におけるイスラエルの集合を含め,神がアブラハムと交わされたすべての約束を受け継ぐことを知りました。

リーハイは真鍮の版を使って子供たちに救い主と,御父がイスラエルの家と交わされた聖約について教えました。ニーファイと弟のヤコブは,その慣習を引き継ぎ,後に主の命令により,自身の版を付け加えました。6ニーファイは,永続する記録,特に神聖な記録を残すことの大切さを真に知るようになっていました。7

約束の地における初期の時代から,ニーファイ人は重要で聖なる責任として,神聖な記録を保ち,読み,教えることを大事にする文化を育みました。イエス・キリストへの信仰と,主の言葉を大切にし保存するという決意により,ニーファイ人は神聖な記録を保ち,読み,教える社会を築いたのです。8正式な記録は版に刻まれましたが,やがてニーファイ人は記録を公表する仕組みを発達させ,神聖な記録をより軽い素材に写し取って広めることができるようになりました。9

神聖な記録が普及したことで,両親が子供へ,その子供がさらに子供へと,数世紀にわたって主の戒めを教えることが可能になりました。10モーサヤの息子たちのような宣教師は,その記録を携え,レーマン人を教えるために用いてすばらしい成果をあげました。11アルマがヒラマンに教えたように,この神聖な記録は霊的な経験をもたらし,「この民に多くのことを思い出させ,また……何千人ものレーマン人に……主なる神について知らせ,彼らの贖い主イエス・キリストのことを喜ぶように彼らを導いた。」12

この喜びは,復活された救い主がバウンティフルの神殿で民に御姿を現されたとき,最高潮に達しました。13生けるキリストの贖いの犠牲と栄えある復活の驚くべき感動的な証が,神の憐れみと賜物と力を通して現在のモルモン書に記録されています。14ニーファイ人のように,また彼らのおかげで,わたしたちはイエス・キリストと御父の救いの計画について証する神聖な記録を持っているのです。その昔,アルマが息子ヒラマンに預言したように,主は「御自分の力を後の時代の人々に示せるように,御自分の内にある賢明な目的のためにこれらのものを守」られました。15

「後の時代」とは,今のことです。主は驚くべき方法で若い世代に御自分の力を示しておられます。わたしたちがモルモン書の中のイエス・キリストの完全な福音を教えるとき,生徒たちはその力を感じることができます。生徒がモルモン書をよく味わって個人の啓示を求めるとき,真鍮の版がニーファイの民に対して果たしたように,モルモン書がイエス・キリストとその贖いの力の証,個人の啓示と喜びの源となるのです。

イエス・キリストへの信仰を強め,主への改心を深める聖霊の証

次は聖霊についてです。約束の地へのリーハイの旅は,霊的な力への旅でした。そのとき主は,霊感や夢,示現を通して,主御自身の声や天の使いの訪れを通して,聖霊の力により,リーハイとサライア,彼らの子供たちを教え,導き,慰められたのです。ニーファイが宣言したように,こうした霊的な力による祝福は「聖霊の力によって……神を熱心に求めるすべての人に神が与えられる賜物」です。16

ニーファイは心から主を求め,聖霊を通して偉大な啓示を受けました。モルモン書全体を通して,自分で知ろうと求める,このパターンが見受けられます。ニーファイは「神の奥義を知りたいという大きな望みを抱いて」おり,17その望みに突き動かされ,誠心誠意の祈りによって「主に叫び求め」ました。18主はその求めにこたえて言われました。「ニーファイよ,あなたは信仰があるので幸いである。あなたがへりくだった心で,熱心にわたしを求めたからである。」19

知りたいという望み,心からの熱烈な祈り,へりくだりイエス・キリストを信じて熱心に求めること,そして聖霊の賜物,これがそのパターンです。20このパターンは,エノスやアルマ,モーサヤの息子たち,ラモーナイ王と彼の父親,アンモンの民,ヒラマンと若い兵士たち,そのほか大勢の人々の生活に見られます。21確かに,ニーファイ人とレーマン人が義にかなっていた時代には,聖霊を通して個人の啓示が広く与えられていました。22

忠実なニーファイ人とレーマン人が聖霊から啓示されたことを実行し記録したとき,主からさらに豊かに祝福されました。そして主から与えられたものを大切に蓄えたので23,主から祝福を受けて,主への信仰を増し加え,改心を深め,啓示の霊を授かりました。彼らは,聖霊の力を通して啓示を受ける能力を高めました。

