2017年ルーツテック:家族発見の日—オープニングセッション

ラッセル・M・ネルソン大管長とウェンディー夫人は神殿・家族歴史サービスについての気持ちと勧めを分かち合っています。

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ネルソン会長:

フォスター長老,ありがとうございます。兄弟姉妹,こうして皆さんとともにいられることをうれしく思います。わたしたちは家族を愛し,神殿と家族歴史の業を愛しています。そして,皆さんを愛しています。

ウェンディー:

家族でスクラブルゲームをするのも大好きです。今日は神殿と家族歴史について話しながら,一緒にスクラブルゲームをしましょう。

ネルソン会長:

一緒にルーツテックキッチンへ行きましょう。ウェンディーの見事な勝ちっぷりを見るのはきっと楽しいですよ。

ウェンディー:

まさか。たった一語で176点も取るのはあなたのほうよ。

わたしたちはいつもiPadで遊んでいます。神殿と家族歴史活動にまつわる言葉を幾つ作れるか,やってみましょう。

ネルソン会長:

今,“family”(「家族」)と書きました。ちょうど良い文字を持っていました。

ウェンディー:

始めるのにぴったりの言葉ね。ルーツテックに来てくださった皆さんに,まずはネルソン家を紹介しましょうよ。結婚する3日前に郡の書記のところへ行ったことを覚えている?

ネルソン会長:

ああ,覚えている。

ウェンディー:

大家族の父親と結婚することは分かっていたものの,どれくらい大きいか実感がわいたのは,郡書記が来るのを待っている間,あなたが机の引き出しから家族のリストを取り出して,生まれたばかりのひ孫をつけ加えたときだったわ。

あの子が一族で何番目の子孫か聞いたとき,自分が何番目になるか分かったわ。

あれは現実を突きつけられた瞬間でした。あれから11年近くたった今,子孫の数は倍近くになりました。家族の輪がどんどん広がっています。

ネルソン会長:

すてきなことでしょう?初めはダンツェルと二人でしたが,後に10人の子供が生まれ,12人家族になりました。でも,家族の大きさが大切ではなく,わたしたちが家族であることが大事なのです。

ウェンディー:

わたしもそう思うわ。わたしの両親のレナード・デビッド・ワトソンとローラ・バード・マクリーン・ワトソンは3人の生きている子供が生まれて喜んでいました。姉のキャシー,妹のバージニアとわたしです。母は流産や,幼い赤ちゃんの死を経験していましたから。

ネルソン会長:

家族に一人,二人であろうと,どの子も貴い存在なのです。

ウェンディー:

あなたとダンツェルは10人のすばらしい子供たちを育てたわね。今その子供たちはすばらしい子供を育て,その孫たちも今自分の子供を育ててる。

そして,あなたも90歳になって,とてもすてきなお祝いだったわね。

ダンツェルとあなたが上手に教えてきたので,子供たち家族もしっかり自立してるし,彼らが主に頼っているからね。あなたもどんなに安心していることでしょう。

ネルソン会長:

そのとおりです。ますます大きくなっていくこの大家族の族長として,義のうちに,目的をもって子育てしているすばらしい父親,母親たちを持っていることに感謝しています。

かと言って,我が家が人生の苦悩を味わわずに済んだわけでもありません。

我が家にも慢性病や命を危うくする病気,そして愛する妻ダンツェルと娘エミリーの死など,いろいろな悲しみを経験してきました。

離婚がもたらす苦悩や,家族が信仰について悩んでいるときの悲しみもありました。

ウェンディー:

霊的に苦しんでいる人がいると,胸が痛みます。クリスマスに集まって,巨大な渦巻きを作ったときは特に,彼らのことを考えていました。

考えてみてください。一族みんなで集まって,手をつないで長い鎖を作ったら,フットボール場よりも長くなったんです。実際,それは二つ分の長さでした。

ネルソン会長:

そうだね。

ウェンディー:

一人一人がどんな気持ちになるでしょう。目では右や左の数人までしか見えません。孤独を感じるかもしれません。大勢の中にいるけれど,だれともつながっていないと。でも,クリスマスのときは皆で手をつなぎ,渦巻きを作りました。とても楽しかったです。

ネルソン会長:

すばらしい一体感がありました。渦巻きの中で8歳のホイットニーが感じた気持ちを覚えている?彼女は「ほっとする」と言っていました。

ウェンディー:

