1 さて，わたしニーファイは，あなたがた愛あいする同胞はらからに預よ言げんすることをこれで終おえる。わたしは将しょう来らい必かならず起おこると知しっていることを，少すこししか書かき記しるせない。また，弟おとうとのヤコブの言こと葉ばも少すこししか書かき記しるせない。

2 しかし，これまで書かき記しるしてきたことで十じゅう分ぶんである。ただ，キリストの教きょう義ぎについては少すこし述のべておかなければならない。それで，わたしの分わかりやすい預よ言げんの仕し方かたで，あなたがたに分わかりやすく述のべておく。

3 わたしは，分わかりやすいことを喜よろこびとする。主しゅなる神かみは分わかりやすい方ほう法ほうで，人ひとの子こらの中なかで業わざを行おこなわれるからである。主しゅなる神かみは理り解かい力りょくに光ひかりをお与あたえになる。主しゅなる神かみは，人ひと々びとが理り解かいできるように彼かれらの言こと葉ばに倣ならって語かたられる。

4 そこで，主しゅがわたしに示しめされたあの預よ言げん者しゃ，すなわち世よの罪つみを取とり除のぞかれる神かみの小こ羊ひつじにバプテスマを施ほどこす預よ言げん者しゃについて，わたしが前まえに述のべたことを思おもい起おこしてもらいたい。

5 さて，神かみの小こ羊ひつじが聖せいなる御お方かたであっても，あらゆる義ぎを満みたすために水みずでバプテスマをお受うけになる必ひつ要ようがあるとすれば，おお，聖きよくないわたしたちがバプテスマを，すなわち水みずでバプテスマを受うけることは，なおさら必ひつ要ようではないだろうか。

6 そこで，わたしの愛あいする同胞はらからよ，神かみの小こ羊ひつじは水みずでバプテスマをお受うけになることによって，どのようにあらゆる義ぎを満みたされたのか，わたしはあなたがたに尋たずねたい。

7 あなたがたは小こ羊ひつじが聖きよくあられたことを知しらないのか。しかし小こ羊ひつじは，聖きよいにもかかわらず，肉にくにおいては御おん父ちちの前まえにへりくだることを人ひとの子こらに示しめされる。そして，御おん父ちちの戒いましめを守まもることについて御おん父ちちに従じゅう順じゅんであることを，御おん父ちちに証しょう明めいされるのである。

8 それゆえ，小こ羊ひつじが水みずでバプテスマをお受うけになると，聖せい霊れいが鳩はとの形かたちを取とって小こ羊ひつじのうえに降くだって来こられた。

9 そしてまた，それは人ひとの子こらに，道みちが細ほそくて彼かれらの入はいる門もんが狭せまいことを示しめしており，小こ羊ひつじは彼かれらの前まえに模も範はんを示しめされたのである。

10 小こ羊ひつじは，「わたしに従したがいなさい」と人ひとの子こらに言いわれた。それゆえ，愛あいする同胞はらからよ，進すすんで御おん父ちちの戒いましめに従したがわないで，わたしたちはイエスに従したがうことができるだろうか。

11 御おん父ちちは言いわれた。「悔くい改あらためよ。悔くい改あらためよ。わたしの愛あいする子この名なによってバプテスマを受うけよ。」

12 また，御おん子この声こえがわたしに聞きこえて言いわれた。「父ちちは，わたしの名なによってバプテスマを受うける者ものに，わたしに授さずけてくださったと同おなじように聖せい霊れいを授さずけてくださる。それゆえ，わたしに従したがい，わたしが行おこなうのを見みたそのことを，あなたがたも行おこないなさい。」

13 したがって，わたしの愛あいする同胞はらからよ，もしあなたがたが十じゅう分ぶんに固かたい決けつ意いをもって御おん子こに従したがい，神かみの前まえに決けっして偽ぎ善ぜんと欺あざむきを行おこなうことなく誠せい意いをもって行こう動どうし，罪つみを悔くい改あらため，バプテスマによって，まことに，あなたがたの主しゅであり救すくい主ぬしである御お方かたに従したがい，主しゅの言こと葉ばのとおりに水みずに入はいり，バプテスマを受うけることによって，キリストの名なを喜よろこんで受うけることを御おん父ちちに証しょう明めいするならば，見みよ，そのとき，あなたがたは聖せい霊れいを受うける。すなわち，そのとき火ひと聖せい霊れいによるバプテスマを受うける。するとあなたがたは天てん使しの言こと葉ばで語かたり，イスラエルの聖せい者じゃに賛さん美びの声こえを上あげることができるのである。わたしはそれを知しっている。