アルマの経験は,このパターンのすばらしい模範です。ご承知のとおり,アルマは天使に会い,驚くべき示現を受けましたが,それでもなお,主から御霊の証を求め続けました。「見よ,わたしは,自分が語ってきたこれらのことが真実であることを知っている。あなたがたは,わたしがどのようにしてこれらのことが確かであるのを知ったと思うか。

見よ,わたしはあなたがたに言う。これらのことは,神の聖なる御霊によってわたしに知らされているのである。見よ,わたしは自分でこれらのことを知ることができるように,幾日もの間,断食をして祈ってきた。そして,これらのことが真実であるのを,わたしは今,自分自身で知っている。主なる神が神の聖なる御霊によってこれらのことをわたしに明らかにされたからである。わたしの内にある啓示の霊によって知らされたのである。」24

聖霊の証は,ニーファイの民と彼らが住んでいる社会に大きな影響を与えました。25救い主降誕の91年前に行われた,モーサヤの息子たちのレーマン人への伝道に勝る例はありません。これらの偉大な宣教師は,熱心な聖文の探求と断食と祈りを通して,「預言の霊と啓示の霊を受けて」いました。26

彼らのレーマン人の中での働きは,ニーファイ人とレーマン人の歴史の行く末に大きな影響を与えました。500年の歴史で初めて,「何千もの〔レーマン人〕が主を知るようにな〔り,〕……数々の記録と預言が教えられた」のです。27この経験に関するモルモンの記述は,聖霊を通して個人の啓示を受けるパターンに従うとき,どの神の子供たちにも起こりうる預言的な約束です。「アンモンと彼の同僚たちが啓示と預言の霊によって行った宣教と,彼らを通じて数々の奇跡を行われた神の力によって……真理を知るようになったすべての人は,……主に帰依し……二度と道を踏み外さなかった。」28

兄弟姉妹,これが,イエス・キリストへの信仰を強め,主への改心を深める聖霊の証と力です。

イエス・キリストについて証し,悪に立ち向かう生ける預言者

個人の啓示の第3のパターンは,すべての人にリアルタイムで「主はこう言われる」と宣言する力と権能を授けられた生ける預言者です。これはモルモン書全体に見られる偉大な預言者のパターンです。預言者たちはイエス・キリストについて証し,主の福音を教え,人々に悔い改めを呼びかけ,その時代の悪について警告し,立ち向かいました。29啓示,特に天使からの啓示を通して,モルモン書の預言者たちは,イエス・キリストと主の教義,主の贖罪について,きわめて深い驚くべき洞察を与えてくれました。30

預言者たちは大胆かつ率直に,民に悔い改めを叫びました。ですから,モルモン書には,ニーファイやヤコブ,ベニヤミン王,アルマ,アミュレク,モーサヤの息子たち,司令官モロナイ,モルモン,モロナイなどによる悔い改めに関するすばらしい教えが載っています。31これらの偉大な預言者は,明快で率直に,愛と希望をもって教えました。彼らの教えは,聖霊の力により,わたしたちの心に今も響きます。

  • 「あなたがたは霊的に神から生まれているか。」32

  • 「贖いをもたらす愛の歌を歌おうと感じたことがあるのであれば,今でもそのように感じられるか。」33

  • 「見よ,あなたがたは高慢な心を取り去っているか。」34

  • 「『悔い改めよ。悔い改めよ』と主なる神は言われた。……主はすべての人を招き,憐れみの御腕を伸べて,『悔い改めよ。そうすれば,わたしはあなたがたを受け入れよう』と言われる。」35

モルモン書の預言者たちは,人々をイエス・キリストから引き離し,主の教会を滅ぼそうとする邪悪な者の前に立ちはだかりました。シーレム,ニーホル,アムリサイ,コリホル,アマリキヤ,そのほか多くの人が,サタンに誘われて,卓越した技能で混乱と欺きをもたらしました。36彼らは言葉に深く精通しており,狡猾な策略や議論を用いて,善を悪,悪を善であるかのように見せかけました。