幼子の素直な言葉ですね。

ネルソン会長:

大きな家族ですから,近い関係を保つようにしています。月間「ネルソンニュース」はなくてはならないものです。1か月間のおもな出来事を各家族が投稿します。

それぞれがどんなことをしているか近況を伝え,家族歴史の記録にもなります。毎月のネルソン家の集まりでは,その月の誕生日や記念日すべてを祝います。

ウェンディー:

それから,神権の儀式に関連した小さな集まりもあります。神殿の結び固めから赤ちゃんの祝福まで。冬の,家族でのスキー活動も忘れてはいけないわね。どれも楽しいです。

ネルソン会長:

『家族—世界への宣言』では,「健全な娯楽活動」を家族で行うことの大切さが述べられています。こういった活動は幅広い種類があり,それぞれの家族の好きな活動により様々です。

我が家の人々はほとんどユタに住んでいるので,一つの楽しみはスキーでした。しかし,何をするかよりも,何かを一緒にすることに意義があります。家族生活を幸福で思い出深いものにする活動は,義にかなった,目的のある子育ての大事な一部です。

ウェンディー:

家族とは,安全な避け所でもあり,楽しさと幸福のあるところでもあります。家族の神聖さを信じているわたしたちからしたら,何の不思議もないことです。

ネルソン会長:

もちろんです。そして,家族の大切さを説明する名前を作りましたよ。「エリヤ」。

ウェンディー:

待って。このゲームでは固有名詞は使えないはずですよ。どうしたの。

ネルソン会長:

今回は固有名詞もいいんですよ。エリヤについて話す必要がありますからね。

「エリヤ」という名前には深い意味があります。ヘブル語で「エリヤ」は,「わが神はエホバである」という意味があります。考えてみてください!「エリヤ」という名に,ヘブライ語の御父と御子,御二方の呼び名が入っています。

ウェンディー:

それを聞くと,とても考えさせられます。エリヤはイエス・キリストの時代の前に,メルキゼデク神権の結び固めの力を持っていた最後の預言者でした。

エリヤの使命は,子孫の心を先祖に,また先祖の心を子孫に向けさせ,両者が結び固めを受けられるようにすることでした。さもなければ,「全地はことごとく荒廃する」とあります。けっこう強い表現ですね。「ことごとく荒廃する」なんて。

ネルソン会長:

確かに強い表現です。家族歴史と神殿活動がどれほど不可欠であるかが分かります。

ウェンディー:

エリヤの霊についてあなたが言った言葉は,とてもいいと思います。

ネルソン会長:

エリヤの霊は,「家族が神聖な起源を持つことを示す聖霊の現れ」だと思います。

ウェンディー:

ですから,エリヤの霊によって人々が親族の死者を探し求めるよう促されているとき,実は家族の永遠の結び固めを可能にするために動くよう聖霊に促されているのです。

ネルソン会長:

そのとおりです。ウェンディー,きみは幕の両側にいる家族を強めるために多くのことをしているね。

子孫の心を先祖に,先祖の心を子孫に向けるためにいつも何かをして,神聖な儀式ができるように働いている。

ウェンディー:

心と言えば,あなたの家族の歴史の特別な出来事について家族の一部に話したとき,あなたも確かに子孫の心を先祖に向けていたわ。その出来事とは,亡くなったひいおじいさんが当時はまだ地上にいた息子を訪れたという話です。

ネルソン会長:

そうです。そして,「ストーリー」という言葉が思い浮かびました。ネルソンおじいさんと,彼が残してくれた貴重な贈り物について,家族に話したかったのです。彼の名はアンドリュー・クラレンス・ネルソンです。

皆からはA.C.と呼ばれ,わたしの父が17歳のときに亡くなったので,わたしは会ったことがありません。

4人の祖父母のうち,わたしが知らなかった唯一の人です。祖父のA・C・ネルソンが27歳の若い父親だったとき,彼の父親が亡くなりました。

すると,その3か月後,亡くなった父親が彼のもとを訪れました。1891年4月6日の夜のことです。

祖父のネルソンは父親の訪れに感銘を受け,家族や友人のために日記に記録しました。そして,きみの勧めのおかげで,わたしは祖父の日記の記述をもとにこれを作り,家族にコピーして渡しました。