14 しかし見みよ，わたしの愛あいする同胞はらからよ，御おん子この声こえが次つぎのように聞きこえてわたしに言いわれた。「あなたがたは罪つみを悔くい改あらため，水みずによるバプテスマを受うけることによってわたしの戒いましめを進すすんで守まもることを御おん父ちちに証しょう明めいし，火ひと聖せい霊れいによるバプテスマを受うけ，新あたらしい言こと葉ば，すなわち天てん使しの言こと葉ばで語かたれるようになった後のちに，わたしを否ひ定ていするのであれば，わたしを知しらなかった方ほうがあなたがたのためによかったであろう。」

15 わたしはまた，御おん父ちちがこう言いわれる声こえを聞きいた。「まことに，わたしの愛あいする者ものの言こと葉ばは真しん実じつであり，確たしかである。最さい後ごまで堪たえ忍しのぶ者ものは救すくわれる。」

16 さて，わたしの愛あいする同胞はらからよ，このことから，人ひとは生いける神かみの御おん子この模も範はんに倣ならって，最さい後ごまで堪たえ忍しのばなければ救すくわれないことが分わかる。

17 したがって，わたしがあなたがたの主しゅであり贖あがない主ぬしである御お方かたの行おこなわれることを先せん見けんして，これまで語かたってきたことを，あなたがたも行おこないなさい。これらのことがわたしに示しめされたのは，あなたがたが入はいらなければならない門もんを知しることができるようにするためである。あなたがたが入はいらなければならない門もんとは，悔くい改あらためと，水みずによるバプテスマである。そうすれば，火ひと聖せい霊れいによって罪つみの赦ゆるしが与あたえられる。

18 そのとき，あなたがたは，永えい遠えんの命いのちに至いたる細ほそくて狭せまい道みちにいることになる。まことに，あなたがたはその門もんから入はいっている。あなたがたは御おん父ちちと御おん子この戒いましめに従したがってこのように行おこなっている。またあなたがたは，御おん父ちちと御おん子こについて証あかしをされる聖せい霊れいを受うけている。こうして，その方ほう法ほうによって入はいるならば受うけると主しゅが約やく束そくされた，その約やく束そくが果はたされたのである。

19 さて，わたしの愛あいする同胞はらからよ，わたしは尋たずねたい。あなたがたがこの細ほそくて狭せまい道みちに入はいったならば，それですべて終おわりであろうか。見みよ，わたしはそうではないと言いう。もしキリストを信しんじる確かっ固ことした信しん仰こうをもってキリストの言こと葉ばに従したがい，人ひとを救すくう力ちからを備そなえておられるこの御お方かたの功く徳どくにひたすら頼たよらなかったならば，あなたがたは，ここまで進すすんで来くることさえできなかったからである。

20 したがって，あなたがたはこれからもキリストを確かっ固ことして信しんじ，完かん全ぜんな希き望ぼうの輝かがやきを持もち，神かみとすべての人ひとを愛あいして力ちから強づよく進すすまなければならない。そして，キリストの言こと葉ばをよく味あじわいながら力ちから強づよく進すすみ，最さい後ごまで堪たえ忍しのぶならば，見みよ，御おん父ちちは，「あなたがたは永えい遠えんの命いのちを受うける」と言いわれる。

21 さて見みよ，わたしの愛あいする同胞はらからよ，これが道みちである。そして，このほかには人ひとを神かみの王おう国こくに救すくう道みちも名なも天てん下かに与あたえられていない。見みよ，これがキリストの教きょう義ぎであって，限かぎりなく一つの神かみである御おん父ちちと御おん子こと聖せい霊れいの唯ゆい一いつの真しん正せいな教おしえである。アーメン。