また,人々のうぬぼれや高慢,権力への渇望,欲望に訴えかけて,人々にへつらいました。聖文によれば,彼らは「悪魔の力によって多くの甘言と十分な弁舌の力を用いることができ」37,「大言壮語」していました。38彼らの教えや議論,約束はすべて偽りでしたが,生まれながらの人を魅了し,預言者が立ち上がって悪を叱責して反対するまで,多くの人々が教会から離反し,道を見失いました。39

言葉だけでは足りなくなると,邪悪な者たちは恐怖や殺人,強盗に訴え,自らの悪口を隠すために秘密結社を結成しました。40

預言者はこうした悪に,神の分かりやすくて簡単な言葉と,聖霊の力による証,主の御手による奇跡をもって立ち向かいました。ヤコブはシーレムに出会ったときのことをこう言いました。「主なる神がわたしに神の御霊を注いでくださったので,わたしは彼のすべての言葉について彼を説き破った。」41

生ける預言者は,現代における主の代弁者です。預言者の言葉を御霊とともに聞くとき,それが真実であることを確信させる啓示を含め,個人の啓示を直接受けます。42自分の疑問への答えを求めて生ける預言者の言葉を探求するよう生徒たちに教えるとき,啓示された真理の力強い源に彼らを導いているのです。イエス・キリストについて証し,悪に立ち向かう生ける預言者に従うとき,生徒たちは個人の啓示が生活の中に流れ込むことを学びます。43

個人の啓示の原則を深く学ぶ

兄弟姉妹の皆さん,ここまで神聖な記録,聖霊の証,生ける預言者を通して得られる個人の啓示について共に考察してきました。これらはモルモン書に非常に力強く記されています。44別々に考察してきましたが,互いに深くかかわっています。事実,これらはこの神権時代に「ことごとく,キリストにあって一つに帰せしめようとされた」ものの一部なのです。45

個人の啓示のこれらのパターンは共に,イエス・キリストを証し,主への信仰を強め,改心を深めます。生徒たちは個人の啓示の原則を深く学ぶ必要があります。それは,原則を心と思いで理解し,それを身に着けるための効果的で義にかなった行いを理解できるようになるためであり,そして啓示の原則を活かせるようになり,さらに救い主イエス・キリストに似た者になるためです。

生徒が個人の啓示についての永遠の原則を深く学ぼうとするときに教えて欲しいことを幾つか提案したいと思います。

第1に,個人の啓示は個人的なものです。

生徒が自分の心と思いをイエス・キリストと回復された主の福音に集中するなら,主の愛を感じ,主の福音を喜び,主に近づくでしょう。主の声を聞いて主の光を受けたいという願いが,高まるでしょう。個人の啓示は個人的なものです。主は生徒一人一人をよく知っておられます。主は生徒に必要なものを御存じで,完全な愛と思いやりをもって個人的に語られます。啓示は聖霊を通してもたらされますが,それは主の御言葉です。主は愛し,主は語り,主は導き,守られます。個人的にです。

第2に,すべての生徒は個人の啓示を受ける能力を持っています。

個人の啓示は御霊から霊に伝えられます。聖霊から生徒の永遠の霊への神聖なコミュニケーションです。46生徒は皆,神から個人の啓示を受ける能力を生来持っており,それは神の律法に従って発揮されますが,行いが必要です。祈りと断食と研究により熱心に啓示を求め,イエス・キリストを信じる信仰をもって耳を傾け,記録し,行動するのです。この行いと個人の義が,個人の啓示を受けるための道筋を開きます。

第3に,啓示を受ける生徒の能力は伸ばせますし,そうしなければなりません。

個人の啓示を受ける生徒の能力は,伸ばすことができるのです。事実,生徒が霊的に生き残って永遠の命を受けるのであれば,伸ばさなければなりません。わたしたちもそうです。ネルソン大管長が「啓示を受ける霊的な能力を伸ばすように」彼らに(そしてわたしたちに)求め,嘆願したのは,このためです。47預言者ジョセフ・スミスはこう教えています。「神の御霊を経験し,理解することによって,〔生徒たちは〕啓示の原則が身に付いていき,ついにはキリスト・イエスにあって完全な者となるでしょう。」48