その神聖な経験について祖父はこう綴っています。聴いてください。

「わたしが寝ていると,父が部屋に入って来て,わたしのベッドの端に腰かけ,こう言った。『息子よ,少し時間ができたので,許可をもらってお前に会いに来たよ。わたしは元気だ。死んでから,やることが山ほどあってね。』

『父さん,死んだ後は何をしているの?』

『死んだ後,わたしは使徒のエラスタス・スノーとあちこち訪問しているのだ。正しくは,死んで3日後からだが。わたしは福音を宣べ伝えるよう命じられてね。

お前の想像をはるかに超える数の霊が,福音を聞かずに霊界に来ているんだ。その多くが今福音を受けていて,偉大な業が行われている。

彼らは,まだ生きている友人たちが神殿で儀式を行ってくれるのを心待ちにしている。わたしはキリストの福音を宣べ伝えようと一生懸命働いていたのだ。』

『父さん,いつでもぼくたちを見て,様子を知ることはできるの?』

『いいや。わたしにはほかにすべき仕事がある。好きなときに行き来できないのだ。霊界には,現世よりはるかに高い秩序がある。わたしには与えられた仕事があって,それを成し遂げなければならない。』

『ぼくらはできるだけ早く神殿で父さんとの結び固めをするよ。』

『息子よ,今回はその話もあって来たんだ。わたしたちはこれから家族として,永遠にともに生きよう。』

『父さん,死ぬのは何でもないことなの?』

『死ぬことは生まれることや,あのドアを通るのと同じくらい何でもないことさ。』父はドアを指さした。

『わたしはもう長くないと皆に言ったら,目の前が暗くなって,少しの間何も見えなかった。その後,最初に見えたのは霊界にいるたくさんの霊だった。お前がわたしにくれた書類の日付は間違っているが,大したことではない。こちらの世界に正確な記録があるからね。』」

ウェンディー:

ひいおじいさんの言葉が,家族歴史を調べるときにどれほど慰めになったか,言葉で言い表せません。時々,同姓同名の人が,同じ時期に同じ町に住んでいたりして,だれがだれか確認するのが難しいこともあります。

ひいおじいさんのこの言葉のおかげで,幕の向こう側に正しい記録があるから,わたしはできるところまで調べればいいと分かりました。

ネルソン会長:

ウェンディー,曾祖父の訪問が助けになったと聞いて,うれしいよ。

ウェンディー:

ありがとう。

ネルソン会長:

ほかにも注目すべき言葉があります。

「『父さん,教会が教える福音は正しいの?』

『息子よ,あの絵が見えるかい?』父は壁にかけてある教会の大管長会の絵を指さした。

『ああ,見えるよ。』

『あの絵が見えるのと同じように確かに,福音は真実だ。イエス・キリストの福音には,それに従うすべての男女を救う力があり,それ以外の方法では,決して神の王国における救いは得られない。

息子よ,常に福音に従い続けなさい。謙虚であり,よく祈り,神権に従順であり,誠実であり,神と交わした聖約に忠実でありなさい。神に喜ばれないことを決して行わないようにしなさい。ああ,福音は何という祝福であろうか。息子よ,正しく生きなさい。』

ウェンディー:

このいろいろなBeが大好きです。「謙虚であり,よく祈り,神権に従順であり,誠実であり,神と交わした聖約に忠実でありなさい。……正しく生きなさい。」

亡くなったひいおじい様の6つのBね。6つのBなんて,ゴードン・B・ヒンクレー大管長の勧告にとても似ているわね。

ネルソン会長:

確かにそうだね。祖父がこの記録を残してくれたことは,ほんとうに価値あることです。曾祖父の子供たちが後で曾祖父に結び固められたことが分かりました。それであの訪問の目的が達せられたのです。

ウェンディー:

家族にこの文書を読み聞かせたとき,何が印象に残ったか聞きました。どんな反応があったか覚えてる?

ネルソン会長:

ジョーダン,きみのお母さんはすでにあちら側にいるね。どう思った?

