注意深く,祈りをもって耳を傾ける

ほかの人々が霊的な知識を得られるように助ける

生徒の質問のほんとうの意図や生徒の気持ち,信条を理解するために,注意深く耳を傾け,観察し,見極める。

提案

  • 生徒が心配していることを,安心して話し合える環境をつくる。

  • 生徒の質問にどう答えるべきかを理解するために,よく祈りながら御霊と生徒の声に耳を傾ける。

  • 生徒たちが,自分たちが心配していることについてどう感じているかを話せるような質問をする。

そのほかのリソース

『わたしの福音を宣べ伝えなさい』には以下の助言が記されています:

「人々の話に注意して耳を傾けるときに,その人々をよく理解することができます。彼らは自分の考えや気持ちが大切にされていることが分かると,あなたの教えを受け入れようとする気持ちになり,個人的な経験を話し,決意事項を受け入れようとするものです。あなたは耳を傾けることによって,レッスンを彼らの必要と関心に合わせて効果的に教えることができます。

特に御霊のささやきに耳を傾けてください。人々から気持ちを打ち明けられているときに,御霊によって導かれた思いや考えがあなたの心に入り込んで来るかもしれません。また,人々が言おうとしていることを理解することができます。……

人々の問題を氷山にたとえることができる場合があります。水面上に見えるのはほんの一部にすぎません。複雑で解決が難しい問題もあります。そのため,あなたは御霊の導きに従い,また状況に最も適した方法で対応する必要があります。識別の賜物を祈り求め,心に感じるものに従ってください。天の御父はあらゆる人の心と,経験していること(氷山全体)を御存じであり,その人にとって最もよいことをあなたに知らせてくださいます。

問題を解決できるよう助けるには,まず質問し,耳を傾けることによって彼らの問題を理解しようと努めてください。彼らの問題を解決する方法が分かるように御霊に頼りましょう。」(『わたしの福音を宣べ伝えなさい—伝道活動のガイド』185,187

大管長会のヘンリー・B・アイリング管長はこのように教えました。「皆さんもわたしも,生徒たちが疑問の源だと考える事柄について長くとどまらない方が賢明でしょう。生徒たちに,わたしたちが気にかけていること,理解していること,そして彼らを悩ますものにはわたしたちは悩まされていないということを示すために,十分に長い時間をかけて耳を傾けなければなりません。しかし彼らの問題は,彼らが理解していると思っているところにはありません。まだ彼らには分からないところにあるのです。……最善の方法は,早めに会話を心に関する事柄に向けさせることです。霊の目を開かせるのは心の変化だからです。」 (ヘンリー・B・アイリング,“And Thus We See: Helping a Student in a Moment of Doubt”〔中央幹部との夕べ,1993年2月5日〕,4参照)

愛と助けたいという望みを持ってこたえる。

提案

  • 生徒たちの必要を理解できるように誠実に努める。きめ細やかさと思いやりをもってこたえ,生徒の質問は教師にとって大切であるということを知らせる。

  • 生徒たちが,自分の疑問や主に導きを求めるための努力について皆さんに相談するとき,信頼してくれたことに感謝を示す。

  • こたえる際に,急がない。

そのほかのリソース

トーマス・S・モンソン大管長はこのように勧告しました。「愛すべき人よりも,解決すべき問題の方を重要視しないでください。」(トーマス・S・モンソン「人生の旅路に喜びを見いだす」『リアホナ』2008年11月号,86)

十二使徒定員会のジェフリー・R・ホランド長老は次の話を語りました。「最近14歳の少年が少しためらいながらわたしにこう言いました。『ホランド兄弟,ぼくはまだ教会が真実であると知っていると言えないのですが,真実であると信じています。』わたしはその少年を強く抱き締めました。そして彼に,信じるというのは重要な言葉であり,非常に重要な行為でもあり,『ただ信じている』だけだと言って謝る必要は決してないことを心から伝えました。わたしは彼に,キリスト御自身が『恐れることはない。ただ信じなさい。』〔マルコ5:36〕と言われたことを伝えました。そして,その言葉はまさに,若き日のゴードン・B・ヒンクレーに伝道に行く動機を与えた言葉でした〔ゴードン・B・ヒンクレー,Conference Report,1969年10月,114参照〕。わたしはその少年に,信じることが確信を得るための第一歩であること,また,わたしたちの教会の信仰箇条の各条がまさに『信じる』という言葉を力強く繰り返しているということを伝えました〔信仰箇条1:1-13参照〕。また彼が正直に信仰を求めていることを褒めました。」(ジェフリー・R・ホランド「主よ,信じます」『リアホナ 』2013年5月号,94-95)

いつ,どのように質問に答えるのが最適かを判断する。

提案

  • 質問に答える最善の時と場所を見極める。全員が関心のある問題についてはクラスの中で答えるとよいでしょうが,特定の生徒が持つ特定の問題については別の機会に答える方がよいでしょう。

  • 生徒に,自分たちの抱える問題を,親や神権指導者およびそのほかの信仰を築く助けをしてくれる人に伝えるよう勧める。

そのほかのリソース

イエス・キリストは弟子たちに次のことを教えられました。

「それゆえ,まことに,わたしはあなたがたに言う。この民に向かって声を上げなさい。わたしがあなたがたの心の中に入れる思いを語りなさい。そうすれば,あなたがたは人々の前で辱められることはないであろう。

あなたがたの言うべきことは,まさにそのときに,まことにその瞬間にあなたがたに授けられるからである。

しかし,わたしはあなたがたに一つの戒めを与える。あなたがたがわたしの名によって告げることは何であろうと,すべてのことについて厳粛な心と柔和な心で告げなければならない。

わたしはあなたがたにこの約束を与える。すなわち,あなたがたがこれを行うならば,聖霊が注がれて,あなたがたの述べるすべてのことを証するであろう。」(教義と聖約100:5-8

十二使徒定員会のロバート・D・ヘイルズ長老は教会の会員に向けて,信仰への批判や攻撃にどう対処するかを教えました。ヘイルズ長老が教えた原則は,生徒の質問に適切に答えようと学ぶ教師たちにも応用できます。

「批判に応じるときの状況はそれぞれ異なります。ありがたいことに,主は〔ほかの人々〕の本心も,わたしたちが最も効果的に応じる方法も御存じです。真の弟子は御霊の導きを求めるとそれぞれの状況に合った霊感を受けます。そしてあらゆる状況において,真の弟子は主の御霊をその場に招くような応じ方をします。……

質問や批判を受けることは,相手と親しくなり,御父やわたしたちにとってその人が大切な存在であることを示す機会となります。自己を弁護したり,神学論争に勝ったりするためでなく,相手が真理を理解できるように助けるために話してください。非難する相手に対する最も力強い答えは,心からの証です。……愛と柔和さがなければそのような証はできません。」(ロバート・D・ヘイルズ「クリスチャンらしい勇気—弟子としての犠牲」リアホナ』2008年11月号,73)