最後に,預言者に従うことによってもたらされる啓示の力を決して過小評価しないでください。

生徒たちはすばらしくもチャレンジに満ちた時代に生きています。主の預言者の助言と勧告に従うならば,彼らは守りと祝福を受け,生活の中に啓示が流れ込むことでしょう。預言者は主の代弁者です。最近の例を挙げましょう。ラッセル・M・ネルソン大管長は,生徒たちにこう書き送りました。「皆さんの持つ,これまでのどの世代よりも世界に影響を与える能力は,イエス・キリストに対する皆さんの献身の度合いによって完全に左右されます。皆さん一人一人には,ともに暮らす人々に対して自分の家庭で福音を教えるのを助ける責任があります。セミナリーとインスティテュートは,皆さんが自分の家庭を信仰の聖所,すなわち,イエス・キリストの福音を教え,学び,実践し,愛する場所になるよう改めるのを助けてくれることでしょう。」49

兄弟姉妹,預言者に従えるように生徒たちを助けてください。家庭を福音学習の中心とするために,両親を助けるよう教えてください。主と主の福音への愛を,家族や友人に分かち合うように教えてください。そうするとき,生徒たちは「啓示の上に啓示を……受けて,……喜びをもたらし永遠の命をもたらすものを知ること」でしょう。50彼らはヒラマンの勇士のようになり,彼らを知るすべての人に,特に自身の家庭にいる人々に霊感を与えるでしょう。

愛する兄弟姉妹の皆さん,愛にあふれる天の御父について証します。御父は生きておられます。イエスはキリストであり,救い主,贖い主であられます。主は生きておられます。聖霊はわたしたちの生活の中で働かれます。天は開かれています。今は奇跡の時代であり,「父の御心によってその子イエス・キリストを通じて送られる……御霊」の力による啓示の時代です。51それは真実です。生徒一人一人がこの栄えある原則を深く学び,今から永遠にわたり,生活の中で個人の啓示を受けられるよう助けるため,わたしたちそれぞれが主からの啓示を求めることができますように。

イエス・キリストの聖なる御名により,アーメン。

  1. この3つのパターンはリーハイの家族において約束の地へ旅する間に確立されている。リーハイは預言者であり,家族に対して預言し,イエス・キリストについて証し,悔い改めを呼びかけ,彼らの中の悪と戦った。ニーファイは父親が行ったように個人の啓示を求め,夢と示現により,御霊のささやきにより,主の声により,そして天使の働きにより,それを受けた。彼らはイエス・キリストを証する真鍮版の神聖な記録を持っていた。

  2. ジョセフ・スミス—歴史1:19参照

  3. ニーファイは,父リーハイが言語に通じた学問のある人であることを明らかにしている。ニーファイは自身の記録の冒頭でこう述べている。「わたしニーファイは善い両親から生まれたので,父が学んだすべてのことの中から幾らかの教えを受けた。……わたしは父の言葉で記録するが,それは,ユダヤ人が学んできたこととエジプト人の言葉から成っている。……わたしニーファイは,父が書き記したことを残らず述べることはしない。」(1ニーファイ1:1-2,16

    リーハイは,自分の夢や示現や預言を自身の記録に残した教養のある人であった。しかし,主は彼に,息子たちをエルサレムに送って,ラバンが保管しているユダヤ人の記録を探すように命じられた。

  4. 1ニーファイ3:19-20

  5. 真鍮の版にあって現在の聖書にはない預言者の記録の例については,1ニーファイ19:10を参照。

  6. 1ニーファイ6:419:1, 21参照。真鍮の版は,ニーファイ人の歴史全体にわたって洞察と啓示の源であり続けた。リーハイから1000年後に,モロナイは御父の聖約について真鍮の版からイザヤの言葉を引用し,イエス・キリストの贖いの力を思い起こさせた。「おお,エルサレムよ,目を覚まして地から立ち上がりなさい。おお,シオンの娘よ,美しい衣を着なさい。おお,イスラエルの家よ,……永遠の御父があなたに立てられた聖約が果たされるようにしなさい。

    まことに,キリストのもとに来て,キリストによって完全になりなさい。神の御心に添わないものをすべて拒みなさい。」(モロナイ10:31-32

  7. 1ニーファイ6:419:21参照

  8. 言語と学問の重要性,すなわち読み書きして記録を保存する能力は,ニーファイ人の社会に深く根付いていたため,信仰を持たない者でさえその能力を育んでいた。例えば,ノア王の邪悪な祭司の一人であるアミュロンは,レーマン人の教師となり,読み書きして記録を保管することを教えた。ガデアントン強盗団でさえ,手紙を読み書きした。さらに,記録を保管し,読み,教える社会を築くことは,さばきつかさの統治において,ニーファイの民の間に法の支配を定着させる上で重要な意味を持っていた。記録を書いて保管することは,読んで教えることと同様に,主がニーファイ人を物質的,霊的に祝福する大切な方法であった。そうした経験の中にわたしたちの時代のためのパターンが存在する。