ジョーダン:

心に残ったことは,先祖の人たちがどれほど伝道しているかということかな。神殿に行くと,母さんが近くにいると感じるときもあれば,そう感じないときもあった。やっと理由が分かったよ。母さんはほかの人たちのために働いているんだね。

ネルソン会長:

祖父が,亡くなった父親の訪れを受けてから27年後の1918年に,ジョセフ・F・スミスに死者の贖いに関する示現が与えられました。

その示現は現在,教義と聖約の第138章となっています。

スミス大管長はこの経験から,忠実な長老たちは現世を離れた後も伝道活動を続けていると教えました。おそらく長老に限ったことではなく,姉妹も同様であるとわたしは思います。姉妹たちの多くは優秀な宣教師です。ジョーダンの母親である,わたしたちの愛娘エミリーも,向こうで忙しく福音を宣べ伝えていることでしょう。

ほかの人の感想も聞いてみましょう。

リンゼーはどう思ったかな。

リンゼー:

霊界ではすごく忙しいと聞いて,考えさせられるわ。わたしたちにこの特別な経験があること,こういうやり取りが語られて,子孫のわたしたちのために書き記されたことは,ほんとうに特別だと思う。

ネルソン会長:

おじいさんはとても神聖な経験だと感じたんだね。そして,「家族と友人のために書き記す」と言っているね。教会の中央幹部である今,世界中のすべての人がわたしの家族になったと言えるので,今夜,この話をみんなに紹介しているんだ。

ウェンディー:

他に考えたことや感想はあるかしら。

ネルソン家の孫:

はい。時々,やることが山のようにあると思ってしまうの。ふさわしくあるために,たくさんのことをしなければと思い込んでしまって。でも,おじいさんは簡潔に「神を喜ばせないことはしないように」とだけ言っているわ。簡潔ですばらしい言葉だと思う。

ウェンディー:

「正しく生きなさい。」

ネルソン家の孫:

そう。「正しく生きなさい。」

ウェンディー:

家族に伝わるこの文書は7世代に受け継がれています。あなたのすぐ隣にすわっているホイットニーに,ひい,ひい,ひい,ひいおじいさんについて話したのよね。すごいことだわ。

ネルソン会長:

ウェンディー,きみだって,最近,カナダにいる姪っこや甥っこたちと似たようなことをしたね。彼らにひい,ひい,ひい,ひいおばあさんのサラの,信仰あふれるすばらしい話を伝えた。

ウェンディー:

そうね。サラ・エリザベス・ダゲット・ローゼンバーグの経験をもとに,「サラの祈りの力」という絵本を作りました。

3歳から18歳までの姪や甥に物語の挿絵を描くように頼んで,お話と絵をこの小さな絵本にまとめました。16歳のガブリエルが表紙の絵を描いてくれました。

情報源として,わたしが20代のときに祖母に行った音声インタビューを使いました。つい数年前のことです。具体的な年数は言いませんよ。

インタビューを部分的に再生しながら,絵本の数ページをお見せします。音声は祖母のヘーゼル・マリー・ローゼンバーグ・クンズ・マクリーンが彼女の祖母サラについて話している声です。

ある夜,サラの夫エフライムが2人のモルモンの長老を連れて来ました。彼らは食べておらず,飢えていました。「モルモンの宣教師?」サラはあまり喜びませんでした。彼女の住むアイオワの町では,モルモンとその信条についてひどいことを聞いていたのです。

サラは彼らを食事に招き,「遠慮なく聞いた」そうです。おばあさんはとても率直に,彼らのようなしっかりした青年がなぜそのような悪名高い教会にいるのかと尋ねました。

長老の一人が答えました。「ローゼンバーグさん,わたしたちの信条を紹介したいと思います。ここに冊子があります。読んでいただけますか。

また今度来て,さらにお話ししようと思います。」挑戦好きのサラはこう言いました。「若い方々,もしこれを読んで,あなたが間違っていることを証明できたら,うちの教会に入りますか。」

彼らは「もちろんです」と答えました。すると,機知に富んだ一人の長老がこう言いました。「もしあなたが間違っていてこちらが正しいと証明できたら,うちの教会に入っていただけますか。」

おばあさんはそんなことあり得ないわと思って,鼻で笑い,テーブル越しに手を差し出し,約束の握手を交わしたそうです。

翌日,サラは読み始めました。驚いたことに,読むのをやめられなくなりました。何もかも興味深く,正しいことのように思えました。彼女はひたすら読み続けました。

没頭しすぎて,エフライムの夕食を用意するのをすっかり忘れ,夫が玄関を入って来たとき,彼女は我にかえりました。

「エフ,すごいわよ。あなたが今朝家を出たときから,この布教用の冊子を読んでいたの。あなたにも聞かせたいわ。モルモンの教えはとても興味深くて,ちゃんと聖書の参照聖句も書いてある。夕食を作ってくれる?あなたに聞かせてあげるわ。」