  9. ベニヤミン王の説教で,王が言葉を書き取らせて,声の届かない所にいる人々に送り届けたのは,記録が活用された例である。アビナダイがノア王の邪悪な祭司たちに,真鍮の版から主の戒めを読み聞かせたのも同様である。アルマとアミュレクを信じ,「悔い改めて聖文を調べ始めた」アモナイハの民も,その例である(アルマ14:1)。信じている者たちの妻子たちは,「聖文の載っている記録」とともに火の中に投げ込まれて焼かれた(アルマ14:8)。

  10. モーサヤ1:2-5参照

  11. アンモンが「民の記録と聖文を〔ラモーナイ〕王の前に置いた」ことについては,アルマ18:36を参照。

  12. アルマ37:8-9参照

  13. 3ニーファイ11:8-17参照。人々は喜びに圧倒され,その晩イエス・キリストについて証し,後の世代の人々のために証を述べた。息子アルマのひ孫の息子であるニーファイは,これらの神聖な出来事を記録し,彼らは神の御子の復活と贖いの犠牲について卓越した証を残している。

  14. 主はジョセフに,「神の憐れみによって」(教義と聖約1:29)モルモン書を翻訳する力が与えられることを告げられた。ニーファイは生涯の終わりに,聖約の道に入るすべての人に,キリストの言葉を大切にするようにという明快な呼びかけをしている。その呼びかけは,ニーファイ人の何世紀もの歴史を通して家庭の中や聖所の中,そして預言者の教えの中で繰り返されてきた。それは霊を鼓舞する約束により,現代のわたしたちの心を貫くものである。「したがって,あなたがたはこれからもキリストを確固として信じ,完全な希望の輝きを持ち,神とすべての人を愛して力強く進まなければならない。そして,キリストの言葉をよく味わいながら力強く進み,最後まで堪え忍ぶならば,見よ,御父は,『あなたがたは永遠の命を受ける』と言われる。」(2ニーファイ31:20,強調付加)

  15. アルマ37:18アルマ37:14-19も参照。真鍮の版は保存され,モロナイにより大切に保管された。デビッド・ホイットマーは,1878年にミズーリ州リッチモンドで,ジョセフ・F・スミスとオーソン・プラットと話したときに,それが真実であることを証した。「ジョセフとオリバーとわたしは,モルモン書の版だけでなく,真鍮の版とエテル書の版……また,ほかの多くの版も見た。実際に,ちょうどこの丸太に座っていたかのように,ジョセフとオリバーとわたしは光に照らされた。それは太陽の光のようではなく……もっと輝かしく美しいものだった。……多くの記録や版が置かれたテーブルのようなものが現れ,モルモン書の版のほかに,ラバンの剣,指示器,すなわちリーハイが持っていた球状のもの,それに解訳器があった。わたしはこのベッドを見ているように,はっきりとそれらの物を見た。……そして,わたしの人生でかつて耳にした何にも増してはっきりと,モルモン書の版の記録が神の賜物と力により翻訳されたことを宣言する主の声を聞いた。」(David Whitmer, in Joseph F. Smith letter to John Taylor, Sept. 17, 1878, Joseph F. Smith papers, 1854–1918, Church History Library, Salt Lake City, 8–9)

  16. 1ニーファイ10:17。ニーファイ第二書の中で,ニーファイは聖霊の賜物を受ける資格を得る方法と聖霊の働きについて説明している。「あなたがたが入らなければならない門とは,悔い改めと,水によるバプテスマである。そうすれば,火と聖霊によって罪の赦しが与えられる。……そのとき,あなたがたは,永遠の命に至る細くて狭い道にいることになる。……あなたがたは,御父と御子について証をされる聖霊を受けている。こうして,その方法によって入るならば受けると主が約束された,その約束が果たされたのである。」(2ニーファイ31:17-18

    「あなたがたがその道によって入り,聖霊を受けるならば,聖霊は,あなたがたがなすべきことをすべてあなたがたに示されるであろう。」(2ニーファイ32:5

  17. 1ニーファイ2:16

  18. 1ニーファイ2:16

  19. 1ニーファイ2:19

  20. このパターンは,モルモン書において個人の啓示の多くの経験から明らかである。以下について考察する。

    自分自身で知りたいと望む

    真理を知りたい,答えを受けたい,導きや慰めや赦しを受けたいという望みは,しばしば神の言葉によって刺激され,個人の啓示を求める動機づけになる。ニーファイは「神の奥義を知りたいという大きな望みを抱いて」いた(1ニーファイ2:16)。エノスの霊は赦しを求めて「飢えを感じて」いた(エノス1:4)。アルマは心の中で叫んだ。「おお,神の御子イエスよ,……わたしを憐れんでください。」(アルマ36:18)これは神から啓示を受けるための真の望みである。

    誠心誠意祈る

    真の望みは祈りへ,しばしば静かな場所での祈りへと導く。わたしたちは知りたいという望みから生まれた,心からの祈りをもって天の御父からの啓示を求める。それは受けた答えに基づいて行動する,誠心誠意の祈りである。ニーファイ,エノス,アルマ,モーサヤの息子たち,ヒラマンと若い兵士たちが,しばしばそのような祈りをささげた(1ニーファイ2:16エノス1:4アルマ17:3アルマ58:10-13参照)。

    熱心に求める

    啓示を受けるには,熱心に求める必要がある。アルマが「自分でこれらのことを知ることができるように,幾日もの間,断食をして祈ってきた」ことについて考える(アルマ5:46)。啓示を熱心に求めるとは,聖文を探求し,読んで学んだことについて熟考し,祈り,断食することを意味する。しばしば天の御父に心を向け,主の時を信頼することを意味する。

  21. ヤコブが教えたように,聖霊を通して与えられる個人の啓示の賜物は,霊的な賜物をもたらし,イエス・キリストへの信仰を増し加え,主への改心を深める。「それゆえ,わたしたちは預言者の書を調べている。また,わたしたちには多くの啓示があり,また預言の霊がある。このように証するものが数々あるので,わたしたちは希望を抱いており,わたしたちの信仰は揺るぎないものになっている。実際にイエスの名によって命じれば,木々も山々も海の波も従うほどである。

    にもかかわらず,主なる神はわたしたちの弱点を示される。それは,このようなことを行う力がわたしたちにあるのは,神の恵みと人の子らに対する神の大いなるへりくだりによるということを,わたしたちに分からせるためである。」(ヤコブ4:6-7

  22. 神がその民に御心をお伝えになるすべての方法において,それは真実である。例えば,天使の働きは,義人の間ではよく見られることである。アルマはこう述べている。「見よ,天使たちはわたしたちの地で多くの人に〔悔い改め〕を宣言している。」(アルマ13:24)救い主誕生の直前に,「天使たちが人々,すなわち賢い人々に現れ,胸躍る大いなる喜びのおとずれを彼らに告げ知らせた。」(ヒラマン16:14

  23. 教義と聖約84:85参照

  24. アルマ5:45-46

  25. アルマはアモナイハの民を教えたとき,ニーファイ人が享受したすばらしい祝福と,主が彼らの中に作られた聖約によるコミュニティーの特質を要約している。アルマ9:20-22には,彼らが「主から厚い恵みを受けた民であり」,「彼らの望みと信仰と祈りに応じて,過去,現在,未来のことをすべて示され」,「神の御霊の訪れを受け,天使と語り,主の声による御告げを受け,預言の霊と啓示の霊と,そのほか……多くの賜物を受けてきた。」

  26. アルマ17:3アルマ17:1-3も参照

  27. アルマ23:5アルマ23:5-7も参照

  28. アルマ23:6

  29. ここでは預言者の役割に焦点を当てるが,預言者は聖見者であり,啓示者でもあることも忘れてはならない。アンモンはこう教えている。「聖見者は啓示者であり,預言者でもあります。……聖見者は過去のことも将来のことも知ることができます。解訳器によってすべてのことが示されるのです。というよりむしろ,秘密のことが明らかにされ,隠れたことが明るみに出るのです。知られていないことが解訳器によって知られるようになり,またほかの方法では知ることのできないことが,解訳器によって知られるようになります。」(モーサヤ8:16-17