ユダヤ系とペンシルベニア・オランダ系の血筋のエフライムは,夕食を作ることに慣れていませんでしたが,

サラの表情や,冊子について話す声の調子から,何となく承諾してしまいました。

その夜,サラが冊子を読み聞かせ,エフライムが料理しました。彼の料理を食べながら,サラが読んだことについて二人で話しました。その次の晩も,サラが読み,エフライムが料理しました。

これが数週間続き,サラは改宗しました。読み聞かせた後,夫にどう思うか尋ねたそうです。彼はこう言いました。「真実だと思うが,モルモンと天国に行くより酒飲みと一緒に地獄に行きたい」と。

すると,おばあさんは「それがあなたの選びね。今度はわたしの番。モルモン教会に入るわ。」

ところが,許可がなければ長老たちがバプテスマを施せないことを知ったおじいさんは,許可しませんでした。おばあさんをうまく止めたと思ったけれど,おじいさんは祈りの力を知りませんでした。

おばあさんはひたすら祈って,祈って,祈り続けたそうです。

それでもエフライムはサラがバプテスマを受けることを許しません。サラは主のまことの教会に入りたいとますます懇願しました。

6月のある暑い夜,サラはいつもとちがう祈りを捧げました。「モルモン教会に入れるよう,すべての障害を取り除いてください。」

その日の夜中,彼女は10代の息子たちに突然起こされました。1階に下りて来てくれ,父さんが死にそうだから,と。

サラはいつもは眠りの浅い人でした。わずかな物音でもすぐに起きてしまうのです。ところが,夫が痛みで大きなうめき声を立て,別の部屋で寝ていた息子たちが駆けつけるほどの騒ぎだったにもかかわらず,サラはいっさい気づきませんでした。

おばあさんがベッドから飛び起きて1階に下りて行くと,おじいさんはうめき声を上げてたいそう苦しんでいました。激しい苦しみ様でした。ドアを開けたとき,さきほどの祈りで述べた言葉が頭に浮かびました。

「モルモン教会に入れるよう,すべての障害を取り除いてください。」祈りを思い出したとたん,サラははっとしました。「ちがう!そういう意味ではありません!」その瞬間,エフライムの苦痛が全部消えました。

後に,エフライムはこう聞きました。「サラ,モルモン教会に入れるよう,わたしが死ぬように祈ったのか?」

「死ぬようになんて祈っていないわ」とサラは答えました。「でも,バプテスマを受けられるよう,すべての障害がなくなるようにって。」

エフライムはこう言いました。「サラ,モルモン教会に入っていいよ。二度とそんな祈りはしないでくれ。」ある朝,日がのぼるころ,エフライムはサラと2人の長老を,屋根に房飾りのついた馬車に乗せて,サラがバプテスマを受けられるよう川へ連れて行きました。

ネルソン会長:

すばらしい話だね。そして,絵本になっているから子供たちはいつでもそれを読み,祈りの力について理解し,サラと彼女の信仰も知ることができます。サラの物語を読んで,絵を描いてくれた子供たちの感想も数ページ入っています。

ウェンディー:

そうね。この本のいちばん楽しい部分です。幾つか質問して,サラの話を読んで考えた後,何かしたいことはあるか聞きました。

彼らの答えは霊感にあふれていました。「毎朝毎晩聖典を読みたくなった」という意見や

「正しいことをするのを止められたら,家族であっても,自分の思いを貫ける気がします」という言葉もありました。

そして,こんな特別なものも。14歳のアリソンはこう書きました。「サラの話を学校の友達にしました。サラの祈りがこたえられたことにすごいねと言ってくれました。

それがきっかけで教会について話し始めました。白状しなくてはいけないことは,この話が数学の授業中,ほんとうは勉強する時間に始まったことです。」

ネルソン会長:

大切な家族歴史の話を,簡単に読み,覚えておける方法で伝えることで,子孫の心をその先祖に向けさせるのはすばらしいことです。

モーサヤ1章5節で,ベニヤミン王は神聖な事柄を記録し保存し,いつも目の前に置けるようにすることの大切さを教えています。

家族歴史の文書やストーリー,写真,思い出の品が常に目の前にあれば,証が強められるでしょう。

壁に掛けたり,テーブルに置いたり,コンピューターやタブレット,さらには携帯電話に入れておけば,より良い選択をし,もっと主と家族に近づくように促されることでしょう。