  30. 彼らはそのような霊的な力をもって行ったので,そのメッセージは聞く備えのできた人々の心を貫いた。1000年以上の歴史の中には,「喜びに満たされた」人々や(1ニーファイ5:1モーサヤ4:3),「心を……永遠の御言葉の光に照らされるようになった」人々(アルマ5:7),「主に贖われ……御霊によって生まれ」た人々がいた(モーサヤ27:24)。多くの場合,「数千人が教会に加わって悔い改めのためのバプテスマを受けた。」(ヒラマン3:24)キリストの教義に関するわたしたちの知識を深める,預言者に与えられた啓示における天使の役割の一例として,モーサヤ3章を参照する。

  31. 2ニーファイ31章モルモン書ヤコブ2章モーサヤ3章アルマ5章アルマ18章アルマ34章アルマ46章モロナイ7章モロナイ8章モロナイ10章参照

  32. アルマ5:14

  33. アルマ5:26

  34. アルマ5:28

  35. アルマ5:32-33

  36. モルモン書ヤコブ7:1-20(シーレム);アルマ1:3-15(ニーホル);アルマ2:1-31(アムリサイ);アルマ30:3-59(コリホル);アルマ46:3-11)(アマリキヤ)参照

  37. モルモン書ヤコブ7:4参照

  38. アルマ30:31参照

  39. 救い主の誕生が近づくにつれ,邪悪な人々はさらに悪事を追い求め,秘密結社を結成した(ヒラマン1:9-12ヒラマン2:4-5参照)。アダムとエバの時代にまでさかのぼる古代の方法では,これらの邪悪な人々は,密かに殺人や強盗を犯すことにより,権力を得,富を蓄え,教会と政府を滅ぼすことを目的とした集団を組織した。彼らの使う手段は言葉ではなく,こん棒や剣,ナイフであった。彼らは互いに交わした誓約と誓いにより守られ,離脱すれば死の罰を受けるという条件の下に,彼らの邪悪な行いを秘密裏に保った。(ヒラマン6:20-333ニーファイ1:27-30参照)

  40. ヒラマン1:9-12ヒラマン2:4-5ヒラマン6:20-333ニーファイ1:27-30参照

  41. モルモン書ヤコブ7:8参照

  42. この原則についての話し合いには,ヘンリー・B・アイリング,「絶えざる啓示」『リアホナ』2014年11月号,70-73を参照する。

  43. 預言者ジョセフに与えられた主のメッセージが意味することはこれである。「神から出ているものは光である。光を受け,神のうちにいつもいる者は,さらに光を受ける。そして,その光はますます輝きを増してついには真昼となる。」(教義と聖約50:24)ニーファイ人は常に義にかなった民であったわけではなく,また離反者たちは常に存在していたが,預言者たちは信仰の炎を明るく燃やし続けた。彼らは勇気と啓示の力をもって,落胆し迫害された信者を元気づけた。また,救い主を生活の錨とし,個人の啓示を受けられるよう多くの人々を助けることで,人々がイエス・キリストと主の福音を自身にもたらせるように,あるいは回復できるようにした。

  44. 生徒たちは,ニーファイ人とレーマン人が神聖な記録や個人の啓示,生ける預言者によっていかに祝福されたかを読んで理解することができる。これらの驚くべき祝福について読むそのときに,生徒たちがそれらを受け入れるならば,生徒たちは自分自身でそれらを体験できるのである。モルモン書を研究および探求し,霊的な導きを求めて祈ることにより,生徒たちはイエス・キリストの福音と御父の計画について知識と理解を得,福音を実践する方法を学び,読んだことが真実であるという証を受けることができる。これらすべては聖霊の力によるのである。

  45. エペソ1:10参照

  46. ジョセフ・スミスは,わたしたちが死すべき肉体を持ちながらも,「まるで肉体を持たないかのように,直接霊に」個人の啓示が与えられると教えている(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』475)。

  47. ラッセル・M・ネルソン「教会のための啓示,わたしたちの人生のための啓示『リアホナ』2018年5月号,95

  48. 『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』132

  49. ラッセル・M・ネルソン大管長のInstagramのページ,2019年3月22日の投稿より。この投稿は,2020年1月に始まるセミナリーの日程と教科課程への変更を発表するものである。

  50. 教義と聖約42:61

  51. 教義と聖約50:27