しかし,それだけではまだ十分にやっていません。

次の言葉は「回り道」です。

わたしたち教会員が家族歴史を行うよう主から言われているのは,わたしたちなしに先祖が完全になることも,彼らなしにわたしたちが完全になることもないからです。

神殿の聖なる結び固めの儀式によって,ともに結ばれる必要があるのです。先祖から子孫に至る鎖の中の強い輪にならなければなりません。

数々の話と写真を収集することで終わってしまったら,つまり,自分の先祖について知り,すばらしいことを知っても,儀式をせずに幕のかなたに立ち往生させているとしたら,

ただの気晴らしであって,霊界に閉じ込められたままの先祖にとっては何の助けにもなりません。

ウェンディー:

そのとおりね。先祖の話を保存することは大切ですが,先祖の儀式を済ませることより優先してはいけません。時間を取って,先祖の儀式を行うのに必要な情報を得る必要があります。

ネルソン会長:

つまり,普段ほかのことにあてている時間を回すということです。神殿に,また索引作成を含めて家族歴史の探求を行うことに,もっと時間をかける必要があります。

カナダに住む3人の愛する子供たちのこの写真が大好きです。彼らは索引作成をしています。

ナタリー,ローガン,ローラ。彼らの祖母,あなたの姉妹のキャシーが啓発し,教えたのだと思います。キャシーは毎日100人の索引化をする目標があったね。1か月で2000人の索引化だったかな?

ウェンディー:

そうよ。ファミリーサーチやAncestry.com(アンセストリー・ドット・コム)で索引化された家族歴史記録を開くたび,キャシーやナタリー,ローガン,ローラのように時間を捧げて索引化している人に感謝しています。これで次の「犠牲」という言葉が出てきます。

ネルソン会長:

神殿と家族歴史活動を行うためにきみが時間を捧げているおかげで,この1年だけでも,さらに多くの先祖や身代わりとなった人,家族や我が家に祝福があったね。

ウェンディー:

大きな喜びがあったわ。去年のルーツテックで,家族歴史の探求のために払った犠牲について話しました。

2週間スクラブルをやめて,その時間を家族歴史にあてました。何か変化があるとは思っていませんでした。

そのわずかな時間で,かつてない方法で家族歴史とつながることができました。その犠牲によって人生がすっかり変わり,一人でスクラブルをしなくなりました。

犠牲は確かに天の祝福をもたらします。わたしは祝福されて,たくさんの先祖を見つけました。彼らは神と聖約を交わし,救いに必要な儀式を受けることを切望しています。

時がたつにつれて気づいたことは,圧倒されるようなプロジェクトに取り組んでいて,時間とエネルギーとアイデアを使い切ったときでも,時間を取って先祖の儀式を行うのに必要な情報を見つけたり,先祖の身代わりで神殿に参入したりすると,天が開かれ,活力とアイデアが流れ込み始め,締め切りまでに作業を終えることができるのです。

不可能なのに,毎回可能になるのです。

ネルソン会長:

時間を捧げることで,スクラブルゲームのさらなる達人にもなりました。

ウェンディー :

神がどれほど祝福を下さっているか分かりますか。

神殿・家族歴史活動がもたらす喜びは,この世のものではありません。

今年,母の日に,現世にいる家族とすばらしい時間を過ごした後,わたしは幕の向こうにいる母ともつながりたいと思いました。そのとき起きたことはほんとうに驚きです。

その日曜の午後,祈りを捧げ,家族歴史を調べていると,助けの必要な赤ん坊が次々と見つかりました。どの子も両親に結び固められておらず,様々な家族の10人の赤ん坊を見つけた後,わたしはあるパターンが繰り返されていることに気づきました。

その瞬間,生まれて間もないわが子を亡くした数人の母親と自分の母が話している光景が思い浮かびました。

赤ん坊として父と母が亡くした2人の息子,オリバー・シャンド・ワトソンとデビッド・マクリーン・ワトソンが母の隣に大人の姿で立っている様子が見えました。

母が彼らの誕生を楽しみに待っていたこと,その後彼らが突然取り去られたときの悲しみについて話している姿が思い浮かびました。

そして,イエス・キリストの福音のおかげで,2人の息子は永遠に自分とともにいられると,母親たちに語っている光景が想像できました。母親たちに,キリストのもとへ来て福音を受け入れ,身代わりによって救いに必要な儀式を受ければ,子供たちと永遠に結び固められるのよと勧めている母の声が聞こえそうでした。

すばらしい母の日となりました。

ネルソン会長:

あの日,きみのお母さんはとても近くにいたんだろうね。すばらしいと思うよ。もう一つ話すべきことがあります。家族歴史が伝道活動で大きな役割を果たすことです。

ウェンディー:

世界各地の宣教師に話すとき,あなたが教えていることが大好きです。

ネルソン会長:

もしも今わたしが宣教師であれば,わたしが奉仕するワードや支部で最も親しくするのは,ワード伝道主任とワード神殿・家族歴史相談員です。

人々は自分の先祖について何かを知りたいという生来の望みを持っています。それは宣教師にとって格好の機会となります。

宣教師は自分の接する人を愛すると,自然にその人の家族について尋ねます。

「ご両親はご健在ですか。おじい様やおばあ様はお元気ですか。父方と母方,両方のおじい様とおばあ様を御存じですか。」宣教師と話をしたいと思う人は,自分の愛する人たちについて話すように求められると,会話がはずみます。

ここまで来ると,次の質問も必然的に尋ねるでしょう。「ひいおじい様やひいおばあ様のだれかを御存じですか。お名前を御存じですか。」

おそらくその人は曾祖父母8人全員の名前は知らないでしょう。そんなとき,宣教師はこう提案できます。「お手伝いできる友人が教会にいます。

ひいおじい様やひいおばあ様の何人か,あるいは全員の名前を見つけるとしたら,数時間取って調べたいと思いますか。」

言うまでもなく,教会のその友人とは,ワード神殿・家族歴史相談員です。ウェンディー,きみも同じくらい大切なことを宣教師たちによく話しているね。伝道活動に対する彼らの理解を広げて,永遠の見地から見るように助けています。

ウェンディー:

イエス・キリストの回復された福音の真理を受け入れようとする人々を見つけて教えるときに,決して一人ではないと分かれば,宣教師も慰められると思います。

4人の大管長の顧問を務めたジョージ・Q・キャノン管長が述べたように,この末日に人々が教会に入るのはまさに,先祖の祈りによるのです。先祖は,身代わりによって救いに必要な儀式を受けられるよう,子孫が教会に入ることを祈っているのです。

そこでわたしは宣教師に,効果的な祈りの一例として「幕の向こう側で福音を受け入れ,儀式を待ち望んでいる先祖を持つ人々のもとへ導いてください」と祈るよう勧めます。

宣教師たちに勧めるもう一つのことは,求道者を教えるときに,少なくともさらに100人の人が同じ部屋にいるのを想像することです。その100人の人は,もちろん求道者と宣教師たちの先祖です。それはいつも大変力強い瞬間です。

ネルソン会長:

そうだね。さて,我が家の家族のきずなを強めた,渦巻きの経験についてもう少し話しましょう。きみとわたしは長女のマルシア,彼女の夫のリチャードと手をつなぎ,彼らは子供たちと孫たちと手をつないだね。

娘のウェンディーと夫のノーム,その子供と孫たち,といった感じで,渦巻きはどんどん長くなり,皆がつながりました。それで最後の言葉「結び固め」が思い浮かびます。

渦巻きを作ったことで,神殿の結び固めの儀式を思い出しました。わたしは子供たち全員をその伴侶に,そして結婚している孫たちもその伴侶に結び固める特権を受けました。

昇栄は家族で取り組むものです。イエス・キリストの福音に伴う救いの儀式によってのみ,家族は昇栄することができます。

ウェンディー:

わたしたちが出席するクラス,奉仕する機会,神と交わす聖約,神権の儀式,教会で行うすべては,主の宮である聖なる神殿へとわたしたちを導きます。

わたしたちが目指す最終目的は,家族として幸福になり,エンダウメントを受け,結び固められ,神のみもとで永遠の命を受ける備えができている状態になることです。

それを可能にするものは何でしょうか。イエス・キリストの福音と回復された結び固めの力です。

1836年4月3日,身を変えられたエリヤ自身がカートランド神殿でジョセフ・スミスとオリバー・カウドリに結び固めの鍵を授けました。

あなたも,すべての神殿結び固め執行者も,同じ結び固めの力を持っていますね。預言者エリヤと同じ結び固めの力があるのです。

ネルソン会長:

「聖句ガイド」には,「エリヤが持っていた力は,神権の結び固めの力であり,これによって地上でつながれ,解かれることは,天においてもつながれ,解かれる」とあります。

ウェンディー:

夫婦とその子供たちは聖約を守るときに,結び固めの儀式によって,非常に大きな力を得ることができます。

ネルソン会長:

ジェームズ・E・ファウスト管長はこう教えました。「憐れみは正義の要求を奪うことはないので,忠実な両親の結び固めの力は,キリストの贖いと,本人の悔い改めという条件が満たされたときのみ,道をそれた子供たちに及びます。」

ウェンディー:

つまり,永遠に住むためにだれかを無理やり日の栄えの王国に連れて行くことはできないということですね。

ネルソン会長:

できません。わたしたちはどう考え,感じ,語り,行うかによって,永遠に住みたい場所を毎日選んでいるのです。天の御父が宣言されたように,人の不死不滅と永遠の命をもたらすこと,これが御父の業であり,御父の栄光です。

ウェンディー:

この世の両親が子供に対して,重要かつ危険な旅の後,家に戻って来てほしいと思うのと同じように,天の御父もわたしたちが清くふさわしい状態で戻ることを望んでおられます。

ネルソン会長:

しかし,御父はわたしたちが自分で選ぶことを望んでおられます。御父はいかなる形でもわたしたちを強制されません。

わたしたちが聖約を厳密に守ることは,御父のもとに帰って一緒に住みたいとどれほど願っているかを御父に示す行為なのです。永遠の命を得る栄えある可能性に近づくのも,あるいはそれから遠ざかるのも,毎日の行い次第です。

ウェンディー:

わたしたちは「家族は永遠に」をよく歌いますが,“can”,「できる」という言葉が重要です。イエス・キリストに信仰を持ち,悔い改め,バプテスマを受け,聖霊を受け,主の神殿でそのほかの必要な儀式を受ければ,家族は一緒にいられます。

ネルソン会長:

また,それぞれ聖約を守り,日々悔い改め,もっと救い主のようになろうと努めることが必要です。そのときに,そしてそのときにのみ,家族は永遠に一緒にいることができるのです。

ウェンディー:

愛する兄弟姉妹,今日は皆さんと集い,家族歴史と神殿活動への愛を分かち合うことができ,感謝しています。

皆さんの今の生活がどれほどすばらしくとも,あるいは,落胆と悲嘆に満ちたものであっても,家族歴史と神殿の業に携わるときにより良いものになると証します。

今,皆さんに必要なものは何でしょうか。愛ですか。喜びですか。自制心ですか。平安ですか。有意義な時間ですか。だれかのためになっているという実感ですか。楽しさですか。

人生の疑問への答えですか。ほかの人と心から触れ合うことですか。聖文で読んでいる事柄についての,さらなる理解ですか。さらに愛し,赦す力ですか。

もっと力強く祈るための力ですか。作業やプロジェクトを行うための,さらなる霊感とアイデアですか。大切なことに使える時間ですか。

愛する兄弟姉妹にお勧めします。主に時間を捧げて,神殿活動と家族歴史活動を行う時間を増やし,どんなことが起きるか見てみてください。

先祖を助けるのに真摯であることを主に示すなら,天が開き,必要なものすべてを受けられると証します。イエス・キリストの御名によって,アーメン。

ネルソン会長:

アーメン。兄弟姉妹,わたしたちはほかの人々の神殿と家族歴史の経験を一日中聞くと,啓発されます。

しかし,実際に自分で一歩踏み出して喜びを味わわないかぎり,ルーツテック2017に来たことは,温かいお風呂に入るようなものです。そのときはよい気持ちですが,すぐに消えます。

このすばらしい気持ちを持続的に,あるいはもっと強く感じられよう,一人一人にチャレンジしたいと思います。家族歴史活動と神殿の業をさらに行うために何を犠牲にしたらよいか,恐らく時間の犠牲が望ましいですが,そのことについて祈りの気持ちで考えてください。

兄弟姉妹,わたしたちはともに全能の神の業に携わっています。主は生きておられ,イエスはキリストであられます。この教会は主の教会です。わたしたちは主の聖約の子です。わたしたちは主の期待にこたえることができます。イエス・キリストの聖なる御名によって証します,アーメン。